2016年09月25日

◆ 夕方事故と自動ブレーキ

 自動車の事故が夕方に多いので、ライトを自動的に点灯させるように義務づけるそうだ。しかし、自動ブレーキの方が効果的だ。

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 自動車の事故が夕方に多いので、ライトを自動的に点灯させるように義務づけるそうだ。
 国土交通省は、暗くなると車のヘッドライトが自動で点灯する「オートライト」の搭載を、2020年4月以降に売り出される新型車からメーカーに義務づけることを決めた。日没前後の「薄暮」の時間帯に多発する高齢の歩行者らの事故を減らす狙い。10月に、道路運送車両法に基づく車の保安基準を改正する方針だ。
 国交省によると、14年の交通事故死者は4113人。死亡した半数が歩行者と自転車に乗った人で、歩行者の71%、自転車の64%を65歳以上の高齢者が占めた。高齢者の死亡事故の発生時間を分析すると、若い世代の事故とは違い、日没前後の薄暮の時間帯が突出して多いことがわかった。
 国交省自動車局は「早めの点灯はドライバーからの見えやすさだけでなく、歩行者に車の存在を知らせる意味合いが大きい。特に視力が落ちている高齢者には見やすくなり、薄暮時の事故を減らせるはず」としている。
( → 朝日新聞 2016-09-25

 最後を読むと、まるで自動車に気づかなかった高齢者が悪いみたいな書き方だが、横断中の歩行者に気づかなかったのは、どうみても自動車の方が悪い。ただし、黒っぽい服装だと見えにくいというような、同情の余地はある。やはり、ライトの自動点灯は必要だろう。


jiko.png

 ──

 ただし、私の論点はそこではない。次のことだ。
 「ライトの自動点灯もいいが、自動ブレーキの方がずっと効果的だ。たとえ運転手が気づかなくても、自動的にブレーキがかかるからだ」


 この意味で、自動ブレーキの早期普及の方が、ずっと効果的だと指摘したい。自動ブレーキは、薄暮時の歩行者対策だけでなく、多くの場面において有効だ。今回のような特定目的のためでなく、多面的に有効だ。

 一方、ライトの自動点灯だと、「明るさセンサー」みたいなのを付ける必要があるのかもしれなくて、その場合は、ちょっとコスト高になる。あまり賢明ではない。
( ※ 季節と時刻によって自動点灯する仕組みならばコストはかからないが、急に黒雲が広がったような場合には無効となる。)
( ※ 記事によると、「晴天の日の日没15分ほど前の明るさにあたる1千ルクス未満になると、2秒以内に点灯するように義務づける方針」とのことだから、明るさセンサーが義務づけられるようだ。……ちなみに、私が昔買った「トイレのライトの自動点灯」というやつは、数百円で買えたが、1年もたたずに故障した。寿命が極端に短いようだ。)

 ──

 というわけで、自動ブレーキの方が好ましいと思えるのだが、自動ブレーキにも難点がある。次のことだ。
  ・ ミリ波レーダーは、歩行者の検知ができない。
  ・ ミリ波レーダーは、路上以外は検知できない。
   (したがって、将来に路上に入る予測もできない。)
  ・ 単眼カメラと赤外線レーダーは、車速が高いと無効だ。


 以上のことから、次の結論を得られる。
 「単眼カメラ単独、または、単眼カメラとミリ波レーダー・赤外線レーダーとの併用では、歩行者対策は不十分である。特に、速度域が高い場合には」


 これを換言すれば、次のようになる。
 「夕方の歩行者の衝突の防止のために、ちゃんと有効なのは、ステレオカメラ方式だけである。(他は能力不足だ。)」

 このことをはっきりと明示した方がいいだろう。

 自動ブレーキというと、通常は「自分の車が路上の物体に正面衝突しないこと」ばかりが関心の対象となる。
しかし、「歩行者の事故防止」という意味もあるのだ。そして、その意味では、「ステレオカメラ式」だけが十分に有効なのだ。
 このことをきちんと理解しておく方がいいだろう。


jiko_bicycle_car.png

  ※ 歩行者だけでなく、自転車のこともある。



 [ 付記 ]
 ステレオカメラ式を普及させるには? 
 ステレオカメラ式の自動ブレーキだけ、保険料を大幅に割引するといいだろう。前項参照。(自動ブレーキ車は自動車保険が割引、という話がある。)



  【 関連サイト 】

 テスラS の事故を分析して、「これは稀な現象だから AI が予測できなかった」と解釈する人がいる。
  → 自動運転車の事故は「原理的に」避けられない!? AI技術の死角

 全然違うね。AI は関係ない。そもそも、
 「前方数十メートルの路上に大型車両がある」
 という場合には、AI に関係なく、自動ブレーキをかけるべきだ。将来予測の知能なんか必要ない。前方に物体があるというだけで、危険度はわかる。(馬鹿でもわかる。昆虫でもわかる。)
 なのに今回は、衝突した。それは、予測を誤ったからではなく、そこに物体があることを検知できなかったからだ。だから、衝突までには十分な車間距離があったにもかかわらず、ブレーキをまったくかけずに高速で直進して、衝突した。
 ここでは、知能ではなく、検出機能だけが問題だった。そして、その理由は、「ステレオカメラではなかったこと」だ。
 この本質を理解しないと駄目だね。

 ちなみに、スバルのアイサイトならば、同じ状況でも衝突はしなかっただろう。このことからしても、「 AI のせいだ」という説が間違いだとわかる。
 
 
posted by 管理人 at 08:00| Comment(2) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に  【 関連サイト 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2016年09月25日 23:28
オートライトは、欧州車は普及車レベルでも標準装着され始めてます。
また、デイライト・ポジションライト(昼間車幅灯)が義務になるという話も聞いた事があります。
なので、自動点灯義務化は時代の流れでしょう。
とにかく日本人はヘッドライト点けなさ過ぎ。

ちなみに、いわゆるスモール・ランプは「車幅灯」なので、これだけでは無灯火扱いになります。
フォグランプも「補助灯」なので同様。
Posted by nuvolari at 2016年09月27日 11:38
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