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以下では、前半では現況を述べ、後半では私見を述べる。
非常に長い(原稿用紙換算 50枚 )ので、面倒なら、後半だけを読めばいい。
1.現況
ユーグレナ(株)は、ミドリムシから航空機用のバイオ燃料をつくる事業を 2020年までに実用化するという。
《 ミドリムシ燃料を20年実用化 ユーグレナ、航空機向け 》
ユーグレナは藻の一種のミドリムシからつくる航空機向け燃料を2020年までに実用化する。1日、ミドリムシから搾った油を燃料に精製する国内初の設備を横浜市に建設すると発表した。
精製設備は18年前半の稼働を予定。米石油大手のシェブロンから技術供与を受け、ジェット燃料の認証を取得できる実証プラントにする。投資額は約30億円。年間125キロリットルを燃料をつくる計画だ。設備の建設や燃料の実用化、原料の調達で千代田化工建設、全日本空輸、いすゞ自動車、伊藤忠エネクスと連携する。
( → 日本経済新聞 2015/12/1 )

これは昨年末の記事だが、最新の記事もある。
《 燃料用ミドリムシの大規模生産実験で協定 ユーグレナと三重県など 》
藻の一種であるミドリムシから燃料をつくる研究をしているバイオベンチャー企業のユーグレナ(東京)と、電力関連事業の中部プラントサービス(名古屋市)、三重県、三重県多気町は1日、燃料用ミドリムシを大規模、低コストに生産する技術を確立する実証実験プロジェクトで協力する協定を結んだ。
多気町にミドリムシ培養プールを建設し、10月から実験を始める。プールは中部プラントサービスが同町内で運営するバイオマス発電所の隣に建設し、発電所から出る二酸化炭素(CO2)や熱をミドリムシ培養のために利用する。プールは平成30年には総面積3千平方メートル以上と、燃料用藻の培養プールとしては国内最大級に拡大する予定だ。
実証実験は31年3月までで、32年には航空機用のバイオ燃料として実用化させる。
( → 産経WEST 2016.9.1 )
平成32年は西暦 2020年だから、「2020年に実用化」ということで、同じ目標となる。
さて。それより、もっと重要なことがある。ユーグレナ(株)は、ずっと以前から、「バイオ燃料を早期に実用化」という夢を吹聴していたことだ。
《 株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏:3/4|社長対談 》
出雲社長
2018年までに、ミドリムシを使ったバイオ燃料によって飛行機を飛ばします。
( → セゾン投信 2011/09/18 )
2011年には、「2018年に実用化」と夢を吹聴していた。なのに、昨年と今年には「2020年に実用化」と語っている。目標がかなり先延ばしとなっている。
とはいえ、2年延期ぐらいで実用化できればいいのだが、本当に実用化できるのか?
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これについてネットを探ると、情勢は非常に悲観的である。「できるわけがない」というのが、大方の見込みだ。
なぜか? コスト的に、あまりにも目標とは遠いからだ。
そもそも、「ジェット燃料」と言うが、これは、純度を高めた灯油にすぎない。ガソリンやロケット燃料みたいに高級な石油製品ではない。ごく安価な石油製品だ。このような安価な石油製品をバイオ技術で作ったとしても、とうてい市販品に対抗できそうにない。
ちなみに、現時点でのコストは、既存のジェット燃料の 10倍程度であるそうだ。
実用化への最大の課題は石油由来のジェット燃料の10倍程度とされる価格をどう下げるか。高価なままでは航空会社にとっては負担がかさむことになり、航空運賃に跳ね返る懸念もある。
実証設備での精製コストについて、1日の記者会見では明らかにしなかった。
( → 日本経済新聞 )
ミドリムシ燃料の今後の課題は、製造コストが高いことにあります。今のところ、石油から精製されるケロシンの約10倍もの価格となるため、いくらクリーンエネルギーを使って環境に優しい企業をアピールしたい航空会社も、諸手を挙げて採用するというのは難しいようです。
( → バイオ燃料としてのミドリムシの将来は? )
はっきり言って、たったの5年間でコストを 10分の1にすることなど、できるわけがない。そもそも、この会社ができたのは、2005年だ。
創業メンバー3名が2005年8月に株式会社ユーグレナを設立しました。同年12月には、東京大学や大阪府立大学、近畿大学等の各大学の研究室、また当社提携先の企業のご協力により、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功しました。
( → 株式会社ユーグレナ )
2005年から初めて、すでに 11年の研究開発の歴史がある。それでいて、コストは「市販品の 10倍」である。なのに、このあと、たったの4年間でコストを 10分の1にすることなど、できるはずがない。
それでも、期待があるかもしれない。
「 10分の1でなくとも、せめて 5分の1にすれば、バイオ燃料として有望では?」
なるほど。そういう期待は成立しそうだ。とはいえ、現実には、その期待は虚しい結果となる。なぜか? ミドリムシとは別のバイオ燃料が、早くも実用化しつつあるからだ。
《 自然エネルギー:二酸化炭素を半減、航空機用のバイオ燃料 》
米ボーイングは2014年12月3日、バイオ燃料である「グリーンディーゼル」を用いた世界初のフライトテストに成功したと発表した。二酸化炭素排出量を半減できる他、現在のジェット燃料とコスト面で競争可能だという。
米国政府の奨励インセンティブを加味すると、価格は1ガロン当たり約3ドルであり、石油系航空燃料と比較して競争力があるという。
( → スマートジャパン )
コスト面でも、大幅な低下が進む。
《 航空機用バイオ燃料 2020年までに価格競争力もつ 》
英国調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスによると、世界の航空会社はこの数年間に、植物油由来の代替燃料を従来のジェット燃料に混合し始めるとみられるなか、非食用の植物油を原料とするバイオ燃料は、生産効率の向上が続けば、2018年までに従来のジェット燃料のコストに近づくと分析している。
( → バイオディーゼル燃料(BDF)を中心とした環境関連ニュース )

ここには「非食用の植物油を原料とするバイオ燃料」という記述がある。これが重要だ。
つまり、ミドリムシでなく、普通の農業によって取るバイオ燃料ならば、十分にコスト的な競争力を持つのだ。10倍もコストのかかるミドリムシとは、雲泥の差だ。
このことは、自動車用の燃料においては顕著だ。ブラジルでは、石油資源の購入費が足りないこともあって、バイオ燃料で走る自動車が多い。
ブラジルのエタノール消費が拡大している。大量に生産されるさとうきびからエタノールを精製し、自動車用燃料としてさかんに利用しているからである。
フォルクスワーゲンを始めとする自動車メーカーは2003年4月からフレキシブル燃料車(Flexible Fuel Vehicles=FFV、以下、「フレックス車」と略記)を市場に投入した。
08年は235万6942台のフレックス車が販売され、新車販売台数の90%を占めるまでになった。
( → ブラジルのバイオ燃料政策|農畜産業振興機構 )
というふうに、ブラジルでは自動車燃料として、バイオ燃料が大量に消費されている。すでにそれだけ実用化しているわけだ。
で、自動車用の燃料よりもはるかに安物である灯油であれば、特に困難ということもない。こういうバイオ燃料が、すでに農産物で実用化しているのである。
なのに、そこへ「既存のジェット燃料に比べて 10倍のコスト」なんていうバイオ燃料が出てきても、太刀打ちできるはずがない。
要するに、ユーグレナ(株)の描いている夢は、とてつもないホラであるにすぎない。さんざん夢を振りまいているが、そのすべてはホラである。ホラを口にして、多数の大企業から、多額の資金を集めているだけだ。
さて。ここまで判明すると、次の疑惑が沸く。
「こいつは、できない夢を語って金を集めること、つまり、詐欺ではないのか?」

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そこで、この点に関してネットを調べてみると、疑惑を裏付ける情報が見つかる。
まずは、株式投資系の有名サイト、市況かぶ全力2階建から。
→ ミドリムシで東証1部に上り詰めたユーグレナ、一部アウトロー系サイトから砲口を向けられる
ミドリムシの培養タンクもろくに稼働していない。口車だけで金を集めて、実体はろくにないのでは、という疑惑だ。
さらにこの問題を追った、詳しい話もある。
《 東京アウトローズは本気でユーグレナ(2931)を言及するつもりなのか 》
エナリスの不適切な会計処理を見破り、詐欺行為を続けていた平成電電問題を追求して真実を解明した東京アウトローズ。
今回東京アウトローズが標的に選んだのはまさかまさかのユーグレナ(2931)で、東証一部上場の大人気バイオベンチャー企業が標的になったことに動揺の声が広がっています。
エナリスのときは散々叩かれた東京アウトローズですが、結果を見ると明らかに東京アウトローズの方が正しかったのです。今回のユーグレナ騒動も注目に値し、「世界で初めて屋外培養技術を確立した真偽」と、「公募増資の資金の行方はいかに?」という部分が騒動のポイントになっています。
正直に申し上げて東京アウトローズは馬鹿じゃないです。
いや、むしろとても頭が良い組織だなと私は考えています。
東京アウトローズもわざわざ確信もないネタを載せて多大なリスクに晒されることを好まないでしょう。エナリスと同様に、今回のユーグレナに関する記事も「真実だと証明できる裏」を手に入れていると考えれば、また東京アウトローズに対する見方が変化します。
( → 株式投資.jp )
その続編もある。
《 東京アウトローズがユーグレナ(2931)の技術力を言及する 》
エナリスの不正を暴いた東京アウトローズがユーグレナに対して言及しています。
文章をよく読むと「現在の時価総額に相当する技術力がこの会社にあるのか。増資で調達した資金の行方はどうなっているのか」というのが問題になっているようです。
( → 株式投資.jp )
その対象となる記事は、これだ。
《 「ユーグレナ」、ミドリムシ大量培養は本当に独自技術なのか、巨額設備投資計画の遅延判明、増資資金も不透明な債券投資に 》
本誌は、このユーグレナについて次のような関心を持っている。現在の時価総額に相当する技術力がこの会社にあるのか。また、増資で調達した資金の行方についてである。
事業の根幹ともいえる屋外大量培養技術について、ユーグレナは極端に外部の目にさらされることを嫌ってきた。コカ・コーラの原液などの事例をあげ特許化せず、同社広報に問い合わせても「大量培養をおこなっている場所なども一切非公開」としている。要はブラックボックスになっているのだが、この技術に対して重大な疑惑が呈されている。ユーグレナが上場する前に、当時の経営幹部が屋外大量培養技術を「自社技術ではない」と出雲社長に対して異議申し立てをしているのだ。
ユーグレナは、ミドリムシの屋外大量培養設備の具体的な場所を明確にしないが、沖縄県石垣市白保に所在する同社子会社「八重山殖産梶v内にあるものと思われる。同社の決算説明資料などにある写真と、現地取材にて確認した八重山殖産のプール(=左写真)が酷似している。また本誌が石垣市にて八重山殖産社長の志喜屋安正に直撃したところ、ミドリムシが同社内で作られていることを認めた。また、ライブドア事件に関連して八重山殖産を取材した雑誌記者に現在の写真を見せたところ、「当時とほとんど様子は変わっていない」との感想を得た。
ユーグレナは増資で調達した資金のほとんどを約1年間、当初掲げていた事業に使っていなかったことになる。決算説明資料によると、一昨年末に調達した約76億円のうち、26年9月期時点では約6億7千万円が研究開発費や八重山殖産の債務返済に充てられている。残りの巨額資金はどうか、30億円が定期預金に入り、約29億円が有価証券投資(固定資産計上)されている。多くは割引債などの社債と思われ、一部が償還・再投資に充てられるなどしているが、同社は銘柄や会計処理などの具体的な内容について一切公表していない。
( → 東京アウトローズWEB速報版 )
次のツイートもある。
本誌が1月下旬、沖縄・石垣島現地で撮影したユーグレナ子会社「八重山殖産」の屋外大量培養プールの写真。何故か、手前のプールは干上がっていた。 pic.twitter.com/9w6mbIk2s0
— 東京アウトローズ (@tokyo_outlaws) 2015年2月11日
さて。その後はどうなったのか? 次の記事が見つかる。(日付が記していないが、Google の日付によると、2016/08/18。)
《 度重なる設備投資計画の延期 東京大学との「微細藻類の資源化」に関する共同研究は6月末で終了 ? 》
投稿日: 投稿者: outsiders-report
二度あることは三度ある、とはよく言ったものだ。アベノミクスを象徴する人気銘柄ユーグレナ(東証一部:2931)は12日、この夏に着工予定としていたバイオ燃料製造実証プラントの計画を延期し、着工を来年夏、竣工を平成29年冬から30年冬と変更した。計画の延期はこれで三度目である
平成25年11月の開示では、本来は26年10月着手、今年4月には沖縄県石垣市に生産設備が完成していたはずであった。ところが、その計画がなんのIRもなしに1年延期されていた。26年9月期の有報では27年9月着手、28年4月完了、と記されている。
この計画も、27年9月期の有報では設置場所を沖縄県石垣市から神奈川県横浜市に、着手が27年6月、そして竣工が29年12月、とまた延期されている。重要な点は設備の名称にもある。沖縄県に設置予定だったものは〈藻類由来油脂開発・生産設備〉だが、横浜市に予定地が移ってから〈実証プラント〉に変わっている。「実証」とは研究段階で用いられる言葉であり、つまり設備の用途に変更が生じた、ということではないのか。いずれにせよ、設置場所や度重なる計画の延期について、ユーグレナは資金使途変更として詳しく開示すべきである。
ユーグレナは今回の設備投資計画延期と同時に、業績予想の上方修正を出した。修正予想では経常利益が826百万円からちょうど1,000百万円になるというが、あくまで健康食品屋としてのコスト削減が図られただけだ。エネルギー事業の売上は28年9月期の3Q時点で2.3百万円で、3Q期間中は売上がゼロだった。「健康食品屋」としての本質は、昨年から変わっていない。
( → OUTSIDERS report )
同種の新聞報道もある。上の記事を裏付ける報道。
《 ユーグレナ、燃料製造施設の着工1年延期 》
ユーグレナは 12日、藻から作る航空機燃料の製造実証プラントの着工を1年延期すると発表した。当初は今夏に着工して2018年前半の稼働を予定したが、それぞれ1年遅らせる。環境負荷軽減につながる次世代燃料のため、航空機用として必要な検証作業に時間がかかっているため。
( → 日本経済新聞 2016/8/12 )
というわけで、いかにも、いかがわしい。詐欺っぽい。
ついでに、株価を見ると、こうだ。
→ (株)ユーグレナ【2931】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
2013年に上場したあと、急上昇して、やがて急降下している。その後は、(アベノミクス効果・日銀介入効果の流れに乗って)一時的に上昇したこともあったが、基本的には、なだらかに下落傾向にあると言える。口先だけは立派だが、実体が無いことが知られてきたようだ。
ともあれ、今のユーグレナ(株)は、エネルギー産業としては空っぽに近い。技術については、口先で唱えるだけで、コストは既存のジェット燃料の 10倍のまま。とうてい商売にはならないので、自治体などとの共同研究という形で、他人の金をもらって研究を続けているだけだ。
特に、「エコで地域興し」と言うと、自治体が税金をポンポンと投入してくれるらしい。それで、三重県の金を引き出したりするわけだ。
→ ユーグレナ社、中部プラントサービス、三重県、多気町の共同事業
で、エネルギーとしての事業ができないと、配当もできない。それでは困るというので、栄養食品を売っている。
→ さようなら、栄養の偏り。 | 株式会社ユーグレナ
→ ユーグレナ・ファームの緑汁 | ユーグレナ・ファーム
しかし、ミドリムシが栄養食品だというのは、ひどい詐欺だ。このことは、あちこちで話題になっている。
ミドリムシについてサイトも見ましたが有効性を示すソースは全くなく、「有効だとわかっています」と書いています。要約すると「根拠はありませんが効きます。だから金払ってください」。典型的な詐欺サイトですね。59種類の栄養素って、ただの焼き肉にだってそれくらいの栄養素はありますわ(笑)。
健康補助食品は日本にはびこる詐欺だと思っています。そもそも「効果がないから食品扱い」なんですから。
( → ミドリムシのサプリメントが流行っていますが: 知恵袋 )
数値で計算してもわかる。栄養成分表は下記にある。
→ ミドリムシに含まれている成分の真実 | ユーグレナ(ミドリムシ)の効果
こうして見ると、ミドリムシ100gのビタミンの含有量はビタミンCを除けばほぼ必要量を満たしていることが分かります。
なるほど。ミドリムシ100gを食べればいいわけだ。(乾燥重量でこれだけだから、水分を含めば 400gぐらいになる。ずいぶんな量だね。おなかいっぱいになる。)
で、これだけを毎日食べるのかと思ったら、そうではない。1カ月かけて食べるらしい。
1包 3.5g、 31包 で、 3,780円。
( → ユーグレナ・ファームの緑汁 | euglena farm ユーグレナ・ファーム )
1日分の摂取量を 30〜31日もかけて食べる。これでは意味がないでしょう。馬鹿馬鹿しい。
- 【 訂正 】
3.5g とあるので、これがユーグレナの量かと思ったが、実はユーグレナの量は7分の1の 0.5g だけだという。呆れた。
→ 出典( Amazon )
これほどの少量でありながら、1カ月分で 約 4000円 という高価格。高すぎる。松阪牛の 10倍以上だ。(ユーグレナはたったの 15g だけでこの価格。)
これでは誰も買いそうもない。そこで使ったのが、ネズミ講方式というか、マルチ商法というか、フランチャイズ方式というか、素人に代理店をやらせて、高額マージンを与える、という方法。
→ ユーグレナで儲けようという話 | 面倒くさいのキライです
→ ユーグレナコラーゲンという代理店募集
→ 話題の「ユーグレナコラーゲン」を私たちと一緒に販売してみませんか?
高額マージンを与えることで、代理店をいっぱい募集して、彼らに詐欺をやらせて、彼らが素人をだますように仕向ける、というわけ。つまり、詐欺の元締めだ。
これが今のユーグレナの正体だ。
※ 食品詐欺とも言えるし、健康詐欺とも言える。
水素水とか EM菌とか ホメオパシーとかに近い。
ユーグレナのテレビCM
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そこで、本題のバイオ燃料に戻ると、この会社のバイオ燃料について、はっきり「詐欺」と警告するページもある。
《 沖縄バイオ燃料投資詐欺!? バイキングで警告!ミドリムシ、ユーグレナなどからのバイオ燃料投資は詐欺の可能性が高い! 》
5月10日のバイキングで、沖縄バイオ燃料詐欺が取り上げられています。最近はミドリムシ(ユーグレナ)がジェット燃料に使えるとの報道がありますが、それを逆手にとって多くの多くの詐欺が横行しているようです。
バイオ燃料というものは有望とは言われているものの、実用化にはコスト面で大きな問題を抱えているので、それで大きく投資で儲かるというのはかなり現時点では難しいと思います。そのため、このような詐欺の勧誘があったら、一人で決定せずに家族や消費者生活センターなどに相談してからにしましょう。
( → 消費者トラブル注意喚起ブログ )
twitter の孫引きになるが、いくつかのツイートが下記で引用されている。
何をどうしようと藻で作った燃料が実用になることなど永遠に無い。努力とか改良とか大量生産による低コスト化とかそういう問題ではない。「藻から燃料を作れる」という問題は定性的には正しいが定量的には間違っている。この種のものはまとめて「定量詐欺」と呼称した方がいい。
( → ユーグレナの定量詐欺と海から生まれたはずの生命が現在は生まれてなさそうに見える理由 - アイデアの甕 )
というわけで、非常に疑わしいと言える。

2.私見
さて。ここまでの話を読んで、「物足りない」と思った読者が多いだろう。
「ユーグレナという会社が詐欺をしているからといって、そんなことはどうでもいいんじゃないの? 何だって、Openブログがいちいち取り上げるの? いっぱい調べたのは、ご苦労さんだが、調べるだけなら、バカでもできる。Openブログの出番じゃないだろ?」
と思った人が多いだろう。
その通り。実は、以上のすべては、前振りである。本題は、このあとだ。
実は、「ユーグレナが詐欺だ」というのは、上記の情報を見る前に、私が自分で気づいたことだ。その時点では、上記の情報を知らなかった。そこで、本記事を書く前に、あらかじめネットで情報を調べたわけだ。
「自分の意見を書く前に、まずは他人の意見を調べる。ネットで情報を探る」
というのは、基本である。だからこそ、私の意見を書く前に、上記のような情報を記したわけだ。前振りとして。
そこで、いよいよ、本題を書く。
「ミドリムシによるバイオ燃料生産というのを、ユーグレナ(株)は唱える。すばらしいことができます、というふうに。しかしそれは、原理的に不可能である。そのことは、科学的に実証できる」
これが本題だ。
そして、このことは、科学的なアイデアと関係する。それ故に、本項の独自のアイデアが必要となるのだ。
では、いよいよ、以下で説明しよう。
──
核心を示す前に、副次的なものから順に述べる。(計三つ。)
ミドリムシによるバイオ燃料生産というのは、原理的に不可能である。そのことは、次の三つの理由による。
(1) 増加速度
ミドリムシの増加速度は、遅い。「細菌の一種だから急激に増加するだろう」と思ったら、とんでもない。細菌は原核生物だが、ミドリムシは真核生物だ。大きさで 1000倍ぐらいの違いがある。
→ 「原核生物と真核生物の違いって何?」
これほどにも大きさが違うからには、増加の速度も違う。特に、真核生物は、DNA の分裂が必要となるので、その分、時間もかかる。細菌が増えるように急激に増えることはないのだ。人々が思っているよりも、増加の速度はずっと遅いのである。
また、普通の植物に比べても、特に成長速度が速いとは言えない。たとえば、豆苗なら、急激に増殖する(細胞数が急激に増える)が、ミドリムシがこれほどにも細胞数を増やせるかは心許ない。
(2) タンクの必要性
「成長速度が遅いのなら規模を大きくすればいいだろう」
と思うかもしれないが、それが容易ではない。普通の植物なら、屋外で育てることができる。しかし、ミドリムシはそうではない。屋外で育てると、他の生物と混在してしまう。そうなると、他の生物ばかりが増えて、ミドリムシは追いやられてしまいそうだ。
たとえば、霞ヶ浦みたいなところで、場所を区切ってミドリムシを育てようとしても、周囲からアオコがどんどん押し寄せて、やがてはアオコだらけになるので、ミドリムシの生産は不可能だろう。同様のことは、戸外では常に問題となる。
この問題をなくすには、「他の生物が混じらないタンクで生産する」ということしかない。しかし、タンクはコストがかかる。それでも、回転率が高ければ何とかなるが、先に (1) で述べたように、ミドリムシの増加速度は遅い。つまり、回転率は低い。ゆえに、タンクのコストを回収できそうにない。
(3) 分離のコスト
生産したあとで、ミドリムシを水分と分離する必要がある。実は、これが最大の問題だ。
「水分と分離するなんて、フィルターを通すだけだから、簡単だろう」
と思うかもしれないが、そんなに簡単な話ではない。単にフィルターを通すだけでは、フィルターはすぐに目詰まりする。100gぐらいならばどうということはないが、大量に連続生産すると、これは非常に大きな問題となる。特に、水分を取り除くというのは、非常に面倒なのだ。
※ 話が不正確なので、最後の 【 追記 】 で修正する。
実は前に、似た問題を論じたことがある。
→ モモでバイオディーゼル
これは、「廃棄された桃でバイオディーゼルをつくる」というリサイクルである。桃ならば、ミドリムシよりもはるかに糖分が多いので、バイオディーゼルをつくるにはうってつけだ、と思えるだろう。おまけに廃棄された桃ならば、ゴミの処理費をもらえるというオマケまで付く。圧倒的に有利に思える。実際、廃棄モモの果汁45リットルから、(遠心分離機などを使って)約0.3リットルの油分を取り出せるそうだ。ミドリムシよりも、はるかに実現性が近いと言える。
ところが、これは現実には、挫折した。なぜか? 油分を分離するのに、多大なエネルギーがかかるからだ。上記で試算しているが、取り出せる油分に対して、分離するためのエネルギーはその5〜10倍のエネルギーが必要だろう、となる。
ここで、10倍という数字は、先に出てきた。そうだ。ミドリムシが市販の石油に比べて 10倍のコストがかかる、という点だ。この数値と、だいたい共通する。
要するに、ミドリムシであれ、廃棄された桃であれ、そこに油分が存在するとしても、そこから油分を取り出すためには、その油分の5〜10倍の油分を必要とする。1gの石油があるとして、そこから1gの石油を取り出すためには、5〜10gの石油が必要となるのだ。
これでは結局、コスト的に成立しない。
──
「ミドリムシでバイオ燃料」
というとき、人々は
「ミドリムシをタンクで増やす生産方法を改善すれば実現化する」
と思う。しかし、そうではない。そんなことをいくら改善しても、実現化はしない。なぜなら、
「ミドリムシから油分を取り出す」
という精製過程で、ものすごいエネルギーが必要となるからだ。

それは、
「不純なものから純粋なものを取り出す」
ということのエネルギーであり、エントロピー減少のためのエネルギーなのである。
→ リサイクルとエントロピー 【 重要 】
エントロピー減少のためには、エネルギーを要する。熱機関では、カルノーサイクル(理想機関)の熱効率の上限があるように、決して熱効率 100%というものはできない。たとえ状況が理想的であっても、絶対的に生じる無駄(ロス)というものがある。それと同様に、エントロピー減少のためには、多大なエネルギーが必要となる。このためにかかるコストは、どうしようもない。
したがって、原理的に、ミドリムシから油分を取り出すことは不可能なのだ。(取り出す油分よりも、精製のために必要な油分の方が多くなるから。)
これがつまり、「ミドリムシからバイオ燃料を取ることは不可能だ」ということの原理だ。
──
では、バイオ燃料を取ることはあらゆる意味で不可能なのか? いや、そんなことはない。すでにブラジルではバイオ燃料を実用化している。そして、それは、陸上の農産物を使ったからだ。
陸上の農産物を使う場合には、「水分を分離する」ということのコストは少なくて済む。精製のためのコストは比較的少なめだ。だからこそ、ブラジルではバイオ燃料が実用化されている。
バイオ燃料は、ミドリムシでは不可能だとしても、陸上の農産物では可能だ。そして、その理由は、「陸上の農産物は、大量の水とは混じっていない」ということから来る。
( ※ 農産物の生産コストよりは、農産物からバイオ燃料をつくるときの精製コストが低いことが重要だ。生産コストだけで比較しても意味がない。)
──
さて。肝心の話はすでに終えた。
( ※ ミドリムシの生産よりも、ミドリムシから石油を精製することに問題があるということ。)

一方、別の問題がある。こうだ。
「ユーグレナ(株)は、詐欺会社なのか?」
これは、話がかなり錯綜している。
まず、「嘘をついて金を集める(取る)」という点については、形式的には成立している。語っていることは嘘だし、金を集めていることも事実だ。
ただし、それが嘘であることを、本人たちが自覚しているかどうかが問題だ。どうも、見たところ、本人たちはこれが嘘であることを理解していないようだ。あくまで「ミドリムシによるバイオ燃料が可能である」と信じているようだ。
とすれば、そこには「だます」という故意ないし悪意が存在しないことになる。他人をわざとだましているというよりは、自分が虚偽を信じているから、その信じている虚偽を他人にも信じさせてしまっているわけだ。
比喩的に言えば、「キリストの福音」なんてものを信じているキリスト教徒が、キリスト教を他人に信じさせようとするのと同様だ。
ただ、そこまで来ると、これはもはや「宗教」に近くなる。ユーグレナ(株)は、科学的に証明されたことに基づいて金を集めているのではなく、「科学的に可能であるだろう」という夢を、一種の神のごとく信じさせて、金を集めているわけだ。これは一種の「科学教」という宗教に近い。もっと正確に言えば、最近はやりの「エコ教」というものの一種だ。
「エコのために金を出してください。これで世界は救われます」
というエコ教だ。似たものは他にもある。
・ ペットボトルのキャップで、石油回収とワクチン寄付
・ アルミ缶のタブで、車椅子寄付
というやつ。その同類と見なせる。
「ミドリムシを毎日 3g 食べて健康」
なんていうことは、まったくありえない。また、
「ミドリムシをタンクで培養して、バイオ燃料」
なんていうことは、コスト的にまったく成立しない。
( ※ 生産するために必要なエネルギーの方が、生産でできたエネルギーよりも多い。稼働すればするほど、エネルギー[= 石油]が消えてしまう。)
それでも、
・ ミドリムシで健康になる
・ ミドリムシでバイオ燃料ができる
という夢を信じて、大金を払う。
これは、はたから見れば、詐欺師に引っかかった阿呆そのものなのだが、だまされた本人は、あくまで善意で信じている。
→ 投資家だって夢を見たい!ミドリムシの会社人気のワケ
また、だました人々も、たぶん善意で信じているのだろう。とはいえ、だました人々は、「これは錬金術と同様で原理的に不可能だ」ということを、うすうす気づいているはずだ。2005年に研究を開始してから、ほとんど成果が上がっていないからだ。
だが、それでも、彼らはその道を進むのだろう。彼らがめざしているのは、「自分が定年になるまでは、この会社と共に生きる」ということだけなのだろう。
自分の信じているものがただの虚構にすぎないと、うすうす気づいていたとしても、それを認めたくないわけだ。
──
だが、もう一つ、可能性がある。彼らがあまりにも愚かなせいで、その夢を完璧に信じている、ということだ。その可能性は、なくもない。
その例は、別にある。それはほかならぬ、STAP細胞だ。小保方さんは、自分が嘘をついているなどとはまったく思っていないはずだ。自分の見た夢を完全に信じている。ただしその夢は夢であるがゆえに、真実ではない。
一方、はたから見れば、夢を信じている彼女は、嘘をついている悪人にしか見えない。本人はそれが真実だと信じているのだが、はたから見れば「嘘をつこうとして嘘をついている」としか見えない。そのせいで世間は、彼女を「嘘つき」と非難する。
ユーグレナ(株)は、そのどちらなのだろう?
・ 利口なので、それが虚偽だと理解している。
・ 愚かなので、それが虚偽だと理解できない。
いずれにせよ、彼らは虚偽を「真実です」と語る。そのあとは、彼らが利口であるか否かで、詐欺師であるか否かが決まる。
もっとも、東大出の彼らが、バカであるとはとうてい思えないのだが。……ひょっとしたら、本当にバカなのかもしれない。
その場合には、他の大会社や三重県などがだまされたとしても、ある意味では仕方がないのかもしれない。だまされた方は、バカにだまされるほどの大バカだ、ということになるのかもね。(かもね。かもね。)
※ ユーグレナの事例は、 STAP 細胞事件とよく似ている。
本人は真面目に信じるが、虚偽による影響は社会的だ。
──
なお、だまされる人を単純に「バカだ」と嘲笑うべきではあるまい。何かを夢見がちな人ほど、夢を信じやすいのである。それは人間のさがというものだ。
美人を見るだけでも、人は夢を見る。

教訓。 詐欺師は人に、夢を与える。
(そして金をいただく。こっそりと。)
【 追記 】
少し修正しておく。
本文中で「水分と分離」というふうに記したのは、不正確だった。「水分があるとまずい」という趣旨だったが、核心を逸らしていて、真実とは違っていた。
正しくは、以下の通り。
農産物から油分を抽出するとき、圧搾したあとでは、油分を水分と一緒にして、油分と水分の混合した液体を取る。だから、この段階では水分が含まれていることは、問題ない。
問題なのは、その前の段階、つまり、圧搾の段階だ。
ここで、水分がなければ、圧力をかけるだけで、豆などの固体が割れて、細胞壁が崩れて、油分がにじみ出る。
一方、水分があると、水分が細胞壁の全体に均等にかかるから、細胞壁がなかなか壊れない。そのせいで、圧搾しても、油分がなかなかにじみ出てこない。……これが、ミドリムシのような単細胞(しかも軟体)の問題点だ。
したがって、「水分と分離するのが困難だ」というよりは、「水分があるせいで油分を取り出すのが困難だ」というふうに修正する。
※ 話がちょっと細かくなりすぎたが。
ともあれ、ミドリムシによるバイオ燃料は、ミドリムシの培養よりも、ミドリムシから油分を抽出する方法に、難点がある。これを実用的に解決する方法は見つかっていない。(だからコストは市販品の 10倍だ。)
にもかかわらず、「培養さえ実証すればいい」という方針を示して、培養タンクで実証実験をするといって、金を集めているユーグレナ(株)は、ほとんど詐欺同然だと言ってもいいだろう。
自治体や大会社は、だまされて大金を出してもいいが、その金はすべて無駄金になると覚悟した方がいい。戻ってくる金は1円もない。出した金のすべては無駄に消える。
( ※ 正確に言えば、金は、ユーグレナという会社の役員の養分になる。出資した金は、ミドリムシから油分を取り出すためには使われず、会社の役員の養分のために使われる。)
【 関連書籍 】
http://amzn.to/2co45II
三田紀房が、ユーグレナ(株)に引っかかって、「ユーグレナは素晴らしい」と持ち上げている漫画。「ミドリムシで地球を救いたい」という、寅さんや詐欺師もびっくりの口車に、まんまと引っかかって、詐欺の片棒をかつぐようなことをしている。(だまされる人、多数。)
→ 画像 ,画像 ,画像
三田紀房がすっかりだまされている。ちょろい。
[ 余談 ]
ホリエモンも引っかかって、ユーグレナに金を出したそうだ。
→ ユーグレナのミドリムシ誕生の話が素敵すぎて
ただし、ホリエモンは、だまされやすい人だ。
→ ホリエモン vs DaiGo ババ抜き対決(完敗)
→ メンタリストDaiGoがホリエモンとの心理戦を分析
【 後日記 】
ユーグレナのコストは 10倍だ、と記したが、実は 100倍だ、と後日に判明した。(2018年)
コメント欄に記してあるので、そちらを参照。
【 関連項目 】
→ ユーグレナのエネルギー効率: Open ブログ
この件、最後のあたりの 【 追記 】 の箇所に記述しました。
タイムスタンプは 下記 ↓
元々地元の農業活性化の一環で、大なり小なり植物なら抽出できるから、各地の未活用の農林産物を使ってくれと、補助金を出すから研究してくれと頼まれてやってるんやなぁ。
地方活性化のためにといわれると、現実味なさそうとはいえ、工場のある所はなかなか断れんのよなぁ。
日本だと量や輸送コスト、産業廃棄物処理コストがネックなんやなぁ。
植物なら何でも抽出できるといってもほんの少ししか抽出できないので、大規模に育ててるとこなんてあまりないからまず量の確保の問題があって、その問題をクリアしても、へき地だったり、飛び飛びだったりで、工場に持ってくるまでの輸送コストがかさんで、さらに抽出後の大量のごみは産業廃棄物として処理費用が掛かる。
タンカーで大量に運ばれてくる石油相手だと、今の日本の状況じゃ、価格でお話にならんのやなぁ。
さらに、日本の法律でガソリンなどへの混ぜ物比率が低く抑えられてるのもまたネックなんやなぁ。大体ガソリンなんかに混ぜて使うんだけど、法律で規制されてるから、販売量が伸びないん。
そんなバイオ燃料で上場してる会社があるとは驚いたなぁ。経営者は知らないが、研究者はとっくに知ってるやろなぁ。てか、多分研究者はこの会社におらんやろな。外部に製造委託受けてる会社がありそうな気がする。まあ、勘やからはずれてるかもしれんけど。
ある薬品を入れるとミドリムシから油が出てくる。
油は軽いので浮いてくるから油の層の部分だけを簡単に取り出す事が出来ます!
現在の技術で100メートルの正方形のプールで年間60トンの燃料が作れるそうです。
確かに圧搾法よりも効率はいいのですが、問題はそこではなく、すでに9月23日にかーくん氏が述べた内容です。それを覆すネタではなさそうですね。
・大なり小なり植物なら抽出できる」
・産業廃棄物(搾りかす)
・輸送コスト
技術的にも、もともと少ない油を抽出するのは大変そうだ。水分ばっかり出そうだし。
※ 詳しいことは私は知りません。推測するだけ。
自治体に手を出させたらまずいのでは?自分の金と公金の区別が危ういため、コスト意識が低いでしょうから。築地と豊洲の例が典型です。
> ....
ちょっと。日本語力がおかしいですよ。ちゃんと理解してください。
これは、「そうしても問題ない」という意味ではありません。「やりたきゃ勝手にやれ。私は文句は言わない」ということです。
「死にたければ死んでもいいよ」という発言と同じ。「私の知ったこっちゃない」という意味。客観的な善悪とは違う。
正確に言うと、「してもいい」は、「していい」とは異なる。
>「やりたきゃ勝手にやれ。私は文句は言わない」
ということですか?いちいち批判していたら”キリがない”ことは理解していますが。
さらに、
@水中からミドリムシの油分だけを抽出するコスト
A屋外では藻などを混入させないようにするのが難しい
この二点もあるので採算化は絶対無理です。
バイオ燃料では藻やミドリムシが流行ってますが、パームの木が一番有望だと思ってます。土に実を植えとけば、勝手に育つのでコスパが良いです。
土で育つのと水中で育つ植物では、初期コストと管理コストが全然違いますから。
不思議な事に9割以上の人はこの事に気づけないで、ミドリムシは素晴らしい夢の燃料となる。
Googleで「ユーグレナ 韓国」といれても検索候補に出ない=消している可能性が高い
そして、まるで湖が干上がったかのように全くCMをしなくなったのに合わせて、取り上げる番組もなくなっている
普通ならCMが打てなくなるほど業績が急に悪化したらどこかのテレビ局が注目してもおかしくないのだが…。
以下、転載。
──
《 ユーグレナ、航空機燃料の実証工場着工 》
ミドリムシを使った製品を手掛けるユーグレナは1日、航空機燃料の実証工場の起工式を開いた。航空機向けのバイオ燃料では国内初の工場となる。2020年の東京五輪・パラリンピックまでにミドリムシ由来の燃料を飛行機に搭載し、商業飛行の実現を目指す。
18年10月末に完成し、19年中にフル稼働させる予定だ。
課題はコストだ。実証事業で生産できる燃料のコストは1リットル1000円以上で、石油由来燃料の10倍超。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ01HEO_R00C17A6000000/
昨年末に、こちらも本気でどうなのか?と感じていた熊本県山鹿市の”あつまるシルク”の「2017 新シルク蚕業サミット in やまが」に、株式会社ユーグレナ取締役の鈴木氏が参加されていたことによって、益々怪しさを感じてしまいました。
”あつまるシルク”の事業の方も、今後も補助金や助成金が多く活用される恐れのある構想と思っていましたので、この関連性に何かを感じざるをえません。
http://silk-on-valley-yamaga.jp/news/press/post18.html
その根拠「抽出=エントロピー減少=エネルギーを使う」
ではどれだけのエネルギーを使うか→桃の事例で試算
こういうことでよろしいでしょうか?
でもこれだと「桃の事例(研究段階)では、消費するエネルギーが生産するエネルギーを上回った」ことしか言えてないと思いますよ。。
そもそも科学的に否定できる、ってなんでしょうね。そこの浅いカロリーの計算結果が科学の全てなら、Microalgae for biofuel production に関わる全ての論文は無価値ということになってしまいます。一度Google scholarでお調べになってみては。
ユーグレナなどの微細藻類からバイオ燃料を生産し、価格面で化石燃料と同程度にもっていく課題は油の抽出だけではありませんので以下の文献をご覧になるとよいと思います。
M. Hannon et al., “Biofuels from algae: challenges and potential” Biofuels 1, 763(2010).
あと「2016年12月18日のコメントby京都の人」へ
・大なり小なり植物なら抽出できる」
・産業廃棄物(搾りかす)
・輸送コスト
というのはどういう意図でしょうか。産業廃棄物や輸送コストがかかるのは農作物からバイオ燃料を生産するときの話ですよね?(かーくんさんのコメントによれば)
ユーグレナなら原料の輸送コストはなく、それが利点の一つだと思います。
ユーグレナの産業廃棄物が石油等と比べてどれだけ多くなるかは知りませんけどね。
ちゃんと読みましょう。 A < B ではなくて A << B を示しています。5〜10倍もの差がある、というふうに。
現時点でも、ユーグレナのコストは石油系に比べて数倍ものコストがかかっていると推定されています。何十年もかかって、そうです。なのに、それを(今後の短期間で)一挙に詰めることはできない、というのが本項の趣旨。
> 価格面で化石燃料と同程度にもっていく課題は油の抽出だけではありません
そんなことは関係ない。油の抽出だけで数倍ものコスト差があるから、とうてい実用化は不可能だ、というのが本項の趣旨。つまり、経済面。
あなたはどうも、本項の趣旨をまったく理解できないまま、自己流の方向で勝手に反論しているだけ。勝手読み。あるいは、藁人形論法。
まずは人の話をよく理解しましょう。揚げ足取りばかりを考えていると、相手が何を言っているのか理解できないままです。
以前の話では、
「コストは市場価格の 10倍だが、2018年または 2020年までにコストを 10分の1にして、市場価格にまで引き下げる」
というものだった。
ところが、今日判明した報道では、こうだ。
「コストは市場価格の 100倍であり、市場価格にまで下げるのにはあと7年かかる(2025年になる)」
→ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181102/k10011696131000.html
どうせ実現できないから、時期を先延ばしするだろう……というのは予想通りだったが、生産価格が市場コストの 10倍でなく 100倍だというのには、呆れるしかない。口あんぐり。
よくもまあ、これまで、それほどにも嘘をついてだましていたものだ。
しかも、この嘘をついて、国から補助金をもらっていた。
→ http://www.euglena.jp/news/n20160901/
ひどいものだ。液浸コンピュータの補助金詐欺に似ているな。
──
ユーグレナ社は、2015 年12 月に2020 年までのジェット燃料実用化目標を公表した。しかし1 年も経たない2016 年8 月に、僅か125 キロリットルの実証設備の稼働が2019年前半以降になる旨の計画遅延を公表する等、目標達成は物理的にほぼ絶望的である。
米国における藻類産業のリーダー的存在であったTerraVia 社は、原油価格と比較して藻類由来バイオ燃料はコスト競争力がないとして、主力事業をバイオ燃料から「高付加価値な」食品や健康用品に変更している。原油価格の下落と軌を一にして、TerraVia 社の株価は公開当初比で20 分の1 程度にまで下落しており、これはユーグレナ社の株価がどのような将来を迎えるかを暗示しているといえよう。
http://www.wellinvestmentsresearch.com/?media_dl=434
──
ユーグレナ社は、この大型提携を前提にまずは2019年夏に車両向けのバイオディーゼル燃料の供給を開始。さらに2020年に自社の実証プラントで製造するバイオジェット燃料を用いた有償フライトを目指す。
そしてその先の2025年には、バイオジェット燃料で年間総生産量25万トン/年・1リットルあたりの精製単価100円台の実現を達成(国内のジェット燃料のマーケット規模は83万トン/年)し、同事業の本格稼働へとその照準を見据えている。
http://j.mp/2VMS0nJ
──
2019年には年産 125kL (0.1トン)だけで、いまだに未稼働。
なのに、6年後にはその 250倍の 25トンも生産するという。
しかし、その途中段階が抜けている。コストも一挙に 100分の1に下げようとしているが、その技術的な見通しも立っていない。(単に「大量生産すればコストも下がる」と思っているようだ。能天気。)
要するに、厳しい現実と、甘い夢想があって、その中間を結ぶ経路や中間段階がまったく欠落している。これではただの「夢」「妄想」としか言えないだろう。
とはいえ、「夢」「妄想」というのは、詐欺には不可欠だ。実現性のある話が皆無で、「夢」「妄想」だけを述べているということからして、ユーグレナの方針という会社の本質が何であるかは、明らかだろう。
この会社は、ミドリムシを売って金を稼いでいるのではない。「夢」「妄想」を見せて、金を集めているのである。
胡散臭いので調べたところ、こちらのブログを拝読しました。
戦前、山本五十六などの超エリートたちが町の自称化学者に騙された「水ガソリン詐欺」と同じです。
石炭油化が成功しない。対米開戦もあり得る。なんとしても石油が欲しい。
水からガソリンを作ることが出来る、という男が現れます。当然、海軍燃料廠は化学者の集団ですから理屈で反対しますが山本五十六などは実験を許可します。更に赤坂のおみき婆さんの霊言で富士山麓に油井まで掘る。
追い詰められると藁にもすがる、ということです。
http://chaos.tokuyama-u.ac.jp/souken/mizu.pdf
環境をよくしたい、人の良心や願望につけこむ。同じです。クリーンだエコだと言われたら深く掘り下げないで信じてしまいます。で、助成金・補助金の垂れ流しです。
開発者のディーゼル自身が落花生の油など植物油を使いました。バイオ燃料です。しかし気候に左右されるし確保が難しい。
同時期、石油掘削が始まり灯油以外の油は棄てていました。植物油の代わりに使えないか?
ゴミが動力源に使える。廃油ですからタダ同然です。かくして爆発的に普及しました。
世界規模で商業化された初のリサイクルです。
石油は連産品ですから、精油過程で一定の割合でガソリンと軽油が出来ます。
軽油20%、ガソリン25%です。合計約45%です。
プラ樹脂・化繊・タイヤの原料になるナフサは約10%です。
EVや燃料電池車に置き換える。内燃機関の否定です。
一方でナフサやジェット燃料は欲しい。アスファルトも欲しい。
しかし石油を精油すればその割合で出来てしまう大量の軽油とガソリンはどう処理するのか?
EVなどを推進する専門家は連産品の問題を語ろうとはしません。
ガソリンからプラ樹脂が出来たとしても、それは結局ゴミになります。
「成長の限界は資源の枯渇より廃物の捨場の枯渇できまると思う」と指摘したのは経済学者のガルブレイスです。1975年のことでした。
調べたら、その記事は下記。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45582730R00C19A6000000/
https://blogos.com/article/387846/
ユーグレナに対する本サイトの見解は、本項のほか、次の二つ。
http://openblog.seesaa.net/article/465137566.html
http://openblog.seesaa.net/article/466886845.html
この胡散臭い会社、どこまで政府系に食い込んでいるのか、誰も詐欺会社とは思っていないのか?
と思い検索したところ、このブログを見つけた次第。よく分析されています、敬服します。