2016年09月12日

◆ 豊洲市場の真の汚染

 豊洲市場の汚染問題は、盛り土に着目されている。だが、真の汚染は、もっと圧倒的に怖いところにある。古い鋼管だ。

 ──

 豊洲市場の汚染問題は、盛り土に着目されている。だが、真の汚染は、もっと別のところにある。

 そもそも、前項の話を思い出そう。専門家会議が解散したことだ。再掲しよう。
 何が問題か? 
 それは、専門家会議が解散させられてしまった、ということだ。そもそも、工事の前に専門家会議があるのはともかくとして、工事の最中に専門家会議がなくなるというのは、道理が通らない。なのに、どういうわけか、解散させられてしまった。

 この理由について、前項では政治的背景を示唆したが、実は、もっと重大な理由があることに気づいた。

 実は、専門家会議が解散したのは、政治的な圧力があったからではない。会議の委員が自分たちで自発的に辞めてしまったのだ。なぜ? 東京都の方針と対立して、大喧嘩したからだ。
 「専門家会議で土壌汚染の専門家だった平田健正座長も、最後は東京都に怒って辞めていった。以来、土壌汚染の専門家は皆、都の主張に疑問を抱いて従わない。
( → 土壌汚染の専門家が「怒って辞めていく」、東京都の築地市場移転問題の深刻さ(池上正樹)

 専門家が怒って辞めるほどの無理難題を、東京都は押しつけたらしい。では、それは何か? 次のページに情報がある。
 《 豊洲新市場予定地の全体に埋設された杭は18000本 》
 毎日新聞東京面と(2/16(火)の朝刊)と日刊ゲンダイ(同日夕刊)に、豊洲新市場予定地の全域の杭の本数は18000本にのぼるという記事が掲載されました。
 もともと3つある街区のうち一つだけでも6000本が発見されたのですが、つまりは全域にわたって、軟弱地盤の上に汚染を巻き込んで剣山のような杭が密に穿たれていたことになります。
 嘘と隠蔽は屋上屋を架す状態、知らされていなかった東京都の任命した専門家会議の先生お怒り。
( → Like a rolling bean (new) 出来事録

 ここに引用されている毎日新聞の記事を孫引きしよう。
  都の土壌汚染対策を取りまとめた専門家会議には報告されておらず、同会議のメンバーは「杭があっても対策に変更が生じることはないが、杭が腐って空洞化した場合、汚染の通り道になる可能性はゼロではない」と指摘している。
( → 同上 )

 ここには、こう書いてある。
 「杭が腐って空洞化した場合、汚染の通り道になる可能性はゼロではない」

 これが重要だ。この意味は何か? 私が解説すれば、こうだ。
 「古い鋼管がたくさんある。何千か何万もある。これらは今のところは、あまり問題ないようだ。しかし、何十年もたてば、そのうちのいくつかは、腐って(錆びて)、汚染水の通り道となるだろう。特に、かつては浅い地層にあった汚染水が、鋼管を通じて、深い地層に貯まっているかもしれない。その汚染水が、時間を経て、古い鋼管を通じて、浅い地層ににまで上昇するかもしれない」


 以上をまとめて言えば、こうだ。
 「何十年もたてば、深いところに貯まった汚染水が、地表近くまで上昇するかもしれない。その可能性を否定できない」


 というわけで、豊洲市場は、現段階では安全だとしても、何十年かあとでは、汚染水で危険になる恐れがある。
 いや、今でさえ、いくらかは危険が迫っているのかもしれない。理論的には十分に処理したはずなのだが、その理論的な処理から漏れている箇所が、無数にある。そこでは、砕石や膜によるシールドも有効ではない。鋼管は貫いているからだ。

 結局、豊洲新市場の汚染の危険は、「盛り土がないこと」(地下室になっていること)にあるのではなく、「古い鋼管が埋もれていること」にある。
 危険視するべき場所を、間違えてはいけない。
 また、危険は、今すぐそこにあるというよりは、将来になって顕在化するものだ。したがって、大切なのは、「今はそこに入らないこと」ではなくて、「将来はさっさと逃げ出すこと」なのだ。
 なすべきことを、間違えてはいけない。



 [ 付記1 ]
 「将来はさっさと逃げ出すこと」については、前項の 5 番で説明した。「将来は有明に移転しろ」と。

 [ 付記2 ]
 「将来でなくて今すぐ逃げ出すべきでは?」
 と思う人もいそうだが、あわてる必要はない。
 そもそも、豊洲の現状や将来に危険性があるといっても、人が住めなくなるほどの危険性があるわけではない。あくまで「食べ物を扱うところだから、念のため」というだけのことだ。
 現状の豊洲だって、盛り土があろうがなかろうが、汚染物質があろうがなかろうが、そこで人が過ごす(路上を歩くとか)だけならば、別に、どうってことはない。少しぐらいベンゼンが地表にしみ出たって、それは風によって拡散されるから、人体への影響はまったくない。どちらかと言えば、人間の吐き出す炭酸ガスの方が、ずっと影響がある。(それさえ微々たる影響だが。)
 本項で言う「真の汚染」も、ただちに重大な悪影響があるわけではない。というわけで、汚染はあるにしても、あまり大騒ぎするほどのことではないのだ。



 [ 余談 ]
 小池都知事の「盛り土騒動」は、ただの空騒ぎだったが、最終的に本項の点に到達できたなら、結果的には「良かった」と評価できる。彼女の声望を高めることにもなるだろう。
 一方、本項の点に到達できなかったなら、「ただの空騒ぎをしただけ」と評価され、歴史的にはトランプ候補みたいなピエロ扱いになりそうだ。
 どちらになるかは、今後の彼女しだい。
posted by 管理人 at 23:56| Comment(13) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後のあたりに [ 余談 ] を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2016年09月13日 01:45
鋼管の腐食崩壊で井戸の様になるものでしょうか?中が空洞なら既に井戸です。そうでなければ腐食(酸化)でボロボロになろうがなかろうが関係ない様な気がします。
Posted by 京都の人 at 2016年09月13日 06:41
杭=鋼管みたいに書いてるけど、鋼管杭は約500本程度ですよね。残りはほぼコンクリ製です。
もちろん杭というものは最初から空洞な訳はありません。

もちろんこういうことも考慮しての盛り土だったんですが、それを地下水が漏れるほどのコンクリに変えた事実は何故か「騒ぐな」。(コンクリというものは薄かったら厚く塗ればいいというものではなく、鉄筋の有無、一体的な施工が大事)
青果部についてはそのコンクリ地下室さえなかった事実はどう説明するんですか?

結局、昔記事になってたソースを拾ってきて薄い知識で喚いてるだけの管理人さん。
批判してた騒ぐだけの人と何も変わらない。
Posted by Dem at 2016年09月13日 07:22
> を地下水が漏れるほどのコンクリに変えた事実は何故か「騒ぐな」。

それはあなたの捏造。私はこの件については批判しています。
私が「騒ぐな」と言ったのは盛り土の件。
あなたは批判対象を混同している。文章を読むことすらできず、単に捏造しているだけ。

※ 薄さの件は、「騒ぐな」ではなく、「騒ぐほどの問題ではない」と記した。騒ぐよりも、粛々と対処せよ、ということ。「対処しなくていい」という意味ではない。勝手に誤読しないように。

※ 「厚く塗ればいい」というのも、あなたの捏造。私はそんなことは書いていない。どういう施工で厚くするかは現場しだい。まして、「薄いままでいい」とは書いてないし、その逆のことを書いている。あなたの批判対象は、すべてあなたの妄想。藁人形論法。ひどいものだ。こんなことでまともな論議ができるのか? 

※ そもそもあなたは、「盛り土の件で大騒ぎするべきだ」という論拠を、一切示していない。自説を示さず、単に他人の揚げ足取りをしているだけ。つまり、建設的な態度がなく、破壊的な態度があるだけ。……建設の話題なのに、非建設的な議論をするだけ。何やっているんだか。ただのテロリストか。
Posted by 管理人 at 2016年09月13日 07:55
あら、テロリスト呼ばわりですか。
〉粛々と対処せよ、どう厚くするかは現場しだい。。
何様ですか。。笑

読解力が無さそうなのでもう一度言うと、盛り土をやめて薄いコンクリにした現段階では、今さら厚くしても一体感も無いし今のコンクリに鉄筋等も足りてないんじゃやり直しに果てしないお金と時間がかかる。
という事です。
従って「小さい問題」ではない。

鋼管杭の数、青果棟の地下についての説明はありませんが?


私の意見としては、そもそも移転できる財力がある築地の仲卸しさんは少数だし、市場自体の将来性があまり無いと思います。
豊洲にかけたお金は無駄になりますが、今から安全対策をして更にかかる金額を考えれば、仲卸しの統合、規模を縮小して今の場所の半分ほどに新しい建物を建てたほうがよいのではないでしょうか?

安全面、イメージ、交通の便利さのためにある程度の犠牲(豊洲にかけた税金)は仕方ないのでは。
騒ぎすぎ、といってこのまま豊洲に移転するのが最善だとはとても思えません。
Posted by Dem at 2016年09月13日 13:41
> 今さら厚くしても一体感も無いし今のコンクリに鉄筋等も足りてない

別に構造材にする必要はなく、地下水の漏れを防ぐだけなんだから、たいしたことではない。
そもそも、たとえ地下水が室内に漏れたとしても、ポンプで吸い上げて捨てればいいだけだ。肝心の(市場への)防護は、地下室の天井にある厚さ35センチのコンクリート壁で防護しているんだから、それで問題ない。読売の記事にそう書いてある。

> やり直しに果てしないお金と時間がかかる。

やらないことで浮かせたお金をかけるぐらいで済むから、差し引きすればトントンぐらいだろう。
別に、そこに人間が住むわけじゃないから、ただの断水処理だけで十分。
この手のコンクリを張るのは、安藤忠雄さんが得意なんじゃないの?  (^^);
Posted by 管理人 at 2016年09月13日 19:16
有明はオリンピック再開発で移転出来ないと思います。
http://matome.naver.jp/odai/2137852119953202301?&page=1
Posted by としま at 2016年09月13日 20:10
オリンピックは2020年8月で終わりです。そのあとは、あいています。
Posted by 管理人 at 2016年09月13日 20:20
パラリンピック選手団「………」

それはさておくとしても、有明移転説は一考の価値ありだとは思います。
そもそもが2020五輪の計画案が不可解なんですよねぇ……
個人的には2016東京五輪招致計画案を手直ししてた方が良かったと思うのですが。
Posted by   at 2016年09月14日 09:20
とても参考になるブログでありがとうございます。

まあ、もともとの問題は移転先にガス会社の跡地を選んだことで、すべてはその間違った選択をしたことです。

今の盛り土騒動は小さな正義を振り回すことが大好きな日本人の国民性ですね。

小さな正義は問題にするが大きな正義には気付かない。

小保方さんの騒動の時もそうでした。

みんな小さな正義を問題にすることが本当に好きですよね。それで随分と無駄なことをしているのに騒いでいる人たちは鬼の首を取ったような気持ちになるのかものすごく騒ぎます。

私なんかこういう日本人の国民性に絶望に近い感情を持っています。

一度こういう人たちに量子力学や量子論を議論させたら面白いでしょうね。きっといま騒いでいる人たちは量子論は間違っていると言い出すでしょうね。


Posted by ツルツル at 2016年09月15日 04:41
>土壌汚染の専門家が「怒って辞めていく」、東京都の築地市場移転問題の深刻さ

3つも裁判が進行中なんですね。いつになるかは分かりませんが、裁判になっているならどのような形であれ決着が付くと思うので、期待したいところですね。
ただ原告には厳しそうな印象でもありますね。 http://bit.ly/2cWvNC2 でも関連してコメントいたしましたけどね。


18,000本については http://bit.ly/2cGjasZ に杭などの地下埋設物の撤去費用の話が出ていますね。費用額が出ているので、もしかしたら撤去ずみなのかもしれませんね。
これについては管理人さんの方でも確認していただけるとありがたいですね。残っているのか撤去されているのか、いまのところ分かる資料が見つからないですのでね。

この議事録からほかには東京ガスには瑕疵担保責任もあるようですね。 http://bit.ly/2cWvNC2 では新設税などが書かれていましたが、東京ガスに瑕疵があるならばそれで請求できるように読めますね。

ただ、これに関わる公文書は非開示のようですので、裁判の結果を待ちたいところですね。 http://bit.ly/2cvi8hF


杭が残っていた場合については瑕疵担保責任という手がありそうですね。実際のところは工事できるかわかりませんけれどもね。追加で行う土壌汚染対策工事の費用としてならどうでしょうかね。

またいくつかコメントされているように、わたしも残っていたとしてもほとんど害がないだろうなという印象ですね。いったん掘ってから2mほど埋め戻していますので、旧杭の杭頭は破砕層より下と想像されますね。旧杭の中が空洞として、そこから水が吹き上がるとしても、砕石層より下ですので砕石層まであがってもそこで横に広がり、地表まで吹き上がるとはあまり思えませんね。
Posted by もつ(仮) at 2016年09月15日 14:33
環境基準値の100倍のベンゼンは配管由来ですか、土壌汚染由来ですか。
40年ではなく開業から直ぐにってのは予定外だったのか予定のうちだったんでしょうかね。
Posted by 通りすがり at 2017年03月18日 09:51
大変勉強になりました。ありがとうございました。

特に豊洲の盛り土の構造の問題は難しいです。
Posted by newser at 2017年06月06日 03:45
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