2016年09月01日

◆ 川沿いの危険地は居住制限せよ

 前々項 の続き。 川沿いの危険地域は、台風のときの洪水被害が予想されるので、居住制限をした方がいい。

 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2016-09-04 です。)



 前々項の最後では、次のように結論した。
 「川のそば」という危険地域に、介護施設を設置するのを許すべきではないのだ。
 むしろ、こんな危険地域には「居住禁止」「建築禁止」に準じた規制をかぶせるべきだ。一般住居はともかく、介護施設などを認めるべきではない。(公的資金を出すべきではない。)
 こんな危険な地域(川のすぐそば)ではなくとも、もっと下流には安全な場所がいくらでもある。
 とにかく、元の施設から 10km も離れていないところに、安全な場所はいくらでもあるのだ。(そのほとんどは田畑だ。)だから、そういう安全なところに立地すればいい。
 何も、よりによって、わざわざ危険な山間の川沿いに立地する必要はなのだ。こんなところに介護施設を設置するなんて、自殺行為だ。いや、他殺行為だ。馬鹿げている。さっさと禁止するべし。

 この話を受け継いで、さらに話を発展させたい。

 ──

 (1) 必要性

 今回の死者数は十数人なので、それほど被害規模は大きくない。だから大騒ぎしなくてもいい、と思う人も多そうだ。しかしそれは認識が甘い。
 前々項でも述べたように、今回の被害は(台風の規模の割には)小規模だったのだ。その理由は、台風が人家のない海上や沿岸部を通ったからだ。
 一方、普通のコースならば、内陸部を通る。その場合、内陸部では多大な雨が降ったあとで、その雨が狭い河川に集中して、大量の洪水を引き起こす。
 たとえば、岩手県は、平地の面積がごく小さくて、大部分は山林である。



 特に、中央の盆地の地域を除くと、ほとんどは山林である。残りのわずかな地域が、川沿いと海沿いだ。
 こういう状況で、内陸部に豪雨が降れば、河川にはとんでもない水量が集中するのは目に見えている。(今回はそうならなかったので幸運だったが。)
 それでも現実の被害を受けないとわからない人のために、過去の事例を示そう。同様にあるのが、四国だ。そのうち、徳島県の例を示そう。





 岩手と同様に山林だらけだとわかる。川沿いの地域はごくわずかだ。そして、こういうところに台風が押し寄せたら、どうなるか? もちろん、洪水状態となる。過去にその例があった。徳島県那賀町だ。(ここは山間の川沿い地域)
  → 2015/7/17 台風11号四国縦断、県内正午50世帯65人避難
  → 2014年 8月10日 台風11号被害
  → 2013年台風第18号の被害(PDF)
 この地域では毎年のように被害が生じているとわかる。



 ともあれ、山間の川沿いの地域は、少ない平地に大量の水量が押し寄せるがゆえに、台風が来ればあっさり洪水となるのだ。こういう危険性を十分に理解しておくべきだ。
 特に、台風のよく来る徳島県あたりならともかく、岩手県みたいな東北地方では、大型台風が来ることはあまりないので、対策も経験も不足する。いざ大型台風が来たら、多大な死者が出そうだ。
 今回はたまたま、台風は直撃コースをうまく逸れてくれたが、次もそうなるという保証はない。今度こそ、大量の死者が出そうだ。だから、そうなる前に、あらかじめ対処しておくべきなのだ。
 「これまでは大丈夫だったから、今後も大丈夫だろう」
 という経験則に従うと、とんでもない被害を受ける、ということは、今回の被災地から教訓として得たはずだ。過去の経験は役に立たない。地球温暖化にともなって東北地方にも大型台風は来る。そのときに備えてることが必要なのだ。(東北地方だけじゃない。)

 (2) 地域

 居住制限をするとして、どこが対象となるか? 換言すれば、居住制限の対象とならないのは、どの地域か?
 地図を見ればわかるが、川沿いの地域の内陸側には、田畑のある平地がかなりある。こういうところに移住するのがお薦めだ。
 岩泉の例で言えば、こうだ。(例の被害に遭った介護施設の周辺。)



 この地図をスクロールして、北側を見るとわかるが、北側には平地(田畑)がいっぱいあるとわかる。ストリートビューで見ると、こうだ。





 というわけで、平地はいくらでもある。(前に述べた「平地は少ない」ということに矛盾するようだが、矛盾ではない。割合はごく小さいが、絶対量は多大なのだ。それというのも、人口が極端に低いからだ。人がいなければ、土地はたっぷりと余る。特に、田畑となっている土地が。)

 だから、もともと人の少ないド田舎では、あえて川沿いの危険な土地に住む必要はさらさらないのだ。だからこそ、居住制限の必要がある。
( ※ なのになぜ、川沿いに住む人がいるかというと、危険であるがゆえに、土地が格安だからだ。自分で住むのはまっぴらごめんだという人が多いだろうが、他人を居住させる介護施設には最適だと思う人が多いはずだ。「どうせ死ぬのは自分じゃない。ただの介護老人だ。だったら危険な土地に他人を居住させて、ボロ儲けしよう」と思う経営者は多いはずだ。PCデポと同様の経営者。……この件は、前々項の 【 追記 】 で述べた通り。)

 ともあれ、川から離れた内陸部なら、安全だと言える。
 逆に、危険なのは、川沿いだ。特に、川から 30メートル以内の地域は危険だ。洪水の水位が高くなるだろうし、また、家が直接、どんぶらこどんぶらこ、と流される危険もある。
 ひるがえって、川から 30メートル以上離れている地域や、住宅密集地ならば、相対的には安全だと言える。特に、住宅密集地で、まわりを家に囲まれていれば、水の勢いが弱まるので、家を流される危険は減る。(川のそばの家が犠牲になるが、住宅地の中心部の家は守られる。他人を犠牲にして、自分は助かる。)

 (3) 対象と例外

 危険地域を指定したとして、実際に居住制限がかかるのは、どの家か?
 個人の住む自宅を「居住禁止」にして追い出すのは、さすがにまずい。この点は、あくまで自己責任でいいだろう。危険とわかっていて住みたければ、その自由はある。愚行権の行使だ。自殺する権利とも言える。
 一方、自分でなく他人を危険にさらす行為は、禁止するべきだ。特に、介護施設や病院や幼稚園などは禁止するべきだ。特に、このような施設に対して補助金を出さないようにしたい。今回の介護施設の例で言えば、「公的な補助金は一切なし」というふうにする。国民の利用も禁止だ。(利用したければ利用者の全額自己負担となる。そうなれば、誰も来ない。)
 中間的な物件として、民間アパートや貸家もある。これらも「居住禁止」にするのが好ましい。ただし、制限がかかるのは1階部分だけだ。1階部分は居住禁止となるが、店舗などで商業利用するのは禁止しない。(どうせすぐに逃げられるからだ。ただし、2階があることが必要。平屋は禁止。)
 どうして2階が必要かというと、次の動画を見るとわかる。





 これの 0:58 のあたりを見るとわかるように、洪水の水が1階の天井付近まで来る。この人は、2階に逃げたから、助かった。一方、岩泉の介護施設では、同様の状況になったとき、2階がなかったので、水に溺れて死んでしまったそうだ。
 《 ドア破り一気に水 天井近く2メートルまで 》
 9室ある各自の居室ベッドの上に入所者を誘導した。浸水はみるみる進み、部屋から出てきた男性入所者を高さ約45センチの小上がりに誘導した。その後、大きい音がして正面玄関に濁流が押し寄せ、ドアが壊れて大量の水が入ってきた。
 その間も水位は上昇を続け、約2メートルに達した。小上がりに立ちながら、片手で男性を抱きかかえ、顔の近くまで水が増えてきたため、もう片方の手で男性のあごを上げて呼吸ができるようにした。だが男性は衰弱し、息絶えた。
( → 9人死亡の高齢者施設、職員証言:朝日新聞 2016-09-04

 2階があるか否かで、生死が決まる。だからこそ、2階のない建物は居住禁止にするべきなのだ。



 【 関連サイト 】

 本項では居住制限を提案したが、現状の危険度認識はどうか? 洪水の多発地域の徳島県で状況を見よう。
  → 山地災害防災マップ - 徳島県

 さすがに災害多発の件だけあって、「山地災害防災マップ」というものがある。これは他の県ではなかなか見られないもので、災害防止対策は高いと評価できる。
 しかしながら、それであっても、危険地域の対象は限られる。
  ・ 山腹崩壊危険地区
  ・ 崩壊土砂流出危険地区
  ・ 地すべり危険地区

 という三つがあるだけだ。「川沿いの地域」というのは、指定対象外だ。まったく考慮されていない。
 状況はこれほどにもお寒い。現状では。
 
posted by 管理人 at 22:00 | Comment(1) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 特養が民間事業者に比べ、税金の補助1/4で建物立てているのに介護報酬が高い現状があります。 また、土地に関しては理事長の寄付で運用が普通なので、土建関係、不動産関係が社会福祉法人設立しようとしたなら安い土地が条件になります。土石流危険地帯、河川の堤防下は目的にかなう場所になりますね。「公的な補助金は一切なし」にすれば更に拍車がかかりますね。
 やはり、行政からの建設禁止以外になしですか。
Posted by 35年前現役 at 2016年09月06日 00:51
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