──
保育所不足が問題になっている。保育所はどんどん増えているのだが、それを上回るペースで申込者が増えているので、待機児童数は減るどころか増えているのだ。
《 厳しい「待機児童ゼロ」 2年連続増加 》
認可保育施設に入れない待機児童の数が減らない。厚生労働省が2日に公表した4月1日時点の数は2万3553人で、2年連続の増加。初めて同時公表した「隠れ待機児童」も含めると9万人規模になる。2015年度中に認可保育施設の定員は 10万人分以上増えたが、安倍政権が掲げる 17年度末までの「待機児童ゼロ」の達成は厳しい。
( → 朝日新聞 2016-09-03 )
《 待機児童 全国で2万3500人余 2年連続増加 》
保育所などの全体の定員は、整備が進んだことで272万人余りと、ことし4月までの1年間におよそ9万5000人分増えましたが、共働きの世帯などの増加で入所を申し込む子どもも、およそ8万7000人増えました。
( → NHKニュース )
《 待機児童、2年連続増 「ゼロ」目標かすむ 》
保育の受け皿は前年比9万5千人増え、約272万人となった。一方、保育所への申込者は前年比8万7千人増え約256万人だった。保育の受け皿は申込者を上回るペースで増えたが、需要が多い大都市圏で整備が遅れる「ミスマッチ」から待機児童が増えた。
( → 日本経済新聞 )
これはいわば、ゴールに近づくにつれ、ゴールがどんどん離れていってしまうので、ゴールとの距離はかえって増えてしまう、という状況だ。
では、どうすればいい?
──
ここで、うまい方法を示そう。あっという間に解決できる方法がある。こうだ。
「認可保育園は、0歳児〜2歳児に限定して、3歳児以上の保育をやめる」
これによって、3歳児以上の人数を削った分、0歳児〜2歳児の受入数が増える。かくて、現状で 10%弱という「不足分」を埋めることが可能となる。
詳細は、下記。
(1) 現状では、3歳児以上の保育の定員は、おおよそ全体の2割程度である。詳しいデータは、下記にある。
→ 杉並区の定員(PDF)
→ 練馬区の定員(PDF)
(2) 小児一人あたりに配備される保育士の数は、低年齢ほど手厚いので、3歳児以上の保育の定員で減った数がそのまま0歳児〜2歳児の増加数になるわけではない。しかし、それは補正すればいい程度だ。
(3) 3歳児以上の保育は、高度な保育を必要としないことが多いので、公的な認可保育園から除外して、私的な無認可保育園(認証保育園など)に移行する。つまり、重要なものを優先して、重要度の低いものは民間に任せる。
以上の方法で、0歳児〜2歳児の全員を認可保育園で受け入れることが可能となる。
一方、3歳児以上は、認可保育園からは追い出されるが、その分は、比較的受け入れが容易なので、民間の活力に委ねる。
特に、小規模保育所は、保育ママ(母親の共同保育)の制度を活用したい。
[ 付記1 ]
実は、現状でも、小規模認可保育所では、「0〜2歳のみ」という限定がある。これは、本項の方針を取っていることになり、好ましい。
ただし、同時に、(小規模でない)普通の認可保育所も、同じ方針を取るべきだ。そうすれば、0〜2歳については、状況が劇的に改善する。
[ 付記2 ]
ところが、小規模認可保育所の経営者は、それを厭がる。「同じ子供をずっと預かった方がいい」と思う。「外に追い出した子供を受け入れてくれるところがないので難儀する」とも言う。
→ 小規模認可保育所が2429園に激増しました
しかし、こんな経営者の言い分を聞いていては、問題は解決しない。現場の意見ではなく、国全体を見るマクロ的な見地を取るべきだ。
そうすれば、「質の高い保育が必要な0〜2歳については、公的な保育が必要だが、そうではない3歳以上については、民間(認証保育園)に任せてもいい」と気づくはずだ。
これは、最適配分の問題である。現場の経営者は、「全員に満点を」と望むが、国全体の立場からは、「全員に満点は不可能なのだから、満点を与えるのは必要な弱者だけとする」というふうに資源の最適配分を考えるべきである。「全員に満点を」と思って、3歳児に満点を与えれば、0〜2歳はあぶれてしまう。……これが現状だ。
こういう現状を理解できない経営者(駒崎)の意見を聞いてはならない。この人(駒崎)は、現場の専門知識はあるが、国全体をつかさどるマクロ的な見地がない。良い軍曹にはなれるが、将軍にはなれないタイプだ。こういう人物を重用するべきではあるまい。
[ 補足 ]
別途、重要なことがある。「保育所を増やす」という制度における、さまざまな制度上の欠陥を是正することだ。
たとえば、「施設が自前ならば補助金を 75%も出すが、施設が賃貸だと補助金をまったく出さない」というようなのは、ひどく非合理だ。
→ 前項(高架下の保育所の例)
また、「必要もない無駄な高額な設備を義務づける」という馬鹿げた例(バリアフリー条例)もある。
→ 舛添東京都知事が3分でできる、効果的な待機児童対策はこれだ!(駒崎)
こういうデタラメな制度(助成制度)を、まともなものに是正することで、保育所を増やす効果はかなり出る。
持病があるとか先天異常があるとかいう難しい話ではなくて、37.5度以上の発熱があるというだけで、親を呼び出して引き取りさせるのです。
昔、コメントで書いたことがありますが、こどもの権利を代表できるのは親しかいないので、病気となると親までが拘束される。ただの風邪であっても。
特別立法か何かで、保育所職員のつきそいによる外来受診を許可すればいいのです。
コスト的には、社会負担でやると大人の入院並みに高コストがかかるので、母親が面倒を見る方がコスト安になる。
母親の病欠を認める方が妥当だと思える。だいたい、子供や本人の病欠を認めにくい現状がおかしい。欧州ならば簡単に病欠を認めてもらえるはずだが。
あ、父親でもいい。
> 保育所職員のつきそいによる外来受診
外来受診は、それでもいいし、親でもいい。問題は、外来受診から帰ったあと。集団保育だと感染が起こるので、特別に個室を用意する必要があるが、とても無理。となると、自宅に戻るしかない。
特別立法するなら、親の所得補償でしょう。といっても、もともと有給休暇があるはず。有給休暇がちゃんとしていない国だと、こういうことになる。保健や福祉よりも、労働政策の問題か。
※ 高所得者ならばベビーシッターを使うのが最善かな。
コストを考えたら、親に所得補償をする方がましという話は、狭い家の中で、親がこどもの相手を続ける苦痛を無視してます。ベビーシッターが一番マシなのですが、海外労働者を入れることは今後当分なさそうです。
大企業である必要はなく、よほどの零細企業でなければ大丈夫でしょう。(従業員が5人以上いて、そのうち1人の欠勤で業務がおかしくなるとしたら、業務を危険にさらしている経営者がおかしい。駄目企業なので、とっくに倒産しているはずだ。)
普通は、ギリギリではなくて、少しは余裕があるように、従業員を多めに雇用します。さもないと、倒産のリスクが高まる。
従業員が3人以下の零細企業なら……臨時の場合の派遣スタッフを派遣してもらう用意をしておけばいい。派遣会社との契約。これでOK。
個人病院で看護婦1名欠勤なら、これで対処できる。
http://www.nursepower.co.jp/saiyou_syousai.htm
個人病院で医師1名欠勤なら、臨時休業。または、金があればベビーシッターの雇用で対処。
> 狭い家の中で、親がこどもの相手を続ける苦痛
親が子供の相手をするのが苦痛のはずがない。仮に苦痛だとしたら、なおさら、ベビーシッターや海外労働者には頼れない。
とりあえずは広い部屋に移ればよろしい。
その金がないとしたら、……生活保護を受けられないでいる極貧? それは社会保障政策の問題。