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この台風の被害は、少し増えた。死者 12人である。
→ 岩手の死者12人に 1100人が孤立状態:朝日新聞
→ 岩手県内 台風10号による死者12人に | NHKニュース
それ以外にさらに数人の遺体が見つかった。
→ 新たに数人が心肺停止状態で見つかる | NHKニュース
では、これらの死者は、どうして生じたのか? 状況についての報道を知ると、事情がわかる。
関係者(遺族の家族や施設責任者など)は、いずれも、「こんなことになるとは思わなかった」と語っている。
これを聞いた人は、不思議に思うだろう。
「川のそばにいて、超大型台が来ると強く警告されていたのに、こんなことになるとは思わないとは、いったいどういうことだ? 頭がどうかしているのでは?」と。
ただ、事情を詳しく知ると、いくらかわかってくる。彼らが「こんなことになるとは思わなかった」というのは、「川が氾濫するとは思わなかった」ということではない。「一挙に急激に濁流が来て、家内を埋め尽くしたり、家を流したりするとは、思わなかった」ということだ。
では、かわりに、どうなると思っていたのか? 「少しずつゆっくりと水かさが増えるはずだから、水かさが 10cm か 20cm になったところで、ゆっくり避難すればいい」と思っていたのだ。
ところが、現実には、そうならなかった。一挙に急激に濁流が来て、家内を埋め尽くしたり、家を流したりした。ゆっくり逃げる暇などはまったくなかった。家内にいる人々は、濁流にに呑まれて溺死した。家を流された人は、家にいて「助けてー」と叫びながら、どんぶらこ、どんぶらこ、と家もろとも流されていった。( ※ 現状は行方不明。死者にカウントされていない。)
《 家族の目前、母は濁流にのまれた 》
自宅の方を見ると、八重子さんが1階にいるのが見えた。
自宅周辺は胸の高さほどまで水位が上がり、近づけない。
2階に上がった八重子さんは窓から何かを言っているように見えたが、大雨が視界を遮り、「ゴー」という水の音で声が聞こえない。
午後7時ごろに自宅が傾き始めた。「助けて、助けて」。八重子さんは2階の窓から顔を出して泣き叫んでいた。「あともう少し頑張れ」。智成さんが声をかけた直後、自宅は濁流にのまれ、八重子さんとともに流されていった。
( → 朝日新聞 2016-09-02 )
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以上の話を聞くと、既視感に襲われる。同じようなことは、前にもあった。どこで? ほかならぬ東日本大震災だ。あのときは、洪水ではなく津波が来た。その津波は寄せてくる30分以上も前に予告されていた。にもかかわらず、人々は海岸沿いで、逃げもせずに、のんびりとしていた。釜石市民なら、「つなみてんでんこ」の教えに従って、命名がどんどん避難していたようだ。しかし、他の地域では、市民はのんびりと構えていた。「巨大堤防があるから大丈夫さ」と思っている人もいたし、避難の仕度で着替えに 30分もかけている人もいた。自宅で安心していた人は、たちまち津波に呑み込まれた。着替えに時間をかけていた人は、歩いている途中で、後ろから押し寄せてきた津波に追いつかれて、津波に呑み込まれた。
いずれも、「急いで逃げる必要はない」と思って、のんびりとしていた。そこへ急速に津波が押し寄せた。津波の速度は、海洋では時速 200 km ほど。港に入っても、時速 100km 近い。上陸したあとでも、人の歩く速度よりはずっと早く浸水していった。
→ 上陸した津波の動画(東北地方太平洋沖地震)
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以上のことから、被害の原因ははっきりとわかる。それは「油断」である。「慢心」と言ってもいい。「危険性を舐めている」と言ってもいい。だからこそ、「超大型台風で危険です」という警報がいくら出ても、それをまったく無視してしまうのだ。
たとえば施設は、こうだった。
「楽ん楽ん」は火災を想定した避難訓練はしていたが、水害対応の訓練は取り組んでいなかった。
隣接する介護老人保健施設「ふれんどりー岩泉」を開設した2000年以降、小本川が氾濫したのは3回。あふれた水が施設に到達するまでに、かなりの時間があった。
佐藤常務理事は「これまでの経験から、危ないと思ったときには、ふれんどりーに入所者を避難させれば良いと思った。大丈夫だろうと過信した私の責任だ」と釈明した。
( → 河北新報 )
過去の小規模台風では、ゆっくり逃げれば大丈夫だった。だから今度の超大型台風に直撃されても大丈夫さ、と勝手に思い込んだ。
もっとひどいのは、自治体だ。勝手に「大丈夫だ」と思い込んで、避難勧告をあえて出さなかった。
《 避難勧告出さず 過信と甘さ 》
町役場では同日、幹部らが避難勧告を巡って随時協議を続けたが、結論は「大丈夫だろう」だった。
台風が接近してきた夕方には、町長が自ら現場付近を歩いて川の水位を確認。「楽ん楽ん」側からも「大丈夫だ」と連絡があり、問題がないと決めた。
役場に戻った後、川は急激に増水。9人の命が失われた。「甘かった。反省している」。不測の事態に対応できなかった伊達町長はこう語るしかなかった。
( → <台風10号> | 河北新報 )
かくて、町長は「こんなことになるとは思わなかった」というふうに弁解するばかりだ。
→ 避難勧告出さず「甘かったと反省」 岩泉町長が陳謝:朝日新聞
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状況は呆れるほどひどいとわかった。
では、どうすればいいか?
本来ならば、気象庁が、台風情報だけでなく、危険性をも告知するべきだろう。「急激に増水することもあります。川のそばからは避難してください」と。
とはいえ、それは本来、気象庁の担当ではない。では、どこの担当か? 現状では、自治体の担当だ。その自治体が、まったく無能だ。専門知識がないのだから、ある意味では、仕方がないのかもしれないが。
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ではどうする? そこで、困ったときの Openブログ。前にも述べた提案を繰り返す。
→ 防災庁を設置せよ
ここから抜粋しよう。
防災庁を設置せよ
次にまたいつか地震が来る。その対処として、防災庁を設置するべきだ。なぜなら、自治体の防災レベルは低すぎるからだ。自治体任せでは不足だ。
どの自治体でも最高レベルの対策が取れるような、国家規模の体制が必要だ。
そのために、専門の省庁を設置することを提案したい。すなわち、「防災庁」の設置だ。
そこから得られた結論は、自治体に下ろされる。自治体が阿呆な運営をしていれば、自治体に対して指導がなされる。こうして、陸前高田のような馬鹿な防災対策は、きちんと是正される。
気象庁が気象の予報をするだけでは足りない。誰かが「避難するべきだ」という指示を与えるべきだ。その誰かとは、(今のところは存在しない)防災庁だ。
防災庁から正しい判断が下されれば、「超大型台風が来たときには、直撃される地域では、川のそばから避難するべきだ」という指令が下る。そうすれば、今回のような被害は避けられたのだ。
今回も台風が来ることは予め気象庁から予想が出されていて、「厳重な注意をするように。」「川沿いでは氾濫の危険」とかも注意情報としてはあったと思う。
防災庁はこのようなレベルの注意情報ではなく、強制力を持った命令を出すのでしょう。「どこどこ地区は全員その場を離れて、どこどこの避難所に移動しなさい」といった感じの命令を。
そうすると命令を受けて非難したはいいが、結局何もなかった時に批判が出るよね。
今回の例でいえば、油断をなくすための情報提供です。「ゆっくりではなく突発で来ることがある」という情報。その他、逃げ方。一階では危険であることなど。
こういうことは、放送で言うのでは足りないので、ホームページなどでの広報が必要です。また、詳細な情報を提供するべき。
そういうことは、気象庁の仕事ではない。どちらかと言えば、国土省だな。国土省に所属する防災庁、という形。堤防の情報などと一体化されるべき。
強制力を持つのは、避難命令でしょうが、それをやるのは自治体です。国はそこまで個別の事例にまでは手を出さない。国がやるのは広域的な事柄だけです。個別の特定地域の事柄は、自治体がやります。
自治体はそれを受け止めて、管轄区域の危険な地域に対して避難命令を出すのでしょう。
全国に対して「川の近くは危ないですよ。」とか「1階は危険ですよ。」といった情報をふわっと出しても今とあんまり変わらないと思う。
地域を指定して、その地域の自治体がきちんと命令を出せるようにしないと実効性は無いよね。
そしたら予想を外した場合の実質の批判対象は防災庁でしょう。
あと、命令は、あまり意味がない。命令を出したところで、個別に電話して告知するわけじゃない。相手が知らなければ、何の意味もない。
大事なことは、命令ではない。間違った情報を信じている人に、正しい情報を与えることだ。それが本項の趣旨。ちゃんと「原因は何か」を理解して下さい。「命令されなかったこと」が原因ではない。そもそも自治体は「避難の必要はない」という(誤った)判断を下していたのだから、命令するとしたら「避難しなくていい」という(誤った)命令をするしかない。
命令の有無は関係ない。間違った情報を信じている人に、正しい情報を教えることが大事だ。それが本項の趣旨。
本項に何が書いてあるかを、理解してください。特に、町長の部分を熟読してください。あなたは自分の考えを言っているだけで、本項の話をまったく読んでいない。
危険な地域を予測するのは気象庁?
それに基づいて、防災庁は情報を出すの?
その情報の基づいて自治体が避難勧告するの?
結局、今回の台風12号の場合だったらどうなるの?
人間の被害の軽減は、もともと気象庁の対象外です。担当する役所がない。しいて言えば自治体だが、国家レベルでは担当部門がない。だから担当部門をつくれ、ということ。
自治体との役割分担は考える必要がない。それぞれが自分の最善を尽くせばいい。
もともと洪水警報などは気象庁が出しているので、その警報の付帯情報として管理人が提案している内容をつけ足せば事足りる。
それは気象庁の仕事。あなたは私の話をまったく読んでいない。読んでから書いてください。勝手読み厳禁。
だいたい、引用もしないで、勝手に私の発言を捏造して、それを攻撃しても、ただの藁人形論法。
呆れたし、もはや対応にくたびれたので、コメント禁止。
・ まず相手を否定する、と決める。(嫌いだから。)
・ 相手の論点の欠点を突こうとする。
・ 欠点が見つからないので、欠点があるというふうに、あえて曲解する。
・ 曲解で足りなければ、誤解して、別表現を勝手に捏造する。
・ その捏造した話を、相手の主張だと見なして、欠点を批判する。
・ これで自説の正しさが証明されたと思い込む。
こういう例は、とても多い。「自分は利口だ、相手は馬鹿だ」と証明した気分になれて、いい気分になれるから。
独りよがりな人の特徴だ。(決して反省しないから、自分の欠点に気づくこともない。ゆえに自分が世界で一番の利口だと信じる。)