2016年08月27日

◆ 可変圧縮比エンジンが実用化

 可変圧縮比エンジンが実用化することになった。100年に1度の大発明とも言われている。日産自動車のもの。

 ──

 日産自動車が可変圧縮比エンジンを開発中だ、ということは、何年も前から聞いていたが、話半分に聞いていた。
 「ほんとかなあ。研究室段階ではできても、実用化は難しそうだなあ」
 という感じ。
 
 ところがこのたび、日産自動車は可変圧縮比エンジンを 2017年に発売することを公言した。詳細は9月のパリ・モーターショーで明らかにするそうだが、とりあえず簡単な情報も公開している。
  → 日産の可変圧縮比エンジンは100年に1度の大発明!?
  → 日産の可変圧縮比エンジン、マルチリンク機構で燃焼室の容積をシームレスに変更
  → 日産が可変圧縮比エンジン(VC-T)を発表| スラド

 簡単な解説なので、詳細は専門家が見てもはっきりとはわからないようだ。
 
 私が見た感じでは、可変バルブタイミングみたいな感じで、タイミングをずらしているように見えるのだが、どうもよくわからない。
 ただ、クランクシャフトがピストンの直下にはなく、いくらかオフセットされていることがキモがあるようだ、とわかる。

 ──

 ま、詳細は、パリモーターショーで発表されるそうだから、それを待てばいいようだ。
 しかし、図を見てもすぐにはわからないとすると、なかなか凝った仕組みであるようだ。うまいことを考えた人がいるんですね。



  ※ 以下は読み飛ばしていい。最後の 【 追記 】 にまで飛ぶといい。


 [ 付記1 ]
 図の解説(英文)を読んで、よく考えたら、いくらかわかった。
 やはり、オフセットしているところがキモだ。

 ピストンが上死点に達しているときの、アッパーリンクとクランクシャフトの接続角度を変えることで、上死点の位置を変えることができる。

 ピストンが上死点に達しているとき、左の図(高圧縮比)ようなっていたとする。
 ここで、クランクシャフトのまわりの菱形の部分を、少しだけ左に回転するとしよう。すると、その分、アッパーリンクは下がる。したがって、圧縮比は下がる。それが、右の図(低圧縮比)だ。

 このように菱形の部分を回転させても、回転のタイミングがズレるだけで、圧縮比は変わらないのでは……と思ったのだが、そうではない。
 仮に、クランクシャフトがピストンの直下にあったなら、回転のタイミングがズレるだけだ。(ピストンが上死点に来るタイミングがズレるだけだ。)
 しかし、クランクシャフトがピストンの直下からオフセットされていれば、事情は異なる。この場合は、ピストンが上死点に達するタイミングと、アッパーリンクとクランクシャフトの接続点が最上部に達するタイミングとが、少しズレるので、ピストンが上死点に達する位置が下がる。

 ……というふうに、おおまかに理解したのだが、これは間違っているかも。上記の説明ですっかりわかったわけではない。私としても、本当は、よくわかっていない。「どういうこと?」と説明を求められても、「よくわからない」と答えるしかない。すみません。 (^^);

 何だか、難しいですね。説明不足で、ごめんなさい。でも、私のせいじゃないですよ。このアイデアは、私のアイデアじゃないんだから。
  
 [ 付記2 ]
 いろいろ考えたすえ、上の図では説明できないと思った。説明するには、次のことが必要であるはずだ。
 「マルチリンクというのは、クランクのことかと思ったが、クランクとは異なる。マルチリンクとクランクの位相をずらすことで、上死点となる位相を変える」
 こう思って、ネットで古い情報を探したら、次の情報が見つかった。
 日産は新たに、クランク軸とコンロッドを直接つなぐのではなく、リンクを介してつなぐマルチリンク式のVCRエンジンを考案した。マルチリンク機構によって上死点の位置をずらし、圧縮比を変える。
( → 可変圧縮比エンジン - 日経テクノロジーオンライン

 やはり、上記の推定の通りだ。これならわかる。
 他にも似た情報はある。
 クランクシャフトに平行して棒状のコントロールシャフトを配置し、このふたつのシャフトをコンロッド(連接棒)でつないだうえで、さらにピストン側のコンロッドにつなげる「マルチリンク機構」を採用している。
 コントロールシャフトの位置を制御することで、ピストンの上死点を変化させ圧縮比を変える。
( → 日産、可変圧縮比のエンジンを開発 | レスポンス(Response.jp)


 さらに情報を探したところ、次の情報も見つかった。(特許情報。)
  → 可変圧縮比エンジンとは(2005年04月01日)
 これは、やたらと難しい感じだ。専門家でないとわからないかも。



 【 追記 】
 いくらか事情がわかった。やはり、オフセットしていることがポイントだ。そして、そのオフセットの量が変わる。
 英文のページ の二つの図を比較するとき、クランクシャフトの位置に着目してほしい。次のようになる。
  ・ 左の図 …… クランクシャフトが左上の方にある。
  ・ 右の図 …… クランクシャフトが右下の方にある。

 こういうふうに、クランクシャフトの位置が少し ズレている。(画像で言うと、数ミリ程度のズレ。実際のエンジンでは2cm ぐらいのズレかも。)
 このようにクランクシャフトの位置がずれることを、図では破線で示している。(左上から右下へと下がる破線。)

 で、どうやってクランクシャフトを動かすか、というと、クランクシャフトそのものを(レールで)動かすのではないらしい。むしろ、(クランクシャフトの左側にある)アッパーリンクとは逆位置にあるリンク(バランス・リンク ?)の位置をずらすことによって、であるらしい。そのために、右側にある機構があるのだろう。
 ま、図の B に相当する破線を移動するには、たぶんレールもあるのだろうが、レールは経路を限定するためだけにあるようだ。その経路内で位置を決めるのが、右側の機構であるようだ。こうして位置を決めることで、破線上のどの位置にクランクシャフトが来るかが決まる。すると、次のようになる。
  ・ クランクシャフトが左上 …… 高圧縮比(燃焼室は小)
  ・ クランクシャフトが右下 …… 低圧縮比(燃焼室は大)

 こうして「燃焼室の大きさを変えることによって、圧縮比を変える」ということが実現できるようだ。

 ※ 以上は私の推測です。メーカー公式ではありません。

 
posted by 管理人 at 21:32| Comment(16) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おそらく、超ロングストロークの船舶用ディーゼルエンジンのクランクシャフト周りの構造をモディファイしたのかもしれませんね。
自動運転とか、電気駆動よりもこっちのほうに注力されると嬉しいです。
Posted by 京都の人 at 2016年08月27日 22:50
日産は、大量生産と大量販売をすることだけに熱中しており、技術開発をないがしろにしているのに、よく管理人でさえ理解できないような難しい技術を開発できたもんだね。
Posted by 名無し at 2016年08月27日 23:12
↑ 技術者と経営者は違いますからね。
 日産の技術者は優秀ですよ。業界では東大出が一番多いんじゃないかな。私は日産の技術者を批判したことはありません。
 最新の VR エンジンなんか、すごい。ベンツを圧倒的にしのぐ。
 あと、ゴーンは、エンジンのことなんかちっともわからないから、エンジンには口出ししないのでしょう。一方、デザイン関係には口出しするから、ひどい状況になっている。別項で述べた通り。
Posted by 管理人 at 2016年08月27日 23:17
 参考記事。以下、引用。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
日産は50年代に本社を東京・銀座に移し、日本を代表する企業であることを自負した。 地方でスタートしたトヨタ、ホンダとは違った。 洗練された雰囲気が漂い、名門大出身の役職員を選んだ。 90年代半ば、役員のうち東京大学出身者の比率は60%以上だった。これに対し トヨタは10−20%、ホンダは10%未満だった。

http://japanese.joins.com/article/403/154403.html

  ̄ ̄
日産のパワートレイン開発本部に就職したいと思っています。
それで、そのパワートレイン開発本部について書かれた本を読んだのですが、それに出ている大抵の人が東大、京大などの一流大学卒業の人ばっかりでびっくりしてしまいました。

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/4542220.html
Posted by 管理人 at 2016年08月27日 23:26
http://www.honda.co.jp/tech/power/exlink/

こちらのほうが本質をついてると思うんです。
Posted by 通りすがり at 2016年08月28日 07:48
↑ その方式は効率向上が従来比 20%程度のアップ。
 日産は従来比 27%のアップ。
   http://carislife.hatenablog.com/entry/2016/08/15/195131

 実は、日産の方式は、これにミラーサイクルを組み合わせることが可能となっている。ホンダの方式は、それ単独でミラーサイクルと同じだから、ミラーサイクルを組み合わせることはできない。
    日産方式+ミラーサイクル
 というのが最強となる。

  ※ 日産の 27%というのは、たぶんミラーサイクル込みだ。だから高い値となる。日産方式単品では15%ぐらいかも。単品での比較なら、ホンダ方式の方が上かも。
  ※ 上のリンクを見ると、ターボとインタークーラーがあるので、まず間違いなく、ミラーサイクル込みだね。
Posted by 管理人 at 2016年08月28日 08:05
 ホンダの方式は、ミラーサイクルに比べて、何がいいのだかさっぱりわからない。
 膨張比の方を大きくするという点ではミラーサイクルと同様の効果を狙っているが、ミラーサイクルはバルブの開閉時期を変えるだけで同じ効果を得ている。(遅閉じまたは早閉じのミラーサイクル。)
 こんなに簡単にできることを、ホンダの方式はものすごく複雑な方式でやっている。
 効果が同様なのに、なぜミラーサイクルの方を採用しないのか、さっぱりわけがわからない。
Posted by 管理人 at 2016年08月28日 09:17
日産式の本質は低効率な高出力過給ガソリンエンジンの
低負荷領域だけでもちょっと改善しようというものですね。
高負荷領域の圧縮比=膨張比8というのは
昔ながらの設定で特に新しいところはないですね。
容積比14+ミラーサイクルというのが
どこまでの負荷領域でやれるのかが興味ありますね。
日産ノート、アウディA4(FF)みたいではありますね。

高負荷領域での燃費改善に真正面から取り組んで
欲しいと思う今日この頃です。
Posted by 通りすがり at 2016年08月28日 09:34
> 高負荷領域での燃費改善

それは内燃機関では根本的に無理です。
それよりハイブリッドを使って、モーター出力で担当するのが筋です。
こうすれば、高負荷領域そのものがなくなるので、常に低負荷領域で高燃費となります。
ハイブリッドで高負荷領域を使うのは、最大出力を必要とする最大加速時ですが、レースでもなければ、そんなケースはない。一般道でやったら、前の車両と衝突するか、カーブで脱線する。

Posted by 管理人 at 2016年08月28日 09:38
それは大きいエンジンで
遅閉じミラーサイクルをやると
エンジン全体のフリクションは大きいエンジンと
おなじになるからです

例 シリンダー容積 500cc
遅閉じミラーサイクルによる実吸気量300cc

エンジンのフリクション=500ccエンジンと同等
パワー=300ccエンジンと同等

となって旨味があんまりないからです。
Posted by 通りすがり at 2016年08月28日 09:40
>>それは内燃機関では根本的に無理です。

やっぱりガソリンではそうなんでしょうね。
けどそこに私はロマンを感じるんですけどね。
Posted by 通りすがり at 2016年08月28日 09:44
> フリクションは

それはわかっていますが、フリクションはホンダ方式だって同様ですよ。
というか、フリクションはは従来式エンジンと同じで、単に吸気量が減ることでパワーが低下するだけです。この問題はホンダ方式もミラーサイクルも同じです。
Posted by 管理人 at 2016年08月28日 09:48
それもそうですね。

ミラーサイクルは遅閉じにしても早閉じにしても
ピストンが無駄に動いてるぶんが
多少摺動ロスになってる感じがしますね。
Posted by 通りすがり at 2016年08月28日 09:57
それを回避するためにあれだけの
複雑さをやるというのがホンダらしいです。
Posted by 通りすがり at 2016年08月28日 10:00
ホンダの(側面)フリクションロス回避の方法は、単にクランクシャフトをオフセットしたことによって生じるので、ミラーサイクルでも日産方式でも従来エンジンでも、ともに使えるはずです。振動が増えるので、普通はやらないだけでしょう。
Posted by 管理人 at 2016年08月28日 10:24
日産式ももうその効果は出てますね。
膨張過程でコンロッドが相当立ってます。

普通のクランクシャフトのエンジンでも
オフセットシリンダー、オフセットクランクシャフトは基本的な技術として現在広く使われてます。
Posted by 通りすがり at 2016年08月28日 10:47
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