2016年08月21日

◆ 大量生産と価格低下(太陽光発電)

 大量生産で価格低下をもたらそう、という主張がある。これは正しいか? (特に、太陽光発電)

 ──

 大量生産で価格低下をもたらそう、という主張がある。太陽光パネルの生産などでは、しばしば言われてきた。
 「今は太陽光パネルは高い。だから国は補助金を出して、大量生産を促すべきだ。そうすれば、大量生産によって価格低下が起こり、以後は補助金なしでも普及が進むようになる。万事、うまく回転する」


 一方、これに対する反対もある。
  ・ 国が市場経済に介入するべきではない。
  ・ 価格低下をもたらすのは、技術開発だ。技術を振興せよ。


 私としては、反対論を採ってきた。「小泉の波立ち」(泉の波立ち)などで、2002年ごろからずっと反対論を採ってきた。
 では、今現在という時点で、どう評価されるか? 

 ──

 朝日の記事がある。
 《 日本品質を途上国価格で 「エネルギーのはしご」 》
 南アジアやアフリカの送電網がほとんど整備されていない地域で、電気のある暮らしが急速に広がっている。かぎを握るのは、太陽光パネルを使った簡素な機器と、低所得者層の実情にあった販売手法の組み合わせだ。
 送電線はあるが、電気がつくのは日に2〜3時間。昨年末に2台買ってから、市場で野菜などを売って暮らす一家の生活は明らかに上向いた。夜も商売ができるようになり、収入が2割増えたという。
この村で一番売れているのはパナソニック製だ。機能を絞って、価格を1500〜2500円に抑えた。インド全体ではこれまでに約5万台売れた。ソーラーランタンはインドで年間約300万台が売れている。大半は欧米のベンチャー企業製。
 ──
 後押ししているのは、最近6年間で 80%も下がった太陽光パネルの急激なコストダウンと、貧困層への無担保少額融資(マイクロクレジット)の広がりだ。

( → 朝日新聞 2016-08-21

 安価な小型の太陽光発電が途上国で役立っている、という趣旨だ。そのこと自体は好ましい。
 そして、その理由として、「6年間で 80%も下がった」というコストダウンを掲げている。このコストダウンを見ると、先の議論では、「反対論よりは賛成論の方が正しい」というふうに見える。
 しかし、本当にそうか? 本当に大量生産がコストダウンをもたらしたのか? これが問題だ。

 ──

 いきなり結論を言おう。
 大幅なコストダウンはあったが、その理由は大量生産ではない。「大量生産がコストダウンをもたらした」というのは、誤りだ。では何が、コストダウンをもたらしたのか? 技術の進歩だ。
 ここでいう技術の進歩は、二つの意味がある。
  ・ 基本技術の向上 (研究室レベル)
  ・ 生産技術の向上 (工場レベル)

 このうち、後者は、「歩留まり」という概念で説明される。

 ──

 歩留まりとは何か? Wikipedia には、こうある。
 歩留まりあるいは歩止まり(ぶどまり)とは、製造など生産全般において、「原料(素材)の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産数(量)比率」のことである。また、歩留まり率(ぶどまりりつ)は、歩留まりの具体的比率を意味し、生産性や効率性の優劣を量るひとつの目安となる。
 例えば、半導体製品では、生産した製品の全数量の中に占める、所定の性能を発揮する「良品」の比率を示す。歩留まりが高いほど原料の質が高く、かつ製造ラインとしては優秀と言える。
( → 歩留まり - Wikipedia

 歩留まりという概念は、半導体技術で重要だ。というのは、半導体技術では、初期生産の歩留まり率が著しく低いからだ。そのせいで、出荷できる数の比率が低下して、出荷した製品のコストは滅茶苦茶に高くなる。ところが、生産がこなれてくると、歩留まりが急激に向上する。そうなると、価格が急激に低下する。
 たとえば、歩留まりが1割だったのに、歩留まりが10割程度に上昇すれば、価格はそれまでの 10分の1に低下することになる。(おおざっぱな計算だが。)

 ここで注意。大量生産をしたからといって、歩留まりが上がるわけではない。逆だ。歩留まりが上がるから、大量生産が可能となる。
 それ以前は、試験生産みたいなものだった。歩留まりが低いので、出荷できる数が少なくて、製品は非常に高コストとなる。しかし、生産がこなれて、歩留まりが上がると、試験生産の時期が過ぎたことになり、急激に低コストとなる。
 ここでは、生産技術の向上により、歩留まりが上がるから、急激に低コストとなる。ところが、素人がこれを見て、勘違いする。「大量生産をしたから、低コストになるんだ。ならば、需要を増やして、大量生産を促せば、どんどん低コストになるだろう」と。
 違う。低コストになる理由は、需要が増えたからではない。供給の側の技術(生産技術)が向上したからだ。また、長期的には、太陽光生産の基本技術が少しずつ向上していった。これもまた、供給の側の技術が向上したことになる。(需要が増えたことは、ほとんど関係ない。)

 ──

 朝日新聞は、「太陽光の需要を増やして、太陽光の価格を低下させよ」と主張した。それを信じた政府は、太陽光発電に高額の補助金を出す政策を採用した。そのあと、太陽光発電の価格は劇的に低下した。では、これは、日本政府の補助金政策のおかげだったのか? 
 違う。世界市場において、日本の太陽光パネルの需要など、焼け石に水程度の効果しかない。ほとんど無意味だ。世界には莫大な需要があったが、日本の需要などは無視していいくらいの少なさだ。
 そして、そのような日本の需要の大小にかかわらず、太陽光パネルの技術は向上していった。研究室段階でも、工場段階でも、逐次的に少しずつ向上した。だから「6年間で 80%も下がった」というコストダウンが世界規模で生じた。そこには、日本政府の政策の影響など、ほとんど皆無なのである。つまり、日本政府が莫大な補助金を投入したのは、ただの無駄金だったことになる。
( ※ 補助金といっても、公金ではなくて、電気料金に上乗せするという「間接税」みたいな方式を取った。)

 ──

 結論。

 「太陽光発電に補助金を出そう」という政策が決まったときには、「補助金を出すと、大量生産の効果で、太陽光発電のコストダウンが進む」というふうに説明された。しかし、それは誤りだ。
 大量生産をするから価格が下がるのではない。価格が下がるから大量生産が可能となるのだ。その本質は、歩留まりの向上である。
 生産初期のころ(試験生産のころ)ならば、歩留まりが向上して、大量生産が可能になると、コストが劇的に低下する。ここでは、コスト低下の理由は、歩留まりの向上であって、大量生産の効果ではないのだ。そこを勘違いしてはならない。

 ※ 誤読する人がいるので注記しておくが、「歩留まりの向上」があるのは、生産初期のころ(試験生産のころ)の話だ。それ以外は別だ。
 ※ それ以外の時期ではどうか? 歩留まりの向上はない。ゆえに、大量生産の効果もない。コスト低下の理由は、大量生産とは別のところにある。(コメント欄を参照。生産技術の向上とか、中国の低い人件費とか、いくつかの理由がある。)



 [ 付記 ]
 「大量生産の効果で価格が下がる」と言える面もある。それは、「固定費負担の減少」である。
 たとえば、設備や土地の負担は一定だが、生産量が1万から 10万に増えると、設備や土地の負担(償却費)は、10分の1に減る。
 とはいえ、一般に、大量生産する商品では、固定費の分はあまり大きくない。自動車ならば鉄や部品の材料費・部品費が大部分であって、固定費の分は少ない。半導体や家電であっても、似たり寄ったりだ。固定費の占める割合は少ないのだ。ゆえに、固定費の負担がいくらか減ったとしても、コストについてはたいして影響しない。せいぜい、コストが1割低下するという程度だ。大量生産の効果というのは、そういうふうに限定的なのである。
 それよりも、劇的に影響するのが、技術革新だ。今回の太陽光パネルの場合も、「最近6年間で 80%も下がった」というのは、技術革新の効果が大きい。
 そして、「大量生産なんかに金をかけるより、技術革新のための技術開発に金をかけよ」というのが、私のかねての主張だった。つまり、「(需要の側で)補助金なんかに金をかけるよりも、(供給の側で)研究開発に金をかけよ」と。
 これが正しい政策だ。そのことが、今回も、判明したと言えるだろう。

 ただし、日本の経済政策が失敗したことも、判明した。日本では需要の側に多額の補助金を投入したが、それによって日本の太陽光産業はろくに成長しなかった。シャープ(の太陽光部門)に至っては、倒産寸前になるありさまだ。
 どうせなら、政府が、シャープなどの会社に、研究開発費を投入していれば、もうちょっとはまともな状況になっていただろうに。
 今となっては、もう遅い。今さら研究開発に補助金を出すとしても、それで喜ぶのは、台湾の鴻海(ホンハイ)だ。あと、鴻海の子会社である、中国工場たち。……今さら日本政府が補助金を出しても、中国の工場を振興するために補助金を出すようなものだ。もはや、何をやっても、手遅れだ。
 政府が馬鹿だと、こういうふうに、取り返しの付かないことになる。……そして、それを促して、大キャンペーンを張っていたのが、朝日新聞だ。その罪は、きわめて重い。

 
posted by 管理人 at 19:58 | Comment(23) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
朝日新聞が意図せぬ工作員であったことはおいといて、結晶型シリコン太陽電池の製造技術はほぼ確立していますから、価格低下要因は製造技術の革新という説はちょっと厳しいのでは?
製造技術的には大面積ウェハーを取り扱う大規模生産ができる様になったことを指摘できますが、価格が半額になるほどのコスト低下要因はならないと思います。
むしろ価格低下の主要因は低スペック製品が市場で余ったためではないでしょうか?
中スペックまたは高スペック製品が出てくるとDRAMやHDDと同じく低スペック製品は市場から排除されます。さらにパネルそのものも長持ちしますので中古品も含めて市場に出回ることが考えられます。このような経済的理由(大量生産ではない)で価格低下したと思います。

いずれ、操業のために低スペック品の生産を続ける企業がある限り見た目の大量生産価格低下はまるで需給曲線の様に見えるので、大量生産は正しいと映るでしょうね。

なお、大量生産による価格低下は化学品では経験があります。超高価だった試薬が量産になると急激に価格低下しました。量産価格はおよそ1/10程度でした。
Posted by 京都の人 at 2016年08月21日 23:06
> 価格低下要因は製造技術の革新という説はちょっと厳しいのでは?

 製造方法の技術革新というのは起こりにくいのですが、生産設備の技術革新というのは起こることがあります。
 たとえば、シリコンウェーハーの密度を高める製造技術。工場の設備などを少しずつ進歩させることで、ムーアの法則みたいな急激な進歩が起こります。特別に画期的な技術が出たわけではないのだが。

 私としては、太陽光設備の価格低下は、ムーアの法則と同様の( or 似た)事情があったものと考えています。

> 低スペック製品が市場で余ったためではないでしょうか?

CPU でもそうですが、一番安い価格帯は常に一定の価格です。激安にはなりません。単に性能が向上するだけであって、20年前のスペックの Windows用 CPU が 100円ぐらいで買えることはありません。

 ──

 なお、価格低下の最大の理由は、中国製ということでしょう。これだけでコストは半分になる。その一方で、ドイツや日本のメーカーは倒産する。
Posted by 管理人 at 2016年08月21日 23:35
価格低下は中国のおかげだと思っています。
日本は電力事業者に補助金を出しましたが、中国は製造事業者に設備代を払います。

そのおかげで彼らは最も高価な設備代を0円で計算して販売価格を算出してきます。

本当ならば更新時期の購入代金も考え、毎年の減価償却費で浮いたキャッシュを貯金しておくのがあるべき姿と思いますが、浮いたお金はまた入るさと日本でもアメリカでもどこでも、さらなる投資に使うので、一概に中国のやり方がおかしいとは言いません。

しかし、このようなやり方で価格競争をやられると日本はたまったものではないが、いかんせん、他国への輸出が主戦場なのでダンピング関税をかけることが意味ない状況。
しかも日本は対中国に対しては黒字側。中国は過剰投資でさらに安く大量に作る。ああ、浪費極まる世である。
Posted by かーくん at 2016年08月22日 08:43
「6年間で 80%も下がった」ことの原因が歩留まりの向上ということであれば、単純計算で歩留まりが5倍改善されたことになるよね。

最も甘く見積もって現在歩留まり100%と仮定しても、6年前は歩留まり率20%だったことになるぞ。本当か?
Posted by 名無し at 2016年08月22日 23:33
> by 名無し

ちゃんと読みなさい。歩留まりの向上は、生産の初期だけだ、と書いてあるでしょう。

「6年間で 80%も下がった」ことの原因は歩留まりの向上ではありません。

あなたは話を逆に読んでいる。滅茶苦茶。
Posted by 管理人 at 2016年08月23日 07:13
再読して単に何処ぞの供給過剰による価格崩壊を、無責任に大量生産による価格低下は素晴らしいと言い募った新聞が憎たらしいですね。
豊作貧乏による生産者の困窮は見えないフリをして、価格崩壊は消費者の利益だ、素晴らしい。と需給曲線の両端で生じる破局を促す悪魔である事に気付いてないのでしょう。
WTOは相手国産業を壊滅させる施策を是としない筈なんですが、安いことは良いことだ。に負けたのかも。
次は鉄鋼とセメントです。
Posted by 京都の人 at 2016年08月23日 08:09
> 結論。
> 大量生産をするから価格が下がるのではない。価格が下がるから大量生産が可能となるのだ。その本質は、歩留まりの向上である。
> 生産初期のころ(試験生産のころ)ならば、歩留まりが向上して、大量生産が可能になると、コストが劇的に低下する。ここでは、コスト低下の理由は、歩留まりの工場で会って、大量生産の効果ではないのだ。そこを勘違いしてはならない。

>「6年間で 80%も下がった」ことの原因は歩留まりの向上ではありません。

コメントの管理人さんはニセモノですかね?


歩留まり説は筋悪です。大量生産技術の向上と競争でしょう。
2025年までにさらに6割近く下がる見込みです。 http://bit.ly/1rplHLc
歩留まり100%越えちゃいますね。
Posted by きやの at 2016年08月23日 08:26
> by きやの

ちゃんと読みなさい。歩留まりの向上は、生産の初期だけだ、と書いてあるでしょう。

「6年間で 80%も下がった」ことの原因は歩留まりの向上ではありません。

あなたは話を逆に読んでいる。滅茶苦茶。

 ──

 ※ 返事はコピペで済んだ。
Posted by 管理人 at 2016年08月23日 09:57
こんにちわ。
管理人さんは製造業のご経験がありますか?
言われている事は事実として有りますが、生産技術の進歩が価格下落に繋がる訳じゃないですよ。

と言うのは、生産技術と製品開発は別の技術で、価格(原価)の大部分が製品開発の段階で決まってしまうからです。
特にパネルは枯れた技術ですので、下流工程の必死の頑張りでイールド1割上げれば万々歳というのが現実です。圧縮できる部分は「製造技術」ではなく「製造管理」の部分で、どんだけINとOUTまでの距離と人手を減らせるか、または連続稼働時間をどれだけ長く取れるか、です。

「大量生産技術」というのは無いんです。

要は、製品仕様が市場にマッチして、工場の休業時間が減る事で、結果としてのボリュームディスカウントに繋がるとお考えください。

あとは、開発費回収もありますね(笑)いくら将来伸びそうと言っても、最初にイニシャル回収をやっておかないとコンペが出た時に厳しいですからね・・・
特にコンペは、こちらが苦労して開拓した市場に「開拓費無しで」参入する訳で(笑)


私も技術屋ですので、間違いが有れば指摘下さい。有意義な意見交換ができると嬉しいです。
Posted by 通りすがり at 2016年08月23日 11:51
大量生産するほど需要がないってことじゃないですか?

政府による需要創出が必要ってのもどっかの経済評論家みたいでおかしい。

我が家も電気代がバカ高くなれば太陽光発電を考えるかもしれませんが。今のところそれほどその必要性は感じていません
けど 新築することになれば設置するでしょうね
Posted by P助 at 2016年08月23日 12:36
> 「製造管理」の部分で、どんだけINとOUTまでの距離と人手を減らせるか、または連続稼働時間をどれだけ長く取れるか、です。

 そんなことは、20年前から6年前までの間に、さんざんやり尽くしてきたでしょう。それでできたコストダウンは50%減ぐらい。
 ところがこの6年間に、さらに80%減になった。その理由は、上記のような当り前の手法とは違っていたはずです。だからこそ、太陽光パネルでのみ、劇的な価格ダウンができた。他の産業では、できなかった。

 ──

 本項のテーマは、
 「大量生産をするから価格が下がるのではない」
 ということです。
 コストダウンの理由は何か? というのは、直接のテーマではありません。通常、コストダウンの理由は、複数の理由がたくさん絡み合っているので、単純に一つだけを掲げることは適切ではありません。おおざっぱに「こんなものだろ」というふうに言うことはできるが、それは本項の本題ではなくて、ちょっと言及したという程度。

 「コストダウンの手法の研究」
 というのは、それこそ、各企業が日夜血みどろになって努力していることなので、ブログなんかで片付くような話ではありません。
 「コストダウンなんて、大量生産すれば、簡単さ」
 というお気楽主義を否定するのが、本項のテーマです。
Posted by 管理人 at 2016年08月23日 20:24
> 大量生産するほど需要がないってことじゃないですか?

近年は価格低下にともなって、急激に市場は拡大しています。とっくに大量生産はなされています。

発電量

http://j.mp/2beMarW

市場規模
http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2010html/img/121-2-10.gif

普通の意味での「大量生産」(大規模工場生産)なら、20年ぐらい前からなされています。

Posted by 管理人 at 2016年08月23日 20:29
こんばんは。
面白いブログだったので少し見させて頂きました。ステレオカメラについては管理人さんは静止画の世界から抜け出せておらず、時間軸という概念に対し理解不足の感が有ります。どちらも位相差を材料としているのにもかかわらず、分けて考えるのは間違いですよ。

それはそうと、わざわざレス頂きありがとうございました。15年という歳月は長いものです。一般の方はこの年月を聞いて何を思い浮かべるのでしょうか?私も考える事は多いです。
一方、技術屋として「15年」というのはとても重要な、もの凄く重要な節目があります。お分かりですか?そう、特許です。
基本特許が切れたら競争のし方を変える必要があります。技術革新で8割も原価下がる訳ないでしょ。

管理人さんの記事はどれも面白く、興味深く拝見させて頂きました。暫くROMる事にしますが楽しみに待ってます
Posted by 通りすがり at 2016年08月23日 21:08
> 時間軸という概念

それは、単眼カメラにおいて主要な技術となっている方式なので、ステレオカメラの主要な技術とは違います。

また、時間軸の方法を使うときは、ステレオカメラの片方だけを、単眼カメラとして使うはずです。ステレオカメラの独自性は関係ありません。

> 技術革新で8割も原価下がる訳ないでしょ。

意味がわかりません。CPUやメモリではもっと劇的に価格低下が起こっています。また、カーボンナノチューブでは価格が 1000分の1になることもあります。
ハイテクの分野では、劇的なコストダウンはかなりあります。昔からの工業分野とは違います。自動車産業でさえ、リチウムイオン電池なら数年で半額になっています。
Posted by 管理人 at 2016年08月23日 21:38
> 「コストダウンなんて、大量生産すれば、簡単さ」
> というお気楽主義を否定するのが、本項のテーマです。

であれば、長々とテーマに関係のない歩留まりのことは書かなくても良かったのでは?
Posted by 名無し at 2016年08月23日 22:20
> テーマに関係のない歩留まり

関係ありますよ。「お気楽主義を否定する」ために、その概念を使っています。ちゃんと読んで。いったい、何を読んでいるんだか。
Posted by 管理人 at 2016年08月23日 22:39
ホンモノだったんだ。
わたし歩留まり説を筋悪と言ってるので。ちゃんと読んでね。

>であれば、長々とテーマに関係のない歩留まりのことは書かなくても良かったのでは?

同意。

>本項のテーマは、「大量生産をするから価格が下がるのではない」

それを裏付けるものを最初に提示してほしいよね。
そもそもテーマが真か偽か。
Posted by きやの at 2016年08月24日 10:39
> わたし歩留まり説を筋悪と言ってるので

歩留まり説なんてものはありません。誤読しないで。
しょうがないから解説すると:

「大量生産をすればコストが下がる」という主張を朝日はしたが、それが成立するのは歩留まりによる改善が見込まれる生産初期だけだ。生産初期ならば、その説は成立するが、生産初期以外では、その説は成立しない。つまり、朝日の説は一般的には成立しない。生産初期に成立する説を一般的に成立すると誤認してはいけない。
 朝日の誤認はここにある。その誤認に気づけ。

 以上が本項の趣旨。「歩留まりによる改善でコストが下がった」というような主張はありません。むしろ、歩留まり説を否定している。否定するために、歩留まりの話をしている。
 歩留まり説(の一般化)を否定することで、朝日の誤認を指摘している。
 かくて、本項の趣旨は、朝日の誤認を指摘することです。わかった? 

 朝日の誤認もひどいが、あなたの誤読もひどい。話を逆に読んでいる感じだ。
Posted by 管理人 at 2016年08月24日 12:19
この業界に長く居るものです。面白いブログでしたので所感を。

国内メーカーで30年以上太陽電池の開発を見てきて、今は外資系に居るので、良くわかるのですが、太陽電池コストの国内メーカーを海外外資メーカーの差の本質は、結晶基板、素子、モジュールの中でもモジュールコストです。
何モジュールコストで大きな差が出来ているかと言えば、下記の3点
 @ 大量生産により部材購買力の差
 A 国内メーカーの品質へのこだわり=部材品質/価格差(→国内メーカーはオーバースペック品かも)
 B 旧式製造ライン生産でのコスト増
なんです。そりゃガラスを10万枚買うより50万枚買う方が安く買える!。
 結局、国内メーカーは投資のチャンスを逃した、いやチャンスと理解できなかった。経営の問題です。やっぱり大量生産しないと安くはできません。

現場にいるものとしては、それが実体と認識しています。技術革新云々の話がありますが、こと太陽電池の場合、製造技術があまりにもコモディティー化していまい、一気呵成に資本投下して大量生産する中国、台湾、韓国勢の前に、そのアドバンテージも吹き飛んだというのが実際です。また早くに生産を始めたが上に旧式の、半自動ラインも現役で動かしており、そのようなラインでの生産歩留まりは、最新式ラインより劣ります。メンテ費用は嵩み、オペレーターの数もたくさん必要であり、コストが下がらない。国内メーカーのジレンマとなっているようです。
技術開発の話でこのコスト差を議論するのではなく、経営背景/経営思想ともいうべきところで、色々あるように思います。
最後に国内メーカーが生き残る選択の機会があったかどうかいつことを、考えているのですが、どの国内メーカーでも、その機会(あの時もっと増産投資をしておけばというような時のこと)に、打って出るようなやんちゃなリーダーは居なかったし、またそんな人材も当時の国内メーカーには居なかった、そのことが敗戦の理由かなあと思います。
他にも色々細かいところでは言いたいこともあります。シャープ、京セラ、三洋という個別のメーカーの配線原因もありますが、大きいところでは上記のような理由で、コストの差がついたということです。
Posted by 業界人M at 2016年09月15日 15:40
Posted by 管理人 at 2016年09月15日 15:52
この頁の議論は、観念論が多く、数字を使った議論がほとんどない。観念論でいくら議論しても、結果は出ない。一番まともなのは、前述の業界人だろうか。できれば、数字を出して欲しかったが。

私は2011年6月に初めて太陽電池を購入した。計画停電が夏にあるかも知れないと報道され、夏に計画停電などしたら、母が熱射病になる恐れがあったからである。

私は恥ずかしながら、環境科学大学院を出ている。その私ですら、2011年まで太陽電池を購入していなかった。高価だと思い込んでいたからである。

私の太陽電池価格に対する知識は、2002年当たりで止まっており、2.5kwで600万円程度だったろうか。

だが、2011年に購入してみて、その認識が間違っていた事を思い知らされた。

2011年6月で2.5kwで160万円に激減していたのである。それも、三洋電機の高価なタイプである。(京セラやシャープなら、100万円)

そして、私が太陽電池を購入した翌年、同型モデルの価格は100万円に下落した。

もはや、太陽電池は、電力会社の供給価格を凌駕する価格、即ち、自由競争に勝てる価格にまで下落したのである。

さて、21世紀現在、日本で一般家庭に供給されている電力料金を紹介しよう。1kw当たり約35円である。一般家庭向けには、逆従量制と言って、使えば使うほど高くなるのが日本の電力で、月間300kwを超える私の家では、kw当たり35円の最高価格となる。

翻って、太陽電池の買取価格は、2011年当時ではkw当たり42円で、充分経済的に成り立つ価格となった。

この買取価格こそが、補助金(正確には、電力料金から徴収)の最も大きなポイントであり、2011年当時支給された補助金の20万円は、全然大きくない。

太陽電池電力の買取価格42円/kwは、10年で投資の元が取れる計算となる。10年で元が取れてしまうので、10年以降は、一方的に私が儲かる事となる。(つまり、10年以降は電力タダ)

加えて重要なのが、太陽電池の長期性能である。太陽電池は、昼間、激しい太陽光にさらされる。従って、いつかは劣化してゆく運命なのだが、それが数年先と数十年先では、全く事情が異なる。

数年で劣化してしまっては、元も子もないのである。しかし、さすが日本製。現在、丸5年が経過したが、劣化するどころか、逆に、5%程度、発電量が増えている。(これが三洋電機HITの特徴らしい)

最近では、実績に伴って、20年保証をする家電メーカーも出てきている。

もはや、太陽電池を買わないのは、計算ができないバカ国民だけである。頭の良い金持ちは、そろばんづくで計算して、次々と太陽電池を購入している。

さて、現在の心配事は、太陽電池の電力買取価格が37円程度に下落した事だが、これは太陽電池の実売価格の低下で吸収されている。2.5kwで100万円なら、買取価格35円が10年後の損益分岐点となる。

もっとも、太陽電池が30年長持ちすれば、買取価格12円でも、30年で元が取れる。

太陽電池の耐久性こそは、太陽電池発電の肝なのである。そして、それが最も長期なのが日本製の太陽電池である。

よく言われる”数年で発電量低下”は、中国製によく見られる現象である。

世界の太陽電池価格は、最も購入量の多い、中東の資産家によって決まるが、彼らはバカなので、長期性能を全く無視している。故に、中国の太陽電池がバカ売れして、日本製が売れない原因となっている。(中東での営業担当が輪をかけてバカなので、資産家を説得できない)

中東の金持ちおバカさん達が、性能の劣化に気付いて、日本製に回帰するのを待つしかないだろうが、まあ、私個人に限っては、太陽電池の購入によって、将来の電力料金を少なく抑える事ができている。

私は、現在の性能が30年程度継続すると予測しているので、想定電力料金は10円程度であり、火力と充分に勝負できる。(火力の原価は、円安で11円に上昇)

もはや、議論の余地はない程に、太陽電池の長期性能向上と価格下落が起きているのだ。頭の良い金持ちは、次々とメガソーラー発電に参入し、バカな一般家庭は、東京電力の値上げに何も感じる事なく、延々と電力会社にカネを払い、原発が続く元(=カネ)を作っているのである。

少なくとも、原発反対派こそは、太陽電池を購入して電力会社に一泡吹かせてやるべきなのだが、原発反対派は、それができていないのが、悲しきかな、現状である。

ちなみに、原発反対派の菅元総理が太陽電池を購入したのは、2013年頃、吉永小百合が購入したのが2014年。遅いよ!(コマーシャルでてるのに、購入していない!)
Posted by PERO at 2016年12月30日 14:43
太陽電池が売れない原因は、日本人の思考パターンが原因である。日本人には、論理的思考を無視し、”無意識的な直感”を重視する傾向が強いからだ。

私は製薬研究者なので、理化学の分析装置をよく使用するが、新しい装置が出ると、必ず、営業から話を聞く。そして、性能がよければ、買う。

ところが、上司を始めとして、同僚までもが私の購入に異を唱える。

”実績が無いから”

と言うのだが、実績は既にメーカー側の試験データが出ているのだ。

それにもめげず、私はその装置を購入し、使い続けていたのだが、3年程度経つと、周りが購入を始めた。

そして、ある日、同僚の一人が”標準使用”に決めると言い出した。これには、私が反論を唱えた。装置は、目的次第であり、標準化する事には問題がある。

ところが、標準化は決まってしまった。

何故、彼らは初期導入に反対し、使い始めると標準化という暴挙を行うのだろうか?

彼らにとっては、”無意識の感覚”こそが最も重要な”判定基準”なのである。動物が火を恐れる様に、初めて見た装置を恐れるのである。

そして、装置の使用が広まるにつれ、”隣が使っているから”という理由で使い始め、”心理的に慣れる”と、今度は理由無く、使用を強制する。

つまり、日本人には、”論理的に考える頭”は存在しないのだ。

”何となく説得されてしまう書き味の良い論評”が大好きで、無意識のツボを突いた政治家が成功する仕組みである。(小泉とか(笑))

そう考えると、戦争・社会問題などがこれに当てはまる。最初は戦争を恐れているのに、日常化すると、それに慣れてしまい、戦争を賛美する。

日本の電力料金は、先進国で世界一高いのに、誰もそれを議論しない。

国民の意見は、個人の意見などではなく、マスコミが流布する”ウワサ話”をオウム返しに繰り返す、単なる5歳児の独り言に過ぎない。

現在の自民党は、5歳児を騙す連中に過ぎないのだが、これを看破する事ができないのが国民である。思考が存在しないからである。

まあ、考えてみれば、国民の半数は偏差値50以下のバカなんだから、しょうがないが。

実際、1945年に昭和天皇が終戦を決意しなければ、日本に原爆が7個落とされ、全てが廃墟と化していた。”1億総玉砕”という東条英機の言葉に従う国民は、古今東西、日本人だけだろう。

つまるところ、日本人は宗教的民族のままである。政府は働けと言えば働き(高度経済成長)、遊べと言えば遊び(バブル)、死ねと言われれば死ぬ(戦中)。

たまたま、戦後70年に渡って、比較的良心的な政権が続いただけの事だ。

日本が科学技術の国? 科学や技術を理解している国民が何%居るだろうか? 日本人は科学技術の恩恵を得ているだけで、それを理解するのは、ほんの一握りの技術者・研究者のみである。

現在の日本人は、テレビやネットを”神”とあがめる単なる宗教国家に過ぎない。それは、ネット民でも同様である。

テレビが”太陽電池はお得”と言わない限り、太陽電池は普及しないのである。

サントリ○は、混ぜ物ウイスキーで有名な会社だったが、コマーシャルで大儲けした。一方、サントリ○のウイスキー醸造の創生者であるマッサンは、混ぜ物商売に嫌気が差し、ピュアモルトのニッカを創業した。

どっちが売れただろうか? コマーシャルのサントリ○である。

単純な幼児、それが日本人の正体である。
Posted by PERO at 2016年12月30日 15:27
面白い論戦が交わされているので私も一言。既に退職していますが私もこの業界に居たエンジニアの一人です。私は2016年9月15日にポストされた業界人さんの意見に基本的に賛成です。この海外と日本のモジュ−ルコストに大きな差が付いた原因として私は更に結晶系と薄膜系が辿った運命の違いがあったと思います。元々太陽電池はシリコンウエハ−にPN半導体構造を付与し封止材というやわらかなプラスチックに挟んで強化ガラスに貼り付ける結晶系がほとんどでした。しかし太陽電池市場の拡大に伴い主に欧州系が独占していたシリコン価格は暴騰しそれをきらった日本のS社は真空蒸着という手法でシリコンウエハ−の100分の1という薄さでPN半導体構造を形成する薄膜系の製造技術を確立し大阪に年間1GWもの生産能力を擁する工場を建てました。ここまでは順調に見えました。しかし中国企業は自らシリコンウエハ−の製造に着手し大規模なシリコン製造工場を立ち上げ原料からモジュ−ルまでの一貫製造体制を作り上げました。薄膜系は高価な製造装置と複雑なプロセス管理が必要である上、発電効率では結晶系に10〜20%ほど及びません。シリコン価格の急激な下落によって薄膜系は競争力を失い液晶パネルの失敗もあって世界最大のパネル供給者であったS社は今日台湾企業の傘下となっています。国内の結晶系メーカ−は生き延びていますが雇用を重視する地方政府に資金面で支えられている中国メ−カ−には規模で太刀打ちできません。一言でいえば日本の太陽電池産業は中国の国家社会主義に負けたということで決して技術開発を怠った訳ではありません。日本で儲かったのは装置メ−カ−です。コモディテ−化したモジュ−ルの製造装置や薄膜製造装置を作ったU社などは立派な社屋を建てています。日本でまだ薄膜系を製造している会社が宮崎県にあります。こちらは純国産ということである程度のシェアを確保していますが発電効率はやはり結晶系に劣るため近年は苦しいようです。品質が悪いと言われていた中国製もTUFやULなど国際規格はずっと前からクリアしており(国産はクリアしていないものがある)安い中国パネルのNET販売も国内で始まっていることから今後益々国内勢は難しくなるでしょう。

Posted by 立ち読み at 2017年07月13日 12:21
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