──
視覚障害者のホーム転落事故があった。地下鉄銀座線で。
→ 東京新聞:盲導犬連れ男性の転落死亡事故
これについて、「対策せよ」という声が多い。
→ 視覚障害者の4割「ホーム転落」、転落事故を防ぐには - TBS
特に、「ホームドアを設置せよ」という声が多い。
→ 視覚障害者の安全を守りたい : 社説 : 読売新聞
→ 転落事故のホーム 視覚障害者が危険性を検証 | NHKニュース
→ ホーム転落事故 利用者本位の対策を急げ- 産経ニュース
→ ホーム転落事故は「駅員増員」だけで防げるか | 東洋経済
だが、ホームドアの設置は進まない。さんざん提唱されてきたのに、普及率は現在、たったの7%だ。
→ 読売新聞・朝刊 2016-08-19
その理由は? 資金不足が主な理由だが、銀座線のようなトップクラスの乗客がいるところでは資金不足は理由にならない。(乗客がガラガラの南北線でさえホームドアだ。)
銀座線がホームドアを設置しない理由は、ホームの幅がたったの3メートルしかないからだ。
→ 読売新聞(上記)、東京新聞(上記)
幅3メートルのホームで、ホームドアを設置すると、残りは2メートル。とてもまともに通行ができなくなる。これが、銀座線でホームドアを設置しない理由だ。
→ 古い路線はホームに設置スペースを十分に確保することが難しい
では、ホームドアがせっちできないとしたら、どうする?
案1 電子警報装置
電子的な警報装置で、ホームに近づいた盲人に警告を発する、という案がある。
(1) ホーム末端の器具
ホーム末端に器具を置いて、転落を防ぐ、という案を前に出したことがある。ちょっと危険もあるが、足を踏みはずすよりはマシだろう。(名案というほどではない。)
→ ホームドアは必要ない
(2) 白杖に装置を付ける
白杖の先端に、微弱電波を検知するセンサーを埋め込む」という案もある。このあと、駅のホームの危険な箇所(転落しそうな箇所)には、微弱電波を発する半導体を埋め込む。こうして、本人に危険を警告する、という案だ。
→ 盲人の白杖のIT化
(3) スマホの理由
近年では、スマホが発達しているので、スマホにアプリを搭載することで何らかの解決策に導く、……という案もありそうだ。白杖のかわりにスマホを使うわけだ。
(4) 例外的なホームドア
ホームドアを設置できない特別な場合もある。私鉄の相互乗り入れで、ドアの停止位置が定まらないため、うまくホームドアを設置できない、という問題だ。これについては、私は前に解決案を提唱した。
→ ホームドアの解決策
その後、これとは別の原理で、ドアの位置のずれを解決する方式が出た。
→ 扉数・扉位置が異なる車両に対応した改良型ホームドア「どこでもドア」
→ 数億円の経費削減に成功した新型ホームドアの予想外な動きをご覧ください
最後の方式については、実験・試行したら、難点が見つかった。列車とドアの間の、狭い隙間に人が挟まれてしまう、という問題だ。
→ 転落なくなったが… ホームドアの思わぬ危険性とは(部分転載。前半のみ)
──
以上、(1)〜(4) を示したが、あまりうまい案ではないようだ。特に、そのすべてに(若干なりとも)工事が必要なので、一挙に解決というわけには行かない。とても即効性はない。
案2 自動運転方式
そこで私が画期的な名案を出そう。こうだ。
「自動車の自動運転技術を使う。ステレオカメラによって、周辺の立体構造の3次元データを取得して、足を踏みはずしそうな危険領域に近づいたら、警告を発する。また、常に方向を指示する。もっと右へ、とか、もっと左へ、とか」

自動運転車
自動車の自動運転技術で、単体カメラ方式でなく、ステレオカメラ方式なら、周辺の立体構造の3次元データを取得することができる。だから、あとは自動車の自動運転技術をそのまま利用することで、ユーザーに正しい方向を示すことができるわけだ。ここでは、自動運転技術は、ハンドルやブレーキを操作するかわりに、音声情報によってユーザーに方向を教えるわけだ。
※ カメラで撮影した情報を、コンピュータで分析して、
分析結果の案内を音声で伝達する。イヤホン経由。
これぞ、名案中の名案だろう。この装置さえあれば、どんなホームであっても、きちんと対応できる。ホームの側には、何の装置も必要ない。ユーザーの側に、自動運転用の装置があれば済むのだ。
名称は、「自動運転装置」というよりは、「歩行案内装置」というふうになるだろうが。
《 参考 》
小型カメラを収納したメガネ
http://amzn.to/2brYLaL
耳にかける開放型イヤホン(有線)
http://amzn.to/2bCgWbh
耳にかける開放型イヤホン(無線)
http://amzn.to/2bCgE4m
[ 付記1 ]
IT技術を視覚障害者のために役立てる、という点では、iPhoneが圧倒的に進んでいる。
→ 盲目のiPhoneユーザーに聞いた、視覚を使わない驚きのスマホ操作術
この点では、Android は、遠く及ばないようだ。( → はてなブックマーク のコメント)
[ 付記2 ]
上の記事を調べている途中で、新たに気づいた情報がある。
→ 視覚障害者のための「歩行ナビ」AndroidアプリをGoogleが提供開始
これは、本項の提案に似ている。本項の提案は、駅のホームに限られたものだが、上の技術は、一般の地上でなされるもののようだ。(ステレオカメラによる自動運転技術は使わない。その意味で、本項の提案とは、まったく違う。だが、アイデアは似ている。技術的にはまったく低レベルで済むので、! 実面よりは応用面で意義がある。)
ただ、この記事は、2010年10月12日の記事だ。その後はどうなったことやら。……と思って、検索してみた結果は、下記。
→ 歩行ナビ Android 音声 - Google 検索
→ 歩行ナビ iPhone 音声 - Google 検索
この点では、Google が優れているようだ。(駅のホームの危険回避には使えないが。)
→ http://amzn.to/2bCcetZ
私の想定:
ヘアバンド式でカメラを二個装着。
撮影情報は、無線または有線で本体へ。本体はスマホみたいなもの。ポケットへ入れる。
本体から無線または有線で、開放型のイヤホンへ音声情報。
本人は開放型イヤホンの音声を聞く。
なお、メガネ形のスパイカメラもあります。
→ http://amzn.to/2b3aLRN
・ステレオカメラなら二眼間距離を自由にした演算は現状負荷が高く非実用
・ジャイロも含めて装着毎にキャリブレーションが必須
・ズレるとキャリブレーションし直しとなるため強固な装着が必要となり、装着者の不快感などが懸念
・揺れの少ない頭部への装着がベターだが、前項より不快感などがより懸念となる
未来技術願望に思えますね。
重量の点は置いておくとして、低速狭域測距にステレオカメラは下策です。過剰ですね。
・視覚障害者の歩行速度程度の低速
・測距範囲は半径5m程度でいい
と仮定した場合、赤外線や超音波が適切です。
キャリブレーションもステレオカメラほど厳密にする必要がなくなります。
ググれば事故現場の写真が容易に見つかります。ホームを階段などで占領されたためわずかな空間が通路になっています。さらに柱が立っているためなおさら狭くなります。非常に狭い通路です。
点字ブロックに柱が若干食い込むほどの狭隘さです。
通勤時に似たようなところを通ります。電車が進入してきたら私なら柱の手前で待つか、反対ホームに移動して進行しますね。
健常者でも電車進入時には近寄りたくない場所です。どのような測距装置を用いようと、電車進入時は危険なので近寄らないのが正解です。
根本原因は狭さなのでこれの解決が最善手です。
時間と金がかかりますが、中長期的にはここの改善をしなくてはなりません。
・狭隘通路など危険個所に点字ブロックを敷かない
・現状でも車いすなど歩行困難者には当たり前に駅員が随行するので、狭隘通路のある駅はそれに倣う。(健常者助力でも可)
・ホーム設置型センサー(ステレオカメラに拘泥してもいいですが、先述他にミリ波でも可能)での監視など。(ただし狭隘通路部ではセンサーに引っかかりまくるでしょうね)
などが容易に思いつきます。
それぞれデメリットなどもあるので事業者側も含めて導入に躊躇しているのだろうことも容易に推測できてしまいます。
法や省令で整えるのが常道でしょう。安全が最優先です。
短期的に実現不可能な未来技術は不要です。名案と言うより迷案でしょうか?
一つの技術に拘泥しないのも重要です。視野を狭くしてしまいますね。
迷案より前の部分はよいまとめでした。
そんなわけないでしょ。自動車用じゃないんだから、解像度は低くていいし、1秒間に1コマでもいい。ざっと見て、自動車用の1万分の1ぐらいの演算能力で済む。
電池使用量も同様。液晶モニタがなくて、かわりにイヤホンを使うのだから、この点でも消費電力は少ない。
> 赤外線や超音波が適切です。
全然ダメです。安全マージンが少ない。単眼カメラを前提とした場合、赤外線なら、穴と黒との区別が付かない。
超音波の場合、つるつるの床で反射がないから、測定不能。
いずれも、安全性が著しく劣る。エラー続発。
あのね。カメラというのは、今はスマホにはみんな搭載されているんです。超軽量で、超小型で、激安です。昔のカメラと混同しないでください。
> キャリブレーション
そんなものは必要ない。画像そのものは必要ないからだ。単に「右に行け」とか「止まれ」とかの音声が出るだけだ。キャリブレーションの出番はない。
> 短期的に実現不可能な未来技術
自動車の自動運転技術が5年以内に実用化するので、それを応用すれば簡単です。近未来技術。