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初期の地球に植物はあったか? なかった。なぜなら、植物が生えるための土壌がなかったからだ。あるのはただ、火山活動などによってできた岩石や溶岩や火山灰などだけだった。
その後、岩石や溶岩は風化して、細かくなって、水分を保湿するようになった。特に、表面はそうだ。そうなると、そこにコケが生えるようになった。
コケが生えると、コケの死骸が積み重なって、土壌ができた。土壌ができると、そこにシダ類や裸子植物などが生育できるようになった。その後は、被子植物も生育できるようになった。
以上が、地球における土壌と植物の形成の歴史だ。簡単にまとめてみた。
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もっと詳しい情報は、下記に記した。
→ 農業と関東ローム層 : nando ブログ
ここから、一部抜粋する形で、転載しよう。(以下、転載)
──(転載開始)
実は、火山灰の土地でも、長い時間がたつと、植物が生えるので、その後は、腐葉土などが蓄積して、豊かな農耕地になることもある。
火山灰は農耕に不向きだと思われがちですが、これは新しい火山灰が酸性であって植物が育ちにくいのでそのように思われるのですが、風化と言う作用で火山噴出物も変化してきます。
日本のような雨の多い所では酸性も急激に減少し、十年単位で見れば急速に変わっていくのです。まずコケ類、草が生え、低木が生えてきてやがては立派な林に成ります。火山の噴火の有った土地は荒れ地に成りますが直ぐに再生が始まっていきます。火山の噴火が昔起こった所を訪ねてみて下さい。何処も立派な林、森に成っています
長い時間の中では火山噴出物は土、粘度等に変化し、地球上でも最も豊かな土壌を作り出します。世界の穀倉地帯と言われる所は火山の噴出物で出来た地形の所に存在し多くの実りを人類に与え多くの人口を支えています。
( → 知恵袋 )
ここで、「コケ類」という言葉が出てきたが、これはとても大切だ。もともと何もない火山灰の土地に、最初にコケ類が生える。コケ類が生えると、そこで保水された水分を元に、草や木が育つ。
[ 乾性遷移 ] 火山が流出した溶岩や火山灰層に成立する遷移で,最初は,雨が降っても水を蓄える力がなく乾燥してしまう。やがて溶岩の割れ目や砂礫の堆積した凹地などやや湿りけのある所に地衣類やコケ類が侵入して始まり,時間とともに草原から森林に変わっていく。
( → 植物学概論 )
コケ類や地衣類の胞子が風雨によって運ばれると考えられる。コケ類は岩のくぼみのようなところを中心にはえてくる。やがて、風や雨によって岩の表面は風化して砂礫が生じ、また、苔や地衣類の生育による有機物の蓄積により少しずつ土壌が成熟される。
ある程度の量の土壌が蓄積すれば、草本が侵入することができるようになる。
( → 遷移 (生物学) - Wikipedia )
このように、火山灰の土地でも、かなり長い時間がたてば、農耕に適するようになる。
──(転載終了)
別の話を引用すると、次の情報もある。桜島の例だ。歴史的な遷移の順を示す。(前半のみ)
段階 | 特徴 | 例: 植物相の変化 |
裸地 (0年) | 岩石露出。岩石亀裂等に水のたまるところに 地衣類・コケ類の胞子が落ち発芽 溶岩: 表面凹地を利用しコロニー形成 | 蘚苔類・地衣・緑藻 火山灰・火山砂堆積地窪み: 高等植物 |
荒原 (1-20) | 地衣・藍藻類が生育し始め、これらが枯死し腐植ができ、保水性が高まり1年生植物侵入が増える | 20年: 溶岩上に地衣類 |
草原 (4-50) | 1年生植物が入り、その後越年生・多年生草本が多くなり多年生植物草原となる。その後、低木・陽樹実生が混じり始める | 50年: 草原 |
出典:火山遷移
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別の話もある。
そんな、岩や石ばかりの世界に、
養分が極端に少ない土地であっても、
栄養のほとんどを大気中の水分と光合成でまかなえる、
コケや地衣(ちい)類が進出してきます。
(地衣類は菌類と藻類など植物の共生体)
岩石の上を覆ったコケや地衣類は、
世代を重ねるごとにまるで土壌のように機能し、
たまたま飛んできたアカエゾマツのタネが、
何というか、奇跡的に発芽したと……。
( → ほぼ日刊イトイ新聞 )
要するに、今の豊かな植物は、いきなり地球上に誕生したのではない。まずはコケ類が誕生して、コケ類が土壌を用意した。その土壌の上に、高等な植物が生育して、多大な光合成をなすようになったのだ。
つまり、地球の植物相は、多段階を経て出現した。一種の進化のようなものだ。
この地球上で、いきなり何かが出現して、その何かが大量の光合成をなしたのではない。こういう勘違いをしてはいけない。
【 補説 】
何でこの話をしたかというと、見当違いの話が話題になったからだ。地球に酸素があるのはコケ類のおかげだ、という話。コケ類がいきなり出現して、いきなり大量の光合成をなし遂げた、という珍説。
《 4億年前の酸素急増、「コケ」が供給源か 》
動物や人間の繁栄を支えるのに十分な量の酸素を地球にもたらしたのは何かという謎は長年にわたり科学者らの頭を悩ませてきたが、この答えを「コケ」に見つけたとする新説が15日、発表された。
米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された研究論文によると、地球に初の安定した酸素の供給源をもたらし、知的生命体の繁栄を可能にしたのは、約4億7000万年前に始まったコケの増殖だったという。
教授は「控えめな存在であるコケの大発生が起きなければ、今日の地球に人間が一人も存在しなかった可能性がある」と話し、これらの植物が地球大気の酸素含有量を大幅に増加させたことが示唆されたと説明した。
一部の科学者らは、森林が酸素濃度の上昇をもたらしたとする説を提唱しているが、今回の研究はこれに異を唱えている。
研究チームは、コンピューターシミュレーションを用いて、過去の変化を再現し、コケ・地衣類が約4億4500万年前までに、地球の酸素の約30%を生成していた可能性があるとの推論に至った。コケの増殖に伴い、堆積岩に含まれる有機炭素の量が増加し、大気中の酸素濃度が急上昇したのだという。
この酸素の急増によって「可動性と知的能力を備えた大型動物も存在可能になった。これには人間も含まれている」と論文は述べている。
( → AFPBB News )
馬鹿馬鹿しい。コケの成長速度は、きわめて遅い。これはつまり、コケの光合成速度がきわめて低いということだ。
コケは、それ自体で、多大な光合成をなしたのではない。コケが土壌を形成することで、以後のシダ類・裸子植物・被子植物など(光合成を多大になす植物)が生育する基盤を用意したのだ。
こんなことは、植物学の基本だ。こういう基本も理解しないまま、「コンピューターシミュレーションを使ったから、私の見解は妥当です」と主張するなんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。コンピューターシミュレーションは、無知を正当化するための道具ではない。
何を研究している人かと思って、ググってみた結果は、本人のサイトだ。
→ Timothy Lenton University of Exeter
→ 教授ティム・レントン(Google 翻訳)
読めばわかるように、地球システムモデルの研究をしている。勝手にバーチャルな地球システムを作って、そのなかで遊んでいる。数字ごっこ。そして、その前提となる植物学の知識は、皆無に等しい。
これこそ、「砂上の楼閣」となる学問の見本だろう。
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教訓。
植物を繁殖させるためには、土壌が必要だ。しかしながら、虚構の楼閣を構築するためには、豊かな知識という土壌は必要ないのだ。無知という空虚さの上にさえ、砂上の楼閣を構築することはできる。
バーチャル・リアリティですかね?
【 補説 】
コケというのはかなり特異な生物なので、補足的に解説する。
コケというのは植物の一種だと思っている人が多いだろう。しかし、分類状は植物(そのうち最も原始的なもの)と見なされるが、その生活史を見ると、菌類にきわめて近いとわかる。
・ 生活史で胞子の時期がある。
・ 無性生殖と有性生殖の双方がある。
・ 雌雄同株と雌雄異株の双方がある。
・ 単体で生育するより、集団で生育する
これらの点は、普通の植物よりも、菌類に近い。
もちろん、「コケ類は菌類だ」というようなことはないのだが、それでも、普通の植物とは大きく違うことがわかる。「コケ類は菌類と植物の中間に当たる独特の生物だ」と思った方がいいかもしれない。「菌類から植物に進化する途中の一段階がコケ類だ」と考えてもいいかもしれない。
とはいえ、話はそれほど単純ではなく、コケ類は菌類とも普通の植物とも違う。また、全体としては、コケ類は一応は植物に分類される。
状況は非常に込み入っているので、ここで簡単に説明することはできない。読者は単に「複雑で大変だ」というふうにまとめておけばよさそうだ。詳しい事情は、下記サイトに要旨があるが、この要旨を理解するだけでも大変だ。
→ コケ植物(こけしょくぶつ)とは - コトバンク
タイムスタンプは 下記 ↓
以上が、地球における土壌と植物の形成の歴史だ。
以上の管理人さんの見解には同意しかねます。
植物の進化の過程(緑藻類→車軸藻類→コケ植物類→シダ植物類と言う説と、車軸藻類→シダ植物類の先祖→シダ植物類とコケ植物類に分かれる説がある)と
遷移の過程(コケ類・地衣類→草本類→陽生低木→陽生高木→陰生高木)をごっちゃにしているように思えるからです。
遷移の過程は数十年〜数万年の変化であり、その場所の植生は大きく変りますが、その場所に生えてきた新しい植物は別の場所から運ばれてきた胞子や種子から生えたものです。
遷移は、現在の地球でもあちこちで起こっています。その段階は様々で、一斉に起こるものでもありません。
進化の過程は、化石の変遷から変化が確認出来るのは数万年〜であり、地球の酸素濃度の増加・減少もそれ以上の年月を要していると思います。
この説(仮説)は、約4億7000万年前に始まったコケの増殖がこの時期の酸素の大幅増の原因だとするものでしょう。
コケ植物の光合成速度がシダ植物と比べてかなり小さいでしょうが、コケ植物の枯死体の分解速度が小さい場合には、数千万年かけて酸素の大幅増をもたらしたと考えることは可能だと思います。
ただし、私はこの仮説が正しいとは思った訳ではありません。
シダ植物の方がコケ植物よりかなり体が大きく、光合成速度が大きく、分解されずに残る枯死体が多かったと考えています。
分解されずに残る枯死体が多い分、コケ植物よりもシダ植物の方が、大気中の酸素の増加に大きく貢献したのではないかと考えます。
> ごっちゃにしているように思えるからです
ゴッチャにしているというより、ものすごく大局的にとらえている、というだけのことです。あまり細かく見ないで、おおざっぱに見ると、という話。おおまかにはこういうふうに見える、ということ。おおまかには共通性がある、とも言える。
あと、私の論じていることは、植物の進化の歴史ではなくて、「いかにして地球上に土壌が形成されたか」です。テーマをお間違えなく。植性の遷移は、テーマではありません。
> この説(仮説)は、約4億7000万年前に始まったコケの増殖がこの時期の酸素の大幅増の原因だとするものでしょう。
これについては、次の図を参照。
http://www.jlifeus.com/e-news/047/images/oxygenhistory.gif
地球の酸素濃度の歴史。これを見ればわかるように、4億7000万年前はカンブリア爆発以後のであり、多細胞植物の成長期。
図からわかるように、この時期は、急成長の時期ではなくて、停滞期だった!!
カンブリア爆発のころは、海の多細胞植物が増えた時期で、それで酸素濃度が高まった。
3億円前には、シダ類が出て、(炭酸ガス濃度が高い)高温状態の下で、圧倒的な酸素濃度拡大が起こった。
4億7000万年前は、それらの中間であって、あんまり増えていないんです。
また、植物が増えたとしても、陸上のコケ類ではなくて、海洋の植物プランクトンや海草などでしょう。
いずれコケに覆われて、と想像するとなんだか楽しみになります。
もっとも、その時まで私が生きている事は無いでしょうが。