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新千歳空港でテロ騒動があった。
《 新千歳空港の検査すり抜け、なぜ? 》
北海道の新千歳空港で5日、女性客が金属探知機の検査を受けずに飛行機に乗った。この影響で乗客約1千人が検査をやり直し、空港は大混乱。なぜ、女性はすり抜けられたのか。
( → 朝日新聞 2016-08-16 )
この件では、ポイントは三つある。
・ なぜ女性はすり抜けられたのか?
・ 女性を乗せたまま飛行機を飛ばしたこと。
・ 空港で検査済みの人々を再検査したこと。
それぞれ、順に述べよう。
なぜ女性はすり抜けられたのか?
これは、朝日の記事に詳しい。一部抜粋しよう。
女性が、新千歳空港の国内線ビル保安検査場Aで、搭乗券を読み取る機械に携帯電話をかざした。搭乗に必要な二次元バーコード画面がうまく読み取れずエラーがでた。
女性はその場にいた警備担当者に「必要なの?」と問いかけた。関係者によると、女性は搭乗までに時間がなく急いでいる様子だったという。
警備担当者はエア・ドゥの担当者に連絡をとるのに手間取り、数分間、女性から目を離した。女性はその間に、金属探知機の横にある車いすやペースメーカーの人たちが通るレーン(幅約1メートル)を通って保安区域に入った。
女性はすり抜けた後、飛行機に乗る直前の手続きでは「チケットを無くした」と話した。エア・ドゥはクレジットカードなどで本人と確認して搭乗を許可。女性が乗った飛行機は午後0時28分に出発した。
( → 朝日新聞 )
上のことで説明される。(大部分は既報だ。新しい情報はない。)
また、次の記事もある。
→ 新千歳空港すり抜け 女性客「出発が迫り焦ってしまった」
もっと詳しい話を知りたければ、ご自分で調べてください。特に謎はない。
女性を乗せたまま飛行機を飛ばしたこと
空港で再検査したということだが、当の女性が飛行機に乗って飛んでしまったのに、空港で再検査をしても仕方ないだろう。
・ 女性がテロリストなら、すでに飛行機にいるので、手遅れ。
・ 女性がテロリストでなければ、飛行機にいても、問題ない。
どうしてもテロを予防したいのであれば、飛び立った飛行機を空港に戻すべきだった。記事によれば、「 11便が欠航、約160便が遅れた」ということだが、むしろ、全便欠航とするべきだった。
ま、現実には、テロの危険などはほとんどないのだし、ただの手続きミスなんだから、大騒ぎするべきではなかった、と言える。
「不手際ですり抜けてしまった」
という現状を把握しなかったのが根本原因だ、と言える。そして、「テロリストかも」と思ったあとで、「飛行機を止める」という対策を取らなかったことも問題だ。
・ テロリストだと思うのならば全便欠航
・ テロリストだと思わないのならば放置
そのいずれかにするべきだった。
空港で検査済みの人々を再検査したこと
空港で検査済みの人々を再検査したというが、これが最大のナンセンスだ。これによって多大な被害が出たので、それによる損失を女性客に請求せよ、という意見もある。しかし、それは見当違いだ。
誰かがミスをして、それを見て誤解した人が、とんでもない大ミスをしたとしたら、その責任は、誰にあるか? 最初にミスをした人か? いや、それを見て大失敗した人だ。誰かが単にエラーを起こすことはよくあることだが、誰かがエラーをしたことに対してとんでもない大ミスを意図的になした人がいるなら、その責任はずっと大きい。
では、大ミスとは何か? こうだ。
「検査済みの人々を再検査しても、何の意味もない」
具体的に言おう。
女がゲートを抜けて、構内に入ったので、女が構内にいる誰かに爆発物を渡した可能性があるという。だから、構内に入った人を全員外に追い出して、あらためて再検査したという。
しかし、女が他人に爆発物を渡したとすれば、その他人は構外に出る前に、構内のどこかに爆発物を隠したはずだ。したがって、空港を閉鎖して、構内チェックを仔細に行なうならわかるが、人員の退出や再検査は無意味なのだ。
仮に女が爆弾をもっていたのなら、入場した客を追い出しても、女が渡した爆弾はなくせない。爆弾は構内にまだ残っているはずだ。それをくまなく調べることは、短時間ではとても困難だ。
→ 新千歳空港 フロアマップ
(外側が、出発口の向こう側)
→ 千歳空港 出発口 売店 - Google 画像検索
→ 新千歳空港 出発ロビー
画像検索の結果からわかるように、売店のあたりには、いくらでも爆発物を隠すところがある。出発ロビーのあたりにも、同様の場所はある。これらをシラミつぶしに探すわけには行くまい。出発までの時間は短時間だったのだから、なおさらだ。
要するに、爆発物があれば、爆発物は構内に残っていた可能性が多大だった。いったん爆発物を外に持ち出して、あらためて爆発物の所持の再検査をするなんて、まったく無意味なことだ。
こういう馬鹿げたことをする頭の論理が、今回のどうしようもない馬鹿さ加減だと言えるだろう。度しがたいね。
[ 付記1 ]
このことには、「馬が逃げてから厩(うまや)の扉を閉める」ということわざがぴったりだ。そんなことを今さらやっても手遅れだ、という意味。手遅れになるような無駄な保安作業をしても何の意味もない、ということ。
念のため、原文に当たる英語のことわざを知れ辺てみたら、次のフレーズだとわかった。(解説あり)
→ closing the stable door after the horse has bolted
→ shut/close the stable/barn door after the horse has bolted
[ 付記2 ]
じゃ、どうすればよかったか? それは、前にも書いた通り。
つまり、「検査しないで飛ばす」か、「運行停止にして丸1日かけて調べる」か、どちらかにするべきだった。
常識的には、女の身元は判明するのだから、大騒ぎするほどのことではなかった。
[ 付記3 ]
そもそも、飛行機だけでテロの心配をするというのが、根本的におかしいね。東京ドームのコンサートでテロの警戒をする、というのも同様だ。
テロの心配をするのならば、何よりも電車だろう。特に、新幹線だろう。その乗車の際に、いちいち全員をボディ・チェックするべきだ。(不可能だけどね。)
ま、要するに、「交通機関でテロのチェック」なんて、ほとんど無意味である。フランスの南仏(ニース)の例でもわかるように、テロなんて、どこでも起こりうる。「事前チェックで阻止しよう」何て考えたら、社会は著しく非効率化する。
テロのチェックは、「簡単にできるときに限ってやる」というのが正しい。航空機ならば、金属ゲートが設置できるので、そうすればいいだろう。そのくらいのチェックならば簡単だからだ。
ただし、プラスチック爆弾の検査は無理だろうね。相手が本気だったら、まず阻止はできないと思った方がいい。ま、気休め程度だ。
( ※ なのに、「検査が絶対に必要だ」と思って、何時間も遅延させるなんて、愚の骨頂だ、と言える。本末転倒気味。)
まあ、どこでもマニュアルは作成者に一任して、上のハンコを押す人は責任があるのにテニオハチェックしかしないので、想定外のことは起こりやすいです。
タイムスタンプは 下記 ↓
新幹線や東京ドームのテロであれば局所的なものですみますが、テロリストが飛行機を乗っ取るというようなことがあると、どこに被害が出るかわかりません。国会とか原発とか住宅密集地に突っ込むかもしれません。そうなると乗客はもちろんそれ以外の被害も甚大なものとなります。なので空港のセキュリティをほかと同列に扱うのは間違っています。
ある理由で,セキュリティチェックで止められたのですが
金属探知機を通らず奥に案内されました
そこで一人でしばらく待たされたのですが・・・
同じことをいつもやっているようですよ
それを言うなら、タンクローリーも全部チェックしないと。あと、大型トラックも全部。
というか、テロリストが爆弾を持っていると仮定したら、特に飛行機に限らず、日本中のどこでも爆弾の対象となりますよ。
逆に、「飛行機でビルに突入する」ということの対策は、「操縦席のドアをあけないこと」であって、「爆弾や金属のチェック」ではありません。爆弾や金属をいくらチェックしても、「飛行機乗っ取り」とは関係がありません。