相模原殺人では、今後の予防措置として、「措置入院をどうするか?」という話題がある。
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「事件の再発防止をどうするか?」というテーマで、「措置入院をどうするか?」ということが話題になっている。
→ 相模原殺傷事件 措置入院解除後にも目配りを : 社説 : 読売新聞
→ 措置入院、隔離回帰に危惧 相模原事件、再発防止へ検証:朝日新聞
→ 厚生労働省、措置入院の検証で初会合 相模原殺傷事件受け :日本経済新聞
新聞は三者三様だ。
読売新聞は、「治安維持が大事」という従来の立場から、措置入院を強化することに傾いているようだ。
朝日新聞は、「人権が大事」という従来の立場から、措置入院を強化することで患者の人権が制約されることを懸念しているようだ。
厚生労働省は、単に厚労省の方針を報道している。
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さて。私はどう考えるか?
まず、前出の話を示そう。
→ 精神異常者による大量殺人
→ 殺人愛好者による殺人
これを見て話を整理する。
(1) 犯罪として
犯罪としては、こうなる。
・ この犯罪は、きわめて大きな犯罪だ。(大量殺人)
・ 予告の時点で、小女子事件よりも大きい。(殺人予備)
(2) 精神異常
精神異常については、こうなる。
・ この犯人の精神は、正常と異常の中間にある。
・ 正常者としては、「精神異常」として逮捕を免れた。
・ 異常者としては、「治癒した」として措置入院を免れた。
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(1) の点からして、きわめて大きな犯罪であるとわかるし、予告の時点ですでに逮捕可能であったとわかる。「犯罪予告」という軽犯罪法違反ではなく、「殺人予備」というふうに認識できる。
(2) 「殺人予備」で認識できたならば、逮捕・告訴も可能だろう。ところが、精神鑑定を受けて、措置入院となった。ならば、そのまま措置入院を続ければいいのに、途中で「治癒した」として、退院した。
結果的に、「犯罪者でもなく狂人でもなく」という形で、どちらからもはみ出してしまった。「鳥でもなく獣でもない」というコウモリみたいに。
→ イソップ物語・鳥と獣とコウモリ
こういう「どっちつかず」となったことが、今回の事件を招いた原因の一つだ、と言える。
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とすれば、対策は、こうだ。
「犯罪者でもなく狂人でもなく、という形で、どちらからもはみ出すことがないようにする」
では、どうすればいい?
もちろん、「どっちつかず」というのを解消すればいいのだが、「どっちかにする」というよりは、「中間的なものについては新たに新分類項目を立てる」という方が妥当だろう。
比喩的に言えば、赤と青のどちらからも追い出された色に対しては、「黄色」とか「緑」とかの新分類項目を立てればいい。それと同様だ。
では、具体的には? 私の提案は、こうだ。
“「措置入院」ならぬ「措置禁固」という新分類を立てる。犯罪者ならば、「逮捕」。狂人ならば、「措置入院」。それらの中間ならば、「措置禁固」”
では、措置禁固とは? それは、次のようになる。
・ 犯罪者として、自由を剥奪される。
・ ただし、懲役はなく、禁固刑となる。
・ 患者と同様に、治療を受けられる。(実質、措置入院)
・ 治療が済んだ場合は、解放はされず、禁固刑へ移動。
最後の点が重要だ。治療が済んだあとは、社会に戻るのではなく、牢屋に戻る。
つまり、「病気だから免罪」というふうにはならない。「病気だから、服役はない」というふうにはなるが、自由は与えら得ないのだ。
このように、中間的な罰を与えれば、
「犯罪と狂気の中間にいる犯人には、懲役と措置入院の中間の処分をする」
という形で、道理が通るだろう。
これぞ名案……と私は考える。ただし、あくまで私見だ。
実際にそれが社会に受け入れられるかどうかは、また別の話。本項は、とりあえず、私の考えを述べておいた。
2016年08月15日
過去ログ
この法律は、Wikipedia で調べたところ、「すでに重大な犯罪を犯した人」が対象です。殺人などをすでにやった人。
今回の例では、殺人の請負なので、殺人はまだやっておらず、対象外です。
したがって、この法の趣旨は本項と同様ですが、内実は異なります。似て非なるもの、という感じですね。
参考情報として、ありがたく聞き入れておきます。情報ありがとうございました。
良いと思います「措置禁固」
麻薬や性犯罪も再犯率が高く刑務所で友を増やすので更生させる意味でも「措置禁固」を適用してもらいたいです