2016年08月12日

◆ 阿蘇大橋の不明学生

 阿蘇大橋の不明学生が発見された。土中に埋もれていると予想されたが、そうではなかった。

 ──

 熊本地震で崩れた阿蘇大橋を渡っていた(らしい)学生が行方不明になっていた。土砂崩れに巻き込まれて、土中に埋もれていると推定されていたが、重機の使用が無理だということで、捜索は中断されていた。
 《 地上から捜索打ち切り=不明大学生、二次災害恐れ 》
 熊本地震で最後の行方不明者となっている大学生大和晃さん(22)=熊本県阿蘇市=の捜索について、同県の蒲島郁夫知事は1日、県庁で記者団に「今のような形での捜索は本日で終了する」と述べた。二次災害の危険があることから、人員や重機を投入した南阿蘇村の現場の捜索は打ち切られた。ヘリコプターによる捜索に移行する。
 大和さんは16日、阿蘇大橋周辺で行方が分からなくなった。車で走行中に土砂崩れに巻き込まれたとみられる。
 県によると、警察や消防、自衛隊などは捜索に15日間で延べ約2500人を投入。警察犬のほか、無人重機やヘリなどによる捜索も実施した。
( → 時事ドットコム 2016/05/01

 その不明学生の遺体が、ようやく発見された。意外なことに、土中ではなく、現場の下流 400メートルの地点の水面だ。外から自動車が見える。
 晃さんの家族らが24日、同県南阿蘇村の川で車の一部を見つけた。当時、晃さんが乗っていた車と同じ黄色の車体や、ハイブリッド車を示すロゴの一部を確認したという。家族は25日午後にも車の引き揚げと早期の捜索再開を県に要望する。
 晃さんの父卓也さん、母忍さんらがこの日、河原を捜索。晃さんが土砂崩れに巻き込まれたとみられる阿蘇大橋の崩落現場の下流 300〜400メートル付近で車を見つけた。
( → 不明学生の車か、両親らが発見 朝日新聞 2016年7月24日


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 この画像は、遺族提供のもので、特に困難なく発見されたようだ。現場の画像は、テレビ局の報道でもわかる。
  → 熊本地震 不明学生の車発見か:テレビ東京
  → 熊本地震 不明男性捜索で見つかった遺体の収容作業
  → 熊本地震で不明の大学生か 南阿蘇村で遺体を収容

 特に見えにくいところに隠れていたわけではなく、空からヘリコプターかドローンで捜せばあっさり見つかるような場所だ。しかも、黄色い色は目立つし、大きさも大きい。これまで見つからなかったのが不思議なくらいだ。

 ──

 では、なぜ見つからなかったのか? 理由は一つしか思い当たらない。こうだ。
 「捜さなかったから」

 つまり、「土中に埋もれている」と思ったせいで、土の中だけを捜した。あるいは、「土中から はみ出た」と思って、土砂崩れの周囲だけを捜した。ここでは、「現場から 400メートルも下流」という場所は、最初から捜索の範囲外であったわけだ。……思い込みのせいで。

 これは、別の事件を思い起こさせる。
  → 不明男児 発見 の教訓
 北海道の不明男児は、警察がどれほど総力を上げて発見しようとしても、とうとう見つからなかった。なぜか? 捜索の範囲が狭すぎたからだ。不明男児は、警察の捜索の範囲の外に出て、どんどん歩いて行った。だから、警察はとうとう発見できなかった。

 阿蘇の事故も同様だ。遺体は捜索の範囲の外に流れていた。だから、遺体は発見できなかった。
 換言すれば、捜索隊は、あまりにも範囲を限定しすぎていた。勝手な思い込みで、範囲を限定していたせいで、どうでもいいところばかりを捜して、肝心の所を捜さなかった。

 この二つの事件は、「思考の盲点」と言えそうだが、それよりも、「最初から範囲を限定しすぎていた」というふうに、「思い込みゆえの失敗」と見なせるだろう。

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 実は、こういうことは、警察の世界では非常に多く見出される。「こいつが犯人だろう」と勝手に思い込んで、犯人の範囲を限定する。そのせいで、真犯人ではない人を誤認逮捕して、一方、真犯人を見逃す。

 (1) 大阪市の事件
  → 小6焼死再審、母親と同居男性に無罪判決
  → 東住吉事件 - Wikipedia

 (2) 八王子の事件
  → 八王子署、映像確認せず逮捕 誤認起訴疑いの傷害事件
  → 傷害事件の誤認起訴で中国人男性2人の起訴取り消し

 この二つの事件はいずれも、警察が「こいつが犯人だろう」と勝手に思い込んだ(決め込んだ)せいで、無実の人を逮捕して、真犯人を見逃した。視野を広く取ることができず、狭い視野だけにとらわれ続けた。

 こういう体質があるから、不明の大学生や小学生を捜すときにも、勝手な思い込みにとらわれて、広い視野で捜すことができなくなるのだ。

 ──

 結論。

 「思考における視野の狭さ」が、思考の範囲外にある真実を見失う結果となる。行方不明者であれ、犯罪者であれ、捜索するときには、捜索範囲を広く取るべきだ。というか、勝手な思い込みで、捜索範囲を最初から狭く限定するべきではない。



 [ 付記 ]
 今回は、国交省がドローンを投入して、阿蘇大橋の崩壊部分を撮影した。
  → 熊本地震:上空から見た被災地 国土地理院、ドローン撮影映像を公開

 だったら、この動画に黄色い自動車の車体が移っているのでは ……と思って捜してみたが、駄目だった。この動画は、土砂崩れの山面ばかりをやたらと撮影していて、川の方を撮影していない。水面はほとんどろくに見えないのだ。
 どうせなら、水面を撮影しておけば、あの黄色い自動車の車体も見えたのに……と惜しむ。
 ま、もともと捜そうという発想がなかったのが、根源なのだが。

 
posted by 管理人 at 23:24| Comment(0) |  震災(東北・熊本) | 更新情報をチェックする
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