2016年08月10日

◆ 4Kテレビが売れないわけ

 4Kテレビがあまり売れていない。そのわけは? 売り方を間違えているからだ。

 ──

 4Kテレビがあまり売れていない。最近はオリンピック特需で、けっこう売れているようだが、それまでは不人気だった。売場では4Kテレビがいっぱい並んでいるのだが、ユーザーが購入する気になれないらしくて、帰ってしまうことも多いようだ。
 値段はどうかというと、特に高いわけではない。アナログテレビから地デジに移行した直後の液晶テレビと同程度の価格だ。手が届かないわけではない。
 それでも、あのときは「アナログ放送が停波する」という強い買い換え意欲があったから、いっぱい売れた。今は、どっちみち地デジだし、見えないものが見えるようになるわけではない。そこで、あまり需要がない。

 だが、それだけではない。決定的な理由がある。
 「4Kのコンテンツがないので、4Kテレビを購入しても、映すものがない。従来の番組を見るしかない」

 ということだ。ここから、人々はこう思う。
 「なあんだ。同じ番組を見るだけか。だったら、同じ解像度だし、高い解像度のハードがあっても、宝の持ち腐れだな。何の意味もない」

 こう思って、店頭から帰ってしまうわけだ。
 しかし、これは勘違いである。

 ──

 これが勘違いだということは、あまり知られていない。
 実は、ネットでも、勘違いを促すような情報がある。
  → テレビは売れているのに対応コンテンツがない4Kの未来
 4Kテレビは、ハードはあってもソフトがない、というわけだ。

 しかし、本当は違う。4Kテレビには、「従来のハイビジョンを、4Kの密度にアップグレードする」という機能がある。だから、従来のハイビジョン放送を見ても、4倍の密度の4Kテレビで高精細に見ることが可能なのだ。

 これはどうしてかというと、「補間」という技術を使っているからだ。
 ま、これは、真の4K画像ではなく、疑似的な4K画像にすぎないのだが、それでもハイビジョンよりは高精細であることは実感できるだろう。(目のいい人ならば。)
 というわけで、「4Kテレビを買っても無駄」ということはないのだ。ただのハイビジョン放送を見ても、通常のハイビジョンテレビで見るときよりは、ずっと高品質の画像で見ることができるのだ。

 実は、この方式は、アップルの「レティナ」というディスプレイでも用いられている。元の画素数は低いとしても、一つの画素を4つの液晶画素に細かく分割して表現することで、4倍の密度の画像で、高精細に表現できる。見ているユーザーとしては、これが疑似的な4倍画素だとは気がつかない。そのくらい自然に表現できる。
 それと同様のことが、4Kテレビでもなされているのだ。

 ──

 ところが、以上の真実を、メーカーは宣伝しない。一部のメーカーは宣伝しているが、宣伝していないメーカーが多い。
 ちょっとメーカーのサイトを見たところでは、ちゃんと宣伝しているのはソニーぐらいだ。東芝とパナソニックは、まともに宣伝していないし、わかりにくい。だからユーザーは、「何だ、普通の番組を見たら、ハイビジョンと同じなのか」と誤認する。(本当はそうではないのだが。)

 ──

 今のメーカーの宣伝は、まったく間違っている。
 「4Kテレビはこれほど高品質の画像が可能です」
 というふうに、最大限のメリットを自慢するばかりだ。最大の長所を自慢するばかりだ。そこでユーザーが、「で、4K放送って、やっているの?」と尋ねると、「え……その……いいえ」と口を濁すしかない。馬鹿丸出し。
 「4Kテレビは最高性能が重要なのではありません。通常のハイビジョンテレビを、疑似的に高精細で表現できるのです」
 と正直に語るべきだ。あるいは単に、
 「ほら、こんなに高精細なんです。比べてみてください」
 と比較するべきだ。

 こういうことができるかできないかで、商売の上手下手が決まる。アップルはレティナディスプレイで大々的に売上げを伸ばした。同様の技術を使いながら、日本の会社は4Kテレビの販売に失敗している。
 技術の違いというより、宣伝の上手下手で、これほどにも差が付く。
 彼我を比べると、あまりの格差に、涙が出るね。まったく。



 [ 付記 ]
 今の4Kテレビは、そのままでは将来の4K放送には対応しない。しかし、4K放送用の別売チューナーを追加すれば、ちゃんと見ることができる。
 だから、将来的に無駄になることはない。特に心配は不要だ。



 【 追記 】

 従来方式のハイビジョンと、同じ画像を補正して4K画面で表示した場合との、比較画像を見たければ、こちらで。
  → アップコンバート 4Kテレビ - Google 検索

 疑似的な4K画像だが、かなり高精細だとわかる。

posted by 管理人 at 23:27| Comment(15) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
別売りチューナだけでは駄目です。
別売りアンテナ(左旋対応)、別売りブースター、その他場合によっては分配器なども変えないといけません。
今の4KTVは、4Kモニターと言ったほうが良いくらいです。
Posted by 通りすがり at 2016年08月13日 02:59
>別売りアンテナ(左旋対応)、別売りブースター、その他場合によっては分配器なども変えないといけません。

 それ、4KTV も同じでしょ? それとも、4KTV は、「別売りアンテナ(左旋対応)、別売りブースター、その他場合によっては分配器など」が、なしでも大丈夫なの? 違うでしょ。
 なお、ブースターはあまり意味ない。アンテナまたはチューナーとセットになっていることもあるからだ。
  → http://j.mp/2bmZZm5

> 今の4KTVは、4Kモニターと言ったほうが良いくらいです。

 そういう俗説があるが、誤りであり、正しくは「補間機能があるから全然違う」というのが、本項の趣旨です。読んでから書いてください。
Posted by 管理人 at 2016年08月13日 10:14
地デジレベルの画質をアップしても限界があるでしょう。
素直に4kの放送を始めれば売れます。
Posted by まだ早い at 2016年08月13日 22:25
 本項の話の対象は、主として、テレビが壊れて買い換えをする人です。

 地デジ切り替えの時期に買った人は、買い換えはまだまだ早い。
 だけど、ずっと前から液晶テレビにしていた人は、そろそろ買い換えや買い増しの時期となる。
 まあ、リッチ層向けの話です。

 あと、40インチ以上の大画面は、今では 4K しか売っていないようです。以前はハイビジョンも売っていたが、今では 4K だけ。4K 以外を買いたくても、売っていません。(かといって、32インチ以下だと、ハイビジョンでなく、1366x768 という粗い画像となる。)

 要するに、普通のハイビジョンテレビは、今では売っていません。買いたくても、買えない。
Posted by 管理人 at 2016年08月13日 23:00
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 4K の アップコンバートの比較画像。
Posted by 管理人 at 2016年08月14日 11:18
【 追記 】の4K の アップコンバートの比較画像を見てみました。
4KではないPCのモニタで比較画像を見ても違いがはっきりわかりますね。
それならアップコンバート機能を付けたフルHD方が安く作れそうな気がします。
というか地デジの圧縮のせいで悪化した画質を元に戻すためにアップコンバートは必須なのでは?と思いました。
Posted by 横断中 at 2016年08月14日 22:28
> 4KではないPCのモニタで比較画像を見ても違いがはっきりわかりますね。

 それは、画像を拡大しているからです。
 比較画像は、現実には、ものすごく小さい画像です。遠くから見たら、ほとんどわかりにくい。というか、そんな小さな画像は、テレビを見ているときには、いちいち見ません。テレビを見ているときには、画面全体を見ますから。

 アップコンバートがはっきりするのは、40インチ以上の画面を使ったとき。
Posted by 管理人 at 2016年08月14日 22:39
あ、そうでしたか。

>遠くから見たら、ほとんどわかりにくい。というか、そんな小さな画像は、テレビを見ているときには、いちいち見ません。
>テレビを見ているときには、画面全体を見ますから。

20インチのフルHDと40インチの4Kを比べると
画素数が増えて1x1dotが2x2dotになったとしても、画面全体が見える位置(20インチの時の倍の距離)まで離れて見ることになるので、画質はフルHDと変わらない気がします。
Posted by 横断中 at 2016年08月16日 10:51
確かに大きな4kも白色画面に見える画素の縁取りが見えない距離まで離れると、同じように見える小さなHD(2k)と画質に差は無いでしょう。これはその人の視力がモノを言います。
4K/8Kの隠れた課題は撮影側のジャストフォーカスの範囲です。焦点深度が深くなるように絞りを絞るといい画像になりますが、光量不足になりがちなので、この辺のバランスがなかなか難しいようです。
Posted by 京都の人 at 2016年08月16日 15:32
そもそも、どんなに高画質になっても見たい番組がないと感じている層が多いと思うので無意味な気もします
Posted by 和哉 at 2016年10月01日 21:48
↑ 高画質は単なる高精細のことではありません。高精細なら、現状でも、すでに人間の目では区別ができなくなりつつある。これ以上、高精細にしても、たぶん差がわからない。

 では、なぜ高精細テレビが大事かというと、大画面にできるからです。現状のハイビジョンだと、せいぜい 50インチぐらいまで。それ以上だと、画像のアラが目立つ。
 これに対して、8K ぐらいにすると、壁全体が画面であってもアラが目立たない。
 つまり、超高精細にする意味は、画像の緻密さではなくて、大画面化を可能にすることです。
 たとえば、部屋の画面に、等身大の女性がたっている。それがすごくリアルに見える。……こうなったら、今までのソフトとは、全然別のソフトが誕生します。
 たとえば、目の前で、石原さとみが直接こちらに話しかけてくるような感じがする。ドキドキしちゃいますね。

 大画面化というものがどれほど大きな効果をもたらすかは、万博などでやっていた IMAX などを体験すればわかります。自分の視野の全体が自然の風景になると、自分が本当に自然の風景のなかにいるような感じがする。

 画面の巨大化は、全く新しいコンテンツをもたらすのです。



Posted by 管理人 at 2016年10月01日 22:37
管理人さんの述べられているドキドキはこの時期開催されるCEATECで体験できるかもしれません。
電器屋さんでもそれなりに大画面の恩恵を感じられますが、ショーは専用コンテンツも準備しますので迫力が違うでしょう。
Posted by 京都の人 at 2016年10月02日 07:27
そもそも大画面のテレビの需要がそれほどないのではないでしょうか。家族でも大画面テレビはせいぜい一家に1台が限度でしょう。息子や娘の部屋にも大画面テレビを置いている家庭はあまりないと思います。

独り暮らしともなればさらに画質オタク以外の人は大画面4Kを買わないのでは。大きいので邪魔ですしね。

レンタルDVD店でも未だにブルーレイより圧倒的にDVDの数が多い事も、消費者が大画面高精細テレビに特に拘っていないという証拠になるのではないでしょうか。
Posted by 田中 at 2016年11月27日 02:29
↑同意。
企業の宣伝の問題ではなく、今以上の高精細がユーザのニーズがないからというの正解でしょう。企業の宣伝戦略は企業間のシェアの比率には関係するが、4Kテレビ全体のマーケットボリュームには関係しない。
Posted by 名無し at 2016年11月27日 09:22
そもそも今のテレビは最低でもハイビジョン(1366×768)なのにそれでDVD(720×480)を見て画質の悪さが気にならない・・もしくは気づかない・・と言うのは、まだまだ小さいテレビが主流なんだな・・と感じます。例えばワンランク上のフルハイビジョンテレビ(1920×1080)でDVDなんて見れたもんじゃないですから。画質にこだわりがなく見れればいい派がまだ大半かもしれません。4kテレビは現状タダで見れるのはYoutubeくらいで、ネット環境が無い人なら、それすら見れなので買っても4kを体感することが出来ないわけです。なおかつ2020年から始まる4k放送は基本BSで対応させるには金がかかりますし、また地デジが4kになる可能性はゼロに近いので、興味のない人なら一生4kにお目にかからないかもしれません。4k大画面テレビは汚い地デジもアプコンしてくれるので多少綺麗に見えますが、現状は4kコンテンツを利用できてこそ、その価値をフルに発揮してくれるモノだと思っています。興味の無い人はこのままでもTVが見れなくなるわけではないので無理におススメしませんが、様々なコンテンツでの4k映像や4kHDRなどの超高画質、4kTVでのブルーレイ画質を楽しめるのは、4kTVを買った人だけが体験できることです。
Posted by Z20X at 2017年03月15日 14:50
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