──
ハンマー投げの室伏広治が引退した。彼の業績の偉大さは言うまでもない。日本のスポーツ史上で傑出していると言える。いちいち私が紹介するまでもない。あちこちで紹介されている。
→ 偉大なる室伏広治、ついに現役引退
一方で、彼の母親は、外国人だが、夫(室伏の父)との不貞離婚後、貧困生活を送って、今では生活保護を受けているという。
「室伏さんの母親は生活保護を受けています。室伏さんからの援助は、いっさいないようです」(室伏の母の知人)
「室伏の両親は、彼が中学生のころに離婚しています。妹の由佳さんとともに父親の重信さんに引き取られ、母のセラフィナさんとはほぼ交流がない状態です」(スポーツ紙記者)
セラフィナさんが住んでいる自宅は、室伏の実家から車で10分ほどの距離にあった。建物の共益部分の窓ガラスは割れ、エントランスの屋根にはゴミが散乱していた。
一方、室伏の実家は豪華な一戸建てで、ガレージにはポルシェとレクサスの高級車が並んでいた。実母の状況を、室伏はどう受け止めているのか。所属するミズノに取材を申し込むと本人からのメール返答が届いた。
《私の父、母は、昭和63年2月25日に名古屋地裁にて協議離婚をしております。その際に親権は父に移っております。したがいまして、私と妹が母と何らかの関わり合いを持つ事は、父親に対して重大な裏切りだと認識しております。したがいまして今後も母親と接点を持っていく考えはありません》
( → 女性自身 )
まあ、他人の家庭のことに口を突っ込むつもりはないのだが、母親が極貧生活なのに、本人はポルシェとレクサスというのは、あまりにも差がひどすぎる。本人が普通の生活ならともかく、超豪華な富豪生活。「金持ちほどケチになる」を地で行っているわけだが、ケチる相手が自分の実母となると、ちょっと常軌を逸している。ほとんど虐待に近い。
これに対して室伏本人は、
「母と何らかの関わり合いを持つ事は、父親に対して重大な裏切りだと認識しております」
というが、現役を引退したのを機に、父親に問い質してみるといい。
「母親に金銭援助をすることは、父親に対する裏切りになるのだろうか?」
と。
たぶん父親は、こう答えるはずだ。
「いや、俺のことは別に何も考えなくていい。あいつのことはもう忘れた。どうでもいいことだ。ただ、あいつは、おまえの母親だ。血のつながった唯一の母親だ。その母親に対して金銭援助をしたいというのであれば、特に止めるつもりはない。また、俺に対する裏切りだと見なすことはない。確かにおれはあいつに裏切られて苦しい思いをしたが、だからといって今さら復讐したいというような思いはない。金銭援助するな、などというつもりはない」
さらに、こう言うだろう。
「これまで特に何も言わなかったのは、おまえには余計なことを考えず、競技に専念してもらいたかったからだ。何よりもおまえの人生を優先して、何も言わないできていた。しかし、おまえはもう引退した。だから、今はもうはっきりと言おう。おまえの人生はおまえの人生だ。おまえが好きなようにしていい。おれの気持ちなどは考えないでいい。おまえが母親を援助したからといって、それにケチを付けるつもりはない。おまえ一人の気持ちで好きなようにしていい」
ついでに言えば、母親は、こう思っているはずだ。
「私に対しては何も援助しなくて構いません。これまでもずっと貧しい生活に耐えてきました。いくら貧しくとも、金銭援助を乞うことはありませんでした。なぜなら、あなたの競技生活を第1に考えてきたからです。あなたの競技生活が充実したものになるのであれば、私がどれほど苦しい貧しい生活をしても、それは我慢できます。私が我慢することで、あなたの競技生活が少しでも充実するのであれば、それで私は満足です。息子の人生がとても豊かになるのであれば、私の生活がどれほど貧しくなっても構いません。私の生活のことなど無視して構いません。金銭援助など、しなくてもいいのです。私はもう、いつ死んでも構いません。あなたの競技生活が、これほどにも輝かしいものになって、日本中で認められたのですから、私には、これ以上、何も望むことはありません。これほど立派な息子を産んだことが、私の誇りです。そのあとも、会うことはできなくとも、いつもテレビや新聞などであなたの活躍を見守ってきました。こうして息子の成長を見守ることで、私の人生はとても充実したものになりました。広治。よく頑張りましたね。あなたがこれほど充実した競技人生を送れたことで、私はいつ死んでも満足です」
それが母親の思いだ。そういう思いを、理解してほしい。
彼は父親と暮らしたせいで、母親の愛情というものを知らずに育った。しかし、母親の愛情というものは、上記に述べたようなものなのだ。母親が無言でいるということは、母親の愛情がないということではない。むしろ、母親が無言でいるということは、母親の愛情がとても豊かだということなのだ。
その真実に気づいてほしい。母の愛や優しさを理解してほしい。……引退した今ならば。
────────
《 注記 》
人を憎んで生きる人生というのは、悲しいものだ。
特に、その相手が、自分を産んだ母であれば。
そして、特に、その憎しみの半分が誤解によるものであるならば。
※ 誤解や虚偽よりも真実を、というのが本サイトのポリシーです。
[ 付記 ]
彼はこれまで、おのれに対して極端に厳しい人生を送ってきたはずだ。おのれのことだけを考え、他人のことは考えなかった。
しかし今後は、彼はスポーツの世界で、指導者として他人を指導する立場となる。とすれば、他人の心を理解することが大切だ。
人の過ちを許し、人の優しさを理解するということは、彼の今後の指導者としての人生を豊かにするはずだ。厳しさはおのれにだけ向ければいいのであって、他人に向けるべきではない。そのことに気づくかどうかで、指導者として成功するかどうかが決まる。
※ 柔道の井上康生は、そのことに気づいたので、指導者として成功している。彼以前の指導者は、他人に対して厳しすぎたので、失敗していることが多い。……というか、日本のたいていの指導者は、他人に対して厳しすぎることで失敗している。
※ その典型が、阪神の金本監督だ。(現役時代の)おのれに対する厳しさと同じものを、今の選手に求めている。その結果は、圧倒的な最下位だ。昨年の好成績から、開幕前には優勝候補にも上げられていたのに、今や惨憺たる結果だ。……人の心を理解できない人物が監督になると、こういう結果になる。
【 関連サイト 】
→ 室伏広治の弟が悲痛激白
母親の画像あり。室伏と仲良く暮らしているころ。