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前項で示したのは遊水池だった。これは普段から水が溜まっている池なので、遊水池である。
一方、同じように洪水調節機能があるとしても、普段は水が溜まっていない場合には、池ではないので、遊水池でなく、遊水地と呼ばれる。
( ※ Wikipedia では特にはっきり区別されていないようだが。)
池のある遊水池の代表的な例は、前にも示した 渡良瀬遊水池 である。(渡良瀬遊水地とも書く。)
池のない遊水地としては、関東では、新横浜の日産スタジアムの周辺の遊水地が有名だ。鶴見川多目的遊水地 という。新横浜公園の一部としてある。
ここが、洪水調整用の遊水地として、十分に機能している。2014年の大雨のときには、意図的に越流堤から氾濫させることで、この場所を水浸しにした。そのことで、周辺の洪水被害を回避させた。
このことが文書として公開されている。
→ 記者発表資料(PDF)
ただし PDF なので、閲覧しにくい。そこで、この PDF の一部を画像として転載しよう。
以下、転載。
2014年10月16日の台風による大雨の影響。
鶴見川流域には、台風18号により流域平均で322mmの大雨が降りました。
20,000戸以上の浸水被害があった戦後最大の雨量343mm(狩野川台風S33.9)に迫る雨量となり、一部、氾濫危険水位を超過しましたが、鶴見川本川から洪水氾濫せず、流域全体でも浸水家屋は数件でした。
鶴見川では、流域が一丸となって総合治水対策に取り組んでおり、その一環である鶴見川多目的遊水地では、過去最大の洪水調節(約154万m3 )を実施しました。鶴見川多目的遊水地では、湛水深が最大3.4m、日産スタジアムの下で1.9mに達しました。
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0.9メートルの水位低減効果。
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過去の事例
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越流堤から水が越流する。
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平常時と氾濫時の比較。鶴見川多目的遊水地
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平常時と氾濫時の比較。日産スタジアム周辺。
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氾濫時における日産スタジアム。
※
日産スタジアムが床上浸水しているが、スタンドは高いので大丈夫。
フィールドは、どうなったか知らないが、たぶん大丈夫。浸水に備えて、高さを2メートルぐらいかさ上げしてあるはずだ。当然。
【 関連サイト 】
このときの周辺の被害状況を写真で撮影した人がたくさんいる。その写真。
→ 台風18号被害状況 - 日産スタジアム(新横浜公園)スタッフブログ
→ 現地画像 10月6日 洪水被害を低減させる、日産スタジアム周辺(遊水地)がすごい。
→ 【有能】日産スタジアムがほぼ冠水し予定通り貯水池に変身!
【 追記 】
その後の調べで、利根川にも巨大な遊水池があることが判明した。これについて、別項で記した。
→ 利根川の遊水地