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ミリ波レーダーには難点がある、というふうに前に記した。
→ ミリ波レーダーの限界(自動運転)
ここでは、テスラの衝突事故を教訓として、いくつかの難点を示した。特に問題なのは、「分解能が低い」ということだ。単に前方に電波を発信して、その反射波を得るだけでは、分解能がほとんどないわけだから、誤認を避けがたい。
テスラの場合には、「トラックの床が高いので、電波がトラックの床下を素通りして、何も検知しなかった」というふうに想定されている。
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しかし、考えてみればわかるように、レーダーというものは分解能を高くすることが可能だ。
(i) 発信体とアンテナが回転することで、高い分解能を得ることができる。
(ii) 半導体を平面状に敷き詰めて、そこから位相差のある電波を発信することで、(i) と同等の効果を得ることができる。(フェーズドアレイレーダー)
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上の (i) (ii) を見たあとで、「同じことが、ミリ波レーダーでもできるはずだ」と思って、調べてみた。すると、まさしくそうだとわかった。
つまり、こうだ。
・ 最先端のレーダーは、高い分解能を持つ。
・ したがって、歩行者の形も検知できる。
(自動ブレーキが歩行者にも対策できる。)
この二点は、旧式のミリ波レーダーとは大きく異なるもので、旧来の難点を克服していると言える。
※ 人間の電波反射率が低いのが、残る難点だが、これは感度を高めることで、克服できるようだ。
結論は、すぐ上に述べた通り。
以下では、結論の典拠となるような情報を紹介しよう。(詳しくは各サイトを見てほしい。)
(1) トヨタ
→ 四つの方式
→ その解説
分解能を得る方式が説明されている。トヨタのサイト。さすがに、トヨタはミリ波レーダーの研究が進んでいるようだ。
(2) パナソニック
→ さまざまな解説
詳しい解説が書いてある。パナソニックがこの種の機械で先進的技術を開発しているとは思わなかった。現時点で最高水準を示しているようだ。(少なくとも解説文書ではそうだ。)
この文書を読むことをお薦めする。(私はいちいち解説しない。)
(3) 富士通
→ 富士通テンがミリ波レーダーの開発を加速、2018年に第3世代へ進化(記事)
富士通(富士通テン)も、古くからミリ波レーダーを開発して販売しているようだ。しかし、上の記事を見る限り、時代の流れに取り残されているようだ。価格は 10万円を割るというような話。海外企業がずっと前に3万円となっているのと比べて、圧倒的に遅れている。
「ミリ波レーダーも技術革新で安価なものが開発されているはずだ」と思って、検索してみたところ、さっそく見つかった。
→ ドイツの独立メーカーのミリ波レーダー
どんどんコストが下落して、2014年7月発売のものでは約250ユーロ(3万円弱)となっている。格安ですね。
( → ミリ波レーダーの限界(自動運転): Open ブログ )
2年前(2014年7月)で3万円弱。富士通はこれにはまったく対抗できない。ま、富士通に限らず、日本の電気系メーカーはみんな負け組だろうが。
ともあれ、世界の技術は、どんどん進歩しつつあるわけだ。性能的にも、コスト的にも。
http://news.infoseek.co.jp/article/president_18562