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都合の悪いことはすべて隠蔽する安倍政権の方針で、集団安保の件はだんまりになっているが、それとは別に、浜岡原発の再稼働の件もある。こちらも選挙中は、だんまりだ。
実は、安倍政権は原発を次々と再稼働する方針である。
→ 新基準適合の原発、再稼働進める方針に変わりない=安倍首相
ここで、再稼働する原発の一覧は、これだ。
→ 2016年は原子力発電の再稼働元年になる
ここには、浜岡原発も含まれる。申請は下記だ。
【中部電力(254万kw再稼働申請中)】
・浜岡原発4号機(114万kw) → h26.2.14再稼働申請
・ 同 3号機(110万kw) → h27.6.16再稼働申請
報道もある。
→ 浜岡原発に関するトピックス:朝日新聞デジタル
当然ながら、参院選のあとは、安倍首相は「国民の支持を得た」という理由で、浜岡原発を再稼働させるつもりだ。国民としては「そんなことでは支持していないぞ」と文句を言いたくなるだろうが、後の祭り。
だいたい、安倍首相は、福島原発の安全対策を手抜きして、福島原発の事故をもたらした張本人である。下記に、安倍晋三の答弁(2006年12月)がある。
→ 安倍晋三のデマ(海水注入の中止) の 【 追記 】
一部抜粋すると、こうだ。
Q(吉井英勝):原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか
A(安倍晋三):そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない。
福島原発の暴走の危険性は、国会ですでに指摘されていた。にもかかわらず、「そんなことは起こらないから、被害予測や復旧シナリオは不要だ」と述べて、万一の場合への対策を手抜きした。
特に、「電源が落ちた」という場合の対策が抜けていた。その対策さえしておけば、福島原発の暴走は起こらなかったはずなのに、安倍首相が安全対策を一切手抜きした。
「万一の場合の対策なんかをやると、万一の場合が本当に起こると思われて、原発の安全神話が壊れてしまう」
という原発村の思想の圧力を受けて、安全対策を一切手抜きした。その結果が、福島原発事故だ。
その張本人が、ふたたび浜岡原発で同じことをやろうとしている。「浜岡原発は安全だから」という理屈だが、「審査では安全だから」という理屈が成立しないのは、すでに判明している。たいして安全でもない川内原発が、審査のすえ、すでに再稼働となった。
→ 川内原発は危険だ
浜岡原発に至っては、さらに危険度が高い。地盤がゆるゆるだからだ。
→ 浜岡原発の危険性
→ 浜岡原発:地盤の危険性
→ 志賀原発より浜岡原発
地盤がゆるゆるであれば、小配管(細管)の破断で、原発事故が起こる。
→ 福島原発事故の原因は津波か?
浜岡もそうだ。想定された安全範囲の揺れは、あまりにも小さいので、それより大きな揺れは容易に生じる。
浜岡原発の現在の耐震性は 1000ガルだ。
一方、現実の地震ではどうか?
……(略)……
これらによれば、1000ガルは、震度6か7だ。浜岡で想定されるマグニチュード8の直下型地震には対応できない。
( → 福島原発事故の原因は津波か? )
浜岡原発の安全範囲は 1000ガルなのに、現実の大地震では 3000ガルになる。とすれば、大地震では原発の大事故が起こるのは必至だ。怖いのは、津波ではなくて、内部の破壊なのだ。それによって大事故が起こる。
そして、ひとたび浜岡原発で大事故が起これば、これより東側の神奈川と東京は壊滅する。
→ 浜岡原発の事故の想定
ここでは、チェルノブイリと重ねた図も示している。
ひとたび浜岡で大事故が起これば、神奈川と東京は壊滅する。
これはもはや「日本死ね」ならぬ「日本死ぬ」「日本オワタ」という状況だ。これほどの危険を冒そうというのだから、狂気の沙汰だ。
これはいわば、ロシアンルーレットで、自分の頭に拳銃を突きつけて、「安全ですよ」と思いながら、引き金を引くようなものだ。
出典:Flickr
というわけで、今回の参院選は、日本があえて自殺に向かって一歩を進めた選挙だ、と歴史に記録されるだろう。
福島原発があったとき、「一度目は仕方ない。馬鹿で無知だから」と許容することもできた。しかし、二度も同じ愚を繰り返すとなると、これは、馬鹿や無知ではなくて、どうしようもない狂人だということになる。
それが今回、日本人が選挙で示すことだ。
恐竜絶滅の想像図 ( → 出典はこちら )
[ 付記1 ]
政府や中部電力が、「浜岡原発は安全だ」と本当に思っているのなら、中部電力は原発暴走に対して、保険をかけるべきだろう。「原発事故が起こったら、そのときには被害に対して保険金が支払われます」というふうに。そうすれば、東京や神奈川が壊滅したとしても、十分な保険金が支払われる。
とはいえ、そのための保険料は、途方もない金額になるはずだ。1kWh あたり、電気代が 25円で、保険料が 50円ぐらい……という感じかな。
で、これだけのコストを甘受してまで、あえて原発を稼働させたいのであれば、そうするがいいだろう。
一方、保険をかけずに、万一の場合の被害をすべて政府に丸がかえさせようというのでは、保険金に相当する額を、中部電力が国から盗むのも同然だ。
要するに、「中部電力が国の金(保険料相当額)をごっそりと盗む」というわけだ。これが、浜岡原発再稼働の本質だ。税金泥棒も同然である。それも、数兆円規模で。
[ 付記2 ]
中部電力は「防潮堤をきちんと整備しています」と釈明しているが、こんなことは何の役にも立たない。浜岡原発が何よりも危険な理由は、津波ではないからだ。地盤の軟弱性なのだ。
自身が起こったとき、外から津波が押し寄せて原発を破壊するのではない。地盤の軟弱性ゆえに、原発が内部から自己崩壊するのである。……このことも理解できずに、原発を再稼働させようとするのだから、呆れるしかない。
( ※ 地盤の危険性については、詳細は、本文中のリンクを参照。)
[ 付記3 ]
実を言うと、防潮堤だって、安全ではない。この防潮堤は、とても津波に耐えきれそうにないのだ。過去の項目で論じた通り。
→ 浜岡の防潮堤(改良案)
そもそも、福島原発事故の当時は、東洋一ともいわれた巨大な堅固な防潮堤が次々と破壊されたのだ。同じようなことがまた起こらない保証はない。
Google マップの衛星写真を見ると、原発のすぐ南側に防潮堤があるだけで、原発から少し離れた地点では、防潮堤はないようだ。とすると、原発から少し離れた地点に押し寄せた津波が、そこから上陸して、陸地に浸水して、横方向から原発を沈めてしまいそうだ。
なんか、頭隠して尻隠さず、みたいだ。実は、この件は、前にも述べた。
→ 浜岡の防潮堤は無効
[ 付記4 ]
なお、浜岡原発が再稼働したあとで、大事故が起こったらどうするか? ただ坐して死を待つだけか? いや、たった一つだけ、被害を軽減させる方法がある。「人工降雨で、放射性物質を落下させる」という方式だ。
事故があった直後に、原発の直上で、人工降雨を起こせばいい。そうすれば、放射性物質の悲惨は、最小限で済ませることができる。
→ 浜岡原発の爆発への対処
[ 付記5 ]
現地の人はどうする? その点は、大丈夫。すでに自治体がヨウ素を配布する準備を整えている。
《 安定ヨウ素剤9月から配布 御前崎市長方針、浜岡原発5キロ圏 》
御前崎市の柳沢重夫市長は13日、原発事故時に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤について、9月から事前配布を始める方針を明らかにした。
浜岡原発では御前崎、牧之原両市の計約4万7千人に配布予定で、県と両市が行う。牧之原市も「今秋をめどに配布したい」とする。県は年度内に配布する方針を示していた。
( → 静岡新聞アットエス )
というわけで、地元の人々は、万一の場合には、ヨウ素を飲んで、たっぷりと放射線を浴びてください。被曝による被害を、20%程度は軽減できるかもしれません。
で、神奈川や東京の人々は、ヨウ素を飲むこともなく、放射線をたっぷりと浴びてください。福島事故のときは、放射性物質の大部分は太平洋に流れましたが、浜岡原発のときには、放射性物質の大部分は神奈川や東京に行きます。それをプレゼントしてもらいましょう。
今度の参院選では、自民党に投票して、浜岡の放射性物質をたっぷりゲットしよう!
[ 余談 ]
ま、私がここで何を言おうが、参院選の趨勢にはまったく影響しない。だから、本項は選挙のためには、何の意味もない。
とはいえ、将来的には、浜岡原発が再稼働するはずだ。だから、その危険性をあらかじめ予告しておいたという点で、本項は記録に値する。「未来への予言」として。
( ※ 「原発事故の予言」となるかどうかは、不明。)
また、その少しすえに、 ガル の話を追加しました。
タイムスタンプは 下記 ↓