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自動運転車の死亡事故(テスラ)については、前に述べdた。
→ 自動運転車で死亡事故 1
その続報が出た。一部抜粋しよう。「あれは自動運転車ではなく、半自動運転車であった」という趣旨。
《 死亡事故のテスラは自動運転車ではなかった 》
このテスラに搭載されていたのは「高度運転支援システム(ADAS)」という機能で、走行中のハンドルや速度の調整は自動で行うが、ドライバーは安全確認を継続しなければならない。
次に重要なのは、フロリダ高速警備隊の当初の事故報告によると、事故の原因は優先権があったテスラに道を譲らなかったトラック運転手の過失にある点だ。高速道路上を左折しようとしたトラックは、対向車線のテスラに道を譲らなければならなかった。
……テスラがトラックより優先権があった事実は変わらない。
テスラが搭載するレーダーシステムの製造メーカー「モービルアイ」は、レーダーは前の車に追突するのを防止する機能しかない、横から出てくる車との衝突を回避することはできない、と話している。
テスラの運転支援システムは、前方向を向いた2つのセンサー(ステレオではないカメラとレーダー)に頼っている。テスラのオーナーによる検証でもわかっているが、このシステムだけでは、道路上の障害物への衝突を完全に避けることはできない。一方メルセデス・ベンツとBMWは、ステレオカメラ(接近する障害物を早期に検知できる)と5つのレーダー(広範囲に渡って複数の障害物を検知できる)を搭載している。
( → ニューズウィーク日本版ト )
ここでは記されていないが、トラックとテスラとの関係は、下図だ。
───────────────────────────
■← ← ← ← ← トラック
テスラ → → → ● ■
─────────────┐┌────────────
道路は右側通行である。
テスラは、左から右へと進行していた。
トラックは、右から左へと進行したあとで、左折のため、反対路線を横断した。(テスラの路線に侵入した。)
同様の図は、下記にもある。
→ ワシントンポストの図
→ The Indian Express
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ここでは、(引用文中の)次のことが重要だ。
「横から出てくる車との衝突を回避することはできない」
このことは、実は、前に書いた項目で紹介している。
→ 自動運転車で死亡事故 1
この項目に、次のリンクがある。
→ 最近話題の自動ブレーキシステムいろんなメーカーの車でガチ実験!!ちゃんと止まったのはあのメーカーの車
このページを見てほしい。自動ブレーキの衝突(回避)実験がある。
ここで、道路上に障害物がある場合には、たいていの自動ブレーキがまともに停止する。(ぶつかることはあっても、十分に減速する。)(ただし、速度が低速ならば。)
一方、道路上に障害物がなくて、脇にいる歩行者が少しずつ歩道上に侵入してきた場合には、衝突してしまうことが多い。これはどうしてかというと、
「脇にいる歩行者を検知する」
「その将来位置を予測する」
という二つのことを判断する必要があるからだ。そして、それが可能なのは、スバルだけだった!
なぜか? スバルだけが、ステレオカメラ方式であり、他の前者は単眼カメラ方式であったからだ。(自動ブレーキ装置が。)
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今回のテスラも、単眼式のカメラだった。(前回項目の通り。)
そして、自動ブレーキを作動させるのは、レーダーだった。ところが、レーダーは、今まさに道路上にある障害物を検知するだけであり、数秒後に衝突する予想地点にある障害物を検知する能力(というか判断する能力)はない。だからこそ、この衝突が起こったのだ。
前回項目では、「ミリ波レーダーがあるのに、どうして衝突を回避できなかったのか?」という疑問があった。しかし、それについては、本項で回答が得られた。
「ミリ波レーダーでは、左折車の将来位置を予測できないから」
というのが回答だ。
そしてまた、この難点は、単眼式カメラでは避けがたい問題だ。将来位置における衝突を予測するには、
・ ステレオカメラ
・ 予想する人工知能
という二つが必要なのだ。
なのに、現状では、ステレオカメラを搭載していない自動運転車が多い。スバル、スズキ、Google ならば、ステレオカメラを搭載しているが、他社は単眼式カメラだ。
スバルは自動ブレーキでは世界最先端だが、自動運転技術はない。トヨタや日産は、自動運転技術はあるが、ステレオカメラ式の自動ブレーキがない。どちらも、片手落ちだ。
この分だと、自動運転技術は、Google などに大敗しそうだ。トヨタや日産は、自社の採用する単眼カメラ方式が使い物にならないと理解しないまま、単眼カメラ方式の自動運転技術を発展させようとする。その道は行き止まりだ、と気づかないまま。
世界一の戦艦(大和・武蔵)を開発中だ、というようなものか。時代の流れから取り残されている。哀れ。自爆路線。
[ 付記 ]
はてなブックマークでは、テスラを批判する声が多く出ている。「自動運転として宣伝しているくせに、自動運転機能が不完全なんて、けしからん」という趣旨。
→ はてなブックマーク - 死亡事故のテスラは自動運転車ではなかった
しかしこの批判は、勘違いだ。
今回の事故は、自動運転が不完全であったことで生じたのではない。自動ブレーキが働かなかったことで生じたのだ。
どう違うか?
自動運転ならば、機械が間違った作動をしたことになるので、機械の責任だ。
自動ブレーキならば、機械は何も作動しなかっただけだ。その場合の責任は、第一義的には、人間にある。今回も、そうだ。自動ブレーキは、何か悪さをしたわけではない。単に作動しなかっただけだ。そして、機械が作動しないときに、ブレーキをかけなかったことの責任は、人間にある。
ここでは、機械にすべてを委ねて、自分では何もしなかった、という人間に責任がある。これは、機械の操作を間違えてしまった、人間の責任だ。
したがって、「機械が悪いから、機械を販売禁止にせよ」というような主張は、道理が通らない。それはいわば、「歩きスマホで、線路に落ちて死ぬ人がいるから、スマホを禁止せよ」というような理屈(屁理屈)だ。
機械の操作法を間違えて、変な使い方をして、死んでしまう人が出ることもある。しかしそれは、機械の使い方を間違えた人間の責任だ。歩きスマホで死者が出たからと行って、スマホを禁止せよということにはならない。自動ブレーキもまた同じ。
( ※ 今回の事故は、自動運転の問題ではなく、自動ブレーキの問題だ、という点に注意。前回項目 で述べた通り。)
【 追記 】
自動ブレーキの性能比較をした実験の結果がある。
→ AUTONOMOUS EMERGENCY BRAKING TEST RESULTS ( PDF。2.6MB )
英文の報告だが、英語力は必要ない。単にグラフを見ればいいだけだ。
グラフからわかるのは、次のことだ。
・ たいていの自動ブレーキは、時速 25km/h で作動するのみ。
時速 30km/h 以上では作動しないことが多い。
減速しながら衝突することもある。(不完全作動)
・ ボルボの自動ブレーキは、もうちょっと性能がいい。
・ スバルだけは別格で、時速 50km/h でも作動する。
作動するだけでなく、きちんと衝突の手前で止まる。
要するに、まともな自動ブレーキは、スバルだけだ。他社はすべて、不完全である。テスラは、ここには含まれていないが、スバル以外の一つであるにすぎない。
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なお、どうしてこういうことになるかというと、カメラの方式の違いのせいだ。ステレオカメラなら、何十メートルも先の物体について、距離を精密に測定できる。一方、単眼カメラだと、何十メートルも先の物体については、距離を判定できなくなる。(いわば「無限遠」の扱いになる。)
これは、測距方式の違いによる原理的なものだから、どうしようもない。各社の技術が劣っているということではない。もともと単眼式カメラでは精密な距離の測定は不可能なのだ。(比喩的に言えば、ピストルの弾は、ライフルの弾より、短い距離しか飛ばない。これは原理的な違いなので、どうしようもない。技術の向上で改善するようなものではない。)
まともな自動ブレーキを搭載するなら、ステレオカメラ方式にするしかない。そんなこともわからないで、いつまでも単眼カメラ方式を使う各社は、頭がどうかしていると言える。
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蛇足だが、最新型の audi A4 も、自動ブレーキを搭載しているが、作動速度は 30km/h 以下だということだから、やはり単眼カメラ方式であるようだ。駄目だね。(こんなものを買うべからず。)

以下の動画は8の字レースで、事故ると双方がリタイヤとなり、かと言って譲ってばかりいるとレースに勝てないジレンマ走行である。
https://youtu.be/wZKqhvch3mU
卓越した技量者同士とはいえ、人間だけの判断でここまで衝突せずに走行できる好例でもある。
自動運転と近距離通信、及びIoTでの操作補完による近未来の走行シーンがこのようになると考えられる。
つまりノンストップで(自車から見ると青信号のみ)走行でき、右左折は事前に優先順位が決まり
イレギュラーなときだけ双方が緊急停止する。こういう未来がそこに来ている。(通信エラーはフェイルセーフで停止側へ)
勝敗が無関係な一般道で、余裕を持って譲るのは、渋滞も事故も減るので結果的に最も速くなる。その判断を自動で行う。
以前、バスの自動運転をIoTで補完してドライバー不足を解消する案を出した者だが、近未来はそうなる可能性が高い。
なるほどと納得した。ノロノロ運転の疲れは少なくなり、追突は最低限ふせげるのだ。
マニュアル車のことを思うとはるかに安全だ。
タイムスタンプは 下記 ↓
※
重要なデータ(実験結果)があります。
その概要も示しておきました。是非、お読みください。
(↑人は運転免許すら不要レベル)
●自動ブレーキ:万一の時に機械のほうが判断が早ければ助かる。
(平常時は人が普通に運転)
と考えると、このテスラの装置は【どちらでもない】ことがわかります。
●オートクルーズ:ハンドル操作もある程度は機械が行う。
なので人は(説明書に「注意を怠ってはならない」と書いてあったとしても)DVDを見たりするし、仮にそうしなくても注意が散漫になります。
(平常時に自動で運転してくれてるものを緊急時のために見張り続ける緊張感を普通の人間が保てるか?ということです)
船でもありましたよね。自衛隊の艦船がオートクルーズにしてて、漁船にぶつかったのが。
まあ船や飛行機ならそもそもの操縦の難易度が違うのでオートクルーズにも一定の価値はあるのでしょう。負担の軽減が目的ですし操縦者は完全なプロのはずですし。しかし自動車はダメです。
言い方を変えると、以下のような話です。
平常時手動・緊急時手動→まあOK
平常時手動・緊急時自動→OK(助かる確率が増える)
平常時自動・緊急時手動→ダメ
平常時自動・緊急時自動→OK
試乗程度でなくある程度乗ったことがあると分かるんだけど、人間が目で見て厳しいような状況ではキャンセルされることもあるんだよ。
初期報道の「当日は晴天でトレーラーの車体の白い色をセンサーが感知できず」というテスラ側の言い分通りだったなら、それこそステレオカメラだけならキャンセルされかねないわけで、なぜにそこまでステレオカメラを信仰するのかよく分からない。( http://bit.ly/29t2r72 )
もちろんステレオカメラではないシステムでも同等のものがあるよ。( http://bit.ly/29t2uj2 )
アイサイトのすばらしいところは、センサーとしては枯れていて安価なカメラを二眼でステレオ化(距離測定可)し、衝突被害軽減装置として極めて優秀に、それでいて他の技術と比較してかなり安価に実装してきたところなんだよ。
前方の衝突被害軽減に極振りしたわけ。
安価だからちょっとがんばって載せてみる人が増える。人だからうっかりミスもするので、ヒヤリハットでアイサイトのおかげで助かったとシェアする人の絶対数が増える。( http://bit.ly/29F3N2P ) この口コミを見てさらに少しがんばってアイサイトを載せる人が増える。
今じゃアイサイトは標準率高いけど、後側方は相変わらず違うんだよね。
ホントのスバルやアイサイトを知らない人ほど、誤って信仰している気がするよ。
わき見だけだったのか、ハンドルに手を添えもしていなかったのか。
亡くなったご本人の残した動画( http://bit.ly/29r0N6e )や、第三者の危険な動画( http://bit.ly/29r2Yra )を見ると、ハンドルに添えているとは思いがたいです。
国内のモデルSでもハンドルから手を離しても何ら警告が出なさそうなんだよね。
これ、車メーカーではあまり考えられないと思うよ。
>日本では手放し運転が状況により道路交通法に触れる
http://bit.ly/29wTJYO
>警告を数回無視すると、自動的に速度を低下させ、最終的にはハザードが点灯して自動で緊急停止する
これが責任ある車メーカーの姿勢。
対してテスラの手放しでもなにもしない姿勢は問題だと思うんだ。
やっぱり姿勢かな。
技術に自信があったのか、訴訟対策はオン時の警告だけと割り切ったのか。
上に挙げた車メーカーのように、フェイルセーフ( http://bit.ly/29wTwoq オートクルーズ状態を維持するためにハンドルに触れていなければならないように設計する)にしていればこの事故は起きなかったんじゃないかな。
さらに簡易なデッドマン装置( http://bit.ly/29ZWO2d )にもなって一石二鳥なんだけどね。
こんな( http://bit.ly/29GklWd )状態でも動き続けるなんて、ねえ。
(これもモデルS)
リンク多いと分割しなきゃなのか。
丁寧にリンクしない方がいいんだね。
リンクではなく、字数の制限です。全角で約2500文字。
今回はたぶん二つぐらいに分割すれば大丈夫。ひとまとまりだと、字数制限にかかる。
単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせですね。
→ http://matome.naver.jp/odai/2145442433285875601#
トヨタに限り、9万円程度で実装できている。安価なミリ波レーダーの開発に成功したようだ。他社はできていない。(日産・ホンダのものは、とても高価。)
ただ、単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせは、前方衝突だけはステレオカメラ並みにできるが、横から侵入する事例では、将来の侵入を予測できない。(本文中に書いたとおり。)
だから、今回の事故のような事例(横からのトラック侵入)では、ミリ波レーダーでは不十分で、やはりステレオカメラが有利だ。