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嘘つきは、嘘をついて反省したかと思ったら、また嘘をついて、元の嘘をゴマ化そうとしているようだ。「あれは嘘じゃありません」というふうに、新たな嘘をつく。「嘘ではない」という嘘。
この嘘に、世間はだまされて、「ああ、そうなのか」と信じてしまうようだ。そこで、私が嘘を指摘する。
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三菱自は、燃費偽装の件について、その偽装の割合(燃費をよく見せかけた量)が 5〜15%であると発表していた。正確に言えば、正しい割合は、古い公表値より5〜15%悪化すると発表していた。
問題発覚後に自社で測り直し、燃費はカタログより5〜15%悪化すると発表していた。
( → 朝日新聞デジタル 2016年6月21日 )
その後、新たに、正式な数値を国に申告した。その数値は 7.1%〜17.1% である。
三菱自によると、車体ごとのばらつきを考慮して、同省の結果より0.2〜0.3%の余裕を持たせたものであるという。そのため旧燃費値と新たに確定した燃費値とのかい離率は7.1%〜17.1%に及んだ。
確認試験は実施済みであるため、再提出した燃費値は国内法令に準拠した測定法による新たな燃費値として、受理と同時に確定した。
( → 三菱自、軽自動車4車種の燃費値確定 | レスポンス(Response.jp) )
一方、その数値を国が自分で調べたところ、国の試験では 11〜17% という数値を得た。
国土交通省は21日、燃費偽装があった三菱自動車の軽4車種について、排出ガス値や燃費値の確認試験を行った結果、カタログ上の燃費より平均で約11%、約5〜16%下回っていたと発表した。
( → 三菱自、燃費最大16%偽装…国交省が確認試験 : 読売新聞 2016-06-21 )
車種ごとの個別のデータは、下記にある。(画像)
→ 国交省、三菱自動車製軽4車種の燃費再測定で乖離率は最大約16%に - Car Watch
以上を見る限り、三菱自の申告数値と、国の測定数値は、ほぼ同じだ。ゆえに、これ自体は正確な(正直な)数値だと見なしていいだろう。
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問題は、次のことだ。
《 三菱自 軽1台 10万円補償 計650億円 》
三菱自動車は17日、燃費データを不正に改ざんした軽自動車4車種、計62万5千台を対象に、顧客へのおわびやガソリン代の差額分として、1台当たり一律10万円を支払うと発表した。同様の改ざんが判明した軽自動車以外の普通車5車種計10万台にも一律3万円補償する。費用総額は約 650億円に上る見通しだ。
( → スポニチ Sponichi Annex 2016年6月17日 )
この「返金 10万円」という金額は、妥当か? 三菱自は「妥当だ」と言う。
「10万円ならほぼすべてのお客様のご負担増をカバーできる」(益子修会長)
( → 東洋経済オンライン 2016/6/20 )
しかし、実際に計算してみると、10万円という数値は、偽装が 10% であることを前提とした数値だ。
データの根拠は下記。
・ 年間1万km の走行
・ 10年間の利用
・ 燃費は 15km/L
・ ガソリン価格は 150円/L
・ 燃費の悪化率は 10%
この前提で、「総額 10万円」という金額になる。
ところが実際には、「燃費の悪化率は 10%」ということはなく、「 11〜15%」ぐらいが多い。(先の画像データを参照。)
また、軽自動車の年間走行キロは、普通は 1万キロ程度だが、バラツキが大きく、年間3〜4万キロ程度を走る人も多い。下記の検索でわかる。
→ 軽自動車 年間走行キロ - Google 検索
したがって、「 10年間で 10万円」という金額は安すぎる。もっと増やすべきだ。
また、燃費が悪くなると、給油の手間が増えるので、その余計な手間賃の負担の分もある。(人件費・慰謝料)
また、悪評が付くことと下取価格が下がることで、「迷惑料」の分も必要だ。
以上、あれこれ合わせると、15〜20万円程度が妥当だ、とわかる。
換言すれば、「燃費の悪化率は 10%だけです」というふうに見なして返金額を減らしている三菱自は、算定の数値をゴマ化しているわけで、嘘つきだ。
別の問題もある。
そもそも、走行距離によって大きく被害額がふくらむのだから、走行距離に応じて、返金額を増やすべきだろう。走行距離の偽装というのも考えられなくはないが、事件の発覚前に、すでに車検や定期点検を受けている車ならば、走行距離のデータが判明しているはずだ。その走行距離のデータにしたがって、しかるべき額の返金をするべきだろう。
( ※ 年間走行距離が倍ならば、倍額の返金をするべきだ。たとえば、一般が 15万円で、倍額ならば 30万円。)
こういうふうに、実損の額に応じて、返金額をきちんと払うべきだ。それが、信頼を得るための、唯一の方法だ。
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ところが、三菱自は、その「当然の額」を払わない。とすれば、三菱自を購入した顧客は、大損する、という結果になる。
そのことがわかったので、今後は、「三菱自の車なんか、いくら値引きしても、絶対に買うものか」と思う人が多くなるだろう。なぜなら、不正・偽装によって損をさせても、その損を補填(ほてん)してくれないからだ。勝手に少なめのモデル金額を設定して、実際の損額を補填してくれないからだ。
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結論。
三菱自は、偽装に対して返金を決めたが、その返金の額は、実際の額よりもかなり少なめである。つまり、ここで、返金の額について、新たに偽装をしている。新たに嘘をついている。
マスコミはそれを報道するべきだが、誰も報道しない。だから、真実を告げる Openブログが、孤軍奮闘して真実を示す。
客としては、三菱自の車だけは、絶対に買わないようにすることが、唯一の自衛策だ。仮に、ちゃんと返金したのならば、客は三菱自を信頼してもいいのだが、ちゃんと返金しないのだから、三菱自を信頼することなど、ありえない。
信頼できない会社の商品は、絶対に買わないことが、客としては唯一の自衛策だ。
[ 付記 ]
三菱自としては、返金の額を値切ることで、「やれやれ。助かった」と思っているのだろう。「 650億円の負担か。これならたいしたことないさ。負担は小さいから、倒産しないで済むな」と思っているのだろう。
しかし三菱自は、現在の負担を減らすことには成功したが、そのかわり、信頼を失ったのだ。今は良くても、未来において「信用を失う」ことの効果がじわじわと出てくる。客は買う気をなくすから、販売減となり、大幅赤字となるだろう。(商品が売れなければ、大赤字は当然だ。)
本来ならば、ちゃんと補填して、信用を得るべきだった。なのに、ケチったから、信用をなくすわけだ。
びっくりぽんの朝ドラ(あさが来た)でも、「信用が第一」と言っていた。なのに、それとは逆のことをする駄目会社が、三菱自だ。金をケチって、信用を失い、売上げも失う。そのうち、会社そのものが、消えてしまうかもね。
日産は三菱自に技術指導をするそうだが、いくら技術指導をして、まともな製品ができたとしても、信用を失った会社の商品が、売れるわけがない。
たとえ 50万円引きでも、買う気にはなれない、というのが、大方の客の感想だろう。「命を預ける自動車なのに、信用できない会社の品物なんて、買えるわけがない」と思うはずだ。
もし「安ければ買いたい」と思う人がいれば、中国か韓国の安物自動車を買うといいですよ。ただし、命の保証はしません。
これが信頼の損失分に相当するするわけですが、この部分は補償には組み込まれていないかと。
三菱が適正価格での下取り保証でもつければ話は別でしょうが。
これから三菱の車を購入すると、「相手が詐欺師と分かっているのにわざわざ騙されるおかしな人」と指差される。
こんな状況で生産再開しても、車は売れないでしょう。
私は、リコールを隠して人を殺して、その事実すら隠ぺいしようとした会社がまだ生き残ってる事自体異常だと考えてます。