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前日の項目(ホテル不足の対策)で述べたように、民泊にはいくつかの問題・難点が予想される。再掲しよう。
・ 住居が民泊に転換されて、賃貸住宅の住民が追い出される。
・ 法的規制(年間営業日数)は守られない。違法状態。
・ 所得隠し。脱税の蔓延。
・ テロリストなどの犯罪者のねぐらになる。
・ ホテルの客は減って、ホテル業界が困る。
このうち、2番目と3番目(紫色の文字)は、IT技術を使うことで解決が出来る。次の方法だ。
「 民泊仲介業者(Airbnb)に対して、宿泊事業のデータの提出を義務づける」
特に、次のデータが重要だ。
「宿泊の1件1件の日時と代金」
これを、事業者ごとに分類して、データ提出をするように義務づける。(Airbnb に対して)
このことで、次のデータを偽ることができなくなる。
・ 宿泊の営業日数
・ 宿泊の営業所得
この両者について偽ることができなくなる。だから、次の問題はなくなる。
・ 年間の営業日数の制限を超過する。
・ 脱税する (所得のゴマ化し)
こうして、上の2番目と3番目(紫色の文字)については、IT技術を使うことで解決が出来る。
[ 付記1 ]
法律を作っても、法律を守らせる仕組みがなければ、法律は形骸化する。このことは、三菱自動車の燃費偽装からも明らかだ。「正しい走行抵抗値を出せ」という制度があっても、それを守っているかどうかをチェックする仕組みがないから、それを守らない企業(三菱)が出てくる。
だから、「これを守れ」というふうに制度を定めるだけでなく、制度を守らなかった企業を摘発する仕組みが必要なのだ。
今回の「事業者のデータの提出」は、そのチェックの仕組みを提供する。
( ※ 個別事業者が嘘をついて国税庁や監督官庁に申告したときに、その嘘をきちんと摘発できる態勢を整えるわけだ。)
[ 付記2 ]
反発も予想される。
「宿泊の1件1件のデータを提供させるなんて、個人情報の取得の乱用だ! 国がそんなデータを取得したら、個人のプライバシーの侵害だ!」
というふうに。しかし、これは早計というものだ。
本項で提案したのはあくまで、
「宿泊の1件1件の日時と代金」
だけだ。そこには、個人を特定するデータは含まれない。事業者に対しては、個人を特定する部分については「暗号化する」ことを義務づけた方がいいだろう。
( ※ 「個人データの削除」でもいいが、削除という形だと、手続きのエラーが起こりやすい。削除ミスという形で、削除されないことも起こりやすい。そこで、もともと暗号化しておけば、社員も政府も、どちらも個人データにアクセスできないので、エラーの起こりようがない。これなら、安全だ。)
[ 付記3 ]
ちなみに、JTB の個人情報の漏洩という事件があったが、これは、データベースを暗号化しなかった JTB が全面的に悪い。データベースを暗号化することは、データ管理の初歩なのに、そんなこともしないのだから、呆れる。
ちなみに、はてなブックマークでは、「データベースを暗号化しなかった JTB が全面的に悪い」ということに気づいた人は、ごく少数だけだ。大多数は、「侵入した方が高度なハッカーだから、JTB は悪くはない。ただの被害者であるにすぎない」という立場だ。呆れる。「データベースを暗号化する」という初歩にすら気づかないIT技術者が大多数なのだ。
日本のセキュリティ技術のレベルは、赤ん坊並みか。ハッカーにとっては、赤子の手をひねるようなものだろう。
- ( ※ 「ハッカー」という単語は、ここでは、単に「ハイレベルIT技術者」という意味で使っている。善悪の意味を含にではいない。「悪い」という意味も含んでいない。)
[ 付記4 ]
「規制なんかしなくていい。規制はなるべく緩和せよ」という反論も予想される。
しかし、規制は必要だ。さもないと、劣悪・悪徳な業者がはびこるからだ。
特に懸念されるのは、次の事例だ。
「格安料金を謳い文句に、狭い部屋に多人数を詰め込む」
こういうのは、安全性無視に決まっているから、いざとなると、火事で大量の客が死亡しかねない。
民泊ではないが、似た事例はあった。
→ 火災事故の問題点(福岡)
レベルの低さは、こんな感じ。
→ 西成の宿(ドヤ街)
これは1人あたり2畳ぐらいあるので、まだマシだ。
1人あたり1畳か半畳のカプセルホテルもあるし、狭い部屋に多人数を詰め込むタコ部屋もある。
こういう劣悪な環境を、きちんと規制することが必要だ。上のドヤ街は、貧困者限定だから仕方ない意味もあるが、民泊なんかで規制が足りないところに、こんなのを認めたら、とんでもないことになりそうだ。火事になったら大量の死者が出そうだ。
【 関連項目 】
→ ホテル不足の対策 (前日分)
たかが1民間企業が、所得税の納税代行なんかをする権限も能力もないし、あるわけがないでしょう。
「 airbnbは税代行回収」でググればすぐにわかるが、宿泊税回収・納付代行だけです。この程度の間接税の納入なら、どの産業だってやっている。珍しくもない。(有名なのは酒税)
前日分の項目に、「フランスでは所得の脱税が蔓延している」という例を示したんだから、その話を読めばわかるのに。
勝手に誤読する前に、まずは人の話をきちんと読みましょう。すでに説明済みなんだから。
なお、宿泊税は県単位の地方税なので、国税庁は関係ありません。
タイムスタンプは 下記 ↓
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一方で、私の知人に
「民泊のために100万円を出資した」
という人がいました。
ご自身は不動産賃貸業に関して全く無知なので
ただお金を出すだけで、1年間で利益が確定する
という話に出資したのだそうです。
→ http://sakuragitaiyo.com/2016/06/13/post-1666/
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これは、だまされていますね。
100万円が返ってくるのは、諦めた方がいいだろう。最初の2〜3年は、利子が1万円ぐらい来るかもしれないが、それでおしまいだ。残りのほぼ全額は、戻ってくることはあるまい。
こんな詐欺に引っかかる人がいるとは、驚きだ。