2016年06月10日

◆ 燃費不正の対策

 三菱自動車とスズキの燃費偽装の問題で、政府は対策を示した。これは、妥当か? 

 ──

 まずは記事を引用しよう。
 三菱自動車工業やスズキが燃費のデータについて不正を行っていた問題で、国土交通省は自動車メーカーが実施するデータの測定を抜き打ちでチェックすることなどを盛り込んだ再発防止策をまとめました。
 具体的には、自動車メーカーが燃費のデータを測定する際、国が定める検査機関が抜き打ちで立ち会って不正がないかチェックするとしています。
 また、国土交通省は三菱自動車とスズキついては今後、3年間は検査の厳格化を行い、燃費データの測定に立ち会って不正がないか、すべてのデータを確認することになりました。
( → NHKニュース 2016-06-10

 これだけならば別に〃ということはないが、次のニュースが気にかかる。
 また、不正を行ったメーカーに対しては、他の車種も含めて審査期間を長くするなど、他社よりも審査を厳格に行うとしていて、問題となった三菱自動車とスズキにも適用するとしています。
( → News i - TBS

 三菱自動車とスズキだけ特別に苛酷に扱う、というわけだが、これはおかしい。これはいわば、「法の遡及適用」にあたる。つまり、新たに法を定めたとしても、過去の犯行のときには、その新たな法に違反していたわけではないのだから、新たな法によって処罰することはできないのだ。
 これは近代の法制度の原則だ。なのに、それに反するという意味で、今度は政府自体が間違いをしていることになる。しかも、政府の罪の方が、百万倍も重いだろう。こんなことをやられたら、国民はおちおち頭を高くして寝ることができない。今はすべて合法的にやったとしても、将来にできる法律によって処罰されるかもしれないからだ。独裁国家並み。民主主義の否定。
 だから、政府がどんな法律を新たに作るにしても、それを三菱自動車とスズキに適用することはあってはならないのだ。これは近代の民主主義の基本原則だ。
  → 法の不遡及 - Wikipedia

 なお、「現時点でも三菱自動車とスズキは規則違反をしていたぞ」という反論もあるだろう。それはそれでいい。しかし、それならそれで、現在の規則によって、三菱自動車とスズキを主文すればいい。
 しかるに、現在の規則には、そのような処分規定はない。したがって、現在の規則では、たとえ規則違反があっても、処分することはできないのだ。
 どうしても処分したければ、新たな規則や法を成立させるしかない。そして、その新たな規則や法には「遡及適用」はあってはならないのだ。

 ──

 それでも、「悪いことをしたやつは、懲らしめるべきだ」という素朴な感情もあるだろう。しかしながら、「悪いことをした」というのは、三菱には成立しても、スズキには成立しない。なぜなら、スズキは偽装によって「よく見せかけた」のではなく、「悪く見せかけた」からだ。ユーザーから「余分に金を奪った」のではなく、ユーザーに「余分に金を与えた」からだ。
  → 【燃費偽装問題】スズキ、規定の3倍の荷物量で計測してた - Togetterまとめ
  → このツイートの内容はデマだ。
 スズキは実は3倍の荷物量で計測していた(だから実際よりも燃費は悪化していた)……というツイートが出回ったが、これはデマだった。それでも、ユーザーの実体験の報告では、「カタログ燃費よりも実燃費の方がいい」という報告が相次いだ。
 ユーザーの報告だけ出ない。自動車雑誌による正確な計測でも、スズキは他社の車より実燃費がよかった。
  → 4車の比較 (記事本文
 見ればわかるように、実燃費とカタログ燃費の乖離を見ると、スズキが圧倒的に優秀である。三菱は確かに大幅に劣るが、ダイハツやホンダだってスズキよりはかなり劣る。
 それでも、「メーカーの公式数値を見るまで信じない」という不信を出す人もいるだろう。しかし、この点は、メーカーが公式見解を出している。
 スズキは「正しい方法で測定し直したところ、全ての車種で公表している燃費を上回った」などと説明しています。
( → News i - TBS

 ここで嘘をついているとは思えないので、やはり、スズキの計測値は、実際よりも悪かったのであって、際より良く偽装したのではない、とわかる。

 とすれば、結局、スズキは、(間違った数値を出したとはいえ)、悪いことをしているわけではないのだ。ゆえに「悪いやつを懲らしめる」という理屈は成立しないのだ。「規則よりもよいことをいっぱいやったから、規則違反で処分する」というような理屈は、およそ滅茶苦茶である。このような方針は、善悪の倫理に反する。つまり、政府は、悪いやつを懲らしめようとして、よいやつを懲らしめるので、かえって政府の方が悪いことをしていることになる。

 それでも、反論があるかもしれない。
 「スズキは、実質的には悪をなしていないとしても、形式的には悪をしたのだから、形式違反の咎によって、形式的に処罰されるべきだ」
 と。なるほど、どれはそれで一案だ。しかし、その場合には、「スズキを悪とする形式そのものが存在しない」という事実にぶつかる。
 つまり、スズキのやったことは、規則に反するという意味では形式的に規則違反だが、その規則違反には罰則が定められていないので、形式的には処罰できないのだ。なのに、これを処罰するとしたら、政府の方が形式的に違反してしまう。(先に述べたことと同様。)

 ──

 だから、形式的に違反していることなど、いくら論じても無駄である。馬鹿馬鹿しい。それよりは、物事の本質を考えよう。
 中間報告案では、これまでの審査体制について「自動車メーカーとの信頼関係を前提に、メーカーが提出したデータを特段のチェックを行わずにそのまま使用してきた」と国側にも不備があった点を認める。
( → 読売新聞 2016-06-10

 その通り。物事の根源は、国の不備にあったのだ。メーカーの出した数値をそのまま鵜呑みにして、国の側は何も検査をしなかった。本来ならば、事後的に燃費の実測値を調べて、メーカーの出したデータと乖離していないかを検証するべきだったのに、そうしなかった。……ここが根源的に間違いだったのだ。
 だからこそ、今回の報告では、この点を是正することが提案されている。
 「データ測定時の抜き打ちの立ち会いチェック」「不正発覚時の申請の却下」「不正を行なったメーカーへの審査の厳格化」「実車抜き取り確認」など審査方法を見直すとしている。
  • 型式指定審査の一環として、メーカーが提出するデータの測定時に、機構が抜き打ちでの立ち会い等によるチェックを実施し、問題がある場合には、機構が不正の有無について技術的検証を実施。
  • 検証の結果不正が発見された場合には、不正内容の公表、当該型式指定申請の却下等を行うこととする。
  • 不正を行ったメーカーに対しては、以後の型式指定審査において、一定期間、機構が立ち会う審査を増やす等、審査を厳格化する。
  • 国が行う型式指定に係る監査において、工場の生産ラインからの実車抜き取りによる確認やメーカーの型式指定申請プロセスのチェック等を実施することにより、型式指定取得後も不正の有無を確認するとともに、不正があった場合の対応をルール化する。
( → impress

 こういう対策が示されている。
 逆に言えば、今までこういうことをしていなかった政府にこそ、根源的な問題がある、と言える。

 ──

 では、以上の対策を取れば、それで十分か? いや、不十分だ。ここでは、大切なことが抜けているからだ。こうだ。
 「メーカーの提出した走行抵抗値を、公表する」


 この走行抵抗値を、三菱自動車とスズキは偽装した。ならば、このような偽装が起こらないように、数値を公表するべきなのだ。
 たぶん政府は「それは企業秘密だから公表できない」とでも思っているのだろう。しかし、それは企業秘密でも何でもない。自動車の出力や最高速度と同様で、実車を調査すれば誰でも知ることのできる値だからだ。メーカーならばいくらでも調査できる。それどころか、個人レベルでさえ、調査できる数値だ。
 こんな数値は、企業秘密でも何でもないのだから、さっさと公表するべきだ。そうすれば、異常な数値を提出した車種については、すぐさま注目が集まって、検証されて、たちまちにして偽装がバレる。

 だから、今回の偽装問題の根源は、「政府がデータを公開しなかったこと」にあるのだ。こういう秘密主義が物事の根源だ、と理解するべきだ。

( ※ 政府はいちいち自分で走行抵抗を調査する必要はなかったのだ。単に数値を公表するだけで、異常な数値は簡単にチェックされたはずなのだ。……このように、「真実の公表」というのは、物事の無駄な手間を大幅に引き下げてくれる。)

( ※ ついでに言えば、不明少年の捜索でも、捜索範囲を公開しなかったことが、捜索失敗の根源的な理由だった。[ → 別項 ] 役人の秘密主義は、あらゆる点で、国民に損害をもたらす。)

posted by 管理人 at 23:21| Comment(6) | 一般(雑学)3 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 メーカーが測定した数字を国交省がそのまま使っていたことが、発覚を遅らせた要因の一つと報道されているようなのですが。

http://www.mlit.go.jp/jidosha/sesaku/environment/ondan/fe_mode.pdf
> Q5
> 燃費はどのように測定しているの?
> A5
> 自動車の燃費値は、国土交通省の定めた方式(10・15 モード及び JC08 モード)で、審査機関(独立行政法人 交通安全環境研究所)において測定しています。

 ここだけ読むと、メーカーの数字をそのまま使うようには読めません。


三菱自工の燃費不正で、国が慌てる本当の理由
http://diamond.jp/articles/-/90845
>  交通研・自動車認証審査部からは「シンプルな試験であり、そこで不正が起こるとは想定していない」と本音が漏れた。

 この法人ではなにをしているのだろうと疑問に思ってしまいませんか。

>  交通研側は今回、走行抵抗値の計測試験について「メーカーへの信頼の上に成り立つ」と繰り返し言った。そのうえで「今後は、自動車メーカーが行なう走行抵抗試験に交通研が立ち会う方向で調整している」(自動車認証審査部)と、試験に対して「信頼関係を見直すこと」を示唆した。

 メーカーが持ってきた数字をただ事務処理する機関なのでしょうか。


三菱自・スズキと国で「不正」の認識が食い違う理由
http://diamond.jp/articles/-/91669
>  筆者は、5月18日の国土交通省ブリーフィングの際、国土交通省に対して「惰行法を使用せず、(型式指定の)申請をした場合、それは違反なのか? また、それに対する罰則規定などはあるのか」と聞いた。
>  これに対する回答は明確ではなく、「そうした規定は事実上ない」といったニュアンスに止まった。なぜなら、今回のような「惰行法に係る不正」を、そもそも想定していないからだ。5月2日、交通安全環境研究所・自動車試験場での「惰行法」デモンストレーションの際、主席自動車認証審査官が「これは信頼の問題だ」と、自動車メーカーと国との信頼関係を強調していたことを思い出す。
>  また、5月18日の国土交通省のブリーフィングで、筆者とは別の質問に対して、次のようなコメントがあった。
>  “型式指定制度では、各種車両で必要とされる試験データの合計は219。そのうち、今回の走行抵抗値を含めて13の試験データについて、自動車メーカー等が実施したデータをそのまま採用。同13の試験データは一部で重複するため、最終的に自動車メーカーから7つのデータの提出が必要”

 検査審査コストをメーカーが持つか交通研が持つかの違いしかなく、そもそも型式指定審査手数料などの名目で金銭でコストを払わせれば済む問題のようにも見えます。
 交通研で審査することが不可能でもないようです。


 三菱とスズキに、法や省令に反する行為があったのは事実なのでしょう。
 一方で、審査機関である交通研の怠慢が問われてしかるべきのようにここまでは見えます。
 法や省令に詳しくありませんし、専門的ジャーナリストを見ても交通研の怠慢を問うような報道が見られないため、もしかするとメーカーが正しい数字を持ち込むことが前提の仕組みになっているのかもしれません。

 しかしそれにしても、独立行政法人 交通安全環境研究所などという審査機関を抱えているにも関わらず、不正を見過ごした責が問われないものでしょうか。
 審査などしていないではないかと言われたら、交通研の職員はなんと答えるのでしょうか。
Posted by   at 2016年06月13日 22:58
>  メーカーが持ってきた数字をただ事務処理する機関なのでしょうか。

 報道されたように、ローラーの上で計測した値を、メーカーの走行抵抗値で割り算します。
 つまり、計測値と計算の双方。

 ──

 別項も参照。
  → http://openblog.seesaa.net/article/436966142.html
Posted by 管理人 at 2016年06月13日 23:06
 教示感謝します。
 なるほど、走行抵抗値を用意しなくては交通研で計算できない仕組みなのですね。

http://mainichi.jp/articles/20160427/ddm/003/070/111000c

 すでに信頼は裏切られたのですから、すべて交通研で計測する形にするのが筋です。
 三菱はよく知りませんが、少なくともスズキの主な主張はコストダウンにあったわけですから、営利企業としてまたやりかねないのではないでしょうか。

 手数料を引き上げ、代わりにいっさいの計測を交通研が行えば、メーカー内の不正は起こりえなくなります。手数料を引き上げれば、少なくとも税金投入もないでしょう。
 販売価格に転嫁される恐れは拭えませんが、そこは信託コストとして消費者が広く薄く負担すれば済むことです。

 世界的な統一基準への移行が差し迫っていて、信頼される民間計測・審査機関間競争が起これば、このような組織を必要としなくなる日も来るかもしれません。
 もちろん、少なくとも国内の監査法人のような責任を負わない、まるで格別会社のようなことは許さず、法などでそこは担保する必要はあるのでしょうが。

 なんにしても、民間に委託して信頼競争、コスト競争を促し、不要な組織に公務員に類する者をあてがわなくて済むようにすべきです。

 数字が出されても、審査官が違和感を感じないような数値では、マスコミや素人がいかように対抗できるのでしょうか。
 中央値ではなく、よい数字を採用した(惰行か高速かの違いもある)という報道を見るに、数字公開では不足していると感じます。

https://thepage.jp/detail/20160518-00000012-wordleaf
Posted by   at 2016年06月14日 12:10
> 数字公開

三菱の場合は、走行抵抗が突出して低い値になっていたはずなので、そのことで偽装がバレる、ということです。
エンジン性能は各社ごとにバラツキが出ますが、走行抵抗はバラツキが出にくい。特に、空気抵抗の測定値と合わせると、はっきりする。

不自然な走行抵抗値を1社だけが出せばすぐにバレる、という意味です。

これまでのデータからすると、三菱は他社に比べて2〜3割ぐらい低い走行抵抗値を出していたはずです。この数値を公開していれば、「バカな」と疑われて、一発で偽装がバレていたはずです。

──

 なお、「良い数値を出した」というのは、「良い数値を出す個体が含まれていた(実際に良い数値が出ていた)」という意味ではなくて、「測定誤差のバラツキのせいで、良い方に誤差が出た測定例が含まれていた」ということでしょう。あくまで測定誤差の問題です。
Posted by 管理人 at 2016年06月14日 12:41
 三菱の不正は複数手法が取られていたようですが、問題発覚となったのは以下の通りです。

https://thepage.jp/detail/20160518-00000012-wordleaf
> 性実部長と性実管理職はタイでの走行抵抗前にたくさんの良い、抵抗値の低いデータを法で定められた惰行法にて取ってくるように子会社管理職に指示しました。これは正規の惰行法にて測定したデータであれば、中央値を取らなければならないという社内ルールはないとの認識によるものでした。

> 子会社管理職は高速惰行法にて測定し、結果的には測定したデータの中央値では、これまで使用してきた推定値を得ることができませんでした。子会社管理職は不適切な低い値のデータを使って机上計算した走行抵抗推定値よりもさらに低い走行抵抗を作成し、性実管理職に提示しました。

 元々同様の認識ですが、中央値を採用しなければならないところを、誤差ばらつきを逆手にとって良い方に出た誤差数値を採用した点が主な問題点です。
 つまり、実車で出てしまう程度の数値のため、その数値の異常性には交通研の審査官でも容易に気がつけないと読めます。
 それは次の文章からもうかがえます。


> 法に定められた惰行法にて走行抵抗を測定し、社内試験で確認した結果、諸元値に対しプラスマイナス3%程度のばらつきがございました。

> 2001年1月には惰行法と高速惰行法の設定法による走行抵抗の改良、確認するため1車種で試験が実施され、最大2.3%の乖離でした。

> 正規の惰行法に戻す機会が複数回あったにも関わらず高速惰行法を継続していたことに関しては、2001年に実施した正規の惰行法と高速惰行法のかい離が最大2.3%であった試験結果を根拠に、惰行法の使用を見送っていたと推測しております。

 20〜30%ではなく、3%です。
 しかもそれは燃費ではなく、書かれているように走行抵抗値においてです。


実走行燃費に影響する因子の定量的解析 - 交通安全環境研究所
https://www.ntsel.go.jp/report/files17/report17_02.pdf
> 気温補正を行った場合であっても、C、D のタイヤを除いては、気温10℃と30℃とでは5%を超える違いがみられ、現状の温度補正では気温差を
> 評価できていないことがわかる。とくにエコタイヤであるA、B においては、補正後であっても気温の上昇とともに転がり抵抗が減少し、とくにタイヤA では、25℃違うと15%以上変化した。

 走行抵抗値を成す中でもタイヤに限った報告ですが、三菱の不正数値差から見ると非常に大きな数値です。温度補正を施したにも関わらず大きな数値です。
 もちろんタイヤにおける転がり抵抗の差が、燃費測定にどれほどインパクトを与えるかという問題はまた別になるわけですが。

> これらの走行設定にてJC08 モード燃費評価を実施したところ2%の差が生じた。この差は小さいとはいえず、エコタイヤにとっては現状の補正が適切といえないことがわかった。

 交通研の文献を眺めている範囲において、空力特性はほとんど公開燃費に影響を及ばさず、走行抵抗関連では圧倒的に重量とタイヤの影響が著しいです。つまり転がり抵抗ですね。
 そのタイヤの転がり抵抗が与えるインパクトがこの程度では、専門の審査機関でもないマスコミや素人が走行抵抗値不正を見抜くのは難しいと言ってよいと思います。
 あえてそれでも燃費の公開値との乖離に気づいたとしても、それを走行抵抗値が原因と判断することはまず困難を極めるでしょう。
 少なくともこのファイルでは燃費に関わる他の大きな要因として、エアコンとエコドライブも挙げられています。転がり抵抗に関わるタイヤも大きな要因ですが、むしろ気温に左右され、挙げ句にエアコン使用で覆い隠されてしまうなど、燃費を左右する要因が大きなものでも複数あるため、原因特定は素人には手に負えないでしょう。


実使用条件下の車両・エンジン特性を反映させた台上燃費試験手法に関する研究
https://www.ntsel.go.jp/forum/15files/15-22k.pdf

 これは10年以上前のものになりますが、走行抵抗値の参考値が社名を匿名としながら数車種例示されています。
 走行抵抗値は二種示され、やはり圧倒的な影響を与えるのは転がり抵抗(タイヤや車重)です。

 燃費も示されており、比較として好例なのはC車とD車です。aが転がり抵抗、bが空気抵抗に掛かる係数で実質空力特性と読んでよいものです。どちらもC車が劣る(数値が多い方が抵抗が大きい)にもかかわらず、燃費ではC車が優等です。
 車重を反映した、シャシーダイナモで設定された負荷で大きく差が付いてこの結果となったようです。

 この中で唯一空力特性に関わるところで燃費に大きく影響がある図が示されますが、それは常に追い風向かい風を想定したもので、コンパクトカーは影響が大きく、セダンはそうでもないことが示されています。
 これは実質車重が軽いと影響を受けやすく、重ければそうでもないということを示すに過ぎないため、今回不正とはまず関連はないでしょう。


重量車の実走行燃費に対する各種影響要因の シミュレーション解析
https://www.ntsel.go.jp/forum/13files/13-10p.pdf
> 走行抵抗値は、燃費や排出ガスに影響する車両側の重要な特性値である。軽量車の台上燃費試験における負荷設定では、テストコースの惰行試験による測定値(届け出値)が使われることが多いが、今後、車種バリエーションの多い重量車の燃費評価制度を策定する場合には、個々の車両の走行抵抗値が適正であるかをチェックする仕組みが必要であろう。

 重量車(トラックなど)を想定していることや、古い審査方法下であることなども考慮する必要はありますが、明らかに今回発覚した一連の不正に繋がるなにかを、交通研自身が想像していたものと言えます。
 この報告書も10年以上前のものです。

 すでにあらかた答えは交通研自身によって10年以上前に提示されています。
 指摘するのは残念ですが、こうして調べると数値の公開はほとんど不正防止に寄与しないでしょう。

 また、騒ぎになった三菱でさえも、この不正は燃費にさしたる影響はなさそうだとも分かります。
 走行抵抗値が3%悪かったとしても、燃費ではほぼ確実に1%未満の影響しかなく、そもそも外気温やエアコン使用の有無、また運転方法の方がよほど影響があります。
 よく日産が気づいたな、たれ込みでもあったんじゃないか?と思うほどです。

 やはり利害関係者どころか当事者そのものに数値を測定させる現状にこそ無理があります。
 利害関係もない第三者が測定するからこそ、数字が信用でき、また公平な審査もできようというものです。
Posted by   at 2016年06月15日 09:05
>  20〜30%ではなく、3%です。

誤読ですよ。その数値は、「惰行法にて走行抵抗を測定し」と書いてあるでしょ。三菱が新たに計測した数字であり、偽装した数値ではない。
偽装した数値は、高速惰行法による数値です。しかも、「高速惰行法はばらつきの大きい試験であり」と書いてある通り。3%では収まらないでしょう。

では、高速惰行法での数値は、どのくらいか? それについては、このページの冒頭で記してあるように、このページには書いてない。軽自動車については、別のページに書いてある。ここです。
  → http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2016/news/detailg518.html
 以下、引用。

  ̄ ̄
14型『eKワゴン』、『デイズ』(2013年2月申請)の燃費訴求車の燃費目標は、競合他車の燃費などを考慮し、5回に渡って引き上げられました。燃費目標の達成を確認するには、本来は実車で測定した走行抵抗を使用して燃費測定すべきところ、推定した走行抵抗を使用していました。さらに、届出燃費値は、恣意的な操作によって算出された走行抵抗を用いた値が報告され、会議にて決定されていました。
同型車の他類別(標準車、ターボ付車、4WD車)、その後に発売した『eKスペース』、『デイズ ルークス』、および、これら4車種の年式変更車の走行抵抗も14型『eKワゴン』、『デイズ』の燃費訴求車で設定した実現していない走行抵抗を基に机上計算して設定しておりました。

  ̄ ̄
 走行抵抗は、誤差を取ったのではなくて、架空の捏造数値だったのですね。それが真相。
 したがって、他社よりも圧倒的に優れた走行抵抗の数値だったと推定される。そのことは、「競合他車の燃費などを考慮し、5回に渡って引き上げられました」からもわかる。同時期の他社は20〜30%も向上していたから、三菱もその数値を出したわけだ。
 ただ、他社は、画期的なエンジン技術などを用いて燃費数値を出したが、三菱は偽装した走行抵抗によってその数値を実現したわけだ。

   *   *   *   *   *   *

 なお、「3%だけ」というふうにこだわっていらっしゃるようですが、乖離が3%だけだったら、こんな大騒ぎになるはずがないでしょう。その程度なら、「測定誤差」で片付けることも出来てしまう。世間で大騒ぎするような問題じゃない。
 三菱の実燃費は、前にも述べたように、他社よりも 10〜30%も悪い。なのに「他社よりも優れたカタログデータ」となっていた。それだけの乖離があったからこそ、これほどの大騒ぎになったのです。お間違えなく。
   http://j.mp/1WNcIBr
 
Posted by 管理人 at 2016年06月15日 12:58
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