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ステルス戦闘機という概念は、すでに時代遅れだ。そのことは、先に示した話からわかる。
→ オスプレイより F15E
ここでは、次の文章を引用した。(再掲)
F-15とF-35を同一のデジタルネットワークに接続し、F-35は前方で敵機を照準。F-15はF-35から照準情報を受け取って、遠方からミサイルを発射します。F-15が14発の「アムラーム」を運ぶミサイルキャリアーとしてF-35の後方にひかえることにより、F-35の同時交戦能力が、理論上2機から最大16機にまで増大されるわけです。
( → 旧型機が新型機を強くする? | 乗りものニュース )
これを受けて、私は次のように書いた。
新たなアイデアでは、F-35 は交戦しないで、単にデータ提供だけをする。実際の戦闘は、F-15E に任せる。だから、今のような多機能の F-35 は必要ないわけだ。
 ̄ ̄
さらに進んで、この F-35 に変わる新型のステルス機を、日本が独自開発してもいい。心神みたいなものだ。 F-35 は、太っていて、空気抵抗が大きくて、燃費が悪くて、航続距離も短い。そこで、F-2 みたいなボディとエンジンを搭載すれば、航続距離は長くなる。さらにステルス機能もあれば、F-35 のかわりになって、F-15E を先導できる。
ここまでやるなら、新型のステルス機は、偵察機も同然だから、無人機でもいいだろう。そうすれば、ドッグファイトをするわけでもないから、高額な装備は不要だ。
こいつを先導させて、敵機の情報を得て、遠方から F-15E が長距離対空ミサイルを発射すれば、空戦では勝利を得ることができるだろう。たとえ相手が F-35 だとしても、こっちの方が有利だ。( F-35 は機体がデカいので、ステルス性が悪い。細長いミサイルみたいな形の無人ステルス機の方が、ステルス性は高いので、こちらが先に相手を見つけることができる。ゆえに、相手が F-35 だとしても、こちらが勝てる。世界最強かもね。)
こうして、F-35 を上回る最強のシステムを示した。だから、この方向で、将来の防空システムを構築するべきだ。具体的には、
・ 先導する安価な無人ステルス機
・ 後方に位置して、対空ミサイルを発射する機体( F15 など)
・ 高性能の対空ミサイル
この三つがあればいい。機能を分担するわけだ。
したがって、一つの機体で「ステルス偵察」「ミサイル発射」という双方の機能をもつ必要はない。
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ここまで考えると、F-35 がどうして失敗作となったか、その理由もわかる。
F-35 は、一つの機体で「ステルス偵察」「ミサイル発射」という双方の機能をもたせようとした。すると、ミサイルを本体に格納する必要がある。(さもなくば、本体の外にあるミサイルがレーダーで見つかってしまうからだ。)すると、ミサイルを格納することゆえに、本体はデブになった。デブになると、前面投影面積が増えるので、ステルス性が悪化する。また、デブゆえに空気抵抗が増えて、燃費が悪化して、航続距離が短くなる。また、デブゆえに、格闘性能も落ちる。……悪いことずくめだ。それというのも、一つの機体に何もかも詰め込みすぎたせいだ。かくて、「あぶはち取らず」みたいな失敗作になってしまった。やたらと金を食うくせに、性能はひどいレベルだ。
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心神も同じ系列にある。やはり、あれこれと詰め込みすぎて、失敗している。
まず、ステルス・ボディの開発はいい。これは最重要だろう。
エンジンの自主開発はどうか? これは、ひどい。日本の心神しか使い道がない技術に金をかけても、開発費の回収が大変だ。猛烈なコストアップになる。どうせなら、外国のエンジンを使う方がいい。
ただ、エンジンの自主開発をするのには、理由がある。推力偏向システムを導入して、機敏な行動が可能となるようにしているのだ。……とはいえ、それは、戦闘機の格闘性能を上げるためのものだ。それは、一昔前の戦闘機にとっては重要な要素だったが、今では「遠くから敵を見つけて、対空ミサイルで仕留める」というふうに戦略が変わっている。今では格闘性能を上げる必要はないのだ。なのに、莫大な金をかけて推力偏向システムを開発するなんて、金をドブに捨てるようなものだろう。(開発しても、使い道がない。)
これからの航空戦で勝敗を決するのは、ステルス性能と、対空ミサイルの性能だ。この二つがあればいい。格闘性能なんか、どうでもいいのだ。(敵が近づく前に撃墜してしまえばいいのだ。)
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以上のことから、「心神の開発は中止するべきだ」と結論できる。
かわりに、安価な無人ステルス偵察機を開発すればいい。これには高度な技術は必要ない。むしろ、敵機にいつかは撃墜されることを前提として、使い捨てふうに安上がりなものにするべきだ。(安いものをたくさん配備するわけ。)
ついでだが、F-35 の購入もやめた方がいい。これはデブで、性能が不十分だからだ。それというのも、1つの機体に「あれもこれも」と詰め込みすぎて、「あぶはち取らず」になったからだ。「あれもこれもできる」ということだったが、結局は「あれもこれも中途半端」になっただけだ。しかも、コストはやたらと巨額だ。
2013年4月14日、アメリカ国防総省が発表した2014年度に出した国防予算案で、1機当たりウェポンシステム・ユニットコストを1億9千万ドルとすることを明らかにした。
( → F-35 (戦闘機) - Wikipedia )
これだと、2013年の時点で、1機 190億円。その後に、さらにコストアップしている。
デンマーク政府は、老朽化したジェット戦闘機の更新を計画しており、米ロッキード・マーチンに200億デンマーク・クローネ(約3350億円)相当を発注する方針を固めた。
F16に代わる戦闘機としてF35を27機購入する計画を明らかにした。
購入費用や整備などを含めた総コストは約560億クローネに達する見込み。
( → 米ロッキード:デンマークからF35戦闘機を受注へ )
3350億円で 27機 なら、1機 124億円。しかし、整備などを含めた総コストは、2.8倍になるから、1機347億円。日本の場合は、輸入でなくライセンス生産だから、さらにコストは上がる。たぶん1機 500億円程度。……とんでもない価格だ。
1機に複数の性能を持たせるマルチロール機だから、こういう馬鹿げた結果になる。
どうせなら、F-15 か F-16 の安いやつに、対空ミサイルを搭載すればいい。それとは別に、無人偵察機だけを開発すればいい。これなら、ずっと安上がりだ。
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なお、無人偵察機はどうやって開発するかというと、次のようにすればいいだろう。
・ ステルスのボディーだけは、日本の自主開発。
・ エンジンと制御システムは、ユーロファイターの技術。
これなら、開発費は、ステルス技術ぐらいで済む。(エンジン部分については、新たに必要としない。)
だから、これでいいだろう。
ともあれ、心神とか F-35 とかは、すでに時代遅れになっている、と理解するべきだ。こんなものに馬鹿高い金をかけても、1機 500億円のゴミを購入するようなものだ。
[ 付記1 ]
無人ステルス偵察機は、次のようなものになる。
・ 爆弾やミサイルを搭載しないので、とても細いボディ。
・ 格闘しないので、翼はとても小さい。
こうなると、ほとんどミサイルみたいな形になる。で、これは、前面投影面積が小さくて、形状もシンプルだから、ステルス性能が非常に優秀だ。相手に探知されないまま、相手の領域に侵入できる。となると、ステルス戦では、圧倒的に有利になる。「こちらは見えるが、相手は見えない」という状況だからだ。
こういうふうにすれば、敵が F-35 であっても、圧倒的に上回れるだろう。
あとは、こちらから、高度な対空ミサイルを開発することが大切だ。現在の航空戦では、戦闘機よりも対空ミサイルを高性能化することが、戦闘の死命を制するのだ。
だから、心神なんか開発していないで、高性能な対空ミサイルの開発に注力するといい。あと、無人ステルス偵察機も。
( ※ ついでだが、日本がこれをやらないで、中国やロシアがこれをやったら、日本の F-35 は中国やロシアの航空システムによって、完全に無力化される。日本の飛行機のすべてが撃墜されて、制空権を完全に失う。)
[ 付記2 ]
対空ミサイルを高度化すると、一種の無人攻撃機(特攻機)みたいになる。ここに人工知能を搭載してもいい。ロボットみたいなものだ。
こういうふうに、無人機(ミサイル)による攻撃が、将来の空戦の主流となるだろう。有人機によるドッグファイトなんて、もはや過去の遺物だと思った方がいい。
なのに、心神や F-35 は、その方向で開発中だ。完全に時代の流れに取り残されている。
[ 付記3 ]
なぜ対空ミサイルが重要か? 対空ミサイルは、有人戦闘機よりも圧倒的に性能が上だからだ。
・ 最高速は、有人戦闘機よりも上。(マッハ2を上回る。)
・ 旋回性能も、有人戦闘機よりも上。(人間は 10G までしか
耐えられないが、機械にはその制限がない。)
開発中の最新型については
→ 参考
ADT-Xの技術検証結果も使えるのでそう無駄でもないかと
AIの進化によって戦闘機自体の無人化も必然で、時代遅れの最新鋭機に血税を費消するのはやめてもらいたいですね
http://openblog.seesaa.net/article/435847574.html
戦争にすぐなりそうなシステムですね
それだと、偶発戦争が減る効果しか見えないが。
(現場レベルの)牽制のおかげで、戦争が起こらなくなる(首相の判断が、戦争をするのをやめるようになる)なんて、ありえそうもないけど。
第1次大戦や、盧溝橋事件の例を見ても、現場レベルの混乱から戦争が起こることはある。逆はあり得ない。
今だって、中国の戦闘機や船が領海侵犯を犯すたびに、戦争の危機が高まる。あなたの説だと、中国の戦闘機や船が領海侵犯を犯すたびに、戦争の可能性が減ることになる。本気かね?
あなたの説だと、日本は中国・ロシア・韓国以外の国と、とっくに戦争をしているはずだが。その一方で、中国・ロシア・韓国とは戦争をしないことになる。本気かね?
日本人さんのコメントは次のような意図ともとれる。
無人戦闘システムを装備した日本に対して、今までのように相手国が牽制のつもりで領海通過など行うと、問答無用で撃墜、撃沈されて戦争に発展しそう。
このような意図については全く考慮した形跡がない。本気かね。
それ、昔ソ連が大韓民国航空機を撃墜して大騒ぎになったけど、日本もそんなに野蛮なことをするの? まさか。
現状だって、「外交経由で抗議」だけですよ。スクランブルをしているのは、別次元の話。
孤島を通過しても、防衛上は何の問題もないので、撃墜はあり得ません。本土に接近したら、撃墜するしかないが。
禁止兵器になったらそこで用なしになるんじゃね?
そんな兵器いままで大量にあるだろ
まして、兵士を相手にした大量虐殺兵器なら、禁止どころか、開発の真っ最中だ。特にロボット。
どこかの戦争で無人機が大量虐殺かましたら、各国が競って、無人機開発にいそしむでしょう。核兵器の開発競争に似ている。先に自分たちが開発して所有してから、持っていない国に対してだけ禁止する。乗り遅れないよう、急げ。
費用対効果が抜群なのも美点。1兆円もかけて、ミサイルを数発しか打ち落とせない迎撃ミサイルという、究極の無駄兵器がなくなるかも。
心神については自前でステルス技術くらいは用意しとかないと、くらいの消極的な姿勢ですが、F-22の例もあり第6世代を国産でと願う僕にとっては希望の星です。
ミサイル万能論も十分理解できますが、日本からICBMを打ち込むっていう方が自分には想像し難いのです・・
無人機をミサイルキャリアーにする案や大型輸送機等をキャリアーにする案はかなり昔から存在します。ただ問題なのが電子戦下での運用でやはり高性能な有人機は必要になってくる、F15なんて大昔の基本設計機を再設計の繰り返しで使っても限界はもうすぐ目の前。
そんな訳でこぞって各国新世代機の導入を急いでる訳で、それを無視して実践証明もされてない新機軸を主力にってだいぶ無理がある、でもまぁ人的損耗の無い戦略は自衛隊とって魅力的だよねウン
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防衛省は2030年ごろから退役する航空自衛隊の戦闘機F2の後継機について、国産開発を断念する方向で最終調整に入った。
https://www.asahi.com/articles/ASL3443MHL34UTFK004.html
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※ F2の後継機とは、心神のこと。
そんな情けない国は、相手国が兵器を売ってくれなくなったら干上がって滅ぶだけだから。
国産兵器の運用は、「大国」としての「メンツ」と「意地」だから。
そこんところが、大人の国と子供の国との境界線ーーって言っても良いのかな?