2016年05月17日

◆ オスプレイは軍事的に無意味

 オスプレイは軍事的に無意味である。そのことを論証する。

 ──

 オスプレイは軍事的に無意味である。以下では個別の論点から論じよう。

 島嶼防衛


 「オスプレイは島嶼防衛に役立つ」
 という主張がある。主として、次のように考える。
 「尖閣諸島のような離島を、中国が急襲しようとしたとき、それに先だってオスプレイを派遣すれば、地上で迎え撃つことができて、撃破できる」
 
 しかし、こんなことをする必要はない。中国が離島を急襲したければ、勝手に急襲させればいい。そんなことをしても、補給線がなければ、そのうち餓死するだけだ。そのことは旧日本軍が「戦死者よりも餓死者の方が多かった」ということで証明している。
  → 太平洋戦争戦跡地−戦没者の 60%強 140万人は餓死であった
  → 戦死者数よりも、餓死した人数の方が多いとききました

 敵が急襲しても、やがては自滅するだけなのである。だから、急襲したければ、急襲させればいい。あとは、補給線を断つだけで、相手を全滅させることができる。こちらとしてはオスプレイなんかを派遣して、人的損害をもたらすべきではない。黙って補給線を断つだけでいいのだ。
 なお、どうしても急いで敵を壊滅させたいのであれば、爆撃機や対地ミサイルや砲撃などを加えてもいい。日本の自衛隊には圧倒的な対地攻撃能力がある。それはオスプレイ 17機程度とは比較にならない圧倒的な攻撃力だ。この圧倒的な攻撃力で、敵軍の1部隊を壊滅させればいい。
 ひるがえって、オスプレイ 17機程度しか使えないのでは、敵の対空ミサイルの威力が大きすぎて、こちらの方が壊滅的打撃を食うだろう。馬鹿げている。
 要するに、敵が島嶼侵攻をするなら、オスプレイの出番はない。

 ※ 下記項目でも、似た趣旨で論じた。
    → オスプレイ導入の是非 の [ 付記2 ]
 ※ 次項では、さらに詳しい話がある。そちらも参照。

 長距離移動


 「オスプレイはヘリコプターよりも長距離を移動できるので、島嶼防衛に有利だ」
 という主張がある。しかし、これも成立しない。

 第1に、島嶼防衛そのものが無意味だ。(すぐ上に述べた通り。)

 第2に、島嶼防衛以外の用途(低速の偵察など)では、飛行艇の方が向いている。だから、オスプレイのかわりに、飛行艇を買えばいい。今の日本では飛行艇が不足しているからだ。
 この件は、下記項目でも述べた。
  → オスプレイ導入の是非 の [ 付記3 ]
  → オスプレイ導入の愚

 第3に、ヘリコプターばかりに長距離を要求するのは、馬鹿げている。ヘリコプターよりも戦闘機(マルチロール機)にこそ、長距離を要求するべきだろう。ところが現実には、そうなっていない。航続距離の値は、こうだ。
   F-35 2,220km
   F-15 3,450km (タンクを増設すると 5,750km)
   F-2  4,000km

 つまり、F-35 の航続距離は、圧倒的に短い。片道で 1100 km だけだ。実際には戦闘活動もあるから、もっと短くなる。距離がこれほど短いと、島嶼防衛にはほとんど役立たない。
 ちなみに、熊本基地と石垣島との距離は、1135km ぐらいだ。次のページで測定できる。
  → 地図で距離を測る
 F-35 だと、熊本基地から石垣島への往復すらもできないわけだ。あまりにも航続距離が短い。
 オスプレイなんかで航続距離を自慢するぐらいなら、F-35 の航続距離の不足を心配する方が先決だろう。話の順序を間違えてはいけない。
 ついでだが、オスプレイの航続距離も、やはり足りない。
   オスプレイ  1,627 km
   US-2    4,700 km

 航続距離には、圧倒的な差がある。航続距離を問題にするなら、飛行艇 US-2 以外には選択肢はありえない。

  ※ F-35 は、航続距離の点から日本の島嶼防衛には向かない。
    一方、ユーロファイターはどうか? 
      航続距離 2,900km
      フェリー飛行時航続距離 3,706km

    という数値だ。
    また、F-16は、「航続距離  3,980km」だ。
    いずれも、十分な数値だと言えるだろう。
    F-35 だけが特別に短い。ほとんど欠陥機だ。三菱みたい。
 

 軽空母


 「オスプレイを軽空母に搭載できる」
 という主張もある。しかし、これはナンセンスだ。
 そもそも、軽空母は、軍事的な意味があまりない。軽空母にオスプレイや F-35 を搭載しても、ほとんど意味がない。なぜか? 軽空母自身を防衛するために、戦力の大半を割かれるからだ。しかも、連続稼働が不可能なので(2交替ぐらいになるので)、実際に飛ぶのは半数ぐらいだ。
 そこで、仮にオスプレイや F-35 を 12機ぐらい搭載しても、実際に攻撃に使えるのはその4分の1、つまり、たったの3機だけだ。これでは軍事的にほとんど意味がない。
 さらには、軽空母は長距離ミサイルに弱い。敵が高機能の長距離ミサイルを発射したら、ひとたまりもない。それをよけるためにイージス艦を用意したら、その分、大切なイージス艦を食われて、本土防衛が空っぽとなる。「軽空母を助けて、本土を失う」という結果になる。

 というわけで、「オスプレイや F-35 を軽空母に搭載できる」というのは、軍事的に無意味なのだ。
 なお、実は、これは私の意見ではなくて、下記意見からの丸写しみたいなものだ。詳しくはそちらを参照。
  → 最新護衛艦「ひゅうが」(4)

 ヘリ空母


 では、最新護衛艦「ひゅうが」は、何の役にも立たないのだろうか? いや、そんなことはない。上記の記事を読めば、次のことがわかる。
 「現代の海戦では、圧倒的な威力を持つのは、潜水艦だ。逆に言えば、敵の潜水艦を打破することが、味方の軍事力を保つことの要件となる。ゆえに、敵の潜水艦を打破するために、対潜哨戒機を飛ばすヘリ空母を派遣することが、決定的に重要だ」

 こうして事実がわかっただろう。ひゅうがのようなヘリ空母が大切なのは、ヘリで攻撃するためではない。ヘリの対潜哨戒機としての機能が決定的に重要なのだ。それは、艦隊全体の存亡を左右するほど重要なのだ。
( ※ 仮に、ヘリ空母がなくて、対潜哨戒機を飛ばすことができないとしたら、敵の潜水艦に攻撃される危険があるがゆえに、日本は艦隊を派遣できなくなってしまう。)

 なお、対潜哨戒機としての具体的な機種は、下記にある。
  → 対潜哨戒機 - Wikipedia

 ここには、SH-60J などの機種が示されている。なお、ここには記されていないが、AW101 も対潜哨戒の機能がある。
  → AW101 対潜哨戒機 - Google 検索

 ついでだが、オスプレイは、対潜哨戒機としての用途はない。そんな用途のために、普通のヘリコプターの何倍もの金額を投じるのは、ただの無駄だからだ。
 要するに、対潜哨戒機としての用途がないオスプレイは、ヘリ空母に搭載する価値もないし、現代の海戦で役立つ場面もないのだ。ただのゴミみたいなものだ。
 ちなみに、米国海軍と米国陸軍は、オスプレイを1機も採用していない。軍事的は無意味だとわかっているからだ。
( ※ 海兵隊が特別なニッチな用途のためにオスプレイを購入しただけだ。海兵隊そのものが特別なニッチな軍隊だからでもあるが。)





沈黙の艦隊  (講談社漫画文庫)

   海洋で最強の戦力は潜水艦だ、ということがよくわかる漫画。
   対抗するには、対潜哨戒機を備える以外はない。



 [ 付記1 ]
 オスプレイは、せいぜい、離島の病人を運ぶぐらいの用途しかないだろう。
 だが、離島の病人を運ぶためならば、本土と離島をオスプレイで往復するよりは、あらかじめ離島にプロペラ機を設置して、片道飛行する方が早くて安上がりだ。下記で述べた通り。
  → 小笠原の空港は軽飛行機に
 というわけで、離島の病人を運ぶ用途でも、オスプレイはよろしくない。
 
 [ 付記2 ]
 私がオスプレイを好きになれない理由は何か? 自分でもよくわからなかったので、じっくり考えてみたら、ようやくわかった。
 このような機種は、「ヘリコプターと飛行機の良いとこ取り」という発想で作られているからだ。
 「AとBの良いところを取れば、両者をしのぐような、素晴らしいものができるに違いない」
 これを、折衷主義という。これは、素人の発想だ。
 一般に、折衷主義というのは、うまく行ったためしがない。なぜか? 素人は「俺様の独自の意見」と思い込むが、実は、似たようなものは、すでに歴史的に何度も試みてられてきたからだ。そのすえに、最適なピークポイントとして、AとBというものができてきた。ここで、AとBの中間を取ると、ピークポイントから外れるので、出来損ないのものになるのが歴史的に判明しているのだ。
 たとえば、二輪車と四輪車という最適のものがある。ここで、「両者の中間を取れば素晴らしいものができるだろう」と思って、三輪車をつくっても、ろくなものにはならない。また、両方を足して、六輪車をつくっても、ろくなものにはならない。
 オスプレイも同様だ。
 「ヘリコプターと飛行機の中間にすれば、素晴らしいものができるだろう」
 「両者の機能を併せ持つのならば、あらたな新兵器ができるだろう」
 こんなことを思っても、まともなものができるはずがないのだ。具体的に言うと、機構がやたらと複雑化する。そのせいで、故障しやすくなりそうだし、それは別としても、コスト高騰は避けがたい。
 私がこれまでオスプレイを否定してきた最大の根拠は、「コスト高」だ。コスパがひどく悪い。
  → オスプレイ導入の是非
 コスパが悪いことを、オスプレイ否定の理由としてきたが、より根源的なことが、上述のことからわかる。
 つまり、折衷主義という、素人じみた安易な発想が、技術的な無理を強いるので、やたらと無理を積み重ねた高コスト構造になってしまうのだ。高コストの原因は、馬鹿げた折衷主義にある。そのまた原因は、「良いとこ取りをしよう」という素人じみた発想にある。

 一般に、理学系の研究者で、「折衷主義」が好きなような人は、研究者には向いていない。さっさと転職した方がいい。「折衷主義」をしたがるような人は、独自の発想はできないし、他人の後追いしかできない。とても理学系の研究者には向いていない。
 また、工学系の研究者で、「コスパ無視」という方針を取る人は、技術者には向いていない。さっさと転職した方がいい。「性能が良ければコストがいくらかかってもいい」なんていう方針を取ると、会社がつぶれるだけだ。(三菱自動車をつぶす技術者のようなものだ。獅子身中の虫。)
 というわけで、「オスプレイが大好き」と思うような人は、理学系でも工学系でも、研究者・技術者に向いていない。さっさと転向した方がいいだろう。「オスプレイが大好き」と思う人に向いている職業は、夢物語のアニメ製作だ。これなら向いている。
( ※ オスプレイというのは、ガンダムや鉄人28号みたいなオモチャだと思った方がいい。実用になる軍事兵器ではない。……だから、オモチャの好きな軍事オタクばかりが大騒ぎする。肝心の米軍は、陸軍も海軍も採用しない。)
  
posted by 管理人 at 23:59| Comment(9) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
反論記事がありました。

【熊本地震】一部メディアのオスプレイ叩きに被災者から批判の声
http://www.sankei.com/politics/news/160420/plt1604200011-n1.html
Posted by 名無し at 2016年05月18日 00:44
 それは、本項に関連する話ではなくて、別項に関連する話。
  → http://openblog.seesaa.net/article/437402338.html

 ここで真相は記されています。
 ま、政府が大々的に嘘をつけば、それにだまされる人はたくさんいる、というわけ。洗脳効果。
Posted by 管理人 at 2016年05月18日 06:18
F-35Bを導入する前にF-35Bが発艦するための空母を作るためのヘリだったと思う。
今は少し小さいヘリ空母を作っていますが、多分不満なのでしょう。
オスプレイは大きいからもう少し大きな普通サイズの空母を作るつもりなんじゃないかな? その理由がオスプレイ搭載用の空母で、だからカタパルトはつけてません。空母じゃありません。と言い張ってF-35B導入からの空母運用じゃないかなぁ。

余ったオスプレイは国内の活動に使うんじゃないかな?
Posted by かーくん at 2016年05月18日 06:45
ティルトローター型はオスプレイだけではなく、新型も開発中ですがね。
特にコストにうるさい民生型(AW609)も開発が進んでいます。
軍事用としてはV-280なども。
従来型のヘリを完全に代替するわけではないけれども需要はあるんでしょうね。
技術は日進月歩ですから、かつてなら「折衷主義」(笑)といわれたものが十分成立する余地が出てきたということでしょう。

Posted by 通りがかり at 2016年05月18日 18:52
> 民生型(AW609)も開発が進んでいます。

調べてみたら、1機 20億円。
 http://www.aviationwire.jp/archives/64372

引き渡し時期は 2018年。客室は9席。
 http://blogs.yahoo.co.jp/ichikishigeo_07/68634351.html

オスプレイより大幅に低価格で、小型ということか。
オスプレイよりはマシだとも思える。オスプレイよりこっちを買えばよかったかも。
とはいえ、どっちもどっち。まあ、少しは売れるだろうが、あくまでニッチだろう。

なお、「小笠原の妊婦を運ぶのに便利だ」という話もあったが、馬鹿げている。小笠原の妊婦を運ぶ必要があるのは事実だが、その理由は、小笠原に産科の体制がないからだ。産科医と看護婦と助産婦を増員するのが正解であって、産科医療を貧弱にしておいてヘリコプターで補おうというのは、本末転倒も甚だしい。この手のデタラメ論議がしばしばもたらされるので、だまされないようにしよう。(オスプレイ必要論も同様だが。)
Posted by 管理人 at 2016年05月18日 20:19
もう一つご参考までに。
アメリカ陸軍がオスプレイを導入しないのはティルトローター機を独自開発しているからです。
V-280ですね。
Posted by 通りがかり at 2016年05月19日 01:41
戦闘機より先にオスプレイ?
Posted by 伊織夜 at 2016年05月21日 17:26
↑ 次項に説明してありますよ。
Posted by 管理人 at 2016年05月21日 17:50
冒頭のシナリオですか?
ちょっと遠回しすぎて
Posted by 伊織夜 at 2016年05月23日 04:55
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