2016年05月07日

◆ 黒川第1発電所と土砂崩れ

 熊本の黒川第1発電所の貯水槽が崩れて、土砂崩れが起こった。因果関係は? 

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 熊本の黒川第1発電所の貯水槽が崩れて、土砂崩れが起こった。下方に位置する人家は、土砂崩れに飲み込まれて、死者2名。ここで、因果関係はあるのか? それが話題になっている。

 とりあえず、記事を列挙しよう。土砂崩れの画像もあるので、よく見てほしい。
  → 熊本地震で南阿蘇の水力発電所損壊 集落へ大量の水流出:朝日新聞
  → 発電所の水、大量流出…熊本地震本震で損壊 : 読売新聞
  → 地震で水力発電所損傷 流水と土砂崩れに因果関係は(動画あり)
  → 南阿蘇村の発電所損壊=熊本地震、集落方向に水:時事通信

 航空写真もある。




 被災前はこれ。




 地形図。




 貯水槽から下る水路のストリートビュー。




 以上のようにいろいろある。ここまでは、情報だ。

 ──

 このあとで、私の考えを述べよう。
 まず、記事では、次のようにある。
 九電によると、斜面の崩落は貯水槽より上から発生している。「斜面崩壊と貯水槽の損壊のどちらが先に発生したかわからない」(広報)とし、因果関係は分かっていないと話している。
( → 朝日新聞
 黒川第一発電所は 1914年に完成。水力発電所の耐震性などの基準は 65年の通産省(現経済産業省)省令で定められているが、同発電所の貯水槽は適用対象外という。
( → 時事ドットコム

 ここでは、「貯水槽の損壊(耐震性不足)が、土砂崩れの原因だった」という仮説について考慮されている。
 しかし、それが成立することはありえないと思う。貯水槽の損壊があれば、単に水が流出するだけで、下方の家は、水を浴びるだけだっただろう。だから、上の仮説については、あっさり「ノー」と言えるだろう。つまり、この点では、九電には責任がない。(被災家屋は、水を浴びたのではなく、土砂崩れを浴びたからだ。)

 では、九電には、責任はまったくないか? いや、あると思う。それは、水があふれたことの責任ではなく、土砂崩れを起こしたことの責任だ。
 土砂崩れは、なぜ起こったか? 朝日と読売の写真を見ると、次のことがわかる。
 「土砂崩れは、貯水槽から始まって、そこから下方の土壌が一挙に崩れている」

 ここから推定できることは、こうだ。
 「貯水槽の水が土壌に浸透して、貯水槽から下側の土壌が水分のせいで崩れやすくなっていた。そこへ地震が襲ったので、崩れやすかった土壌は一挙に崩落した」


 これと似ているのは、川の堤防に水が浸透して、堤防が一挙に崩れることだ。土壌というものは、水が浸透すると、一挙に崩れるものなのだ。
 また、山の斜面に集中豪雨が降ったときにも、同じような原理で土砂崩れが起こる。(だから、水の浸透を防ぐと、土砂崩れを予防できる。)

 さて。上の私の見解に対して、次の反論もありそうだ。
 「すぐそばの地域でも、土砂崩れがあった。阿蘇大橋を飲み込んだ土砂崩れだ。だから、この一帯はもともと土砂崩れが起こりやすかったのだ。貯水槽のせいではない」
 しかし、これは、否定できる。貯水槽の場所を除いた、他の箇所では、土砂崩れが起こっていないからだ。

 なるほど、この近辺は、急傾斜だし、土壌も崩れやすかったのだろう。(阿蘇山の火山灰による土壌だから、崩れやすかったはずだ。) そういう理由も、大いにある。とはいえ、貯水槽もまた、大いに原因となっていた。原因は複合的だった。
 ただ、自然に対しては、「おまえが悪い」と言うことはできない。地震に対しても、「おまえが悪い」と言うことはできない。責任を問うことができるのは、人間を相手にしたときだけだ。そして、その責任を負う人間というのは、九電以外にはありえない。その意味で、責任は 100%、九電にある。
 要するに、もともと火山灰地で崩れやすい急斜面の土壌なんかに、貯水槽を作ることが、根本的に間違っていたわけだ。しかも、人家の上のあたりに。……とてつもなく危険なことをしていたと言える。

 というわけで、今回の原因については、「九電が 100%悪い」と言える。
 ただし、これは、「人災」とまでは言えない。地震や火山灰地という悪条件もあったからだ。(自然災害の要素も大きい。)
 ただ、自然についての悪条件(火山灰地・急斜面)を無視して、危険な場所に危険な構造物を構築したという点については、九電に 100%、責任がある。私はそう結論したい。

( ※ 本項はあくまで、私の個人的見解だ。異論がありそうだし、異論は認める。)



 [ 付記1 ]
 本項は、地震対策や被害の問題というよりは、安全の問題だ。安全意識が十分高ければ、避けられた被害だからだ。(仮に、今回の貯水槽について、水をすっかり抜いておいたなら、今回の被害は起こらなかったはずだ。)
 要するに、これを教訓として、全国の似たような施設については、「施設廃止」という方針を取ってもらいたいものだ。そうすれば、次の被害を未然に予防できる。
 これこそ、安全意識というものだ。
 
 [ 付記2 ]
 全国に似たような地域はないか? そう思って考えたら、次の場所が思い浮かんだ。
 「富士山の火山灰が積もった、丹沢の地域」
 ここには、かなり急斜面もあるし、急斜面の下の人家もある。丹沢を登山して、東側の平野を見渡すと、山の急斜面のそばがゴルフ場となって開発されているのが見て取れる。急斜面のそばでは、ところどころに人家もある。
 こういう地点は、大地震で、土砂崩れが起こる可能性もある。……ただ、さすがに、貯水槽はないようなので、その点では大丈夫だろうが。
 
posted by 管理人 at 22:45| Comment(3) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
死者の出た人家が後だったら、「個人的見解」とやらも無意味ですね
当然調べてあるんだよね?
Posted by 匿名 at 2016年05月16日 00:53
文句と揚げ足取りだけして、建設的意見のない人には、お答えしません。
Posted by 管理人 at 2016年05月16日 01:21
〉 さて。上の私の見解に対して、次の反論もありそうだ。
〉 「すぐそばの地域でも、土砂崩れがあった。阿蘇大橋を飲み込んだ土砂崩れだ。だから、この一帯はもともと土砂崩れが起こりやすかったのだ。貯水槽のせいではない」
〉 しかし、これは、否定できる。貯水槽の場所を除いた、他の箇所では、土砂崩れが起こっていないからだ。
立野や新所は崖崩れがよく起きるよ。
大昔から。石碑がある。

〉「九電が 100%悪い」と言える。
原因は地震と地形ですよ。

〉自然についての悪条件(火山灰地・急斜面)を無視して、危険な場所に危険な構\造物を構\築したという点については、九電に 100%、責任がある。
大雨土砂災害がここ10年で何回も起きていますよ。貯水槽は関係ないですね。
まだ「危険な場所なので住むには適さない」と言うなら分かる。

記事の文書に釣られてしまったのかな。
Posted by 通りすがり at 2016年05月16日 06:11
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