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熊本市は避難所を18か所の「拠点避難所」に集約する。生活改善のため。
《 拠点避難所開設へ 熊本市、学校除く18カ所 》
熊本市は2日、連休明けの小中学校の授業再開を前に、公民館やスポーツセンターなど学校以外の18カ所を「拠点避難所」にすることを明らかにした。間仕切りしてプライバシーを確保、畳を敷くなど避難所生活の環境を改善し、避難者の移動を促す。
多くの施設で空調が完備され、洗濯機や冷蔵庫も設置予定。
( → くまにちコム )
《 「拠点避難所へ」6割 熊本市避難者意向調査 》
一連の熊本地震で、熊本市が避難生活の改善を目的として市内18か所に設置する「拠点避難所」への移転を希望する避難者が 57%に当たる 3238人に上ることが、市の聞き取り調査で分かった。ただ、被害が大きい東区では、拠点にできる公共施設が少なかったことから、市は拠点避難所の増設も検討する。
( → 読売新聞 2016-05-06 )
これはこれでいいが、益城町のことが気にかかる。いまだに断水中であるはずだからだ。そこで調べてみると、案の定だ。
《 益城町 新たに3か所の避難所を開設 》
熊本県益城町は、一連の地震で一部の避難所が過密状態になっているとして、新たに3か所の避難所を開設しました。
合わせておよそ 110人の受け入れが可能で、プライバシーに配慮して間仕切りも設けられています。
( → NHKニュース 2016-05-06 )
地震で大きな被害を受けた熊本県益城町は3日、避難所の過密状態を解消するため、3カ所を新設した。プライバシーに配慮し、町内の避難所では初めてカーテンで世帯別のスペースを区切った。
新たに臨時指定した3カ所は、男女共同参画センターと公民館分館2カ所。公民館分館の1カ所以外は、水道が復旧していない。
( → 産経ニュース )
カーテンで間仕切りしているということだが、そんなことをしても仕方ない。肝心の水道が断水状態だからだ。(1箇所を除く。)
断水状態である限り、給水も十分ではないし、トイレも使えないし、手を洗う水も足りない。これでは、不衛生で食中毒の危険もある。エコノミークラス症候群だけじゃないのだ。
→ 避難所で集団食中毒 (前項)
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どうしてこういうことが起こるのか? 「縦割りの弊害だ」と言えるだろう。熊本市と益城町では、自治体が異なる。だから、益城町の住民を、熊本市に移せない。かくて、断水した地域の住民を、断水した地域に移せないこととなる。結果的に、住民の状態を改善することができなくなる。
こんなことは、本来なら、あっさり解決できるはずだ。
「居住に適さない益城町の住民を、居住に適した熊本市の避難所に移す」
という形で。
益城町と、断水していない熊本市中心部とは、5キロぐらいしか離れていない。ならば、熊本市中心部の避難所に移すことを考えるべきだろう。こんなときに行政の縦割り組織に縛られるべきではない。……それが私の結論だ。
[ 付記 ]
熊本市中心部の避難所に移ったあとは、自宅との往来のために、無料バスを運転するといい。(あるいは自転車の貸与でもいい。)
熊本市東区は、益城町に近いので、移転先には最も適しているように思える。少なくとも、断水していない場所という点では、そうだ。
ところが、それは無理だ。東区は、益城町の隣ということもあって、被害が大きすぎるからだ。
東区では、移転希望者が 565人(約36%)、現在の避難所にとどまりたいという人は 942人(約60%)だった。被害が大きい同区では、拠点避難所として秋津、託麻の2公民館しか用意できておらず、2公民館への移転希望は388人で定員(160人)の倍以上となった。
( → 読売新聞 2016-05-06 )
【 追記 】
調べ直したら、益城町の断水は、だんだん解決されつつあるそうだ。当初の見通しよりは、マシであるらしい。
→ 益城町の一部で10日ぶり通水、住民安ど
→ 益城町の上下水道 避難所優先復旧へ
→ 熊本地震 益城町で一部水道復旧
市町村合併ブームの時に益城町が熊本市に吸収合併していれば・・・
タラレバになってしまいますが。
熊本市は政令市への昇格を望んで、熊本市と益城町はたがいに合併する方針となり、益城町は賛成派の新人が反対派の現職を破って町長になりました。
しかし住民間で反対運動が持ち上がり、反対派が多数となり、住民投票で6割を占めて、合併は破談となりました。
熊本市は益城町との合併を諦め、植木町、城南町と合併する方針を取り、それが実現して、政令市へと昇格しました。
> 益城町の住民があまりにも不運すぎますね。
不運というより、強引に自分たちで選んだ道なのですから、誰のせいにもできない。しいて言えば、自業自得。
植木町、城南町の住民は、感謝しているかもね。「益城町の皆さん、ありがとう。あなたたちのおかげで、私たちは熊本市民になれました.今回の地震でも、援助で助かりました.水道も整備されて、断水しません。大昔のポンコツの水道を使って、断水だらけになった益城町とは、雲泥の差です。これもすべて、益城町が駄々をこねてくれたお陰です。本当にありがとう」
参考資料:
http://j.mp/26ZvDw6
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=956312&id=35921790
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1019771405
水道整備事業は
http://www.kumamoto-waterworks.jp/?waterworks_article=7986
本来ならば益城町こそ、熊本市の金で水道整備してもらえたはずだった。なのに、そうならず、別の町が整備してもらった。
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合併反対派が勝利した経緯を探ってみた。
→ https://kumanichi.com/pdf/20090412.2.pdf
反対派は、チマチマとした損得を並べ立てて、「合併すると損するぞ」と宣伝したようだ。「財政赤字が増える」とか「住民サービスが低下する」とか。ほとんど感情的になって、デマみたいな話をいっぱい並べている。
これに対して、賛成派は、ふるさとの発展という点から、長期的・広域的な展望をもっている。反対派に対しては感情的に反発することはなく、「目先のことしか考えられない人々に本当に悲しくなります」というふうに、慨嘆している。
→ http://adidor.at.webry.info/200902/article_3.html
反対派の勝利は、ちょうど米国の共和党のトランプ候補が勝利したのと同様だ。デマを並べ立てて、感情的になって、人々のあさましい損得勘定に訴える。大局的な知性ある判断ができない。目先の利益ばかりを考えたせいで、長期的には大損する結果となる。
田舎の人間というのは、そういうものなのかもね。
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さらに調べてみました。
熊本市と益城町の歳入と人口を調べて、一人あたりの歳入の額を計算すると、
熊本市 …… 38万円
益城町 …… 13万円
となります。一人あたりの歳入の額です。
熊本市は、借金の額が益城町の2倍ぐらいありますが、歳入は益城町の3倍ぐらいあります。
この意味では、熊本市の方が、財政は健全です。益城町は、借金の額は低いが、歳入の額がもっと低いので、財政的には熊本市よりも悪いです。
合併反対派は、借金の額だけを見て、「益城町の方が財政は健全だ」と主張しましたが、それは(経理音痴である)素人の勘違いであったわけです。
→ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160506/k10010510621000.html
熊本市は、財政が豊かなので、熊本市の専決処分で、800戸の建設を決めました。近く建設が始まる。
→ http://www.asahi.com/articles/ASJ563VHWJ56TIPE012.html
※ 益城町は、小規模なので、震災対策の業務の財源は県に任せるしかありません。熊本市は、政令市なので、県と同等以上の財政力があります。
益城町の断水状況は、思ったよりも早く改善されつつあるようだ……という話。
益城町の一部の人々(反対派)の行動をもって、益城町の他の人々(賛成派)や、その他日本中の田舎に住んでいる人々まで十把一絡げで蔑む必要は無いと思うのだが