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みなし仮設には、借間人も入れるようだ。朝日新聞の声欄に、該当の人が意見を書いている。
被災しました。熊本市内に借りたマンションは大きな被害を受け、一瞬にして住まいを失い、……
私の借りていたマンションは、……住み続けることはできない状態です。それでも「大規模半壊」と見なされるには「かなり厳しい」と区役所の窓口で告げられました。
「見なし仮設住宅」には、このままでは入れない可能性が高いです。新たに自力で住まいを探して、借り直さなければならないのです。
( → 朝日新聞・声 2016-05-05 )
この人は、みなし仮設に入りたがっているが、もともと借間人である。とすれば、実際の損失は、せいぜい「引っ越し代」と「敷金・礼金」ぐらいだろう。家の損害は皆無だ。(損害を受けたのは大家であって、借間人ではない。)
なのに、みなし仮設に入りたがるというのは、どういうことか? こうだ。
「これまでは月に数万円の家賃を払っていた。しかし、みなし仮設の援助を受ければ、毎月の数万円の家賃を払わずに済む。毎月6万円を2年間。合計 144万円の儲け。ラッキー」
これは、焼け太りというものだろう。「地震のおかげで家賃を払わずに済む」というわけで、ボロ儲けだ。地震でボロ儲けしようという魂胆。で、自治体は、こういう詐欺みたいなのを、排除するどころか、受け付けているそうだ。(優先順位は低そうだが。)
こういうふうに、焼け太りを望む借家人がいるが、一方で、自宅が倒壊して、人生設計が狂った人も多い。こちらは、数百万円以上の損害だろう。おそらく生活設計が成り立たなくなったと思える。(ローンなどの残っているかも。または、生活を切り詰め、貯金を崩して、必死に完済したあとかも。)
みなし仮設の制度を運用するなら、自宅倒壊の人に限るべきだ。もともと借家人であった人は、実質的な損害は軽微なのだから、みなし仮設からは除外されるべきだ。
自治体は、困っていない人を救済しようとして、真に困った人を軽視する。こんなことでは、あまりにもひどすぎる。
[ 付記 ]
この件は、別項でも懸念していた。再掲しよう。
特に、もともと家賃を払って賃貸住宅に住んでいた人にまで、これだけの金を払うんだろうか? 払いすぎじゃないの? 家屋倒壊の人に絞って払うべきであって、もともと家賃を払って賃貸住宅に住んでいた人には払う必要はなさそうだが。(半年程度の短期間ならともかく。)
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題 )
懸念していたとおりになっていた、と本項で判明したわけだ。