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熊本県は、仮設住宅を建設する方針だ。
→ 熊本県、仮設 2100戸建設へ
すでに一部は着手した。
→ 仮設住宅計100戸の建設に着手
新たに、仮設住宅への意向を問う調査もなされた。
→ 仮設住宅入居の意向調査開始 南阿蘇村
ま、現状では、「欲しいか/欲しくないか」ということだから、多数の希望者があふれるだろう。同時に、2100戸ぐらいでは足りなくなって、「不足する」という問題が生じるだろう。結果的に、多くの人々が「不足ゆえに苦しむ」という問題が生じる。
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そこで、困ったときの Openブログ。「仮設住宅が不足する」という問題を、一瞬にして解消する方法を示そう。
その本質は、(保育所不足の解決の場合と同様で)「供給のかわりに需要を調節する」という方法だ。供給が不足しているなら、需要を減らせばいい。それによって、需給を均衡させることができる。
では、需要を減らすには? 簡単だ。何度も述べた通りで、こうする。
「現金給付する」
つまり、仮設住宅を与えるかわりに、現金給付をする。これによって、「仮設住宅が欲しい」という需要を抑制する。
具体的には、こうだ。
「被災者には、次の二つから、どちらでも好きな方を選んでもらう。
・ 仮設住宅の現物給付
・ 仮設住宅にかかる費用の現金給付
この二つからの選択とする」
では、現金給付とは、どのくらいか? 1000万円だ。根拠は以下の通り。
東日本大震災のときには、仮設住宅のコストは 628万円だった。
→ 仮設住宅・みなし仮設の問題
今では資材費がかなり上がっているから、少なくとも 700万円にはなるだろう。これに、解体費 200万円が上乗せされる。さらに、土地整備費、補修費、手続き人件費……などを上乗せすると、ざっと見て、1100万円ぐらいにはなりそうだ。しかし、ここは低めに見て、 1000万円としておこう。
だから、現金給付の額は 1000万円だ。
結局、被災者は、「仮設住宅か」「現金 1000万円か」という二者から択一することになる。そして、当然ながら、誰もが現金 1000万円を選ぶはずだ。
( ※ 安普請の仮設住宅をわざわざ買うはずがない。1000万円もあれば、まともな恒久住宅が建つからだ。 → 500〜1000万円の注文住宅:熊本 )
というわけで、「仮設住宅か」「現金 1000万円か」という二者から択一させれば、「仮設住宅が欲しい」という人はほとんどいなくなる。(いるのは、よほどの変人だけだ。)
こうして、「仮設住宅が欲しい」という需要がゼロ同然になるから、仮設住宅の不足は一挙に解決する。
と同時に、費用は 1100万円から 1000万円と削減されるから、熊本県の負担も少なくなる。
めでたし、めでたし。
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ただし……
二者択一するのは、「全員」ではない。それは、仮設住宅には入れる人が全員ではないのと、同様だ。
仮設住宅に入れる人は、抽選で決まる。同様に、二者択一する人も、抽選で決まる。
ここで、たとえば倍率が 20倍なら、20人に一人が当選する。(仮設住宅か現金給付か、という選択ができる。)残りの 19人は、何ももらえない。
「それは困る」
と思うかもしれないが、制度がもともとそうなっているのだから、仕方ない。もともと仮設住宅の数は限られているのだから、どっちみち 20人のうち、19人はあぶれるしかないのだ。
それを聞くと、読者は注文するだろう。
「何とかしろ。困ったときの Openブログだろ。何とか全員を救え」
それはごもっとも。
そこで、全員を救う案を示そう。こうだ。
「 20人のうち1人に 1000万円を給付するかわりに、20人の全員に 20分の1ずつ( 50万円ずつ)を給付する」
これで、公平に、全員に金が行き渡る。一挙に解決。
さらに、これを月ごとに払うのなら、5万円を 10カ月、というふうになる。疎開する人は、半年の人やら2年の人やら、いろいろいるだろうから、平均して 10カ月と見ても、悪くはあるまい。
あと、仮設住宅のほかに、みなし仮設や、他の補助金などの制度もあるので、それらの制度からも金を持ってくれば、5万円を 24カ月、というふうにすることもできるだろう。
ここまで聞くと、読者は不平を鳴らすかもしれない。
「何だ、それ。Openブログが最初から言っていることと同じじゃないか」
はい、そうです。結局は、巡り巡って、最初の方式に戻る。
逆に言えば、最初の方式は、もともと「仮設住宅の不足を解消する方法」だったわけだ。
本項は、それを、表現を変えて言っただけなのでした。種明かし。
[ 付記1 ]
私はいろいろと案を出しているが、熊本県の被災者の状況はひどいようだ。熊本県が滅茶苦茶な方針を出している。本サイトのコメント欄から転載しよう。
私は半壊で住めなくなった妊婦です。高齢者妊婦優先で全壊半壊が対象だったので、市営の申し込みをしましたが、途中から一部損壊の方も対象にかわり、高齢者妊婦関係なく抽選になり、市営の抽選にハズレ、また車中泊になりました。先が全くみえません。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 11:13 )
(熊本で)不動産にも行きましたがもう空き部屋が無い状態です。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 12:03 )
り災証明書が発行してから給付金がでるみたいで。
り災証明書が発行されるのに2ヶ月3ヶ月かかると言われています。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 14:54 )
(熊本県は) 何を思ったのか、仮設を熊本市沼山津地区に建てる予定だと言うのです。沼山津というのは益城の横で断層の真上なんですよ。仮設に入る人は不安ですね。マスコミには被災者の声をちゃんと聞いて貰いたいです。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 17:59 )
なお、熊本県と熊本市は、特に区別しなくていい。熊本市は、政令指定都市なので、県の業務を代行するが、どっちみち同じことだと考えていい。
一般に、被災の対策の実務は、県庁がやるのではなく、市町村の自治体がやる。(県の業務が委託される形。)
[ 付記2 ]
被災者は大変だ。その一方で、安倍首相は連休中に、のんびりと外遊だ。熊本のことはほったらかし。
→ 5月2日欧州及びロシア訪問 -1・2日目-
→ 5月3日欧州及びロシア訪問 -3日目-
楽しそうですね。
ま、「外遊をしてはいけない」とは言わないが、その前絵に、震災対策をしてからにしてほしい。実際には何もしないで外遊するなんて、無責任すぎる。
菅直人の場合には、初日に情報が皆無の状態では自分でヘリコプターに乗って仙台まで行った。その後に原発が暴走したときは、「命を捨てる覚悟で原発を止めろ」と大演説をして、原発を暴走させたまま逃げるという方針を撤回させた。
→ 吉田調書は信頼できるか?
→ 東電・全面撤退の真偽
ひるがえって、安倍首相は、被災者をほったらかしにして、外遊だ。さすがだね。
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あと、熊本市役所などの役所は、連休中はずっと休んでいるのだろう。「連休中も開いています」というような通知はないので。
とすると、その分、さまざまな手続きは遅れるわけだ。被災者はほったらかし。可哀想に。
【 追記 】
新たに情報が出た。全半壊の戸数が大幅に増えた、という話。
《 住宅全半壊想定の4倍 仮設不足の恐れ 》
熊本県は4日、熊本地震による県内の住宅の全半壊が3万1025棟となり、3万棟を超えたと発表した。県は地震から1週間後に全半壊を8000棟と見積もり、仮設住宅を4200戸供給する計画を発表しているが、仮設戸数の算出根拠となる全半壊戸数が想定の4倍近くになり、今の計画では不足する可能性が高くなった。
熊本県は、地震発生1週間後に把握できた住宅損壊数(約1万棟)から、一部損壊を除くなどして全半壊を8000と推定。この数字を基に計算し、プレハブ仮設の建設必要数を2100戸とした。みなし仮設は余裕を持たせ、県内で準備可能な全2100戸を確保することとし、4月27日に関連費143億円を予算措置した。
( → 読売新聞 2016-05-05 )
大幅不足が発生する理由は、「見込み違い」だったらしい。「みなし仮設は余裕を持たせ」とのことだから、これで十分に足りると思っていたらしい。
呆れる。唖然。呆然。これほど愚かだとは思ってもいなかった。だから首相ものんびり外遊していられるわけだ。
「どうせたいしたことはないさ。被災者もみんな安全な生活を送っているさ。車中泊も避難所生活もとっくに解消しているさ」
これが安倍首相だ。熊本県知事も同様だ。だから県庁にも出ずに、のんびり連休を楽しんでいるわけだ。
大規模半壊じゃなくたって、余震が続く中では家には戻れないんだから、避難するしかない。なのに、みなし仮設が受けられないんじゃ、避難所や車中泊は避けられなくなりますよね。そのせいで、エコノミー症候群になりかねない。
自治体はひどすぎるね。問題を解決する気がない。1000万円もする仮設住宅の建設ばかりに熱中している。東北で1000億円の防潮堤建設に熱中するのと同じ。
ま、全壊または大規模半壊の人に限っては、かなりマシであるようだが。
だけど、全員が対象なのかな? また「抽選で」とか言い出さないのかな?
政府については安倍政権(自民党政権)の時も、菅政権(民主党政権)の時もさほど対応が変わらないと思いますが。