2016年05月04日

◆ 仮設住宅の不足を解消するには?

 仮設住宅の不足を解消するには、どうすればいいか? 一瞬にして解消する、うまい方法がある。

 ──

 熊本県は、仮設住宅を建設する方針だ。
  → 熊本県、仮設 2100戸建設へ

 すでに一部は着手した。
  → 仮設住宅計100戸の建設に着手

 新たに、仮設住宅への意向を問う調査もなされた。
  → 仮設住宅入居の意向調査開始 南阿蘇村

 ま、現状では、「欲しいか/欲しくないか」ということだから、多数の希望者があふれるだろう。同時に、2100戸ぐらいでは足りなくなって、「不足する」という問題が生じるだろう。結果的に、多くの人々が「不足ゆえに苦しむ」という問題が生じる。

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。「仮設住宅が不足する」という問題を、一瞬にして解消する方法を示そう。
 その本質は、(保育所不足の解決の場合と同様で)「供給のかわりに需要を調節する」という方法だ。供給が不足しているなら、需要を減らせばいい。それによって、需給を均衡させることができる。

 では、需要を減らすには? 簡単だ。何度も述べた通りで、こうする。
 「現金給付する」

 つまり、仮設住宅を与えるかわりに、現金給付をする。これによって、「仮設住宅が欲しい」という需要を抑制する。

 具体的には、こうだ。
 「被災者には、次の二つから、どちらでも好きな方を選んでもらう。
  ・ 仮設住宅の現物給付
  ・ 仮設住宅にかかる費用の現金給付
 この二つからの選択とする」


 では、現金給付とは、どのくらいか? 1000万円だ。根拠は以下の通り。
 東日本大震災のときには、仮設住宅のコストは 628万円だった。
  → 仮設住宅・みなし仮設の問題
 今では資材費がかなり上がっているから、少なくとも 700万円にはなるだろう。これに、解体費 200万円が上乗せされる。さらに、土地整備費、補修費、手続き人件費……などを上乗せすると、ざっと見て、1100万円ぐらいにはなりそうだ。しかし、ここは低めに見て、 1000万円としておこう。
 だから、現金給付の額は 1000万円だ。

 結局、被災者は、「仮設住宅か」「現金 1000万円か」という二者から択一することになる。そして、当然ながら、誰もが現金 1000万円を選ぶはずだ。
( ※ 安普請の仮設住宅をわざわざ買うはずがない。1000万円もあれば、まともな恒久住宅が建つからだ。 → 500〜1000万円の注文住宅:熊本

 というわけで、「仮設住宅か」「現金 1000万円か」という二者から択一させれば、「仮設住宅が欲しい」という人はほとんどいなくなる。(いるのは、よほどの変人だけだ。)
 こうして、「仮設住宅が欲しい」という需要がゼロ同然になるから、仮設住宅の不足は一挙に解決する。
 と同時に、費用は 1100万円から 1000万円と削減されるから、熊本県の負担も少なくなる。
 めでたし、めでたし。

 ──

 ただし……
 二者択一するのは、「全員」ではない。それは、仮設住宅には入れる人が全員ではないのと、同様だ。
 仮設住宅に入れる人は、抽選で決まる。同様に、二者択一する人も、抽選で決まる。
 ここで、たとえば倍率が 20倍なら、20人に一人が当選する。(仮設住宅か現金給付か、という選択ができる。)残りの 19人は、何ももらえない。
 「それは困る」
 と思うかもしれないが、制度がもともとそうなっているのだから、仕方ない。もともと仮設住宅の数は限られているのだから、どっちみち 20人のうち、19人はあぶれるしかないのだ。

 それを聞くと、読者は注文するだろう。
 「何とかしろ。困ったときの Openブログだろ。何とか全員を救え」

 それはごもっとも。
 そこで、全員を救う案を示そう。こうだ。
 「 20人のうち1人に 1000万円を給付するかわりに、20人の全員に 20分の1ずつ( 50万円ずつ)を給付する」

 
 これで、公平に、全員に金が行き渡る。一挙に解決。
 さらに、これを月ごとに払うのなら、5万円を 10カ月、というふうになる。疎開する人は、半年の人やら2年の人やら、いろいろいるだろうから、平均して 10カ月と見ても、悪くはあるまい。
 あと、仮設住宅のほかに、みなし仮設や、他の補助金などの制度もあるので、それらの制度からも金を持ってくれば、5万円を 24カ月、というふうにすることもできるだろう。

 ここまで聞くと、読者は不平を鳴らすかもしれない。
 「何だ、それ。Openブログが最初から言っていることと同じじゃないか」
 はい、そうです。結局は、巡り巡って、最初の方式に戻る。
 逆に言えば、最初の方式は、もともと「仮設住宅の不足を解消する方法」だったわけだ。
 本項は、それを、表現を変えて言っただけなのでした。種明かし。



 [ 付記1 ]
 私はいろいろと案を出しているが、熊本県の被災者の状況はひどいようだ。熊本県が滅茶苦茶な方針を出している。本サイトのコメント欄から転載しよう。
 私は半壊で住めなくなった妊婦です。高齢者妊婦優先で全壊半壊が対象だったので、市営の申し込みをしましたが、途中から一部損壊の方も対象にかわり、高齢者妊婦関係なく抽選になり、市営の抽選にハズレ、また車中泊になりました。先が全くみえません。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 11:13
 (熊本で)不動産にも行きましたがもう空き部屋が無い状態です。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 12:03
 り災証明書が発行してから給付金がでるみたいで。
り災証明書が発行されるのに2ヶ月3ヶ月かかると言われています。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 14:54
 (熊本県は) 何を思ったのか、仮設を熊本市沼山津地区に建てる予定だと言うのです。沼山津というのは益城の横で断層の真上なんですよ。仮設に入る人は不安ですね。マスコミには被災者の声をちゃんと聞いて貰いたいです。
( → 仮設住宅・みなし仮設の問題:コメント欄 by さかぐち at 2016年05月04日 17:59

 なお、熊本県と熊本市は、特に区別しなくていい。熊本市は、政令指定都市なので、県の業務を代行するが、どっちみち同じことだと考えていい。
 一般に、被災の対策の実務は、県庁がやるのではなく、市町村の自治体がやる。(県の業務が委託される形。)

 [ 付記2 ]
 被災者は大変だ。その一方で、安倍首相は連休中に、のんびりと外遊だ。熊本のことはほったらかし。
  → 5月2日欧州及びロシア訪問 -1・2日目-
  → 5月3日欧州及びロシア訪問 -3日目-

 楽しそうですね。
 ま、「外遊をしてはいけない」とは言わないが、その前絵に、震災対策をしてからにしてほしい。実際には何もしないで外遊するなんて、無責任すぎる。
 
 菅直人の場合には、初日に情報が皆無の状態では自分でヘリコプターに乗って仙台まで行った。その後に原発が暴走したときは、「命を捨てる覚悟で原発を止めろ」と大演説をして、原発を暴走させたまま逃げるという方針を撤回させた。
  → 吉田調書は信頼できるか?
  → 東電・全面撤退の真偽

 ひるがえって、安倍首相は、被災者をほったらかしにして、外遊だ。さすがだね。

 ──

 あと、熊本市役所などの役所は、連休中はずっと休んでいるのだろう。「連休中も開いています」というような通知はないので。
 とすると、その分、さまざまな手続きは遅れるわけだ。被災者はほったらかし。可哀想に。
 


 【 追記 】
 新たに情報が出た。全半壊の戸数が大幅に増えた、という話。
 《 住宅全半壊想定の4倍 仮設不足の恐れ 》
 熊本県は4日、熊本地震による県内の住宅の全半壊が3万1025棟となり、3万棟を超えたと発表した。県は地震から1週間後に全半壊を8000棟と見積もり、仮設住宅を4200戸供給する計画を発表しているが、仮設戸数の算出根拠となる全半壊戸数が想定の4倍近くになり、今の計画では不足する可能性が高くなった。
 熊本県は、地震発生1週間後に把握できた住宅損壊数(約1万棟)から、一部損壊を除くなどして全半壊を8000と推定。この数字を基に計算し、プレハブ仮設の建設必要数を2100戸とした。みなし仮設は余裕を持たせ、県内で準備可能な全2100戸を確保することとし、4月27日に関連費143億円を予算措置した。
( → 読売新聞 2016-05-05

 大幅不足が発生する理由は、「見込み違い」だったらしい。「みなし仮設は余裕を持たせ」とのことだから、これで十分に足りると思っていたらしい。
 呆れる。唖然。呆然。これほど愚かだとは思ってもいなかった。だから首相ものんびり外遊していられるわけだ。
 「どうせたいしたことはないさ。被災者もみんな安全な生活を送っているさ。車中泊も避難所生活もとっくに解消しているさ」
 これが安倍首相だ。熊本県知事も同様だ。だから県庁にも出ずに、のんびり連休を楽しんでいるわけだ。
 
posted by 管理人 at 22:10 | Comment(5) |  震災(東北・熊本) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!市役所にいって民間借上げの話聞きにいってきました。結果は自分達で敷金礼金だしてまずは部屋を探して下さい。でした。家賃もです。何ヶ月かして全壊または大規模半壊とわかればさかのぼって家賃を返します。とのことでした。話にならんので次は高齢者妊婦優先の200戸の話を聞きにいきました。すると、決定したわけではありませんので現時点では何とも言えません。で終わりました。。私は東区ですがなんと東区担当はお休みでした(T_T)振り出しに戻る。です
Posted by さか at 2016年05月05日 11:34
> 全壊または大規模半壊とわかればさかのぼって家賃を返します

 大規模半壊じゃなくたって、余震が続く中では家には戻れないんだから、避難するしかない。なのに、みなし仮設が受けられないんじゃ、避難所や車中泊は避けられなくなりますよね。そのせいで、エコノミー症候群になりかねない。
 自治体はひどすぎるね。問題を解決する気がない。1000万円もする仮設住宅の建設ばかりに熱中している。東北で1000億円の防潮堤建設に熱中するのと同じ。

 ま、全壊または大規模半壊の人に限っては、かなりマシであるようだが。
 だけど、全員が対象なのかな? また「抽選で」とか言い出さないのかな?  
Posted by 管理人 at 2016年05月05日 12:06
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。本日の読売から、新情報。
Posted by 管理人 at 2016年05月05日 12:54
借上げ住宅に関しては全壊と大規模半壊の方だけみたいです。しかしどうみても大規模半壊なのに市が半壊と判断した場合は敷金礼金や家賃は返ってこないようです。り災証明書の受付で手間取っているので家が半壊なのか大規模半壊なのかは暫く調べてもらえません。仮設の話を聞いてもまだ何とも言えませんで片付けられました。仮設住宅はまた抽選でしょうね。。
Posted by さかぐち at 2016年05月05日 13:37
熊本を含めた九州は大きな地震が起きないという先入観があったせいで、熊本市や熊本県などの周辺の自治体の震災対応の方針や方法等が整備されていなかったのかも知れませんね。
政府については安倍政権(自民党政権)の時も、菅政権(民主党政権)の時もさほど対応が変わらないと思いますが。
Posted by まりん at 2016年05月05日 15:46
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