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日本がフランス並みの少子化対策をするには、消費税の5%アップをして、その全額を少子化対策に回すことが必要だという。さもなくば、その分、高齢者への福祉を削減するしかないという。朝日の記事。
《 出生率高いフランスに学ぶ 少子化・人口減に歯止めは 》
日本経済研究センターによると、フランスでは、子育ての負担よりも、手当や税制優遇など給付が多く、家族政策への財政支出(国内総生産比)は日本の1%台に対しフランスは3%近い。
同センターの試算では、日本が出生率 2.1 と仏並みの手当や保育サービスを目指すなら、年間 13兆円の財源が必要。消費税率を5%幅上げ、すべて子育てに回す計算だ。
増税に頼らず社会保障を組み替えるなら、社会保障費のうち高齢者向けの割合を8割台から7割台に減らす必要がある。
与野党は競うように子育て支援の充実を訴える。その財源を増税で賄うのか、高齢者へのサービス削減で賄うのか。
( → 朝日新聞 2016-05-03 )
13兆円の財源が必要で、消費税5%アップか、福祉削減か、どちらかが必要だということだ。
なるほど。どっちにしても困る。これは大変だ。いったいどうする?
ここで、「困ったときの Openブログ」なんて言っている本サイトは、うまい方法を見つけることができるのか? これはあまりにも難題ではないのか?
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いやいや。やはり、困ったときの Openブログ。うまい案を示そう。下記だ。
そもそも、いきなりフランス並みの優遇政策を導入する必要はない。長期的には子育て世代への支援は必要だが、それは社会的な所得再配分の問題だから、とりあえずは別の問題だ。
当面の問題は、保育所不足の問題だけだ。子育て世代への所得再配分は別として、とりあえずは保育所不足だけを解決すればいい。
では、保育所不足を解消するための、決定的な財源はあるか? ある。
ではそれは、何か? 消費税アップか? 社会福祉削減か? いや、そのどちらでもない。「受益者負担」だ。具体的には、こうだ。
「働かないと無収入になる母親が、働いて月収 20万円を得てから、そのうちの 10〜15万円を保育所に支払う」
これがつまり、「受益者負担」という考え方だ。これなら、消費税アップも、社会福祉削減も、どちらも必要ない。
また、母親としても、「差し引きして 5〜10万円の手取り」を得られるなら、「無収入」「キャリア喪失」に比べれば、ずっとマシになるだろう。例の「保育園落ちた日本死ね」の母親だって、「10〜15万円を払って、子供を保育園に預ける」のであれば、「無収入」「キャリア喪失」になることは避けられるのだから、「日本死ね」なんて騒ぐことはあるまい。
これにて解決。
( ※ 「月 15万円の保育料」というのは、高そうだが、アメリカではそれが標準らしい。ま、「保育園に落ちて失業する」という日本よりは、ずっとマシだ。)
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ただし、「受益者負担」には、別の文句が出そうだ。
「保育園に高額の保育料を支払ったら、所得が激減した。だから、所得減少を補ってくれ」
と。そういう騒ぎが、かわりに生じそうだ。
とはいえ、そのくらいの声を聞くことは、十分に可能だ。「育児中の母親への所得補償」をするわけだが、これは、たいした金額にはならない。月に5万円ぐらいで済むだろう。月に 30〜50万円もかかるような、認可保育園への行政負担に比べれば、1桁少ない額だ。たいした額ではない。
また、これは、「フランス流の少子化対策」の一環である。これについては、以後の 【 補説 】 で述べよう。
【 補説 】
「フランス流の少子化対策」には、莫大な財源が必要となる。この件について述べよう
まず、上で述べたように、保育所問題の解決と、少子化対策とは、別の問題である。保育所問題の解決だけなら、たいして金はかからない。上では「受益者負担」という方法を述べた。これは、下記と同様だ。
→ 保育士不足の解決策
※ 保育所不足に先立つ保育士不足には、保育料の引き上げで解決。
また、保育所という施設に関しても、「需要を抑制する」という方針で解決できる。
→ 保育園への補助金を廃止せよ
そのための財源もある。
→ 保育給付金の財源
というわけで、保育所・保育士の不足を解決するだけなら、たいして財源もかけずに解決可能だ。
一方、少子化対策については、フランス並みにするには、莫大な財源が必要だ。これについては、どうするか? これがテーマだ。
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実は、この問題は、社会福祉政策というより、経済政策だ。その本質は、次のことだ。
「社会的に所得再配分をする。高所得者に増税して、低所得者(子育て家庭)に給付する」
ここでは、「所得再配分」ということが本質である。だから、「所得再配分をする」という方針を立てることが必要十分条件となる。
では、それは可能か? 可能かどうかより、選択するかどうかの問題だ。国民が「所得再配分をする」という選択肢を取るなら、あっという間に実現する。国民が「所得再配分をする」という選択肢を取らないなら、いつまでたっても実現しない。それだけのことだ。
では、その選択肢は、どうなるか? 具体的には、次の二者択一だ。
・ 「所得再配分をしない」という政党に投票する
・ 「所得再配分をする」という政党に投票する
前者は、自民党だ。自民党が優遇するのは、「企業・資本家・高所得者・農民・高齢者」だ。そのために、法人税減税・配当分離課税・ふるさと納税・農業補助金などでたっぷりと優遇する。一方、低所得者や子育て家庭には、スズメの涙だ。
後者は、野党だ。(ただし一部の保守系を除く。)たいていの野党は、低所得者や子育て家庭を優遇しようとする。たとえば、野党時代の公明党は児童手当を公約したし、民主党も子供手当を実現しようとした。(公明党と自民党の強硬な反対によってつぶされたが。)
現実には、国民の大半は、自民党を選ぶ。つまり、「資本家などを優先する」という政策を選ぶ。「所得再配分をする」という方針を否定する。……そういう経済政策を国民は支持しているのだ。
とすれば、国民が「所得再配分をせよ」というふうに望むのは、自己矛盾というものだ。所得再配分を望むのなら、所得再配分を公約する政党を支持すればいい。ところが実際には、「所得再配分とは逆の資本家優遇」(法人税減税)という方針を取る政党を支持する。……自分が望むことと、自分が投票することとが、分裂している。頭が分裂状態だ。双頭の鷲のように。
国民が所得再配分を望むなら、それを公約する政党に投票して、所得再配分を政府に実行してもらえばいい。それだけのことだ。所得再配分とは逆のことを公約する自民党に政権を委ねている限り、所得再配分はありえないし、子育て家庭への支援はありえないし、少子化の阻止もありえない。かくて、日本は衰退するばかりだ。「企業栄えて、国家滅ぶ」という形だ。目先の利益を負うあまり、長期的には少子化で国家が衰退する。……そして、これは、日本が現在たどりつつある道だ。
亡国政策を取り続ける限り、日本は衰退を免れない。
これが結論となる。
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ただし、この結論だけでは、物足りないだろう。
「自民党では駄目だとして、別の政党ならばどうするか?」
という質問が来るだろう。
それに答えよう。
所得再配分をすればいいわけだが、それはどうやってやるか? そこが問題だ。これには、こう答える。
(1) 13兆円規模の所得再配分をするには、単に法人税や相続税をアップするだけでは足りない。
(2) したがって、消費税の大幅なアップが必要だ。
(3) ただし消費税のアップに、一律給付(定額減税)を組み合わせるといい。
(4) そのことで、低所得者の増税負担を緩和し、かつ、実質的には高所得者の消費税率が高くなる。つまり、「可変税率」だ。(高所得者には高率で、低所得者には低率、という、可変的な税率の消費税。詳細は → 軽減税率の愚 )
(5) この「一律給付」(定額減税)を消費税減税に先だって実行することで、景気を回復させることができる。
(6) 景気回復にともなって、人々の所得は増加する。人々は、単に増税されるのではなく、所得増加とともに増税される。つまり、増税されても、可処分所得は増える。
(7) 結果的には、増税されればされるほど、人々の可処分所得は増える。「増税されて貧しくなる」のではなく、「増税されて豊かになる」のだ。まるで手品のように。
(8) こうして、「少子化の解決」と「負担問題」とを、一挙に解決することができる。経済政策を上手に組み合わせることで。
(9) そして、最後に、こう言えばいい。「困ったときの Openブログ」。
どんなに優しくやったとしても刑務所に裁判なしでぶちこんで、政治的に抹殺する必要があるでしょう。
血を見ることなしに、既得権益を手放す人間はいない以上、それをなすための権力を持つ独裁者とそれを実行する軍の大軍拡以外ないと思いますが、どっちも管理人さんは嫌いなのでは
どうして欧州はこうなっているかというと、反対者を皆殺しにしているからではありません。では何か? 民主主義による多数決です。
日本では、一票の格差がひどくて、民主主義は成立しません。小選挙区制もあって、自民党が過半数割れでも政権を取れます。
つまり、民主主義を成立させれば十分で、あとは流血の必要はありません。
民主主義を成立させるにはどうすればいいかというと、法律を守るだけでいい。つまり、憲法に従えばいい。違憲状態をやめればいい。
ところが、最高裁は、違憲状態を容認し続けています。
日本が法治国家じゃないところが根本原因ですね。日本を法治国家にして、民主主義を成立させるには、独裁専制体制を崩壊させるために、クーデターが必要かも。あるいは、革命か。
> 既得権益を手放す人間はいない以上、それをなすための権力を持つ独裁者とそれを実行する軍の大軍拡以外ないと思いますが、
これは逆で、日本を独裁者から解放し、民主主義と法治国家を成立させるために、軍の力が必要なんです。
ただし、軍も体制派だから、一部将校によるクーデターですね。2・26とか、韓国の朴少将(のちに大統領)とか。
といっても、国民自身が飼い犬状態だから、たとえ日本を民主化して上げるといっても、国民は喜ばないかもね。
結局、少子化対策も、保育所問題も、国民自体が真の解決を望んでいない。「解決するためには民主化が必要だ」と言われたら、あっさり身を引いて、飼い犬状態に戻りたがる。「国は何とかしてくれ」と騒ぐだけで、自ら政府を打破しようとはしない。やっているのは SEALDs ぐらいだが、逆に世論の反発を食う始末。
日本人は飼い犬だから、政府のために尻尾を振る以外はできない。これが、問題解決できないことの、真相だ。
税制や一般財源からの補填で多額の補助をして、年金給付を行っている結果、再分配後の方が格差が拡大するというトンデモナイことになっている。
年金なら、それは誤解ですよ。「高齢者は金持ちだ」というのは俗説で、実は高齢者の方が低所得です。退職しているのだから、当り前だが。
→ http://j.mp/24vxoin
高齢者(夫婦二人)に比べて、40代(夫婦と子供一人)は、1.5倍ぐらいの所得。再配分後にこれなので、再配分しないと、高齢者はさらに貧しくなる。
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さらに、このことは所得分布を見ると、決定的になる。
→ http://j.mp/1rtX4Om 、 http://j.mp/1Za7Aow
つまり、高齢者は、一部の超高所得者が平均値を大幅に引き上げているだけで、大多数の高齢者は低所得者であるにすぎない。平均値だけを見ると、高齢者は現役世代と同程度の所得があるように見えるが、実際には大多数の高齢者は現役世代よりもずっと貧しい。ただし、一部の高齢者は、ものすごい富豪なので、高齢者全体としては、平均所得がかなり高くなっている。高齢者では、貧富の格差がすごく大きい。(ユニクロの社長なども高齢者だ。彼らが高齢者の所得の平均値を大きく押し上げている。)
というわけで、平均値だけ見て、「高齢者は豊かだ」と思っても、それは統計解釈の勘違い。
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> 税制や一般財源からの補填で多額の補助をして、年金給付を行っている
これも勘違い。現役世代から老人世代へ金を出すのは、ただの「仕送り」であって、格差とは関係ない。なぜなら、今の現役世代も、高齢者になったら、現役世代から仕送りを得るからだ。
ここでは、時期の違いがあるだけであって、格差があるわけではない。
早く王様になってください