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すでに述べたことの続きとして、補足ふうに書こうかと思ったのだが、いちいち書くまでもなく、すでに同様の見解がネットに見つかったので、紹介する。
仮設住宅の問題
仮設住宅の問題については、すでに何度か述べたが、補足的な話が、下記にある。
借り上げ仮設住宅やみなし仮設住宅などと称される、民間賃貸住宅を借り上げて応急仮設住宅として取り扱う対応もなされている。
……
供給する立場からは「新規の建設および利用後の解体処分が不要でコストが安い」「建設用地の確保や工事の発注、入居者の募集などの手間が軽減される」などの意義があると言われ、建設よりも借り上げの方が効率的とも評価されている。
これらの利点の一方で、入居の過程や入居後の状況では課題も見受けられる。
物件の確保が難しい
被災直後の混乱のなかで空き物件を探すのは実際には難しい。アンケートでは、物件探しに関して「物件の数が少なかった」「希望の地域に物件がなかった」との意見が多く、住宅の質や周辺環境を考慮する余裕はなく、……
( → 米野史健 [PDF] )
前半で記されているように、みなし仮設は仮設住宅よりも利点が多い。
後半で記されているように、適当な物件はうまく見つけにくい。
このうち、後半については、うまい解決策はないが、だからといって、仮設住宅にすれば解決するというわけでもない。(前半のことが問題となる。)
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では、どうするか? 被災者本人に選ばせればいい。次の二者択一だ。
・ みなし仮設で、他地域の住居を借りる。
・ 仮設住宅で、現在地で暮らす。
どちらでも、お好きな方を選んでもらえばいい。
ただし、ここでは次の点が重要だ。
「どちらにしても公的給付額は同額とする」
つまり、公的な給付額を同じにした上で、あとは、好きなものを選んでもらう。市場原理ふうに。
ここで、「給付額を同じにする」というのは、たとえば、こうだ。
・ みなし仮設ならば、家賃を6万円まで全額負担。
・ 仮設住宅ならば、コストと6万円の差額を払ってもらう。
後者は、具体的には、こうだ。設置費と解体費の合計 750万円を2年間(24カ月)で割った額(月額 31万円)がコストだ。このコストと、月額6万円の補助金との差額(25万円)を、自腹で払ってもらう。つまり、本当は 31万円のコストがかかるが、そのうち6万円は補助金で出すから、残りの分は自分で払ってもらう。
こういうふうにしたあとで、あとは次の二者択一となる。
・ みなし仮設に無料で入る
・ 仮設住宅に月額 25万円を払って入る
どちらでも、お好みの方を選べばいい。── これが、私の提唱する方式だ。
みなし仮設より現金給付
重要な話がある。こちらが本題だ。
みなし仮設には、県の承認などに、やたらと手間がかかる。面倒すぎる。だったら、単に現金給付をする方が簡単だ。……そう思って、書こうと思ったら、すでに同様の見解が提唱されていた。会計検査院の見解だ。
《 みなし仮設費、現金支給を 検査院が厚労省に改善要求 》
「みなし仮設住宅」について、会計検査院は4日、家主と自治体が契約を結ぶ運用を改め、被災者に家賃などの入居費用を現金支給するよう、厚生労働省に検討を求めた。
検査院は、みなし仮設の費用はプレハブ仮設住宅の建設費を大幅に下回ると試算。みなし仮設の活用で「被災者ができるだけ早く家を確保できるようにすべきだ」としている。
みなし仮設は、厚労省が1947年に出した「被災者の救助は現物支給が原則」とする通知に基づき、各県が被災者に代わって家主と賃貸契約を結んだ。しかし大量の契約事務が生じたため手続きが遅れ、入居できるまで1カ月以上かかるケースもあった。
各県からも「記載ミスなどで契約書が県、家主、被災者の間を何往復もすることがあった」(宮城県)、「職員が物件の重要事項説明を受け、入居する本人に伝える二度手間があった」(福島県)など、煩雑な手続きを訴える声が相次いだ。
もともとは各県が確保した物件を被災者にあっせんすることが想定されているが、実際には92%の被災者が自分で見つけた物件に入居していた。
検査院は、目標とした約5万戸のプレハブ完成に半年かかった一方、みなし仮設は被災直後から入居が始まったことも踏まえ「みなし仮設にはコミュニティーの維持などの課題はあるが、避難所の早期解消に効果がある」と判断。より迅速な入居を可能にするため「家賃を被災者に直接支給することも有力な選択肢の一つで、弾力的に運用すべきだ」として、「知事が必要と認める場合は被災者に金銭を支給できる」とする災害救助法の規定に立ち返って検討するよう、所管する厚労省に求めた。
検査院によると、7県で建設されたプレハブ仮設の建設費用は1戸当たり628万円だったのに対し、みなし仮設の費用は2年間で183万円で済む。国はプレハブ建設費の上限を1戸当たり238万円としているが、土地造成費や寒冷地仕様やバリアフリー化の追加費用がかさんだためだ。
( → 日本経済新聞(2012年10月5日) )
これは、東日本大震災のあとの記事だ。私が 2011年中に書いた話とおおむね一致する。より詳細な情報もある。
会計検査院自体が指摘しているのに、それを聞かないのだから、政府も自治体も阿呆だとしか言いようがない。
「厚労省が1947年に出した「被災者の救助は現物支給が原則」とする通知」
があるとのことだが、法律でもないこんな通知(しかも敗戦後の物資不足のさなかの方針)に、いつまでもこだわるのだから、頭が進歩しないとしか言いようがない。
1947年、大阪タイガースは縦縞のない白いユニフォームを採用した。戦時中の一時期をのぞいて、創設以来一貫して使用してきた伝統の縦縞を採用しなかったのは、やはり当時の物資不足という時代状況が影響していたのだろう。
( → 戦前・戦後篇 1947〜1951年|阪神タイガース 公式サイト )
終戦直後の日本では、兵役からの復員や外地からの引揚げなどで都市人口が増加したが、政府の統制物資がほぼ底を突き、物価統制令下での配給制度が麻痺状態に陥り形骸化していた。都市部に居住する人びとが欲する食料や物資は圧倒的に不足していた。……1947年(昭和22年)には法律を守り、配給のみで生活しようとした裁判官山口良忠が餓死するという事件も起きている。ほどんど全ての食料を統制物資とした食管制度のもとでは、配給以外に食料を入手することは即ち違法行為だったのである。
( → 闇市 - Wikipedia )
こういう時代であれば、「被災者の救助は現物支給が原則」という厚労省の通知(1947年)も意味があるが、こんな時代の通知にいまだに縛られているとしたら、頭がイカレているとしか思えない。
実は、みなし仮設に現金支給をすることで、不正チェックをする方式はある。こうだ。
・ 被災者の 居住証明 (住民税の支払い)
・ 被災者の 罹災証明 (家屋の危険度判定)
・ 倒壊家屋の 居住禁止 (居住禁止処分。)
この三点セットで、不正を防ぐことができるだろう。特に、最初の二つは、証明方法が簡単だ。行政の内部で手続きが済む。
最後の一つは、「違反者に罰則」(居住禁止に指定した家屋に住むことで罰金を科される)という形で、行政手続きを省略できる。違反をいちいち監視するのではなく、「違反がバレたら罰金」という形で、違反を抑制するわけだ。
以上のようにして、行政手続きを大幅に省略できる。いちいち不動産の契約書などをチェックする手間は不要だ。多大な行政事務を省略できる。かくて、すばやく、低コストで、みなし仮設を推進することができる。現状のように1カ月も待たされることなく、即時に入居できるようになるだろう。
これが私の提案だ。
[ 付記 ]
上の日経の記事で、ちょっと疑問に感じたところがある。
「みなし仮設の費用は2年間で183万円で済む」
とのことだが、割り算すると、
183万円÷24カ月=7.625万円/月
だ。つまり、家賃は 7.625万円。ずいぶん高額だね。単身者世帯も多いのに、この金額は、ちょっと高すぎるんじゃないの?
特に、もともと家賃を払って賃貸住宅に住んでいた人にまで、これだけの金を払うんだろうか? 払いすぎじゃないの? 家屋倒壊の人に絞って払うべきであって、もともと家賃を払って賃貸住宅に住んでいた人には払う必要はなさそうだが。(半年程度の短期間ならともかく。)
ちなみに、熊本県の「みなし仮設」の応募条件はこれだ。(PDF)
→ http://j.mp/26KtYu4
ここには、こうある。
1 入居対象者
借上げ住宅に入居できる者は、当該災害時(平成28年4月14日時点)に、熊本県(熊本市を除く。以下「県」という。)に居住する者であって、以下の全ての要件を満たす者(世帯)とする。
(1)当該災害による住居の全壊又は大規模半壊により居住する住宅がない者
(2)自らの資力をもってしては住居を確保することができない者
(3)法に基づく住宅応急修理制度を利用していない者
これだと、賃貸住宅に住んでいた人も、該当するようにも読めるが、どうなんだろう? 運用実態を知りたいものだ。
このうち、(2) が該当になりそうだが、この (2) を厳密適用すると、自宅の全壊になった人のほとんども適用除外になりそうだ。(適用されるのは生活保護世帯だけになりそうだ。)
こんなことでいいんですかね?
やはり、会計検査院の示すように、現金給付がよさそうだ。私としては、月額 3万円程度を、全世帯に給付することをお薦めする。かわりに、仮設住宅をやめる。(これで巨額の費用が浮く。)
[ 付記2 ]
現状の情報。
熊本市では2日午後1時半現在、193か所の避難所に計8316人が避難中で、県内の避難者の4割を超える。
計画している仮設住宅は300戸で、入居時期も6月の予定。市営住宅の供給は250戸にとどまるが、2日に締め切った応募の件数は、供給戸数を大幅に上回る3949件。
益城町では、12か所の避難所に計4908人が避難している。
ピーク時に3000人を超えた避難者が782人まで減少している南阿蘇村では、8か所の避難所を半分にする方向で調整している。
( → 読売新 2016-05-03 )
避難所の避難者の数は大幅に減っているようだが、益城町だけはなかなか減らない。人口 3.3万人のうち 避難者が 5000人弱。他に車中泊が相当数あると見込まれる。やはり壊滅的な被害となったようだ。
上の数字は、被害が少なめな、町の周辺部を含んでいる。被害が深刻な活断層の地域では、倒壊率は非常に高い。別項にあるように、過半数をかなり上回る。
[ 付記3 ]
盗難の被害も多い。特に益城町だ。
《 被災地の留守宅、空き巣が後絶たず…自警団巡回 》
熊本地震で大きな被害を受けた熊本県内で、被災者の窮状につけこんだ犯罪が後を絶たない。避難した人の留守宅を狙った空き巣だけでも20件確認されており、消防団や住民による自警団が地域の巡回を連日続けている。
甚大な被害が出た熊本県益城町の山あいにある集落。4月29日昼過ぎ、同町消防団の矢野敬介さん(36)と嶋田祐也さん(34)が消防車両で巡回し、……
( → 読売新聞 2016-05-03 )
益城町では、空き巣を防ぐためにも、一帯を封鎖した方がよさそうだ。そのためにも「居住禁止」を、少なくとも半年ぐらいは宣言した方がよさそうだ。こうすれば、一帯に入った人を、職務尋問して、任意同行してもらうこともできる。逃げたら、逮捕しよう。
( ※ 住民なら身分証で大丈夫だが、多地域の人ならば逮捕可能だ。これで空き巣を防ぐ。)
( ※ そもそも断水が解決しないままで、トイレも使えず、居住不能だ。今いる人の多くは、車中泊または自宅にいながら、避難所のトイレを使うというようなありさまだ。そのうち、死ぬかも。)
https://twitter.com/mhlworz/status/727296080564482050
家を新築する方が、ずっとコスパがいい。
中古を借りれば、さらにコスパがいい。
どうしても簡易版がいいのなら、テントでもいい。
ま、あれこれ用意して、あとは被災者に選ばせれば簡単だ。国は現金給付だけすればOK。そうすれば、仮設住宅やトレーラーを選ぶ人はいなくなる。(こんなものに、月 25万円も払うわけがない。)
テントなら、あるかもね。かなり安いし。
ひどいですね。状況を改悪するばかりだとは。
ただ、この状況でサバイバルしたいのであれば、自力で脱出するのが最善でしょう。
お金があれば、県外の賃貸住宅を借りる。
お金がなければ、県外の公営住宅に申し込む。九州は満杯ですが、本州ならばガラ空きのようです。
→ http://www.asahi.com/articles/ASJ536GKMJ53TIPE017.html
たぶん家賃は無料。「愛知県18戸、山口県10戸、東京都と広島県が8戸」しか申込みがなかったそうなので、ほとんどはガラガラだ。
当面は単身赴任みたいにして、妊婦さんだけ県外脱出するとよさそう。どっちみち、妊婦さんが数カ月間だけ実家に戻ることは、よくある。それと似たようなものだ。
妊婦さんの場合、ストレスで流産する危険はかなり高いので、車中泊は絶対にお薦めしません。流産は本人が健康でも起こります。妊娠というのは非常に微妙なもので、ちょっとしたことで流れてしまいます。
ドラマのマッサンでも、エリーが階段ですべって、流産した。あのときのエリーの哀しみの場面は、すごく心に残る。
→ http://girlschannel.net/topics/257512/
別に脅迫するわけではありませんが、危険を未然に防ぐことは大切です。最悪の不幸だけは避けてほしい。
それにしても行政はひどすぎるな。一番の弱者(胎児)を虐待するような政策を取っている。その一方で、仮設住宅には、金をジャブジャブと使い放題。呆れる。
それから不動産にも行きましたがもう空き部屋が無い状態です。地震で修理が必要な空き物件もあるのですぐには無理ですね。避難所はピリピリしていて子供が騒ぐとキレる方も出てきてますのでやはり暫く車中泊しかないようです。中には50歳の障害を持った息子さんと避難所生活をしている83歳のお婆ちゃんもいます。その方も抽選に外れました。避難する実家がある健康な方が当選していたのを知った時は不公平だなと思ってしまいました。
 ̄ ̄
熊本市は3日、地震で自宅が全半壊し、避難所などで生活している高齢者や障害者、妊婦を対象に、市営住宅など約200戸を優先的に無償で提供すると発表した。公募はせず、市が避難所などで把握した個人情報から対象者を選定し、部屋を紹介する。5月中の入居を目指す。
→ http://japan.shafaqna.com/JP/JP/224653
──
> 子供がいるので学校問題で県外はやはり無理です。
旦那さんと子供だけで県内に残り、妊婦さんは実家に帰る、という方法もあります。実家が熊本で被災したなら、県外の市営住宅。
地域がわかりませんが、益城町なら、一年以上はかかります。そんなに長く車中泊を続けることは無理筋です。
熊本市内部なら、復旧までたぶん数カ月で済むので、短期的に妊婦さんだけ単身移住がよさそうに思えます。
とにかく、普通の抽選はあまり当てにしない方がいいでしょう。最高 90倍だそうです。
 ̄ ̄
平均倍率は15・8倍だった。……市営住宅の区ごとの倍率は、提供戸数が10戸の中央区が90倍で最も高かった。東区は25・6倍、西区は21・2倍だった。
市は市営住宅や民間から借り上げる住宅など計約200戸を追加する予定で、抽選ではなく、要介護者や障害者、妊婦などのいる世帯に優先して提供する。
→ http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20160504-OYS1T50024.html
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優先分に申し込んで、それに外れたら、自力で何とかするしかなさそう。
両親もおらず旦那の実家も被災して避難所生活なんです。
また外れたら自力で探す他ありませんね。。
落ち込んでいても仕方ないので頑張って行動してみます!
仮設住宅でも、市営住宅でも、少ない当選者だけを特別に優遇する……という政策だから、大多数の人は抽選に外れて、困窮状態に陥る。
やはり、「漏れなく全員に 家賃補助の金を現金給付」という方式がベストだろう。一部の人だけ救っても仕方ない。(大多数の人が取り残される。)
当選倍率が 10倍以上(一部は 90倍)なんて、宝くじじゃあるまいし、「ふざけるな」と言いたくなるところ。
しかしり災証明書が発行してから給付金がでるみたいで。。
り災証明書が発行されるのに2ヶ月3ヶ月かかると言われています。
路頭に迷う方が更に増えそうですね。。
→ http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_15528.html
全壊で 300万円の再建資金が出るそうだ。賃貸でも数十万円の給付金が出る。
しかし今は、多額の一時金じゃなくて、月払いの家賃が必要なんですよね。金の出し方を間違えている。
みなし仮設を大量に導入するだけでいいのに。……たぶん、事務の手数がかかると思って制限しているのだろうが、事務の手数を簡略化できるということは、本文の最後のあたりで述べた通り。
マスコミも、政府や自治体の話ばかり聞かないで、さかぐち さんのような被災者の声を取り上げればいいのに。……マスコミも連休中でサボっているのかな。少しぐらいは、まともな記者を派遣すればいいのに。
安倍首相は何をしているかというと、のんびり外遊中です。
→ http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/
被災者のことなんか、何も考えていないのだろう。
気候が暑くなって、被災者は苦しんでいる、という報道はある。
→ http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2763049.html
私も臨月まで働く予定だった会社が崩壊し職を失い今日職場のおばちゃんに会ったらこれから家賃とかどうしたらいいのだろうって肩を落としていました。そして仮設の場所がないと言う熊本市、運動公園やグラウンド等腐るほどあるのに。。何を思ったのか仮設を熊本市沼山津地区に建てる予定だと言うのです。沼山津というのは益城の横で断層の真上なんですよ。仮設に入る人は不安ですね。マスコミには被災者の声をちゃんと聞いて貰いたいです。