2016年04月15日

◆ 熊本の地震に思う

 熊本の地震のニュースを聞いて、思ったことを記す。

 ──

 予想にない


 三陸沖で地震があったあとは、関東直下や、東海トラフや、南海トラフが次の震源と予想されていた。ところが、あにはからんや、一挙に飛んで、九州で地震が起こった。こうして、地震学者の予想は、またも裏切られた。彼らが「危ない、危ない」と警告していたところでは起こらず、彼らがろくに警告していないところで起こった。

 といっても、まったく予想外というほどではなく、ちょっとは警告されていた。
 ※ 調査委は同断層帯について2002年5月、30年以内の地震発生確率予測を公表。
 北東部がほぼ0%、中部が最大約6%、南西部が不明としていた。
( → 2004年の記事

 直下地震


 今回の地震は、被害の割には、マグニチュードが小さい。内陸の直下地震で、震源も比較的浅いせいだろう。
 大きな被害が出た地域もあるが、比較的狭い範囲に収まっている。それゆえ、いくらかの死亡事故が出たとはいえ、大震災というほどではない。阪神大震災や、東日本大震災(2011年)とは、比べものにならない。
 阪神大震災以前に何度かあった地震と、同程度以下と見なせるだろう。なお、新潟や奥尻の地震では、今回よりもずっと多くの死者が出た。

 ただし、局地的には、阪神大震災を上回る規模だったそうだ。
  → 熊本地震の本震、最大加速度が阪神大震災の2倍
 面積は狭くとも、局地的には大きな揺れ、というのは、直下型地震に特有なものだろう。
( ※ 東京でも起こるかもね。)

 被害の家屋


 倒壊した家屋を見ると、瓦の屋根の家屋がほとんどだ、とわかる。
  → 朝日新聞・写真特集
  → 読売新聞・写真特集
  → 産経新聞・写真特集
  → 日刊スポーツ・写真特集

 瓦の屋根だということは、次の3点を意味するはずだ。
  ・ 築 50年ぐらいの古い木造建築だ。
  ・ 耐震性はない。(その後の耐震基準を満たさない。)
  ・ 瓦の重量ゆえ、構造的に倒壊しやすい。

 とすれば、このような住宅は、もともと人間が住むには不適切だ、ということになる。耐震工事をすることもできないような、貧しい高齢者が犠牲になったものと推定できる。

 今後、これと同様のことを避けるには、次の対処が必要だろう。
 「瓦の屋根のある古い住居に対しては、改築または耐震工事を促す」
 現実的には、これほど古い住宅が部分的な改築で住むはずがない。全面的に作り替える(新築にする)しかあるまい。とはいえ、高齢者は、老い先も短いし、そのつもりはあるまい。余命 10〜20年なのに、寿命が 50年の住宅を新築するのは馬鹿げている。

 とすると、現実的には、次のことが唯一の対策だろう。
 「危険な古い住宅からは退去してもらって、別の中古住宅に移転してもらう」

 築 20〜30年ぐらいの空き家ならば、たくさんあるはずだ。これらについて、ちょっと耐震工事をすることで、転居先にすることができる。

 ※ この件は、次項でさらに深く考察した。
    → 瓦の住宅を居住禁止にせよ (次項)

 事後の援助


 「仮設住宅を」という声がわんさと出るだろうが、仮設住宅というのがまったくの失敗作であることは、すでに述べたとおり。
  → 仮設住宅から出たらどうする? の [ 付記3 ]
  → 被災地の農地接収
  → 仮設住宅から出たらどうする?

 これらは 2016年の項目だが、これらの項目で、「仮設住宅は駄目だ」と指摘したあとで、「かわりにこうしろ」と提案しておいた。だから、対策は、それらの項目を見るといい。特に、三番目の項目が重要だ。
 要するに、空き家はいっぱいあるのだから、それらの空き家に住んでもらえばいい。そのための家賃を補助すればいい。これなら、格安で、立派な住居を提供できる。

 一方、仮設住宅にすると、莫大なコストをかけた上で、ひどい住環境となる。これだと、死者も多数出る。その一方で、住宅産業の業者は公共事業でボロ儲け。そのうちの一部は、政治家の懐へ。(自民党のことですね。)
 こういう馬鹿げたことをするべきではない、ということは、前に何度も指摘した。
  → 地震で仮設住宅を設置するな
  → 仮設住宅は持ち腐れ
  → 仮設住宅と復興住宅の無駄
  → 南海トラフ地震と仮設住宅

 とにかく、今回の地震では、仮設住宅という馬鹿げた対処は、取らないでほしいものだ。

 断水と停電


 人的被害や家屋倒壊のほかに、注意すべきは、断水と停電だ。
  → 断水2万5000戸、停電1万4500戸
  → 停電「15日中に復旧見通し、ガスは16日」
  → 熊本県内 ライフラインへの影響続く

 停電は近いうちに解決しそうだ。断水は、ちょっと問題だが、そう遠からず解決しそうだ。これは、被害の場所が限定的な直下型地震である済んだからだろう。
 飲料水については、もともと2〜3日ぐらいなら問題ないだろうが、トイレの水がちょっと問題となる。この意味で、断水した家では、公民館に移動して、トイレを使うしかないだろう。
 簡易トイレをたくさん用意することが大切なので、ここを重視してもらいたいものだ。
  → 水道が流れないため、簡易トイレも必要だ
  → こまめな水分補給を意識し、トイレに行くことも我慢しないのが大切
  → 水を浴槽に溜めておくこと(トイレ用)
 
posted by 管理人 at 20:33 | Comment(3) |  震災(東北・熊本) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に
  § 断水と停電
の章を追加しました。

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Posted by 管理人 at 2016年04月15日 22:37
地震が起きないと言われ続けてた神戸で被災しました。
ですので、起きないといわれ続けてる(思い込まれてる)地域も危険です。
京都ですら何度も大地震に見舞われているのに、地元では「京都は安全な都市」という認識が非常に高いですし・・・
東京は直下型地震よりも、千葉沖や茨城沖の地震による被害のほうが怖いですね。
それでも、皆が煽るような被害は出ないと思います。
Posted by at 2016年04月15日 23:15
> 皆が煽るような被害は出ないと思います。

私は逆に、「超高層ビルの倒壊」というケースを想定している。
頑丈なので、阪神大震災のときは大丈夫だったが、直下型ではない場合には倒壊の可能性がある。
 → http://www.obayashi.co.jp/service_and_technology/pickup016

 制震ダンパーがあれば大丈夫らしいが、逆に言えば、制震ダンパーがない超高層ビルは危険だろう。古い超高層ビルは大丈夫なんだろうか? 霞が関ビルや、住友の三角ビルあたりだと、倒壊するかも。 
Posted by 管理人 at 2016年04月16日 00:49
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