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保育園の設置を住民が阻止した、という事例があった。
千葉県市川市で4月に開園予定だった私立保育園が「子供の声でうるさくなる」などの近隣住民の反対を受け、開園を断念していたことが分かった。
「子供の声が騒音になる」「保育園が面する道路は狭いので危険だ」などの意見が強く、建設に着手できなかった。
( → 私立保育園:「子供の声うるさい」開園断念 千葉・市川 - 毎日新聞 )
これに対して、「保育園が足りないのに、子供の声がうるさいなんて、住民はわがまますぎる」という批判が多数上がった。たとえば、下記。
→ はてなブックマーク
特に、保坂展人区長の見解が引用されることもあった。(子供の声は自然のものだから我慢しろ、という見解。)
→ 保坂展人のどこどこ日記
一方では、「保育園の騒音はものすごいからやむを得ない」という声も上がった。
→ 「保育園の隣に住むのは発狂レベルの騒音だった」という話
→ 千葉県市川市の保育園の反対運動による開園中止はしょうがない
なお、私としては、どうか? こういう話については、次のような立場を取る。
「保育園は、閑静な住宅地に作るべきではない。準商業地域(住宅街の中でも広い道路に面した地域)に作るべきだ。広い道路に面した場所なら、もともと自動車も通るし、大きな問題となりにくい」
つまり、知恵を使えば、どちらにとっても満足のゆく結果が得られるのだ。だから、知恵を使って解決しろ、という結論となる。(どちらかが一方的に譲歩するのではなく、両者が満足できる win-win をめざせ、ということ。)
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上記の立場を基本とした上で、現場の地図を調べる。
現場のストリートビュー
上の道路はとても狭いが、幅3メートルしかない。
住民は「道路が狭く、送迎車両が増えると安全確保が難しくなる」と説明した。予定地に面する道路は狭いところで幅約3メートルで車のすれ違いはできない。
( → 読売新聞 2016-04-13 )
車のすれ違いなんかできなくても大丈夫、と思うかもしれないが、大事なのは車じゃなくて、幼児の安全性だ。こんな狭いところを車がひっきりなしに通ったら、危険このうえない。
保育園までの送迎手段は? アンケート。
(1) 子ども乗せ自転車 38%
(2) 車 36%
(3) 親子とも徒歩 13%
(4) ベビーカー 9%
(5) 抱っこひも 2%
(6) 抱っこ(抱っこひもを使わずに) 2%
( → gooベビー )
幼子ども乗せ自転車や、ベビーカーが、朝はひっきりなしに通る。そこにさらに自動車が押し寄せる。しかもそれが、住宅街の奥まったところにあって、その前は幅3メートルの道路だ。
呆れる。こんなところに保育園を作ろうとするのは狂気の沙汰だろう。わざと人身事故を起こすことを狙っているとしか思えない。(でなければ大馬鹿だ。)
では、ここにしなければならないほど、場所が足りないのか? いや、そんなことはない。上の地図を見ればわかるように、現場には土地がいっぱい余っている。
上のストリートビューの画像を回転させて、道路の右側を見ると、変な茶色っぽいボロ屋がある。ここが、今は更地となっている。
→ NHK の動画
現状は更地だが、Google マップの写真では、(赤い屋根のある家の南東側にある)青色の屋根の家となっている。
そのすぐ東側には、畑地がある。その畑地の北側には、大きな駐車場がある。この駐車場は、やや広めの道路に面している。そこをストリートビューで見よう。
だから、この駐車場をつぶして保育園にすればいいのだ。駐車場がなくなると困るというのなら、その奥の畑を駐車場にすればいい。(奥までは通路を通してもいいが、駐車場の東側の道路に面する土地を削って、道路を拡幅するのがいいだろう。)
あるいは、保育園予定地の 50メートルほど北側にも畑地があるから、そこを保育園にしてもいい。(ここも、やや広めの道路から、直接、保育園の土地につながる。)
《 補足 》
さらに、ちょっと離れたところで、もっと好適な場所がある。それは、下記の畑地だ。元の場所から北西へ 300メートル。
ここは好適な条件がいっぱいそろっている。
(1) 畑地であり、空いている。
(2) 北側部分は3角形。住宅には向かないが、保育園の庭園には使える。
(3) かなり広い土地なので、大容量の保育園を設置できる。
(または、幼稚園と合わさった、認定こども園。)
(4) 道路に面しているので、近隣への騒音の被害が生じにくい。
(5) 近くに保育園がないので、競合しない。 (元の場所だと、
北方 150メートルの 市川市立菅野保育園 と競合する。)
- ※ この土地は、すぐ東側にある広大な駐車場(病院の駐車場)と一体化して、運用することもできるだろう。お薦めは、三角形の部分を駐車場にすることだ。三角形の部分だけ、土地交換するか、病院に売却すればいい。
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とにかく、こういうふうに、保育園適した土地は、いくつもある。
なのに、例の保育園予定地は、幅 3メートルという道路に面した奥地を保育園にしようとする。これでは、住民も危険だし、通園する園児・保育者も危険だ。 win-win とは逆の lose-lose みたいなものだ。
ではなぜ、そんな馬鹿げたことをやろうとするのか? それは、考えればすぐにわかる。住民も、園児・保育者も、ともに lose となるが、保育園の経営者だけは win となるからだ。つまり、奥地で地価の安いところを購入することで、自分だけは土地代を節約できて、がっぽり儲かる。
つまり、この保育園設置の損得は、次のようになる。
・ 住民 …… 危険と騒音で、大損。
・ 園児・保育者 …… 危険で、大損
・ 保育園経営者 …… 格安の土地で、得。
つまり、「他人に大損をさせて、自分だけは得をしよう」という利己主義が、今回の事件の本質だ。
とすれば、自治体としては、「こんな不適切な土地に設置するのは不許可」と判断して、申請を却下するべきだった。これが正しい判断だ。住民が反対する前に、自治体が却下するべきだった。それができずに、保育園の要望ばかりを聞いていた……とすると、これはたぶん、自治体が買収されているな。保育園が政治家に献金して、政治家が自治体に圧力をかけて、不適切な土地に保育園を建てようとした……という汚職が、この事件の背景だろう。
汚い金にまみれた事件、というのが、この事件の本質だ。
[ 付記1 ]
保育園の利益優先体質は、「建物を木造2階建てにする」ということからもわかる。
社会福祉法人が約550平方メートルの敷地に定員 108人(0歳〜5歳)の木造2階建てを計画
( → 読売新聞 2016-04-13 )
これじゃ、建物から音がダダ漏れで、騒音もひどいだろう。本来なら、コンクリにして、防音をきちんとするべきだ。
よく「防音壁を」と語る人がいるが、防音壁なんてのは、ろくに役に立たない。それで音が阻止できるはずがない。(光は直進するが、音は曲線的に漏れるからだ。)
音を阻止するには、次の方法しかありえない。
・ 建物自体は、厚い鉄筋コンクリ。(および二重窓)
・ 建物を コ の字状に配置して、建物そのものを防音壁とする。
・ コ の字状の開口部の方向は、広い道路に面している。
以上のようにすれば、騒音の問題はあるまい。
ただ、それほど厳重に騒音対策をしなくても、やたらと巨大な音をたてる音楽教育やピアノ伴奏などをしなければ、住宅街でも特に問題なく保育園ができることもある。どうも、保育園の教育方針しだいで、騒音のレベルは大きく変わるようだ。周辺住民への迷惑を考慮するような保育園だと、あまり問題もないようだ。(ただし、園庭のある認可保育園ではなくて、ただの小規模保育室だけらしいが。)
なお、今回の保育園はどうかというと、認可保育園ではあるが、まわりへの迷惑なんてまるきり考えていないのは、すでに述べたことからもわかる。
また、(読売記事に記されたように)周辺住民の事前説明がなかったことや、こんな狭い土地に 108人も詰め込む、ということも、ずいぶんと怪しいね。
「立て看板を設置したら、住民が気づかないうちに、こっそり2カ月後に建設してしまおう」
という心づもりだったようだ。悪質だね。
どうも、あれやこれやと、この保育園は相当に腹黒く見える。できたとしても、入園した園児はひどい待遇を受けることになりそうだ。保育に金をかけなければ、園児が死ぬこともあるだろう。金をかけない認可外保育園では、園児の死亡事故はザラにある。(たいていは、うつぶせ死)
→ Google 検索
→ 認可外保育施設で「うつぶせ寝」で死亡する事故が多発している
金権体質の保育園のせいで、どれほど多数の園児が死んでいることか。嘆かわしい。
[ 付記2 ]
こういうふうに安全性をないがしろにする状況を、改善するべきなのだが、政府は逆に、安全性をさらに悪化させようとする。
厚労省はすでに、保育の受け皿を広げようと規制緩和を進めている。保育所の整備を加速化させる一方で、保育士の不足を補うため、昨年4月から子どもの数が少なくなる朝と夕方に限って保育士の配置基準を緩和。今年4月からは、受け入れる子どもの年齢や人数に応じて決められている配置基準の3分の1までを小学校や幼稚園の教諭、養護教諭の資格があれば保育士に代えられるようにする。
こうした緩和策によって、保育を受けられる子どもを増やそうという狙いだが、保育の質の低下への懸念も指摘されてきた。
さいたま市の保育施設で5年前に長女の美月ちゃん(当時1)を亡くした阿部一美さん(37)。…… 阿部さんによると、昼寝中に目を覚ました美月ちゃんを保育士がうつぶせにし、頭から布団など3枚をかぶせて放置したという。事故後の聞き取りに対し、保育士は「事務作業などで忙しかった」と話したという。
( → (時時刻刻)朝日新聞 2016-04-13 )
ここでは、政府が「出す金を惜しむ」という形で、政府が金権体質になっている。そのせいで、保育士の人手不足となって、園児がどんどん死んでいくわけだ。
( ※ 金がなければ、せめて知恵を使えばいいのだが、その知恵もないから、正解も取れないわけだ。なお、正解は、下記項目。)
【 関連項目 】
保育所不足を解決する方法は、前に述べた。
→ 保育園への補助金を廃止せよ
関連する話は、下記に示した。
→ 保育園についての項目一覧
タイムスタンプは 下記 ↓
市町村がこの教室や校庭の一部を私立保育園に貸し出すのはいかがでしょうか?
家賃も入るし、管理責任者として保育園に市町村の職員を出向させる条件にすると天下り先として喜ぶ方もいるかも。
一部でなく全体を保育所などにするという案。
→ http://openblog.seesaa.net/article/435849781.html
「学校跡地をどう利用するか?」