2016年04月02日

◆ 保育園のキャンセル料

 保育園の入所をキャンセルすると、過大なキャンセル料を取られる、という事例がある。その対処策を示す。

 ──

 新聞報道では、対処策が示されていないので、私が対処策を示す。例によってうまい方法か……と思う人もいるだろうが、そうではなくて、ただの当り前の方法だ。それを新聞報道は示していないので、私がかわりに示す。

 まず、報道はこうだ。
 《 「キャンセルでも入園金戻らぬ」 認可外保育所 》
 希望する保育所への入園が決まり、先に予約していた認可外保育所をキャンセルしたところ、支払い済みの入園金や保育料が返金されなかったという相談が、待機児童問題を抱える都市圏の消費生活センターに寄せられている。
 国民生活センターによると、相談が昨年は10件以上あった。「認可外に入園金と保育料で約10万円を支払った。その日の午後、認可に入れることが決まり、すぐに解約を求めたが、どちらも返金されなかった」「入園金と1カ月分の保育料、おやつ代の約6万5千円がすべて返金されなかった」といった相談例がある。
 東京都によると、都が独自に認可外保育所を認証する認証保育所では、725施設のうち200強の施設がキャンセル時に入園金を返していない(2014年10月時点)。入園金の平均は2万〜3万円で、最大6万円。
 大学入学に関する「学納金返還訴訟」の06年の最高裁判決では、消費者契約法に基づき、入学を辞退した場合、前納した入学金は「入学できる地位の対価」で返金不要だが、授業料は返すべきだと結論付けた。
( → 朝日新聞 2016-04-02

 ──

 この記事はまったく情報不足である。それどころか、余計な誤解を招く情報まである。困った記事だ。

 まず、正解を示そう。正解は、法律に書いてある。こうだ。
 消費者契約法第9条第1号は,キャンセル料等について,事業者に生ずべき平均的な損害を超える部分を無効としています。
( → 弁護士ドットコム

 消費者契約法第9条第1号とは、こうだ。
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
( → 消費者契約法第9条 - Wikibooks

 要するに、正当な損害補償を超えた額を請求することはできない。それが法律の定めることだ。
 では、正当な損害補償とは、どれだけか? 
 大学の入学金の場合は、辞退者が出ると、その分をあとから埋め合わせることが困難だ。(ある程度までは補欠入学で可能だが、それを上回ると困難だ。) ゆえに、大学の入学金の場合は、入学金程度は「正当な損害補償」と言える。
 また、映画や演劇の席の場合は、埋め合わせが困難なので、全額がキャンセル料となるだろう。
 旅行の場合も、直前のキャンセルは、埋め合わせが困難なので、全額がキャンセル料となるだろう。

 では、保育園の場合は? 入りたいという人が押し寄せている。ありあまっている。「まるまる人が来なくなる」ということはない。入園料についても、新たな入園者から取ることができる。とすれば、「正当な損害補償」とは、新たな入園者に決まるまでの事務手数料だけだ。だいたい、2〜3万円程度。この程度が、正当な額だ。
 これを上回って、10万円ぐらいを取るようであれば、違法であろう。(ここが大事!)
 とすれば、対策は、「訴訟する」という意向を伝えるか、弁護士に頼むか、消費者相談センターに頼むか、いずれかにするべきだろう。この際、「2〜3万円程度は払う」という意向を伝えておくことが必要だ。(こっちが「クレイマー」と見なされるのはまずい。)

 なお、もっといいのは、「保育園の入口で署名運動をする」という意向を伝えて、全額返済を求めることだ。相手にとっては、「多数に返金」というのが一番困ることだからだ。
 ※ 「違法行為に訴訟の署名を」というポスターを呈示するといい。
   園長や経営者に「大損だぞ」と心理的圧力をかけることが重要だ。

 ともあれ、返済してもらう法的根拠も、具体的な方法もある。朝日新聞も、記事を書くなら、そういうことまできちんと指摘しておくべきだった。特に、消費者契約法第9条第1号については、絶対に記述しておくべきだった。この法的根拠があるとないとでは、鬼にとって金棒があるかないかぐらいの差がある。金棒がなくては、まともに戦うこともできない。この金棒(法的根拠)を、きちんと理解しておこう。
 
 とにかく、相手の法的不当性を指摘することが大切なので、注意。そのために、本項では法的根拠を示した。



 [ 付記 ]
 記事によると、「入園金の平均は2万〜3万円」とのことだから、返金の対象となるのは一部の悪徳業者に限られる。このような悪徳保育園については、あらかじめ情報を共有して公開するといいだろう。
 「キャンセル料が高額の保育園」
 というのを調べて、公開しておくとよさそうだ。こういう悪徳保育園は、保育の質も悪いはずだから、「悪徳保育園」というレッテルを貼って、入園しないようにしよう。
( ※ たぶん保育士の賃金も低賃金で、補助金を私腹に入れる率が高いはずだ。悪徳業者とは、そういうものだ。場合によっては、園児が死ぬ。)
 
 
posted by 管理人 at 09:27| Comment(0) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
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