2016年03月18日

◆ リチウム空気電池 v.s. 燃料電池

 燃料電池車よりも、リチウム空気電池が有望だ。これはリチウムイオン電池の次世代に来るもので、研究開発中。 ──

 新聞を見ると、「燃料電池車が有望だ」という話が出ているし、安倍首相も「東京五輪で燃料電池車をアピールする」なんて気合いを入れている。
 一方、現在の電気自動車で使われているリチウムイオン電池の次世代に当たるものとして、リチウム空気電池が研究開発中だ。これはとても有望だ。
 リチウム・空気電池(リチウムくうきでんち)または金属リチウム−空気電池とは、金属リチウムを負極活物質とし、空気中の酸素を正極活物質とし、充放電可能な電池を指している。一次電池、二次電池、燃料電池を実現可能である。
 リチウムイオン電池は両電極材の充放電容量不足で、重量が重いという問題がある。リチウム・空気電池は正極の活物質に空気中の酸素を利用するので、原理上、正極は容量の制限にならない。夢の充電池として、リチウムイオンの次世代の電池として本命視されている。
( → リチウム・空気電池 - Wikipedia

 その性能は素晴らしいものであるようだ。
 《 容量はリチウムイオン電池の6倍以上、「リチウム空気電池」の実用化に一歩前進 》
 科学技術振興機構(JST)は2015年9月2日、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の陳明偉教授らの研究グループが、一般的なリチウムイオン電池の6倍以上の電気容量を持ち、100回以上繰り返し使用が可能なリチウム空気電池の開発に成功したと発表した。電気自動車にこのリチウム空気電池を利用すれば、走行距離を500〜600kmに伸ばせるという。
 従来の50%を大きく上回る72%を超えるエネルギー利用効率を示した。
 今回の結果の成果についてJSTは、高容量、高効率なリチウム空気電池の正極材料の実用化に向けた重要な成果としている。その一方で貴金属であるルテニウムを少量ながら触媒に使用しているためコストが高いという点や、充電時の過電圧が大きいなどの課題は残っている。研究グループは今後、今回開発した電極の実用化を企業と模索していく方針だ。
( → スマートジャパン

 「 72%を超えるエネルギー利用効率」というのは、改善したとはいえ、あまり高くない。リチウムイオン電池の場合は、もっと高い数値だ。
 放電で得られた電気量と充電に要した電気量の比(充電/放電効率)は、80%-90% と比較的電気ロスが小さい
( → リチウムイオン二次電池 - Wikipedia

  72%ではエネルギーロスが大きいので、リチウム空気電池はまだ実用レベルではない。これが、リチウムイオン電池並みの 80%-90% になれば、実用レベルになるだろう。

 一方、燃料電池車は、エネルギー効率がかなり低い。
  ・ 水素の圧縮(または液化)
  ・ 水素の運搬

 これらにかなりエネルギーを食われてしまうからだ。
 エネルギー効率が低い燃料電池車に比べれば、将来の(改善された)リチウム空気電池の方が、ずっと有望だろう。自動車本体も、燃料に相当する電池・水素の供給でも、はるかに低コストで済むはずだ。

 というわけで、「燃料電池車の時代は来ないだろう。かわりに、リチウム空気電池の電気自動車の時代が来るだろう」と予測しておこう。
 なお、リチウムイオン電池の電気自動車の時代は、たぶん来ない。いつまでたっても、リチウムイオン電池の価格は下がらないと思えるからだ。(現状のペースでは遅すぎる。)その意味で、日産自動車の賭けは、失敗したね。
 次の時代は、PHV (プラグインハイブリッド)だろう。その次が、リチウム空気電池の時代となるだろう。燃料電池車の時代は、来るとしても、50年以上あとのことだろう。そんな先のことは、わからない。現代の中高年が生きている時代には、燃料電池車の時代は来そうにない。



 [ 付記 ]
 燃料電池車は、水素スタンドの設置や維持にも、かなりの初期投資が必要となる。大変ですね。やたらと無駄が多い。
 その点、電気自動車ならば、充電装置があるだけで済むから、たいしたことはない。
 ただし実際には、電気自動車は充電ステーションで、電気を充電するかわりに、カートリッジ式の電池を交換することになるだろう。この場合、充電時間に相当する「カートリッジ交換時間」は3分間ぐらいで済む。



 【 補説 】
 日産自動車は、次期ハイブリッド車を、シリーズ方式 にする方針だ、という報道がある。これは、レンジエクステンダー式の PHV と同様とも言えるらしい。
 燃費性能は、トヨタよりも上になるらしいが、構造上、電気自動車の部分が大きくなるので、価格は大幅に上昇する。「電気自動車と HV車の中間」という扱いになりそうだ。
 トヨタのプリウスでも PHV 車はあったが、HV 車に比べると、価格がはるかに上なので、ろくに売れなかった。その二の舞になるかも。
 とはいえ、コストダウンが進めば、何とかなるかも。あと、技術的には、(電池部分の箇所は)構造が簡単なので、HV技術が最低である日産としては、他に選択肢がない、ということらしい。トヨタやホンダは、ちゃんとした HV技術があるので、日産ほど追い詰められてはいないようだ。

 参考記事は、下記。
  → 日産、「ノート」にEV?パナソニック製電池調達、追浜工場で生産
  → 日産が新ハイブリッドシステム搭載で燃費40km/L超えを狙う!?秋登場予定の新型ノートで
  → 日産ノートハイブリッドはノートEVになるというのは事実ですか?
  → 日産が年内に発売するレンジエクステンダーEVはトヨタのハイブリッド車に代るエコカーの本命となるのか?

 次の記事を見ると、日産はコストダウンに成功したらしい。かなり自信があるようだ。
  → 日産がノートEVを2016年秋に発売予定、月間7000台規模の生産を計画
  → 「ノートEV」は日産を変えるか (ニュースイッチ)

 日産が本気であるなら、このシリーズ方式の HV は、かなり先進的なものとなりそうだ。技術が新しいからではなくて、量産化(低価格化)に成功しているからだ。これまでは普及しなかった PHV が一挙に普及することになりそうだ。

( ※ だけど、私の個人的な予想を言うなら、これは羊頭狗肉だろう。そんなに急に PHV が進化するはずがない。月間7000台というのは、国内販売台数ではなくて、世界販売台数だろう。国内では 1000台ぐらいか。となると、たいして競争力もあるまい。アクアに比べて 30万円ぐらい高い価格、というふうに私は推定しておく。日産ファンなら、高くても買ってくれるかもね。)
posted by 管理人 at 21:29| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
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