2016年03月09日

◆ 囲碁で AI が勝利

 囲碁で AI が人間に勝利した。その雑感を示す。 ──

 私は囲碁については素人なので、あくまで素人の雑感だ。それをわきまえた上で読んでほしい。
( ※ 素人のくせに偉そうなことを言うな、と思う人は、ここでお帰りください。)

     *     *     *     *     *

 まず、以前には、次のような話があった。
 チェスでAIが人間を打ち負かし、将棋でAIが人間を打ち負かすようになっても、囲碁だけは人間の創造性を最大限に発揮しないとまだまだ勝つことができない分野だと言われていました。
 なぜ囲碁がそれほどまでに難しいかというと、単純にチェスならば盤面のパターンは10の120乗、将棋ならば10の220乗というパターンであるのに対し、囲碁は10の360乗以上という膨大な場面のパターンであるからと言われています。
( → WirelessWire News

 数字については、Wikipedia では別の数字も出ているが、ともあれ、囲碁ではチェスや将棋よりも圧倒的に場面の数が多い。
 とはいえ、それは決して、「人間が機械よりも強い」ことの理由にはならないはずだ。なぜなら、人間は、莫大な場合の数をシラミつぶしに調べているわけではないからだ。少数の有力な手だけをチェックする。そうだとすれば、同じことを AI がやることもできるはずだから、場合の数の多さは、決して「人間が有利」ということの理由にはならないのだ。

 ──

 次に、今回の記事を示そう。
 頭脳ゲームで最も人間に追いつくことが難しいとされてきた囲碁でも、コンピューターの力がトップ棋士と肩を並べたことを証明した。
 対局は同社のスタッフが李九段と対面し、盤のそばに置いたパソコンに示されたアルファ碁の手を盤上に打つ形で実施。李九段が優勢とみられる局面もあったが、アルファ碁は勝負手を出して逆転。最後の寄せでも乱れず押し切った。
( → 読売新聞
 対局時に全ての手を検討するのではなく、過去の10万以上の棋譜を入力して自己学習を繰り返して強くなった。
 李九段は対局後の記者会見で笑顔を見せ、「本当に驚いた。最初の失敗が最後まで尾を引いた。プログラマーに深い敬意を表したい」と語った。「人間なら普通打たない手だった」とも語った。
 元名人の石田芳夫九段(二十四世本因坊秀芳)は中継終了後、「イ・セドル九段には普段と違う感情的な手が見られた。そして、はっきり優勢になってから乱れた。不完全燃焼の負け方だろう。アルファ碁は以前よりも実力がアップしている。形勢判断ができていて、勝負手をことごとく成功させた印象だ。でもまだ人間のトップが負けるのは早い」と話した。
 《コンピュータ囲碁フォーラム会長の松原仁・公立はこだて未来大教授の話》
 チェスや将棋に続き、人工知能にとってより難易度の高い囲碁でも人間のプロに追いついたということだ。この勝利は、人工知能が人間にかなり迫ってきたことを示す証拠となる。
( → 朝日新聞

 以上では、「機械が人間に追いついた」という評価を与えている。しかしながら、私の評価は、まったく違う。
 まず、次の評価がある。
 生放送見た。序盤から悪手を放ってα碁は雑魚ムードが流れて中盤になると日本の解説者が黒の勝ちを断言。α碁が勝負手を打ってから徐々に白が優勢になって気づいたら黒が追い込まれて投了。2chの囲碁板を見るといいよ
( → はてなブックマーク コメント

 さらに、2chの囲碁板を見る。
  → 2chの囲碁板 その1
  → 2chの囲碁板 その2
  → 2chの囲碁板 その3

 序盤からずっと人間が優勢で、途中では「人間勝利間違いなし」とまで形勢判断が生じた。しかしながら、人間側に悪手が出たわけでもないのに、いつのまにか形勢判断が変わって、いつのまにか人間側が劣勢に立たされて、気づいてみたら負けていた……というわけだ。

 これは、何かに似ている。何に? 初心者が高段者にボコボコにされる事例だ。初心者は、自分では有利に戦っていると思っているが、いつのまにか読みが外れて、知らず知らず形勢を損ねて、気づいてみたら大差で負けていた、という結果。
 これは要するに、最初から読みが狂っていたわけで、読みの能力に大差があった、ということだ。初心者の方は、自分がどう間違っているかも気づいていない、というありさまだ。

 したがって、私の評価は、こうだ。
 人間の側は、序盤では「人間有利」と判断していたし、中盤でも「人間が圧倒的に有利」と判断していたが、その判断はすべて間違いだった。人間は機械に読み負けていた。実際には劣勢に立たされていたのに、そのことに気づかず、自分が優勢だと思い込んでいた。人間の形勢判断能力そのものが、機械とは異次元のレベルのものであって、それは機械に劣るものだった。
 途中で機械が「劣勢なので勝負手を出した」という認識は間違いだろう。機械は初めから「自分は優勢だ」と判定して、最も正統的な手を出しただけだ。それは決して「のるかそるか」の勝負手ではなかった。(これを勝負手だと判定した人間の判断も間違っていた。)
 要するに、機械は、打ったあとで周囲の観戦者にも理解できないほど、異次元の強さを持っており、はるかに高度な能力を持っていたことになる。だから、周囲の観戦者は、見当違いなことばかり言っているのだ。

 今回の機械の能力を正しく認識したのは、当の対戦者だけだった。再掲しよう。
「本当に驚いた。最初の失敗が最後まで尾を引いた。プログラマーに深い敬意を表したい」と語った。「人間なら普通打たない手だった」とも語った。

 ここでは圧倒的な力を認識している。強者は強者を知ると言うことか。このように、機械の圧倒的な力を認識したのは、当の対戦者と、私だけであるようだ。他の人はみな、機械の力をなめている。「人間に追いついた」というふうに、見下している。

 とはいえ、囲碁関係者でなく、AI 技術者であれば、機械の能力をおおむね正しく認識しているようだ。次の記事がある。
 日本が誇るコンピューター囲碁研究に携わる研究者・開発者らとともに見届けた。
 終局後の彼らとの対話の内容を抜き出してみよう。曰く、「DeepMindが打った手には『人であれば打たないだろう』と思えるものもあった」「その瞬間は、その手が有効だとは思えなかった」「しかし終わってみれば、それがあったからこそDeepMindは勝てたのかも知れない」「あるいは、勝敗とは関係ないのかも知れない」…。
 AIは、人が盤上に見出せていない何かを見ているのかもしれない──。
( → 観戦速報 WIRED.jp

 この見解は、機械の能力が人間を上回っているのだ、ということを示唆している。半信半疑で、そう思っているようだ。
 しかし、私としては、もっとはっきり断言しておこう。
 「今は機械の能力は、人間を圧倒的に上回っている」と。

 したがって、勝敗予想は、「5勝0敗で機械の圧勝」である。
( ※ ま、外れるかもしれないが、一応、ここで予想しておこう。)



 [ 付記1 ]
 私の言っていることが正しいかどうかは、検証できる。それは機械のログを見ることだ。形勢判断で機械が自分を有利と見ていたか、不利と見ていたか、数字の判定がログに記録されているはずだ。
 私の予想では、「機械はずっと自分を有利とみていた」だ。
 一方、囲碁関係者の認識は、それとは逆だ。(これが人間の形勢判断だ。)
 どちらが正しいかは、ログを見ればわかる。ログの発表を期待したい。
 
 [ 付記2 ]
 今回の人間のレベルは、人間の中では最高レベルであるようだ。
  ・ 将棋で言えば、羽生・渡辺を上回る強さ。
  ・ 日本の7冠確実の井山名人をボコボコにする実力。(出典
  ・ この 10年間を見れば最強(現時点では5位ぐらいか)

 というふうに、2ちゃんねるに書いてあった。

 [ 付記3 ]
 最後にまた言っておくが、本項はあくまで、素人の雑談ですからね。あまり頭に血をのぼらせないようにしてください。
posted by 管理人 at 23:58| Comment(6) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2回戦もAIの中押し勝ちとなった。3時頃から見ていたが、危なげなく勝ち切った。解説高尾九段は、「セドル9段と対局すると、その迫力に負けて一目弱くなる」と言っていた。AIに、その迫力は通じないのだ。
>勝敗予想は、「5勝0敗で機械の圧勝」
これは、外してほしいものだ。
Posted by senjyu at 2016年03月10日 22:22
> 李九段は記者会見で「完敗。アルファ碁が完璧で終始リードできなかった」と語った。

http://mainichi.jp/articles/20160311/k00/00m/040/039000c
Posted by 管理人 at 2016年03月10日 22:46
本項と似た見解があるので、紹介する。
  → http://antibayesian.hateblo.jp/entry/2016/03/10/041739
Posted by 管理人 at 2016年03月10日 22:49
管理人さん紹介のページに下記の文章
>1手30秒ルールで対局した場合は大体互角の戦績であることがAlphaGo論文に示されています。

2回戦の、解説高尾九段は、「コウをしかけない。コウを見てみたい」と何度も言っていた。AIは、時間のかかるコウは苦手なのかもしれない。
もっとも、2回戦では、時間を使いきっていたのは、セドル9段だった。AIは時間配分も計算しているかもしれない。
Posted by senjyu at 2016年03月11日 13:18
第三局も AI が勝利した。
 私の予想が当たりつつあるようだ。
Posted by 管理人 at 2016年03月12日 22:49
第5局も AI が勝利した。
 第4局がバグみたいなものであったことを考慮すると、おおむね、「 AI の全勝だった」と見なしていいだろう。(4勝0敗、1無効)
Posted by 管理人 at 2016年03月15日 21:52
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