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交通信号は、色盲(色弱)の人には判別できない。そのせいで、事故が起こった。
→ 2人死亡事故:「色覚障害者に見やすい信号だったら…」
記事では「先天性色覚異常のせい」というふうに示されているが、ここで疑問が湧くだろう。
「色盲ならば、交通信号の判別が付かないので、免許を取れないはずだ。なのに、どうなっているんだ?」
これについて調べたところ、次のことが判明した。
「免許を取る際には、色盲・色弱の検査があるが、それは、赤と黄と緑の検査だけだ。はっきりと判別が付くような色の検査をするだけであり、中度の色弱ぐらいならば、あっさりパスする」
→ 色盲の……人は、車の免許を取れるのですか?
そして、いったん免許を取ってしまえば、あとは、よく見えなくても、信号のランプの位置で判別するそうだ。とはいえ、夜間などでは、ランプの位置がわかりにくいので、困ることも多いという。(詳細は下記で。)
→ 色覚障害者の報告
というわけで、やはり、現状は色盲・色弱の人にとって不便だし、一般人はその影響を受けて危険にさらされているわけだ。
次の解説もある。
→ 交通事故と色覚異常の因果関係
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では、どうするべきか?
冒頭の記事では、対策として、「赤信号に × 印を入れる」という改革案が示されていた。
これだと、次のように見えるそうだ。
出典
より詳しくは、下記にある。
→ グッドデザイン賞・特別賞
下記の解説もある。
→ 九州産業大学 芸術学部 落合太郎研究室
これは非常に高い評価を得ているようだが、私の考えでは、これは致命的に駄目だ。実用化は不可能だ。
なぜか? すべての交通信号をいっせいにこのタイプに置換するのならばいいが、その途中の過渡期では、両者が混在するせいで、大変な混乱が生じるからだ。
たとえば、「赤信号には × 印が見える」という知識が広まったあとで、普通の信号を見たら、 × のない赤信号が、黄信号のように見える。「これは黄信号だ」と思って、赤信号に突っ込んだら、あちこちで大事故が連発するだろう。とんでもない危険な状態となる。
こんなことになるなら、現状の方が、まだマシであろう。
要するに、この案は、過渡期における危険性を考えていないので、まったく実用的でないのだ。
さらには、コストの問題がある。この方式だと、信号ランプそのものを交換しなくてはならないが、手作業でランプを1個だけ交換するのは困難だ。となると、信号機本体を丸ごと交換するしかない。となると、日本中の信号機を全部交換する必要があるので、途方もないコスト高となる。まったく不可能だ。
さらに言えば、もう一つ、大きな難点がある。この × 印は、遠くからでは見えないのだ。近づいてようやく、その印があるとわかる。遠くから見た限りでは、周囲のランプと混ざり合って、その印がはっきりとしないのだ。(近くに来てからなら見えるが。)
これでは実用性が低い。
- ( ※ 提案者は、100メートル離れていても × 印は区別が付く、と言っているが、それは、目のいい人の場合だ。視力が弱ければ、ぼんやりとぼやけてしまうので、よくわかるはずがない。画像では大きな黄色い丸で示しているが、現実には、ものすごく小さな黄色い丸となるので、視力が良くなければ、区別は付かない。)
というわけで、以上の3点が致命的なので、この方式は駄目だ。
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では、どうする?
ここで、困ったときの Open ブログ。素晴らしい解決策を示そう。こうだ。
「既存の信号機に対して、青信号と黄色信号の上に、白い LED ランプの線を引く」
これによって、白い LED ランプの線 との位置関係によって、ランプの種類がわかる。(たとえ色盲でも。)
・ 青信号は、白線の
左半分の下。
・ 黄信号は、白線の
右半分の下。
・ 赤信号は、白線の
外側。
このように、位置ではっきりと区別が付く。
青信号と黄信号のときは、白線がランプに近いので、白線がよく見えないかもしれない。
しかし赤信号のときは、白線がランプから離れているので、白線がはっきりと見える。この意味で、白線との位置関係から、赤信号ははっきりと判別できる。
なお、遠くから見ると、こんな感じ。
この方式は、一般の人々にとっても、わかりやすい。というのは、今の赤信号は、街中にあるさまざまな赤ランプと混同しやすいからだ。特に、自動車の後尾灯との区別がしにくい。赤信号が光っているのか、自動車の後尾灯が光っているのか、戸惑うことがある。この点、上記の提案のようになっていれば、白線との位置関係で、それが赤信号であることがはっきりとする。だから、普通の人にとっても、とてもわかりやすい。
また、この方式は、コストが激安だ。これまでの信号の内部を改造する必要はない。新たに「 常時点灯している白線 LED 」を付け足すだけだ。非常に安いコストで新方式にすることができる。全国の信号機をいっせいに直すことも、比較的容易だろう。
さらに言えば、この方式は、過渡期における混乱がない。白線があってもなくても、特に意味の食い違いは生じないから、混乱はない。
というわけで、私の提案ならば、すべてはうまく行く。
めでたし、めでたし。
[ 付記 ]
さらに念を入れるなら、赤信号の下にも 白線 LED を付けるといい。これならば、それが赤信号であることが、いっそうはっきりとする。
【 追記 】
あとで思い直したが、「信号の上に白線」よりも、「信号の下に白線」の方がいい。というのは、信号ランプの上にある庇(ひさし)のせいで、信号の上の白線は見えにくいからだ。特に、信号のすぐそばに近づくと、見えにくい。
この点、信号の下に白線ならば、信号に近づいても、白線が庇に隠れることはない。だから、問題なし。
( ※ ただし別案もある。庇の奥でなく、庇の手前に置くなら、信号の上に白線でも大丈夫だ。これだと、白線がちょっと設置しにくいが、見やすさからいうと、信号の上に白線の方が見やすいので、これでもいいだろう。)
※ 以下は読まなくてもよい。
- [ 余談 ]
「色盲の人は、色がわからないのに、交通信号で不便ではないのか?」
と思った。だが、よく考えると、普通は不便ではあるまい。というのは、たとえ色がわからなくても、「信号の点灯ランプが交替した」というときだけ注意すればいいからだ。
通常は、前の車が走っている時点で、青信号だとわかる。そのまま信号が変わらなければ、信号のことは気にしないでいい。急に少し先で信号が変わったら、黄または赤に変わったのだ、とわかるから、ブレーキをかければいい。赤で止まったあとは、点灯位置が右端から左端に変わるから、それを見て発進すればいい。
結局、「点灯ランプが変わった」という点にだけ気づけば十分で、色は理解しなくても、事足りるのだ。
ただし田舎だと、道路がガラガラで、先行車がないので、「ずっと青」か「ずっと赤」なのか、区別ができにくい。しかしながら、「赤と青」の区別だけなら、一応できるのが普通だ。だからこの場合も、一応大丈夫。
というわけで、色盲であっても、特に支障なく自動車を運転できるわけだ。「信号がまったくわからない」というほどのことはないのだ。
それでも、視認能力は大幅に弱いので、色盲の人の事故死の率は、健常者の3倍になるそうだ。ある意味、命懸けで運転していることになる。
本項の提案が実現すれば、色盲の人の事故死者も大幅に減るだろう。
縦型信号機もあるので、赤は横にも下にみ何も無い。でいいと思います。
ふとしたキッカケから、信号の状態を光っている位置で無意識に判断していたんだと、気付くことができました。よって判別が難しい時は、点灯位置確認を意識的に行うようになりました。
管理様が言う「『点灯ランプ(の位置)が変わった』という点にだけ気づけば十分」と述べている点に同意します。
個々人の視力や信号を認識する距離にも依りますが、
- 各色の間隔を広げる事(高コスト)
- 黄色を点滅(ソフト変更のため比較的低コスト?)。ただし現在の黄色点滅(注意進行)とは違うバターンで。
- 黄色を取り除き、歩行者信号と同じパターン。(ただし歩行者用と混同するリスクが出てくるため無理かな?)
などを施行していただけると、個人的にはより安全性が高まると感じております。
色弱タイプ・度にも様々あり、正常者を含む全員もしくはほとんどの方が安全である方法が、議論を重ねよりよい物が出てくることを願います。
なにはともかく、せっかく世のスポットライトがあたりましたので、この機を無駄にしたくないです。