2016年02月22日

◆ 免疫抑制剤と臓器移植

 免疫抑制剤を使わない技術が開発されたそうだ。これは臓器移植に新展開をもたらしそうだ。 ──

 免疫抑制剤を使わない技術が開発されたそうだ。
 《 肝移植患者、免疫抑制剤使わず2年以上生活 》
 北海道大と順天堂大の研究チームは18日、生体肝移植を受けた患者10人のうち7人が免疫抑制剤を2年以上使わずに日常生活を送ることができたと発表した。臓器提供者と患者本人のリンパ球などから培養した免疫細胞を使い、移植後の拒絶反応を抑えた。5〜6月をメドに新たに40人の患者を対象とした臨床研究に着手する方針で、将来の保険適用につなげる。
 移植後の患者は通常、拒絶反応を抑える免疫抑制剤を生涯飲み続ける。免疫力が下がるため、感染症やがんにかかりやすくなるほか、腎不全が発生する確率が高まる。
 研究チームは免疫抑制剤を投与しなくても済む新たな治療法の臨床研究に取り組んだ。
 移植前に肝臓提供者と患者の双方から取り出したリンパ球を混ぜる。抗体と呼ぶ特殊な物質を加え、他人の細胞を拒絶しにくい「制御性T細胞」を育てたうえ、移植後の患者の体内に戻す。当初は免疫抑制剤を使用するものの、徐々に投与量を減らし、18カ月後をメドに完全に中止する。
 臨床研究は30〜60歳代の男女10人が対象となった。抑制剤の投与をやめた7人の患者に拒絶反応は起きておらず、移植した臓器も正常に機能しているという。研究チームは今後、脳死肝移植への応用をめざす。すでに免疫抑制剤を長期間服用している患者にも適用できるとみている
( → 日本経済新聞 2016/2/18

 免疫抑制剤を使わないで済むとしたら、臓器移植の可能性が大幅に広がることを意味する。現状では、不適合となる患者同士の場合も、(免疫抑制剤を併用することで)適合するようになる可能性も高まる。
 こうなると、臓器移植の可能性が大幅に高まる。

 ──

 特に、副次的に、次のことが可能となる。
 「移植してもらたい臓器を望んでいる患者同士が、自分の臓器を相互に交換する」

 これは「臓器交換」と呼ばれているものだ。たとえば、腎臓が欲しい人と、肝臓が欲しい人が、相互に臓器を交換する。(半分ずつ)
 これによって、本来ならば死んでしまうはずの二人が、ともに長生きできることになる。
 下記に参考書がある。


臓器交換社会―アメリカの現実・日本の近未来

 
 なお、この臓器交換には、「誰と誰で臓器を交換べきか」という、最適選択を考える問題がある。これについては「マッチング理論」が役立つそうだ。下記ページの最後に記述がある。
  → [8] 注目集める臓器交換 

 マッチング理論については、下記。
  → 2012年ノーベル経済学賞:マッチング理論

 ──

 なお、これを実現するには、臓器移植を普及する必要がある。
 そのために、現在は、「臓器提供カード」というものがあるが、これでわざわざ「提供します」と表示する人は少ないだろう。何らかの推進策が必要だ。では、どんな? 
 推進策といえば、「啓蒙」もあるが、「インセンティブを与える」という手もある。インセンティブとは? 普通は金銭を思い浮かべるが、もっといい方法がある。
 臓器移植について、次の方針を取る。
 「賛成論者は、他人の臓器を受け取れるが、自分も臓器を提供することがある。反対論者は、自分の臓器を提供しないが、他人の臓器を受け取る権利もない」

 つまり、「自分が死んだら、臓器を提供します」と意思表示することで、「他の人が死んだら、臓器を提供してもらえます」という権利を獲得するわけだ。
( ※ もともと提供の意思表示をしていなかった人は、後回しにされる。自分で与えたくない人は、他人から与えられることもない。)

 これは、前に下記項目で述べた。
  → 病気腎移植
  → 臓器移植法の実効性
 詳しい話は、この2項目を読んでほしい。



 [ 付記 ]
 今回の新療法は、拒絶反応を抑える効果があるようだ。ならば、自己免疫疾患にも、効果がありそうだ。特に、子宮頸がんワクチンの被害者に効果がありそうだ。
 この発想は、誰も考えていないだろうが、私としてはここでアイデアを提示しておこう。

 なお、子宮頸がんワクチンと自己免疫の話は、下記。
   → 自己免疫とステロイド治療(子宮頸がんワクチン)
   → 自己免疫と子宮頸がんワクチン(機序)
   → 外国の被害者は? (子宮頸がんワクチン)
posted by 管理人 at 23:18| Comment(2) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記憶違いならごめんなさい。日経新聞の記事(ネットじゃない)に「付記」のアイデアがあったと思います。
Posted by 京都の人 at 2016年02月22日 23:28
えっ。そうだったのか。
 ま、どっちでもいいや。私が威張りたいわけじゃないんだし。
 だけど、そんなマイナーな話題のアイデアを思い浮かべる人がいるとは、たいしたものだ。専門の医師ならば、おかしくはないが。
Posted by 管理人 at 2016年02月22日 23:36
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