2016年02月18日

◆ 重力波の観測

 重力波の観測という科学的事件があった。これについて、いくらか解説する。 ──

 重力波の観測という科学的事件があった。二つのブラックホールが合体したときの重力波を検出した、という話。
 別に私の独自の見解があるわけではないのだが、あまり知られていない参考情報などを、初心者向けに解説する。

 (1) 基本的解説

 基本的な解説は、下記が詳しい。
  → 重力波検出の意義と今後の進展
 科学的意義などは、これを読めばわかる。

 なお、重力波は、観測はされたが、方向はわかっていない。これは、観測装置が2個しかないからだ。近い将来、日本でも観測装置が稼働して、3箇所で観測されるようになると、三角測量みたいな感じで、重力波の来る方向もだいたいわかるようになるらしい。

 (2) ガンマ線バースト

 今回の観測とほぼ同時刻(0.4秒後)に、ガンマ線バーストという事件があった。
  → 「宇宙最大の爆発」も観測 重力波とほぼ同時に

 ガンマ線バーストは、天体望遠鏡みたいなものなので、発生した地点を正確に測定することも可能だ。ただし、今回は、「南半球の方向」というふうに、おおざっぱにしか方向を特定できなかった。
  → 時事通信ニュース:「ガンマ線バースト」観測か 2016-02-18
 これはどうしてかというと、広角カメラみたいな全天観測用の装置で観測したからだ。最初からピンポイントで探す天体望遠鏡みたいな観測装置ではなく、広角カメラみたいな観測装置だった。だから、おおざっぱにしか、わからないわけだ。
 英文の参考記事を示しておく。
  → Gravity Wave Black Hole Merger Might Coincide With Gamma Ray Burst
 ( ※ 見るには、広告ブロック解除が必要。)

 なお、0.4秒の遅れがあったことには、「光速度が遅くなったから」ということで説明が付く。(光速度は、真空中以外では、屈折率に反比例して速度が低下するからだ。途中にダークマターでもあれば、速度が低下することは説明が付く。一方、重力波は、物体があることの影響を受けない。)

 (3) 重力波は縦波

 重力波は音波などと同様に、縦波である。次の図を見て、図形的に理解するといいだろう。


gravitational-wave.gif
 
wavy.gif

※ 出典はいずれも Wikicommons

 
 これからわかるように、重力波は、空間の振動だ。アインシュタインの一般相対論が、空間の理論であることに呼応する。

 一方、光などの電磁波は、量子の波である。これは「空間の波」とは性質が異なる。
( ※ どう異なるか、というのは、私の「超球理論」を読めば、いくらかはわかる。量子の波は、超球の振動だが、空間の波は、超球の密度そのものが変化してしまう。空間そのものが変化することに相当する。空間の理論はマクロ的な理論だが、量子の理論はミクロ的な理論だ。)

 光は屈折率の影響を受けるが、重力は屈折率の影響を受けない。このことで、速度の差が生じる。

 ついでだが、現実の光速度は、理論的な光速度よりも、少し遅い可能性がある。(光子の質量がゼロでない場合。)一方、重力波の速度は、理論的な光速度であり、宇宙最高速だ。……これらについては、下記に記述がある。
  → Wikipedia 「光子」

 (4) 重力子

 重力波が観測されたことで、重力子も観測されるかもしれない……という思惑もあるようだが、重力子は粒子としては観測されない。
 ついでに言えば、光子というものも、粒子としては観測されない。
 こう言うと、「馬鹿な。アインシュタインの光電効果を知らないのか!」といきり立つ人がいそうなので、解説しておこう。
 アインシュタインの光電効果による光子とは、「光のエネルギーが粒子化されていること(飛び飛びの値を取ること)」をいう。これは「光子という粒子が観測される」ということではない。
 陽子や電子ならば、その粒子がごく小さな範囲で定まるので、「粒子が観測された」と言える。場所の位置座標も決まる。
 一方、光子の場合には、その粒子がごく小さな範囲で定まるということはない。たとえば、電磁波は、かなり広い範囲に拡散するのであって、特定の一箇所に収まるということはない。電波ならば広い範囲に拡散する。ガンマ線だと、かなり狭い範囲に絞られるが、それでも、電子などに比べれば圧倒的に大きな範囲に拡散するので、とてもミクロのレベルには収まらない。
 というわけで、光子というものは、粒子としては観測されない。この件は、下記にも解説がある。
  → 光子一個とは? - Yahoo!知恵袋

 なお、重力子は、「光子よりももっと光子らしいもの」と言えるので、やはり、特定の一箇所に収まることはない。要するに、重力波というものは観測されるが、重力子というものは観測されない。(局在する粒子としては。)

 (5) DECIGO

 今回の観測装置をさらに大規模にした観測装置が計画されている。DECIGOというものだ。これは、宇宙空間において、1000 km離れた3台の衛星に装置を搭載して、観測する、というもの。
  ・ 地球上における微細な震動がない。
  ・ 非常に長距離を取れる

 ということから、圧倒的な高精度が期待される。ただし、打ち上げは、2030年ごろの予定だというから、海のものとも山のものともわからない。観測が成功するまでに、(運が悪ければ)私たちの寿命が来ているかも。 (^^);
 詳細は、下記で。
  → DECIGO 計画

 (6) TAMA300

 重力波の観測装置は、日本にもある。TAMA300 というものだ。
  → TAMA300 - Wikipedia
  → TAMA300 (Nikon)
 何でこれが話題にならないかというと、感度が低すぎて、何も検出できなかったからだ。実用レベルになる前の、小規模なテスト的観測装置、という位置づけだ。ちゃんとした装置を作る前に、小手調べで、安価で小型な装置を作った、というわけ。
 これで小手調べをしたあとで、現在の KAGRA が建設された。



 ※ 以下は読む必要がありません。


 [ 余談 ]
 (5) の DECIGO で、衛星をもう一個加えて、正四面体にすれば、X,Y,Z という3軸の観測ができるのでは……と思った。
 原点に対して、X,Y,Z という3軸の1の点をそれぞれ結ぶと、正三角形ができるので、その正三角形を上記のDECIGO 計画の正三角形にすればいい……と思った。
 だけど、そんなことは、専門家ならば考慮済みだ。では、なぜ、そうしないのか? 
 考えたら、わかった。正四面体にするには、頂点は一つ増やすだけで済むが、稜線が3本増えてしまう。そうすると、固定軸が3本増えるので、装置の制作コストがものすごく増えてしまうのだ。たぶん、2倍以上の価格になる。……これでは、無理っぽい。

 どうせだったら、別途、1軸2頂点の観測装置を新たに作って、よその宇宙空間に浮かべておく方が、まだ低コストになりそうだ。
 というわけで、正四面体ふうの観測装置は、却下となったのだろう。
 
 《 訂正 》

 間違えた! 
 1軸2頂点では、観測できませんね。ほぼ直交する2軸がないと、波長の干渉が観測されない。(マイケルソン・モーリーの実験と同様。)
 最低でも2軸3頂点が必要だ。だったら、直交するX,Y,Z という3軸を作った方がいい。この三つだけは、厳密に軸を設置する。長さも厳密にする。そのあとで、3頂点の位置を固定する軸は、かなりいい加減であってもいい。少しぐらいぐらついてもいい。……これならば、コスト安で済むだろう。
 こういうふうにすればいいのにね。DECIGO 計画は、正四面体型に、改良するべきだろう。
 
       正三角形         正四面体


       4mentai.png
 
 ──

 さらによく考えたら、そもそも固定軸は必要ない、という気がしてきた。宇宙空間なんだから、軸なんかなくても、宇宙に浮かんでいる。別に固定しなくても、ふわふわと浮かせておくだけでいい。(軸なんかで固定しても、太陽風や太陽光の影響で、軸の長さはズレてしまうはずだから、無効。)
 ふわふわと浮かせたあとは、レーザーで距離を測って、あとは適当にイオンエンジンでも使って位置を微調整すればいい。
 位置を動かすと、観測装置に影響はあるか? 低い周波数でなら影響はあるだろうが、高い周波数では影響はないだろう。重力波の検出に必要な周波数には、影響はなさそうだ。
 
 ※ 周波数の話は、先の Nikon のページにある。
posted by 管理人 at 23:51| Comment(1) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
重力子というものが提唱されていることを初めて知りました。
Posted by senjyu at 2016年02月19日 14:32
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