2016年02月17日

◆ 保育行政を一元化せよ

 保育所不足という問題は、保育行政を一元化すれば、あっさり解決する。 ──

 保育所不足という問題を解決する案として、前項では「最適配分」の方法を示した。これは自治体が独自で実行できる方法だ。
 一方、自治体と国の双方を見るなら、次のことが言える。
 「保育行政を、自治体と国の双方で分担せずに、一元化すれば、保育所不足の問題は解決する」

 つまり、行政制度の役割分担の変更だけで、問題は解決する。なぜか? 行政の無駄による間違った方針が是正されるからだ。
 
 具体的には、次のようにすればいい。
 「保育所の増設と、育休給付金の給付を、同じ部門で担当する」

 同じ部門というのは、通常は、自治体だ。たとえば、文京区とか、川崎市とか。これらの自治体が、次の二つを担当する。
  ・ 保育所の増設
  ・ 育休給付金の給付

 一つの部門が、二つの役割を担当する。これだけで問題は解決する。その理由は、下記の通り。

 ──

 現状では、この二つは、別の部門が担当している。
  ・ 保育所の増設   …… 自治体
  ・ 育休給付金の給付 …… 雇用保険

 別々の部門が担当しており、別々の財源による。どれだけの金のを払うかについては、別の財布に依存する。ま、国民 or 労働者の金を好き勝手に使っているだけだ。

 一方、新たな方針では、この二つの役割を、どちらも自治体が実施する。すると、自治体は、次の二者択一となる。
  ・ 保育所の増設   に金を使う
  ・ 育休給付金の給付 に金を使う

 どちらに金を使うか、自分で考える必要がある。すると、次のことがわかる。
 「保育所を増設すれば、育休給付金を払わないで済む」

 これが重要だ。(育休給付金を払うのは、家庭で育児する場合だけだ。幼児を保育所に入れれば、家庭で育児をすることがなくなるから、育休給付金を払う必要はなくなる。)

 ここで、幼児1人に対して、保育所増設のためにかかる費用と、育休給付金にかかる費用とを、比較する。すると、たとえば、次のようになる。
  ・ 保育所増設ならば、1人あたり 10万円の補助
  ・ 育休給付金ならば、1人あたり 16万円の補助

 こうなると、前者の方がコスト安なので、前者を選ぶようになる。かくて、自動的に、保育所増設が進む。

 しかも、ここで大切なことは、「財源を考える必要がない」ということだ。通常ならば、財源を考える必要がある。たとえば、次のページでは、保育士増加のために 3400億円という数字を試算している。
  → 保育園が増えない理由 | 駒崎弘樹公式サイト
 この人の案では、3400億円という財源が新規に要求される。そのために、「国民は怒れ」とけしかけている。
 しかしながら、本項の案では、国民が怒る必要はないし、財源を考える必要もない。なぜなら、財源はすでにあるからだ。それは、育休給付金の金だ。

 ──

 育休給付金の金は、実際には、どのくらいか? 試算するために、先のページを見よう。
  → 育休給付金を廃止せよ

 ここでは、「受給者は 23万人」という数字が出ている。また、給付額は「所得の 67%」とも出ている。また、25〜29歳の女性の平均年収は 295万円である。( → 出典
   (295/12)× 0.67=16.47
 なので、給付額は毎月 16.5万円だ。

 一方、保育所にかかる費用はどのくらいか? 認可保育園ではかなりの費用がかかるが、認可外保育園(認定保育園)への補助金という形なら、川崎市では月額2万円という額で済んでいる。これで待機児童ゼロを実現している。(2万円をもらって認証保育園に入るから。)
「平成25(2013)年度以前は川崎認定保育園を利用した場合、補助金は一律月5000円でしたが、平成26(2014)年は、家庭の所得に応じて最大月2万円まで拡充しました。経済的な負担感を軽減することで、認可保育園より高いというイメージが先行していた川崎認定保育園を選べるように後押ししたんです」
 この補助をはじめたことで認可保育所を希望せずに、川崎認定保育園を積極的に選択する人も出てきたという。
( → マンション建設ラッシュでも待機児童ゼロの川崎市。そのワケは?

 まあ、2万円では少なすぎるだろうから、3〜4万円ぐらいの補助をするといいだろう。このことで、認可保育園に入る人々が増えるので、保育園不足という問題は解決する。

 さらに、保育士不足について、必要な財源を考えよう。
 まず、次の数字がある。
  ・ 保育士の給料は、他産業より 10万円安い。( → 出典
  ・ 全国の保育士の総数は 40万人程度。( → 出典

 ここで、給料の安さのギャップを 10万円から5万円に縮めるために必要な財源は、
   5万円×12カ月×40万人= 2400億円。
 つまり、2400億円だ。
 一方、育休給付金は、
   16.5万円×12カ月×23万人=4554億円。
 
 要するに、育休給付金の財源は 4554億円もあるのだから、ここから、保育士の給料アップに 2400億円を使っても、お釣りが 2150億円もある。ここから、認証保育園の幼児1人に月3万円を払っても、まだまだお釣りが来るだろう。
( ※ 育休給付金ならば、1人あたり 16.5万円の補助なので、ここから3万円の補助金を出しても、まだまだお釣りが来る。額は月額。)

 つまり、
  ・ 保育園を増設して、保育所で面倒を見る
  ・ 幼児を家庭で保育させて、育休給付金を払う

 という二つを比較すると、「前者の方が後者よりも、ずっとコストが低く済む」というふうになるわけだ。
 ならば、自治体は、金を節約するために、せっせと保育所を増設するはずだ。馬鹿高い育休給付金を払わなくて済むように。

 こうして、自動的に、保育所の増設がどんどん進む。つまり、「保育行政を一元化する」ということだけで、保育所不足という問題は一挙に解決するわけだ。もちろん、「保育士の給料が不足するので、保育士が足りない」という問題も、同時に解決される。



 [ 付記 ]
 次の疑問があるかもしれない。
 「保育所を増設するなら、保育所の解説にかかる初期投資が巨額になるはずだ」
 と。これはもっともな疑問だが、別に、ご心配なく。この問題は、民間の保育所が、自分で解決できる。次の形で。
 「初期投資の費用を含めて、毎月の保育園の料金で回収する。それまでは銀行の融資(など)でまかなう」


 これは要するに、携帯電話の「実質ゼロ円」と同じだ。スマホの利用者は、最初に巨額のスマホ代金を払う必要はない。スマホ代金は、毎月の料金に含める形で、分割払いとなる。
 保育所も同様だ。施設の設備費用は、毎月の保育料に含める形で、分割払いとなる。そして、その分割払いの調整をするのは、保育園の側だ。
 だから、利用者の側は、保育所がどうやって資金の算段をしているかについては、考える必要がない。利用者は単に、自分の払う毎月の保育料のことだけを考えればいい。そこには、保育士の給料も、保育所の建設費も、土地代も、すべては込みになって含まれている。
 もちろん、この費用について、自治体が考える必要もない。自治体は、自分の払う補助金の額だけを考えていればいい。特に、一元化にともなって、育休給金に相当する巨額の財源が入ってくるはずだから、それをどうするかについて考えればいい。
  ・ そのまま育休給付金を払う
  ・ 育休給付金を払うかわりに、保育所を増設する

 その二者択一が可能だ。
 前者ならば、保育所不足がずっと続く。(現状通り。)
 後者ならば、保育所不足は一挙に解決する。(全国で 5000億円近い巨額の新規財源が手に入るからだ。)
posted by 管理人 at 23:32| Comment(0) | 一般(雑学)3 | 更新情報をチェックする
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