2016年02月14日

◆ 研究開発減税の嘘

 企業向けに、「研究開発減税」というものがある。これは名前は「減税」でも、実質は「補助金」だ。だまされないようにしよう。 ──

 自民党は消費者には消費税で減税する。その一方で、企業にはいろいろと法人税を減税する。つまり、
    国民 → 政府 → 企業

 という形で、金が流れるわけだ。短絡すれば、
    国民 → 企業

 となる。こういうふうに、国民の金を奪うシステムが、自民党政府だ。
( ※ 衆知の事実。)

 ──

 さて。その一種として、「研究開発減税」というものがある。これは、トヨタのように研究開発費が多額になる企業に向けて、たっぷりと減税する仕組みだ。減税する額は、10〜12% という巨額である。
  → 出典
 たとえば、1000億円の研究開発費があれば、100〜120億円程度の金額が減税として受け取れることになる。

 ──

 ここで、この制度は、建前上は「減税」となっている。つまり、払った法人税の額のうち、一定割合が免税となる。だから、たいていの人は、これを「減税」だと思い込んでいる。また、「いっぱい税金を払った企業ほど、いっぱい減税を受けるのは当然だ」と思い込んでいる。
 しかし、これは完全な間違いだ。

 (1) 算定基準

 研究開発減税の算定基準は、納税額ではない。つまり、「納税額に対して一定の額のが還付される」のではない。当然、「払った税金が多いほど、多くを還付される」のではない。還付される金額は、納税額とは何の関係もない。多く納税しようが、少なく納税しようが、還付される金額には影響しない。
 では、算定基準は何か? 企業の研究開発費である。この金額の 10〜12%にあたる額が還付される。

 (2) 減税ではなく補助金

 ここで注意しよう。企業の研究開発費は、損金扱いなので、もともと無税である
 さて。もともと無税であるものに減税することなどはできない。100万円の納税から 50万円の納税へと減税することはできるが、0円の納税から マイナス50万円への納税へと減税することはできない。
 では何か? これはただの「補助金」だ。つまり、名前は「減税」であっても、実質は「補助金」である。
 要するに、「研究開発減税」とは、「減税」の枠組みを使った「研究開発補助金」であるのだ。これが真相だ。「減税」という名前にだまされてはいけない。
 ここでは、研究開発が増えれば増えるほど、その額の 10〜12%にあたる額を給付してもらえるわけだ。トヨタはこのような巨額の補助金を得ていることになる。

 (3) 営利活動への国費投入

 とはいえ、このような補助金は、企業の営利活動へ国費を投入することになる。企業にはさまざまな営業上の必要経費があるが、それを国が分担して支払うことになる。
 これは狂気の沙汰だ。一般に、企業は自分の金で自分で営業活動をして、税金を納める。それが本来の姿だ。
 なのに、企業の営利活動のために国が補助金を出すなんて、本末転倒だろう。そもそも、普通の資本主義では、資本家が金を出して、企業が経済活動をして、企業利益を資本家に配当として還元する。これが資本主義だ。
 ところが、自民党政府のやっていることは、国民の税金を企業に投入して、しかも、その配当を受けることをしない。企業にどんどん金を投入しておいて、配当をもらわないで、権利を何一つ受け取らないのだから、これはもう、国民の金を勝手に無駄遣いしているのも同然だ。
 かくて、冒頭に述べたように、
    国民 → 政府 → 企業

 という自民党のシステムが、ここでも成立する。
( ※ マルクスもビックリの、ウルトラ搾取システム。)

 (4) 研究開発費の必要性

 政府はこのシステムをやる理由として、「研究開発費を重視するべきだから」というふうに述べる。しかしながら、「研究開発費を重視するべきだ」ということは、企業自身がちゃんとりかいしている。政府が補助金を出そうが出すまいが、ちゃんと「研究開発費を重視する」という方針を取っている。朝日の記事から、各企業のコメントを引用しよう。
■研究開発減税額上位の各社コメント
【 トヨタ 】
 基幹産業の代表として、研究開発に責任感を持って取り組んでいる。研究開発税制は、日本の競争力を後押しする有効な手段だ。

【日産】
 最先端技術の研究は国内で集中的に行っている。研究開発促進税制は、一企業のみならず、日本全体の競争力にも貢献するものと考える。

【ホンダ】
 研究開発は企業の生命線だ。自動車産業が競争力を維持するために、国際水準に見合った税制の支援は必要と考える。

【JR東海】
 輸送サービスの改善やリニア開発などには不断の研究開発が不可欠だ。研究開発促進税制は今後も必要と考える。
( → 朝日新聞 2016-02-14

 各企業とも、「研究開発費を重視する」という方針を取っているのだ。(ついでに、「だから金くれ」とも言っている。乞食根性だね。)

 ──

 結論。

 研究開発減税は、名前は「減税」であるが、実質は「補助金」だ。これは国費を企業の営利活動のために投入する補助金である。
 企業はもともと自主的に研究開発費を投入しているので、研究開発減税があろうがなかろうが、どっちみち必要な額の研究開発費を投入する。とはいえ、企業は乞食根性なので、「金くれ、金くれ」と言って、国の金をむしり取ろうとする。

 ──

 さて。企業がそういう態度を取るのは、仕方ない。企業というのは乞食みたいなものだからだ。「まともに納税して社会責任を果たそう」なんていう気持ちはさらさらなく、「いかにして国の金を食い物にしようか」ということばかり考えている。
( ※ そのために自民党に献金して、国の金を合法定期頂戴するのだから、一種の泥棒かヤクザみたいなものだが。)
 しかし、である。企業がそういうふうに国の金をむしり取ろうとするのは仕方ないが、それを国民が歓迎するというのは、自殺行為も同然だ。
  → はてなブックマーク

 ここでは、「国民の金をむしり取って、企業の補助金に回す」という制度を、国民自身が歓迎している。自分の金を奪われることを、自分で歓迎している。ほとんど自殺行為だ。
 ではなぜ、彼らはそういう勘違いをするのか? これを「減税」だと思い込んでいるからだ。
 「減税なのか。それじゃ、減税前には、いっぱい納税してくれるんだな。納税すればするほど、減税額が増えるだけだな。むしろ納税してくれることに感謝しなくちゃ」と。
 違う。これは、減税はなく、補助金だ。企業がたくさん納税するかどうかには関係なく、別のレベルで補助金の額が決まるのだ。これはあくまで企業への補助金であって、企業へのプレゼントなのである。バレンタインのチョコレートみたいに、企業にプレゼントするわけだ。


 ここでは、愚かな国民をだますために「減税」という名前を使う。
 結局、「研究開発減税」とは、国民をだまして、
    国民 → 政府 → 企業
 
 という金の流れを生むための詐欺的なシステムなのだ。
 そして、その詐欺的なシステムに引っかかった愚かな国民が、自分たちの金を奪われながら、大喜びしているのである。
 





 【 関連サイト 】
 この話は、もともとは、朝日の記事が話題の発端となった。次の二つ。
  → 特例減税の恩恵、大企業に集中 トヨタだけで1千億円超:朝日新聞
  → 企業向けの特例減税、1兆2千億円 民主政権時から倍増:朝日新聞

 似た記事は、1年前にもあった。
  → トヨタ 研究開発減税1位 ダントツの1201億円/13年度 : 赤旗

 ──

 もっと興味深い話もある。「トヨタは多額の納税をしている」と思われているが、それは、2014年度のことであり、それ以前の5年間は法人税を払っていなかった、という話。
  → 純益2兆円なのに。トヨタが5年も法人税を免れた税法のカラクリ

 脱税したわけではないのだが、「トヨタは多額の納税をしている」という一般の想像は正しくない、と言えるわけだ。
posted by 管理人 at 22:24| Comment(1) | 一般(雑学)3 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「はてなブックマーク」などノイジーマイノリティの代表みたいなもので決して国民の意見を代表したものではないでしょう。
彼らは補助金であると理解した上で応援しているのです。「ニッポンの技術はぁ世界一ぃ」と世界に(というか特に彼らのいう「特ア」の国々に)自慢したいからそうしてくれると期待できる企業に補助金を支払うことに何のためらいもないのです。
大多数の国民にこの実態を説明すれば「ふざけんじゃねー」となると思います。要は国民の無関心さにつけこんで政府と一部大企業がズブズブだということです。
Posted by 通りがかり at 2016年02月15日 18:39
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