2016年02月14日

◆ 病院の休日診療

 病院は休日に診療しない。そのせいで週末に病気になると、死者が出る。 ──

 インフルエンザにかかった人が死んだ、という事例が話題になっている。
「ごめーん!息子のインフルエンザうつっちゃった、金曜まで休むね!」
一昨日そうラインで告げた2歳年上の職場の女性が昨晩亡くなりました。皆様インフルエンザには本当に気を付けて…

— 猫愛神シーブック (@SeabookArno0123) 2016, 2月 9
昨晩、インフルエンザで亡くなった同僚の方のお通夜に参列し旦那さんと話をしました。
「土曜に発熱し日曜に嘔吐が止まらず、妻の言う通り月曜に病院へ行って、点滴の最中に心停止。その後2時間にわたる心臓マッサージという異例の処置を受ける程にありえない死でした。→

— 猫愛神シーブック (@SeabookArno0123) 2016, 2月 11

 経緯の詳細は、下記で。
  → 転載サイト

 これに対しての反応。
  → はてなブックマーク

 インフルエンザで死ぬ例は結構あるとか、予防接種でも効かないことがあるとか、怖い情報がいろいろ出ている。

 さて。これを読んで、「だからインフルエンザは怖い」と結論している人が多いようだが、違う。
 この問題は、インフルエンザが怖いということではなくて、「週末に病院を受診できないせいで、人が死ぬ」という問題だ。
 つまり、インフルエンザという自然現象の問題ではなく、休日診療という人為的な制度の問題だ。
 だから、解決策は、「各人がインフルエンザに対して留意しよう」というようなことではなくて、「インフルエンザで重症化したら病院で見てもらえるようにしよう」ということだ。つまり、病院の休日診療の体制を整備することだ。

 特に、具体的には、次のことが必須だ。
 「休日診療する病院に対して、健康保険および患者から、高額の診療費を支出する」


 たとえば、初診料を 3000円ぐらい上乗せする。特別診療費を 2000円ぐらい上乗せする。……こんな感じで、病院に支払われる金額を上乗せする。こうすれば、休日診療する病院が増えるはずだ。

 逆に言えば、こういう制度ができていない現状は、「週末に急病になったら、死ね」と言っているのも同然だ。野蛮国家。……それが今の日本だ。

 ──

 さて。それでも国民としては、何とか自衛するしかない。では、どうすればいいか? その方法を教えよう。
 実は、休日診療している病院は、少しはある。だから、その少しある病院を探して、そこに行けばいいのだ。探す場所は、ここだ。
  → 休日・祝日に診察・診療が可能な病院・クリニックを探す | 病院検索
 ここで、自宅のそばの病院を探せばいい。

 ( ※ 上のサイトを忘れたら、「休日診療」でググれば見つかる。)
 ( ※ 上のサイトでは、「土曜だけ開いて、日曜は休み」という病院も多いので、注意しよう。)

 なお、それでうまく病院が見つかるか? 東京都内ならば、たくさん見つかるようだ。しかし東京都内でなければ、数はかなり限られてくる。神奈川県や大阪市では、都会とはいっても、休日診療の病院はあまり多くない。駅ごとに1つある、という具合には行かない。自宅から自転車の圏内にはなくて、自動車で数十分かけて行く、という例が多い。

 となると、対策はこうだ。
 「その病院を探し出してから、タクシーで行く」
 (または家族に運転して連れていってもらう。)


 これが正解だ。
 冒頭の事例では、「救急搬送してもらえば良かった」とのことだが、これは「救急車を使う」ということだろう。だが、「救急車を使う」という発想だと、「重病でもないのに使いにくい」ということになりかねない。そのせいで、病院に行くのが遅れる。
 この事例では、「日曜に嘔吐が止まらず、妻の言う通り月曜に病院へ行って」というのが実際だった。そこで、「日曜の夜に救急車を使えば良かった」という思いでいるようだ。
 だが、もっと前に病院に行く方がいい。重症化する前に、「日曜の朝のうちに、休日診療の病院へタクシーで行く」というふうにする方がいい。

 ともあれ、休日診療している病院はあるのだから、そこできちんと受診することが大切だ。現在、休日診療を受診するための意識的ハードルはかなり高い。この意識的ハードルを乗り越えて、何とか病院にたどり着くことが、生死を分ける。


( ※ 繰り返して言うが、冒頭の事例は、「インフルエンザが怖い」という話ではない。「病院の休日診療がないのが問題だ」という話だ。きちんと留意しよう。現状では、インフルエンザ以外でも、週末に病気になると死んでしまう可能性がある。)



 【 関連サイト 】

 → 内科医に聞いた!風邪を1日で治す方法

 これは、はてなブックマークで大人気のサイトだが、「風邪は寝て治す」という方法。
 しかし、こんな方法を取る人が多いから、冒頭のように死者が出る。重症化しかけたら、きちんと病院で治療を受ける方がいい。通常は、抗インフルエンザ薬をもらう。(タミフルは耐性ウイルスがあるので、リレンザがお薦め。)
 状況がひどくなったら、抗インフルエンザ薬の静脈注射や点滴というのもある。(ラピアクタ)
 今回は、この手当てを受けたようだが、すでに手遅れだったらしい。やはり、治療の時期が、生死を分ける。



 【 関連項目 】

 本項を読んだだけでは知識は不十分です。さらに、下記項目をお読みください。

  → 119番をかけるが救急車を呼ばない
 
 これは本項の続編です。非常に 重要 なことが書いてあるので、ぜひ、お読みください。
posted by 管理人 at 15:12| Comment(11) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>→死因はウイルスが心臓、肺等の臓器へまわった為です。今
>の僕には妻の言葉を押し切ってでも救急搬送していれば助か
>ったかも知れないという後悔の念しかありません。これからご自
>身や周囲の方々で異変を感じたら甘く見ずにすぐ動いてくだ
>さい。同じ悲しみを繰り返さないよう願います」

>― 猫愛神シーブック (@SeabookArno0123) 21:39 PM - 11 Feb 2016

父親(享年84歳)が倒れたときと似てるけど、ふつうは嘔吐した段階で救急搬送でしょ。ちなみに、父親は、ICUに入院し、25日後に重症敗血症・多臓器不全で死亡。直接の死因は肺炎・感染性心内膜症だった。

父親は、関節リウマチで免疫抑制剤を使っていたため、感染したようだ。数日前から不調を訴えていたが、関節リウマチの症状に似ていたため、対応を誤った。

この人もアレルギーなどで免疫抑制系の薬を使っていたんじゃないのかな? 子育て世代の人が、インフルエンザにかかってすぐ心内膜症って、なかなかないだろうから。
Posted by 王子のきつね at 2016年02月15日 12:01
インフルエンザで嘔吐することは、たまにあります。私もいっぺんある。別に死にかけたわけじゃないが。
 ただ、この人の場合は、嘔吐し続けたそうだから、私よりもひどい。

 救急車かタクシーかは、あまり違いはない。
Posted by 管理人 at 2016年02月15日 12:17
>救急車かタクシーかは、あまり違いはない。

救急車だと、車内から電話をして、受け入れ可能な病院を捜し、それから搬送することになる。医療の地域連携ネットワークがあるから、速やかな搬送・受け入れが可能だ。タクシーで行っても、病院が受け入れてくれなかったら、その病院が救急車を呼ぶことになるだけ。一刻を争う場合、手遅れになる。

高規格救急車なら(救命救急士が乗っていれば)、医者の指示の下で、静脈路確保や気道確保ができるし、薬剤投与もできる。
Posted by 王子のきつね at 2016年02月15日 13:57
昨年の正月2日に息子がインフルエンザになり、休日診療の病院を探して車で連れて行き、始業式に間に合いました。代わりに私にうつったため、仕事始め翌日から週末まで休む羽目になったけど…(予防接種もしていたが)

さて、どうして、町医者は一斉に土曜午後〜日曜を休むのでしょうか?(木曜もほとんどの医院が休みだし)
ある程度の都会なら、町医者はたくさんあるので、土日のうち、診療時間を、土曜午前だけ、土曜午後だけ、日曜午前だけ、日曜午後だけ、の4パターンにして、近所の医院で分担してくれればいいのに…と思うことがしばしばあります。
内科と外科だけでもいいので。

どこかの医院が、抜け駆けのように、土日診療、月火休み、みたいなことをしてくれても良いように思うのですが、医師会とかで、みんな一斉に休むように決められているのでしょうか?
Posted by PV3taro at 2016年02月15日 23:27
> 土日診療、月火休み、みたいなことをしてくれても良いように思うのですが

 すでにありますよ。私の紹介したリンクで、近所の病院を探してみてください。
 少なくとも私の近所には、そういう病院があります。病院というより、個人の診療所だが。
Posted by 管理人 at 2016年02月16日 00:24
> どうして、町医者は一斉に土曜午後〜日曜を休むのでしょうか?

 料金が安いからです。民間企業なら、休日出勤加算がいっぱい出るのに、医者なら、休日出勤加算は出ない。……じゃなかった。病院から出ないのではなく、健保から休日出勤加算があまり出ない。

 調べてみたら、皆無ではなく、少しは加算があった。
 土曜日午前の加算は 500円。
 土曜日午後の加算は 850円
 日曜日の加算は  2500円。

 → https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat540/20130224001

 日曜はいいけど、土曜日の方は安すぎ。これじゃ、医者が厭がる。
Posted by 管理人 at 2016年02月16日 00:36
インフルエンザで重症化した場合には、ラピアクタという特効薬があるので、手遅れになる前に急いで病院に行く方がいい。
 いくら特効薬があるからといって、手遅れになってから行ったのでは、何にもならない。どんな特効薬も、死者を生き返らせることはできない。死ぬ寸前でも無効。
 手遅れになる前に急いで病院に行くことが大事。
Posted by 管理人 at 2016年02月16日 00:39
休日夜間診療所がありますので、それを利用されては?
甚だ不十分ではありますが、救急受診するまでもないが、平日まで待てない人のためには、役に立ちます。
Posted by inoueakihiro at 2016年02月16日 03:22
恐ろしいことに、時間外加算は「診療時間と掲げた時間外」の受診。
http://www.kenporen.com/health-insurance/jikangai/

つまり、土日営業します、といった段階で時間外加算は取れなくなり、平日と同じお金しか貰えません。

それでも土日に営業しているところは、基本的にはそうしないと患者が集まらない不人気病院、あるいはボランティア精神あふれる経営者、の二択になります。
Posted by 通りすがり at 2016年02月18日 11:29
http://diamond.jp/articles/-/68244?page=2
によると、

> 地域医療支援病院、救急病院や救急診療所、当番医として認められた医療機関は、患者を受け入れる態勢をとっていても、一般の医療機関が診療していない時間帯や曜日は特別料金を加算してもよいことになっている。

とのことなので、特別料金を取れるようです。
とはいえ、救急車に運ばれた場合には、救急性があるので、たぶん加算されないことが多いでしょう。
インフルエンザで嘔吐したぐらいだと、判断に迷う。早めならば、近所の内科医でラピアクタか何かを受けて、入院するかどうかは医者の判断しだい、というのが妥当かな。
遅くなってひどくなら、救急車で大病院へ。しかしこれは命懸けだ。こうならないうちに、近所の内科医へタクシーで行くのが、死なずに済む方法。5000円を惜しんで命懸けになるのは馬鹿らしい。
Posted by 管理人 at 2016年02月18日 12:13
> 時間外、深夜、休日の加算がつくのは、「(1)診療態勢をとっていない診療時間・診療日以外に」、「(2)緊急を要する病気やケガの治療を行った場合」だ。深夜や日曜日に救急患者の治療にあたっても、それが、もともと提示している診療時間内なら加算はつけられないのだ。

ご紹介いただいたページに記載されていますが、これが標準となり、「救急外来」なら加算とってもいい、ということになります。

コメントで質問のあった「土日に営業してくれたらいいのに」という通常の外来診療では、適応されないことになります。

もともと、現在在る救急外来には行きにくい、という話なので、現行の加算は適用外になります。
Posted by とおりすがり at 2016年02月18日 13:13
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