2016年02月06日

◆ データ分析で犯罪摘発

 警官が犯罪者をいちいち捜し回るのでは効率が悪い。そこで、社会にある大量のデータを分析して、犯罪を見つけ出せば効率的だろう。 ──

 これは一種のデータマイニングだ。社会には大量のデータ(ビッグデータ)があるので、これをうまく調べれば、犯罪者を見つけることができそうだ。そうすれば、効率的だろう。
 以下では、具体的な例を三つ掲げる。

 1. 麻薬・覚醒剤


 清原の覚醒剤使用を警察は摘発したが、これは大失敗であったことが判明した。売人を見逃したからだ。
 《 清原容疑者、群馬・栃木で覚醒剤密売人と接触か 》
 清原容疑者が逮捕前日、乗用車で群馬県内を訪れていたことが、捜査関係者への取材で分かった。
 警視庁は、清原容疑者が北関東で覚醒剤の密売人と接触していた疑いがあるとみている。
 捜査関係者によると、清原容疑者は逮捕前日の今月1日、自身の車で高速道路を利用して群馬県内を訪れた。その後、車で都内へ戻り、ホテルに滞在した後、港区東麻布の自宅マンションに帰宅。
( → 読売新聞 2016-02-06

 帰宅直後にマンションで覚醒剤を使っていたのだから、その直前に覚醒剤を購入したのは明らかだろう。
 とすれば、ここでは、末端の覚醒剤使用者なんかを逮捕するべきではなく、覚醒剤の売人を逮捕するべきだった。そちらの方が圧倒的に重要だった。(使用者よりも売人の方がずっと悪質だ。)
 その意味で、使用者を逮捕することで、売人を見逃した警察は、大失敗をしたことになる。どうせなら、清原を放置して、売人と接触した時点で、売人を逮捕するべきだった。
 そもそも、清原が覚醒剤を使っていることは、ずっと前から嫌疑がきわめて濃厚だった。週刊文春も何度も報道していたし、桑田も何度も忠告していた。とすれば、警察は、「清原は覚醒剤の使用者だ」という認識を持った上で、売人の逮捕に全力を挙げるべきだった。警察は、逮捕するべき相手を間違えた、という点で、大失敗したと言えるだろう。

 ただし、である。売人を逮捕するにしても、「どうやって逮捕するか?」という問題が生じる。この問題をどうするか?
 そこで私が提案するのが、データ分析である。
 今回の件に限って言えば、次の方法が可能だ。
 「清原の携帯電話の通信状態を監視する。いつどこで、どの相手と携帯電話で連絡を取ったかを、監視する。そのことで、携帯電話の通話相手の番号と位置を取得する。そのことで、相手を特定する」

 たとえば、群馬県あたりで売人と接触したなら、そのときの清原の携帯番号(スマホ番号)が判明する。また、通信相手の携帯番号も判明する。その位置も、だいたいわかる。こうして、相手の位置がだいたいわかったら、それをずっと追跡する。その後もずっと追跡する。そのことで、相手の人物を特定できる。
( ※ 相手の位置を知るには、GPS と携帯基地局の、双方のデータを用いる。)
 通常、麻薬の売人は、プリペイド式の携帯電話を使うので、身元はわからない。それでも、位置情報だけはわかる。だから、位置情報をずっと追跡していけば、やがては相手を特定できるようになる。
 以上のようにして、データ分析をすることで、売人を特定することが可能だ。そして、いったん特定できれば、売人が客と売買している現場に踏み込んで逮捕することもできそうだ。売人と客が顔合わせしないとしても、状況証拠などから逮捕することが可能になるだろう。
( ※ 事前に監視カメラをたくさん設置しておけば、売人が麻薬をどこかの置き場所に隠した現場を撮影できる。)

 さらには、位置情報を知るためには、( GPS に頼らずとも)次の方法も知られている。
  → GPSオフでも、バッテリーから居場所がバレる

 こういうふうに、あれやこれやと情報分析をすれば、犯罪者の摘発が可能になるのだ。地道に「足で探す」なんていう汗をかく方法より、デスクに向かってパソコンを操作することで犯罪者を見つけ出すことが可能なのだ。
( ※ 最終的には刑事による確認が必要だが、範囲を大幅に絞ることが可能で、そこから摘発が可能となる。やみくもにあちこちを無駄に歩き回るより、ずっと効率的だ。)

 なお、通信の秘密については、最後の [ 補足 ] で記す。


 2. 違法残業の摘発


 企業が「残業手当を支払わない」というような違法行為をしたなら、それを摘発すればいい。
 どうやって? 従業員が携帯電話(スマホ)を使っていれば、その位置情報が時刻とともにわかる。とすれば、夜間にいつまでも会社内に残っていれば、その時間帯に残業していたことが自動的に証明される。一日だけなら、「たまたま携帯電話を置き忘れた」という弁明が成立するかもしれないが、毎日となれば、その弁明は成立しない。間違いなく、従業員がそこにいたことになる。
 また、置き忘れたのなら、朝まで携帯電話があるはずだが、12時ごろに退社して、1時ごろに帰宅した、ということが判明すれば、もはや「会社に置き忘れた」というような弁明は通らない。
 こうして、残業時間の自動機録ができるので、「残業手当を支払わない」というような違法行為を摘発できる。

( ※ なお、本人が画像で自動記録するといいかもしれない。そのために、「残業状況の自動記録」というアプリを使用するといいかも。位置、時刻、社内画像、鏡に映った自分の画像……などのデータを、30分おきぐらいに自動記録する。これで残業をしていた証拠となる。労基署に提出することもできる。ついでに社内の他人も自動記録すれば、他人の残業の自動記録もできる。)(こういうアプリが存在しなければ、開発して、金儲けしよう。)


 3. 違法営業の摘発


 格安スキー・バスの事故では、会社が違法なことして、料金を大幅に引き下げていた、と判明した。
 このような企業の違法行為については、通常、国などの監督官庁が企業を監査するのが原則だが、それではいかにも手間がかかりすぎる。全国各地にある何千もの業者をいちいち監査するのはたいへんだ。
 そこで「民間の業者に監査させる」という方針が出た。
  → 違法業務の監視(スキーバス)
 しかし、民間業者に任せるとしても、やはり莫大な手間がかかりすぎる。また、業者との癒着で、うまく見逃してもらう、ということも考えられる。
( ※ 公認会計士の見逃し、という例は、よるある。)

 これに対して、私は「賠償責任を負わせる」という形で対処すべき、と提案した。(上記項目。)
 それはそれでいいが、本項ではまったく新たな方法を提案できる。こうだ。
 「民間業者の違法行為を、データ分析で発見する」

 具体的には、次の三つの方法が考えられる。

 (1) 電子的申告

 バス会社に、運行業務を電子的に申告させる。
 データ内容は、「出発地と目的地」「運行距離」「運行時間」「バスの定員」「バスの料金」などだ。
 これらを電子的に申告させる。その上で、このデータを(全社で)すべてひっくるめて、ネット上で公開する。CSVデータで。(エクセル形式でもいいが。)
 いったんこれらのデータを得たら、料金が異常に安い会社は自動的に見つかる。すると、「基準以下の労賃しか払っていない会社」は、すぐに見つかるはずだ。その会社の労賃がどれだけかを確認して、基準以下であれば摘発する。巨額罰金を科する。
( ※ 前提としては、労賃を一定額以上にすることを義務づける。具体的には、夜間ならば時給 3000円以上。このように一定額以上の金額を保証することで、素人みたいな未熟な高齢者が運転することを阻止する。)
( ※ 現状では、賃金ではなく、バス貸切の基準運賃というのを定めている。しかしこれは価格規制という社会主義政策なので好ましくない。むしろ賃金の方を規制するべきだ。この件は、先に述べた。 → 粗悪業者を減らせ(スキーバス) )

 (2) 乗客による確認

 企業の申告するデータは、虚偽かもしれない。そこで、それが虚偽かどうかをチェックする必要がある。誰がチェックするか? 国がやっていてはたいへんだ。そこで、現場に出ている乗客にチェックしてもらえばいい。
 たとえば、「出発地と目的地」「運行距離」「運行時間」「バスの定員」「バスの料金」などをネットで公開した上で、実際の運行がその情報通りであるかを、乗客にチェックしてもらう。仮に、その情報が嘘であったなら、乗客は政府に申告する。「嘘でしたよ!」と。証拠を添えて。
 特に、スマホで、時間帯ごとに各地の写真を撮影すれば、いつどこにバスがいたかは自動的に記録されるから、違法な営業をしてれば、乗客が証拠を提出できる。
( ※ なお、「運行時間」については、「渋滞で時間延長」という例外的な場合もあるだろう。だが、渋滞があった場合には、「渋滞がありました」と運転手が申告すればいい。本当に渋滞があったなら、多くの運転手がそう申告するから、問題ない。実際には渋滞がなかったのなら、「渋滞があった」という嘘は簡単にバレる。)

( ※ なお、乗客の報告者は、情報提供のお礼として、報償金をもらえることにする。これによって、違法な営業をするバス会社の嘘を発見できる。)



 [ 付記 ]
 麻薬の取り締まりは、警察がやるだけでなく、厚労省でも麻薬取締部がやっている。下記に情報がある。
  → 麻薬取締官(×捜査官)と警察の違いは?

 警察については、下記に情報がある。
  → 清原容疑者の逮捕に動いたのは警視庁組織犯罪対策5課の「特命班」

 どうも、連携がうまくなくて、売人を取り逃がしてしまったらしい。
 警察は「清原という大物を逮捕したい」と思っていたのだろうが、麻薬取締官ならば「売人を逮捕したい」と思うだろう。逮捕したがる相手が異なる。
 今回は、警察が手柄を焦ったせいで、肝心の売人を見逃す、という結果になってしまったようだ。
 上記の記事でも、警察は「清原と一緒にいた女性を取り逃がしたこと」を残念がっているだけで、売人を取り逃がしたことはちっとも問題視していないらしい。
 ダメだね。



 【 関連書籍 】
 「データ分析で犯罪摘発」とは逆に、「データ分析で犯罪をする(殺人をする)」という話の推理小説がある。やたらとコンピュータの用語が出てきたりして、コンピュータ業界の人向けみたいな推理小説。



ソウル・コレクター (文春文庫)

 
 これを読んだあとで、本項の話を思いついて書いたのでした。(裏話。)
 ま、本項と小説とは、あまり関係ないけどね。警察と犯罪者、というぐらい違う。(対極的。)……分野は同じだけど。
 


 [ 補足 ]
 本文中の「1. 麻薬・覚醒剤」の箇所の最後で、通信の秘密に言及した。売人の携帯電話を探るとき、通信の秘密はどうなるか?
 法的には、通信の秘密とは、「通信内容の秘密」であるから、「番号情報」や「位置情報」は、「通信内容の秘密」の保護対象とはならない……と思ったのだが、そうではないぞ、という指摘がコメント欄に来た。調べてみたら、確かにその通り。内容を見なくても、番号情報や位置情報ぐらいでも、通信の秘密を侵したことになるようだ。
 とすれば、このような場合には、「裁判所の許可を得て令状で」ということにすればいいだろう。その場合、通信内容の傍受でなく、番号情報や位置情報ぐらいであれば、裁判所の許可は容易に得られるだろう。特に、相手が麻薬売人(の容疑者)であれば。

 そもそも、IP ポイントからおおまかな位置情報を知るということは、普通になされている。Google だって、Google マップを表示した時点で、各人は自分の位置情報を Google に伝えている。また、携帯の基地局から位置を割り出す方法だって、すでに知られている。民間企業ですらやっていることなのだから、警察がやること(それを裁判所が許可すること)のハードルは低いだろう。
  
 ※ 一般的に、スマホのアプリを使うと、位置情報を含めて、多くの個人情報(使用状況情報)を自動的に抜き取られてしまうものだ。意識している人は少ないけどね。
posted by 管理人 at 23:58| Comment(9) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> 「残業状況の自動記録」というアプリ

 という話を、文中に加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2016年02月07日 10:16
深海魚は無理と見て
おつりとして上辺を釣り上げたのでしょう
 大物だからヨシということにした
Posted by 先生 at 2016年02月07日 12:29
科捜研の女じゃないですが、セクト主義の弊害が清原逮捕で終わって巨悪にたどり着けなかったってことですね。

残業管理アプリは面白いです。個人用携帯情報機器の持ち込みを禁止している職場も存在しますので、開発者はその辺の考慮してあげるといいでしょう。出社(預けるまたは電源オフ)時刻、退社(引き取るまたは電源オン)時刻、これをGPS座標と共に記録しておくとX月X日X時X分X秒東経XXX北緯YYY電源ON(Off)。拘束時間がきちんと記録されそうですね。
Posted by 京都の人 at 2016年02月07日 15:02
残業の自動記録が必要な状況……というのは、ブラック企業の職場。具体的な例は、下記にある。
  → http://mainichi.jp/articles/20160107/mog/00m/040/005000c

 ひどいもんです。ヤクザ並み。
Posted by 管理人 at 2016年02月07日 23:55
通信の秘密を誤解されているようです。

通信の秘密 - Wikipedia:
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%80%9A%E4%BF%A1%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86
「通信の内容だけではなく、通信の存在自体に関する事柄、「信書の差出人・受取人の氏名・住所・信書の差出個数・年月日など、電報の発信人もしくは受信人または市外通話の通話申込者もしくは相手方の氏名・住所、発信もしくは配達または通話の日時など」にも及ぶ。 」

通信の存在そのものが秘密に当たりますね。
Posted by おいぬ at 2016年02月10日 20:31
> 通信の秘密を誤解されているようです。

 なるほど。ご教示ありがとうございました。
 では、「裁判所の許可を得て令状で」というふうに書き直しておきます。
 内容傍受でなければ、裁判所の許可は容易に出るでしょう。
Posted by 管理人 at 2016年02月10日 20:45
最後に <STRONG>[ 補足 ]</STRONG> を付け足しました。本文中の話を書き直して、移転した形。
 すぐ上のコメントの

> 「裁判所の許可を得て令状で」というふうに書き直しておきます。

 と記したことに対応します。
Posted by 管理人 at 2016年02月10日 22:01
覚醒剤犯罪については全く無知なのですが、なぜ令状を取って容疑者の通信を監視しなかったのか、素人考えですが不思議でなりません。
これほどの犯罪ならば、通信の秘密の例外に当たるように思えます。

先のWikipediaから引くなら、「犯罪捜査のために電話傍受が許されるかという問題について、最高裁は、「電話傍受は、通信の秘密を侵害し、ひいては、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではない」と判示し…」に該当するように思えるんですけどね。
使用者より、覚醒剤を配る者こそ社会悪の度合いが強いと思うので、不思議でなりません。
Posted by おいぬ at 2016年02月11日 07:47
> 容疑者の通信を監視しなかったのか、素人考えですが不思議でなりません。

 通信内容を傍受しても、売人の逮捕には結びつかないからでしょう。
 相手の端末情報と位置情報を取れば、売人の逮捕に結びつきますが、そういうふうに「ITのデータ分析をして犯罪摘発に結びつける」という発想は、警察にはないようです。そもそも、そのようなことをする部門がないし、そのための人材もありません。(IT技術者がいない。)

 そこで、本項の提案があるわけです。
Posted by 管理人 at 2016年02月11日 07:59
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