そもそも、「値段を上げるのがけしからん」というのならわかるが、「値段を下げるのがけしからん」というのは道理が通らない。
他人の金を奪うのは悪だが、他人に金を与えるのは悪ではない。政府のやっていることは、「泥棒は認めるが、寄付するのは摘発する」というようなものだ。本末転倒も甚だしい。頭がイカレているとしか思えない。
《 総務省、「スマホ0円」の根絶を目指し新指針 》
スマートフォン端末を「実質0円」で販売するといった過剰な値引きを携帯電話大手3社に是正させる指針案を、総務省が2日発表した。
各社が是正しない場合、200万円以下の罰金を科されることもある。
指針案は、スマホの購入者に「合理的な額の負担を求めることが適当」とし、値引きに充てる販売奨励金を減らすよう3社に求めた。取り組み状況の定期的な報告を求め、店頭で販売実態の覆面調査も行う。
報告や調査を通じて是正を促し、それでも改まらなければ、電気通信事業法に基づいて業務改善命令を出す。命令に従わないと、最高で200万円の罰金を科す。総務省は国民からの意見を踏まえて指針を正式決定し、4月に適用を始める。
( → 読売新聞 2016-02-03 )
ではなぜ、政府はこのイカレた方針を採用するのか? それは、現状の「実質0円」が、実は、「0円」を口にしてても、実際には「0円」ではないからだ。つまり、「無料です」と言いながら、実際には無料ではないからだ。要するに、詐欺だからだ。
とすれば、取るべき道もわかる。それは、「詐欺を禁止すること」だ。なのに、詐欺をほったらかしておいて、「無料進呈を禁止する」というのでは、道理が通らない。
ここでは「無料進呈」を禁止するのではなく、「無料進呈と嘘をつくこと」を禁止するべきだ。禁止するべきことを間違えてはいけない。
政府のやっていることは、詐欺師の嘘をそのまま鵜呑みにして、「無料です」というのを禁止するというも同然だ。馬鹿げている。「無料です」と言って、無料ではないのだから、「無料です」という嘘をつくのをやめさせるか、本当に無料にするか、どちらかにすればいい。
なのに政府は、「無料にする」というのをやめさせようとする。これでは方向が逆だ。
( ※ 記事の図では、「過剰は値引きをやめさせる」というが、値引きをやめさせる必要はない。なのに、値上げさせればいいというのでは、詐欺師の片棒を担ぐようなものだ。わざと詐欺師を儲けさせようとしている。狂気の沙汰だ。)
──
では、正しくは?
端末を0円で販売すること(過剰な値引きをすること)は、ちっとも悪くない。ユーザーとしてはありがたいくらいだ。
だから、ユーザーとしては、端末を0円で購入したあと、さっさと解約して、端末だけ頂戴して、食い逃げしてしまえばいいのだ。こうすれば、何も問題はない。
ところが現状は、そうできない。なぜか? そうしようとすると、高額の違約金を請求されるからだ。そして、その高額の違約金というのが、端末に相当する金額なので、滅茶苦茶な状態となる。
ここまで見れば、なすべきことはわかる。それは、
「高額の違約金を禁止すること」
だ。違約金というのは、常識的には、月額の1〜2カ月分ぐらいた妥当だろう。
だから、政府としては、違約金の上限を定めればいい。たとえば、「違約金の上限は月額の通信料の2カ月分」と決める。たとえば、毎月 6000円ならば、12000円だ。これを違約金の上限とすればいい。
では、そうなったら、どうなるか? こうだ。
「ユーザーは、月額 3000円の通信料と、月額 3000円の端末の割賦代金、合計 6000円。途中で解約した場合には、通信料の2カ月分として、違約金 6000円を請求される。一方、端末の分割払いの分は、解約できずに、毎月 3000円を払い続ける」
こうなれば、「実質0円」というような詐欺的宣伝はなくなる。
また、契約期間の2年間が過ぎたあとは、同じ端末を使いながら、毎月 3000円で利用し続けることができる。あるいは、新たな端末に買い換えてもいい。
( ※ 高額の解約料を禁止すれば、あとは、「実質0円」を禁止する必要はない。「実質0円」があれば、会社側が損するだけであって、ユーザーはそのぶん得するからだ。「実質0円」を禁止する必要はない。禁止するべきは、高額の解約料だけだ。)
──
ともあれ、以上のようにすること(通信料と割賦払いの代金を区別すること)が、まともな販売方法だ。
一方、「実質0円」と称して、毎月 6000円を取るような販売方法は、詐欺的な販売方法であるから、禁止するべきだ。
なのに、政府は、この詐欺的な販売方法を是認して、「実質0円でなければいいさ。実質 1000円ならいいさ」という感じで、同様の詐欺商法を是認しようとする。
政府は詐欺師に加担しようとしている。呆れる。
( ※ というか、政府もまた、詐欺師の口車に乗って、だまされているわけだ。自分が詐欺師にだまされていることに気づかないまま、詐欺師の掌の上で踊らされている。「実質0円でなければいいさ。実質 1000円ならいいさ」という感じで、だまされて、詐欺師と手を組んでいる。……その馬鹿さ加減には、呆れるばかり。)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%BD%93%E5%BB%89%E5%A3%B2
規制産業において、iphoneとandoroidで通信料にも端末割引にも差をつける、なんてことが認められているのは、おかしいですよね