2016年02月03日

◆ スマホ「実質0円」の規制

 スマホの「実質0円」を規制する方針を、政府が示した。しかし、「値引きを禁止する」というのはおかしい。方向が逆だ。 ──

 そもそも、「値段を上げるのがけしからん」というのならわかるが、「値段を下げるのがけしからん」というのは道理が通らない。
 他人の金を奪うのは悪だが、他人に金を与えるのは悪ではない。政府のやっていることは、「泥棒は認めるが、寄付するのは摘発する」というようなものだ。本末転倒も甚だしい。頭がイカレているとしか思えない。
 《 総務省、「スマホ0円」の根絶を目指し新指針 》
 スマートフォン端末を「実質0円」で販売するといった過剰な値引きを携帯電話大手3社に是正させる指針案を、総務省が2日発表した。
 各社が是正しない場合、200万円以下の罰金を科されることもある。
 指針案は、スマホの購入者に「合理的な額の負担を求めることが適当」とし、値引きに充てる販売奨励金を減らすよう3社に求めた。取り組み状況の定期的な報告を求め、店頭で販売実態の覆面調査も行う。
 報告や調査を通じて是正を促し、それでも改まらなければ、電気通信事業法に基づいて業務改善命令を出す。命令に従わないと、最高で200万円の罰金を科す。総務省は国民からの意見を踏まえて指針を正式決定し、4月に適用を始める。
( → 読売新聞 2016-02-03

 ではなぜ、政府はこのイカレた方針を採用するのか? それは、現状の「実質0円」が、実は、「0円」を口にしてても、実際には「0円」ではないからだ。つまり、「無料です」と言いながら、実際には無料ではないからだ。要するに、詐欺だからだ。
 とすれば、取るべき道もわかる。それは、「詐欺を禁止すること」だ。なのに、詐欺をほったらかしておいて、「無料進呈を禁止する」というのでは、道理が通らない。
 ここでは「無料進呈」を禁止するのではなく、「無料進呈と嘘をつくこと」を禁止するべきだ。禁止するべきことを間違えてはいけない。
 政府のやっていることは、詐欺師の嘘をそのまま鵜呑みにして、「無料です」というのを禁止するというも同然だ。馬鹿げている。「無料です」と言って、無料ではないのだから、「無料です」という嘘をつくのをやめさせるか、本当に無料にするか、どちらかにすればいい。
 なのに政府は、「無料にする」というのをやめさせようとする。これでは方向が逆だ。

( ※ 記事の図では、「過剰は値引きをやめさせる」というが、値引きをやめさせる必要はない。なのに、値上げさせればいいというのでは、詐欺師の片棒を担ぐようなものだ。わざと詐欺師を儲けさせようとしている。狂気の沙汰だ。)

 ──

 では、正しくは? 
 端末を0円で販売すること(過剰な値引きをすること)は、ちっとも悪くない。ユーザーとしてはありがたいくらいだ。
 だから、ユーザーとしては、端末を0円で購入したあと、さっさと解約して、端末だけ頂戴して、食い逃げしてしまえばいいのだ。こうすれば、何も問題はない。
 ところが現状は、そうできない。なぜか? そうしようとすると、高額の違約金を請求されるからだ。そして、その高額の違約金というのが、端末に相当する金額なので、滅茶苦茶な状態となる。

 ここまで見れば、なすべきことはわかる。それは、
 「高額の違約金を禁止すること」

 だ。違約金というのは、常識的には、月額の1〜2カ月分ぐらいた妥当だろう。
 だから、政府としては、違約金の上限を定めればいい。たとえば、「違約金の上限は月額の通信料の2カ月分」と決める。たとえば、毎月 6000円ならば、12000円だ。これを違約金の上限とすればいい。

 では、そうなったら、どうなるか? こうだ。
 「ユーザーは、月額 3000円の通信料と、月額 3000円の端末の割賦代金、合計 6000円。途中で解約した場合には、通信料の2カ月分として、違約金 6000円を請求される。一方、端末の分割払いの分は、解約できずに、毎月 3000円を払い続ける」


 こうなれば、「実質0円」というような詐欺的宣伝はなくなる。
 また、契約期間の2年間が過ぎたあとは、同じ端末を使いながら、毎月 3000円で利用し続けることができる。あるいは、新たな端末に買い換えてもいい。

( ※ 高額の解約料を禁止すれば、あとは、「実質0円」を禁止する必要はない。「実質0円」があれば、会社側が損するだけであって、ユーザーはそのぶん得するからだ。「実質0円」を禁止する必要はない。禁止するべきは、高額の解約料だけだ。)

 ──

 ともあれ、以上のようにすること(通信料と割賦払いの代金を区別すること)が、まともな販売方法だ。
 一方、「実質0円」と称して、毎月 6000円を取るような販売方法は、詐欺的な販売方法であるから、禁止するべきだ。

 なのに、政府は、この詐欺的な販売方法を是認して、「実質0円でなければいいさ。実質 1000円ならいいさ」という感じで、同様の詐欺商法を是認しようとする。
 政府は詐欺師に加担しようとしている。呆れる。

( ※ というか、政府もまた、詐欺師の口車に乗って、だまされているわけだ。自分が詐欺師にだまされていることに気づかないまま、詐欺師の掌の上で踊らされている。「実質0円でなければいいさ。実質 1000円ならいいさ」という感じで、だまされて、詐欺師と手を組んでいる。……その馬鹿さ加減には、呆れるばかり。)
posted by 管理人 at 19:33 | Comment(4) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
安売りそのものも悪であり規制されるべきだとされることはありますよ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%BD%93%E5%BB%89%E5%A3%B2
Posted by のぐー at 2016年02月04日 11:49
単純に端末販売業者と通信業者が分かれてば良いだけと主しますがねぇ。
Posted by 先生 at 2016年02月04日 12:18
今後、SIMフリー端末の普及でキャリアは絞られるでしょうね。
Posted by 京都の人 at 2016年02月19日 21:35
10万円のiphoneを安く売る為に、通信料を上げている、と言うことが問題ですよね
規制産業において、iphoneとandoroidで通信料にも端末割引にも差をつける、なんてことが認められているのは、おかしいですよね
Posted by T at 2016年02月27日 01:06
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