2016年01月18日

◆ 経済効果の詐欺計算

 再生エネの経済効果は素晴らしい……という試算がなされた。しかしこれは詐欺同然の試算だ。人をだますにもほどがある。 ──

 再生エネの経済効果は素晴らしい……という試算がなされた。
 《 再生エネルギー倍増で経済効果1兆ドル超 国際機関試算 》
 風力や太陽光などを使った再生可能エネルギーの割合を倍増させると、2030年に世界で1兆3千億ドル(約152兆円)の経済効果を生み、経済成長を最大 1.1%押し上げるとの試算を、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)がまとめた。
 世界の最終エネルギー消費に占める再エネの割合は 10年時点で 18%。現在の政策を続けた場合は30年には 21%と想定されるが、再エネの普及や省エネを進めて割合を 36%に増やした場合と比べた。
 その結果、経済効果は現在のチリ、南アフリカ、スイスを合計した経済規模を上回る 1兆3千億ドルとなった。雇用創出効果は世界で2440万人に上った。日本では国内総生産(GDP)を最大3.6%押し上げる効果があるという。
( → 朝日新聞 2016-01-18

 この計算は、詐欺同然だ。なぜなら、プラスだけを計算して、マイナスを計算していないからだ。
 「風力や太陽光などを使った再生可能エネルギーの割合を倍増させると、2030年に世界で1兆3千億ドル(約152兆円)の経済効果を生み、経済成長を最大 1.1%押し上げる」
 という。なるほど、そのこと自体は、間違いではあるまい。風力や太陽光などに関係する産業では、多額の経済効果が生じるだろう。
 しかしながら、人の出す金は限られているのだ。(所得は定数であるからだ。) 再生エネへの支出を増やしたなら、その分、他の分野で支出を減らすしかない。直接的には、化石燃料の分野での支出を減らす必要がある。さらに、再生エネは高コストなので、そこで余分に金を食われた分、一般産業の分野での支出を減らすしかない。たとえば、自動車とか、電器製品とか、食料とか、教養娯楽費とか。……そういう各分野で、支出を減らすしかない。その分、それらの産業は縮小する。

 要するに、「2030年に世界で1兆3千億ドル(約152兆円)の経済効果を生み、経済成長を最大 1.1%押し上げる」というのは、再生エネの分野についてだけなら成立するだろうが、他の経済活動を含めた経済全般では、プラスマイナスゼロなのだ。差し引きすれば、増えも減りもしないのだ。(当り前だ。無から有は生まれない。天からお金は降ってこない。)
 国全体や世界全体における経済成長は、マクロ経済学的に、所得効果をモデル計算した場合にのみ、真の経済成長がわかる。
 一方、個別分野だけを見て、「この分野が拡大するから、経済全体も拡大する」なんていうのは、子供以下の頭しかないことになる。
 たとえれば、こうだ。
 「妖怪ウォッチのメダルを買ったよ。1000円で買ったよ。これで僕の財産は 1000円も増えた! 万歳!」
 馬鹿丸出しですね。1000円分のメダルを買ったら、その分、手持ちの金は 1000円減る。だから、他のものを買う分が 1000円分だけ減る。あっちで 1000円分増えれば、こっちで 1000円分減る。トータルでは何も変わらない。……こんなことは、子供でもわかるはずだ。
 なのに、冒頭の試算は、それを理解できない。
 「再生エネのメダルを買ったよ。1000円で買ったよ。これで僕の財産は 1000円も増えた! 万歳!」
 再生エネのメダルを買えば、他のものを買えなくなるのだが、そのことを理解できない。買える総量が 1000円分増えたと思い込んでいる。馬鹿丸出しですね。
 そして、この馬鹿丸出しの論理で、世界中の人々をだまそうとしている。
 「 左手で 1000円増えて、右手で 1000円減りました。でも、左手だけ見ている限り、1000円増えたことになります。すばらしいでしょう?」
 詐欺師のペテン。 
 


 [ 付記 ]
 経済効果の試算……というのは、たいていが、この手のインチキ計算だ。
 以前、「東京五輪の経済効果」という試算もあった。これも同様だ。「東京五輪に支出した金額」だけを計算している。「その分、他の分野では減ってしまう」という裏の面(逆効果の面)を計算していない。インチキ計算。
 ペテン師ばかり。
 
( ※ 正しくは? 「東京五輪の経済効果」を計算するなら、「プラス効果はこれこれ」と試算したあとで、「それによって金を奪われるので、マイナス効果はこれこれ」と試算して、「プラスとマイナスが同額なので、全体ではプラスもマイナスもありません」と示すのが正しい。)
( ※ 「公共事業のケインズ効果があるぞ」と思う人もいそうだ。だが、それは、マクロ的な財政支出増の効果であって、特に東京五輪に限った効果ではない。ケインズ効果なら、東京五輪に限らず、医療費支出でも、少子化対策支出でも、どれでも同じことだ。単にマクロ的に財政支出の増加を示せばいいのであって、特に東京五輪の経済効果と言う必要はない。)
posted by 管理人 at 21:43| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
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