2016年01月18日

◆ 違法業務の監視(スキーバス)

 スキーバス事故では、会社の違法行為が見逃されていた。これを監視するべきだが、国が監視するべきか? ──

 スキーバス事故では、会社の違法行為が見逃されていた。過度な低料金にしたり、安全管理がデタラメだったり、健康診断をしなかったり。(いずれも違法。)
 そこで、会社の違法行為を監視するべきだ、という立場がある。
 《 ずさん業者の監視強化 バス事故受け国交省検討 》
 国土交通省は、バス業界全体の信頼がゆらぎかねないとして、問題がある事業者の監視強化に向けて検討を始めた。
 事故を受け、同省が 15〜17日に行った特別監査では、同社が保有しているバス7台のうち少なくとも4台について、過去1年間の定期点検整備の記録が一部確認できず、行われていなかった可能性が浮上。昨年1月以降、事故を起こしたバスに乗務した2人を含む全ての運転手について、バスの特性や事業用自動車運転手の心構えなどを指導する講習も行われた形跡が確認できなかった。
 このほかにも、搭載が義務づけられている運行記録計がないバスが複数確認されたり、運行する予定の経路を調査していなかったりするなど、道路運送法上の違反行為が多数見つかり、同省は「ここまでひどい状況はそうない」。
 同省は全国の貸し切りバス事業者4500社のうち、年間1800社を監査しているが、その後の処分まで半年以上かかるケースもある。
( → 朝日新聞

 監視するのはいいが、最後に記されたように、「同省は全国の貸し切りバス事業者4500社のうち、年間1800社を監査している」とのことなので、そう簡単に監視することもできないだろう。何か、うまい方法はないか? 

 ──

 ここで、似た例があったことに思い至る。
 「マンションの杭の偽装では、杭打ち業者のデータ偽装をきちんと監視するべきだという問題が生じた」
 これもまた、監視が不十分であるがゆえに、違法な行為が見逃されていたことになる。
( ※ さらに言えば、東芝の会計の不正処理も、違法は行為が見逃されていた。)
 
 では、これらの違法行為を、どう監視すればいいか? 国がすべてを監視するべきか? しかし、それでは、公務員がやたらと増えてしまう。それでは非効率だし、コストもかかりすぎる。
 では、どうすればいいか? 

 ──

 ここで、困ったときの Openブログ。名案を示そう。こうだ。
 「監視業務を民間会社に委託する。と同時に、委託された民間会社は、違法行為から派生した損害について賠償責任を負う」


 最後の「賠償責任」が重要である。
 たとえば、スキーバス業者を監視する会社があるとしよう。この監視会社は、スキーバス業者の違法行為から派生したスキーバス事故について、損害額を賠償する責任を負う。
 今回の事例で言えば、スキーバス業者は損害額の 30億円(2億円×14人 その他)を払いきれないだろう。当然、倒産する。となると、被害者は、スキーバス業者から損害補償を受け取ることはできなくなる。(何らかの保険から受け取れるだけだ。)
 ここで、スキーバス業者が監視する会社があれば、その監視会社は、自らの「監視不十分」を理由として(というよりは、補償義務の契約ゆえに)、全額を賠償する責任を負う。スキーバス業者が賠償するのでなく、監視会社が賠償するのだ。……これなら、スキーバス業者が倒産しても、監視会社が全額を支払うことができる。(全責任を負う。)

 このことからして、当然、監視会社は巨大な資金力を持つ会社に限られる。具体的には、巨大な損害保険会社の一部門が担当する。たとえば、損保ジャパンとか、東京海上とか。……これらの会社が、監査料と保険料を込みにして、対象会社から料金を受け取って、監査する。その監査が不十分ならば、監査会社はあとで莫大な損失を負うことになるので、否応なく、精密に監査することになる。
( ※ 監査の結果、違法行為が見出されたならば、保険業務を結ばない。つまり、補償義務を免れる。ただし、同時に、政府への報告がなされるので、違法会社は違法行為をなくすまで、業務停止となる。)

 以上によって、監視業務を民間会社に委託することができる。かくて、国が莫大な監視業務を負担する必要がなくなる。
 これで問題解決。



 [ 付記 ]
 似た例で、建設分野における「丸投げ」といものがある。ただし、「丸投げ」の場合には、監視・監督だけは、親会社がやることになる。
 杭打ち業者の場合には、この原則が適用された。つまり、
  ・ 販売     三井不動産レジデンシャル
  ・ 施工主    三井住友建設
  ・ 一次下請け  日立ハイテク
  ・ 二次下請け  旭化成建材

 となっていて、施工主は一次下請けに、一次下請けは二次下請けに、それぞれ丸投げしていた。しかしながら、丸投げした方には監督責任があるので、三井住友建設と日立ハイテクは損害について、全額の賠償責任を負う。ここでは、実際に工事をした二次下請けは、(従業員のミスについて)責任をろくに負わないので、「二次下請けが倒産して、被害者の補償はなし」というふうにはならないのだ。「マンションの全額建て替え」という、ちゃんとした補償を受けられるのだ。

 この意味で、「丸投げ」というのは、(監督責任を認めるのである限り)悪くないと言える。むしろ、丸投げをしないで、二次下請けが直接受注するようになると、監督者がいなくなるので、違法行為が蔓延しやすくなる。(バレたら倒産すればいいさ、という無責任な方針。)

 この意味でも、「監督と補償責任を一体化して、大手企業が責任をもつ。そのかわりに、監督料と保険料という利ざやを受け取る」という現状は、悪くはないのである。(建築分野で。)
 このような現状は、本項の提案を、部分的に実現しているとも言える。



 [ 補足 ]
 本項の提案には、難点がある。
 「監視業務を手抜きして費用を浮かせる。万一の場合の対処は、保険だけで対処する」
 この方式は、事故の損害の期待値が十分に小さい場合(= 発生確率が低くて、事故の損害規模が小さい場合)には、成立する。
 今回のスキーバス事故の例で言えば、スキーバス事故が 10年に1回 30億円だとして、10年間に監視業務をサボることで浮かせる費用が 30億円以上なら、監視業務をサボって保険で対処する方が、安上がりだ。つまり、悪をすると儲かる。これでは、悪の推進をするのも同様だ。
 
 この難点を避けるには、次のようにするといい。
 「事故が起こった場合には、監視業務をする会社に、巨額の課徴金を課する」
 これは、過失や故意の有無にかかわらず、一律に課せられる課徴金だ。「悪意はなかったんです。たまたま気がつかなかっただけなんです」なんていう弁解は通用しない。単に事故が起こったということだけで、実際の損害額を上回る多額の課徴金を課せられる。
( ※ 課徴金を免れるのは、偶発的な天災の場合に限る。たとえば、落雷や地震など。)

 さらに、次のことも併用する。
 「監督官庁は、ときどき、対象の会社(バス会社など)で違法行為がなされていないか、監督する。その結果、違法行為が見つかれば、監視会社に制裁金を科する」
 これは、「国が直接監視する」のではなく、「国は、監視する業者を監視する」という方式だ。これだと、国は本来の対象を、ときどき抜き打ち式に監視するだけで済むので、労力は大幅に減じる。楽ちんですね。
 ともあれ、こうすることで、監視会社にきちんとした監視をするように強いることができる。

 以上のようにして、「悪をすれば儲かる」という制度的欠陥を防ぐことができる。問題解決。
posted by 管理人 at 20:30| Comment(2) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に <STRONG>[ 補足 ]</STRONG> を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2016年01月18日 21:15
保険という制度をうまく活用する妙案ですね。自動車保険んの任意保険とその等級も「格付」というやり方でインセンティブを与えるのもいいかもしれません。そうすると保険の証券化という形になって金融理論とかデリバティブとかかしましくなりそうです。
Posted by 京都の人 at 2016年01月19日 00:11
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ