越流堤からあふれた水を流し込むところは、水深のある水田にするといい。 ──
越流堤からあふれた水を流し込むところは、市街地でなく田畑にするといい、と前に述べた。
→ 洪水防止の画期的な方法
ただし、田畑といっても、畑でなく水田の方がいい。なぜなら、水田ならば、深さがあるので、水を溜め込むことができるからだ。つまり、浅い遊水池(という池)のようになる。うまく行けば、市街地の被害はゼロで済む。
ひるがえって、畑だと、深さがないので、そこに流れ込んだ水は、その領域の外に拡散してしまう。こうなると、市街地にも被害が及ぶだろう。それはまずい。
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さて。上のことを応用して、さらに、次のことを提案したい。
「越流堤からあふれた水を流し込むところでは、パワーシャベルなどの工機によって、土を掘って、水田のある土地を低くするといい」
この目的は、もちろん、水を溜め込むための「浅い遊水池」をつくることだ。ただし、別途、二つの利点がある。
(1) 土を掘るのは、深く掘るのだと(土が硬くて)コストがかかるが、浅く掘るのだと(土が軟らかくて)コストが少なめで済む。
(2) その場所が関東ローム層という火山灰地であれば、痩せた土である火山灰の地層を除去することで、その下層にある肥沃な土が現れる。その土壌では農業の生産性が高まる。
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上の二点のうち、特に (2) を指摘したい。それが本項のポイントだ。
まず、関東地方には(土の痩せた)火山灰地がひろがっている、という点については、前にも述べた。(関東ローム層という話題。)
《 農業と関東ローム層 》
関東ローム層の土地は、比較的新しいので、農耕に適するほどには、腐葉土の土壌が蓄積していない。畑作には向いているが、稲作には向いていない。
とはいえ、関東平野のすべてが稲作に適さない関東ローム層の土地かというと、そうでもない。関東ローム層に当たる洪積台地のほかに、川から流れてきた土壌成分が堆積してできた沖積平野がある。
土壌の質による区別がある。それは、「沖積平野/洪積台地」という区別だ。関東では、洪積台地は関東ローム層なので、稲作には適さない。沖積平野なら稲作に適する。
( → nando ブログ )
下流域はともかく、中流域では、火山灰の滞積した洪積台地の地域がある。そういう地域では、(堤防からあふれた水を流し込む)遊水地にするために、土を掘って、低い土地にすればいい。そこは、普段は肥沃な田畑となるが、いざというときには洪水を防ぐ役割を果たすのだ。
また、そのあとで洪水が氾濫すると、さらに好都合となる。台風などで河川が氾濫して、洪水の水が田畑に流れ込むと、そのとき、上流から届いた肥沃な土壌が堆積するので、その土地はいっそう肥沃になる。(ちょうど、ナイル川の氾濫のおかげで、土地が肥沃になって、エジプトの農業が盛んになったようなものだ。)
というわけで、一石二鳥か三鳥みたいな感じで、うまい具合になる。
[ 付記 ]
水深のある水田にするといい、というのが本項の提案だが、もっとうまい案もある。前にも述べたように、そこを遊水池にすることだ。
渡良瀬遊水池は、自然が豊かなので、多くの観光客が訪れる。観光客のために、売店もできる。
だから、農家は売店に土地を貸して、土地代を取ればいいのだ。田んぼで稲を作るより、この方がずっと儲かりそうだ。
また、観光客向けに、レンタサイクルセンターもある。
レンタサイクルセンターで貸出業務の仕事をすることもできそうだ。
ともあれ、ただの田んぼは補助金を食うばかりの赤字事業だが、田んぼを遊水池にすれば、自然公園となり、集客力が高まるので、高付加価値となり、富を生み出す。(観光地として。)そこから金を得れば、農作業なんかをするより、楽をして儲かるのだ。
( → 堤防よりも遊水池 )
ラムサール条約湿地にも登録された渡良瀬遊水池が、どれほど魅力的な土地であるかは、上記項目の画像リンクを見ればわかる。
とりあえず簡単に見たければ、下記に画像一覧がある。
→ Google 画像検索 (渡良瀬遊水池)
「畑作にするなら、水没しても被害を免れるように、根菜類にするといい。大根、ニンジン、サツマイモ。短期間の水没ならば、被害を免れるだろう」
一方、果樹は駄目だ。今回の台風 19号では、果樹は(水没すると不衛生になるので)すべて廃棄処分となった。
米は、泥がなければ大丈夫だが、泥があると機械の故障の恐れがあるので、廃棄処分になるらしい。
となると、本項のアイデア(本文)は、必ずしもうまくはないようだ。
稲作よりも、根菜類の畑作の方がよさそうだ。
短時間とは具体的に、どれぐらいの時間を指しますか?