2015年12月23日

◆ 新国立競技場は A案に (2)

 新国立競技場が A案に決まった本当の理由が判明した。B案の「画期的な新工法」の信頼性が疑われたそうだ。 ──

 前項でもいろいろと述べたが、情報が古かった。各社の情報はあまりにも簡単すぎて、詳しい情報がなかった。
 しかし 23日昼の TBS の番組で、詳しい理由が説明されていた。こうだ。
 「 A案が優れていたのではなくて、B案で採用された新工法が、あまりにも画期的で、前例がないので、信頼性が疑われた。これで失敗したら、納期の遅れは許されないので、新工法ではない、従来技術を使う A案が、消去法で選ばれた」
 こういう感じらしい。(実際には、消去法ではなくて得点による加算だが、他の項目ではほぼ同等なので、この工法の点だけで決まってしまった。)
 では、これをどう評価するか? 

 ──

 まず、この工法だが、現時点では、新聞には掲載されていないようだ。TBS の解説によると、次のような方法。
 「外壁の外側に、縦に(張力としての)棒を立てる。外壁の上端に、支点を設ける。その支点からの引っ張り力で、天井の屋根の重量を支える」

 具体的には、下図を見るとわかりやすい。


b-an0.jpg

b-an.jpg

出典:建築エコノミスト 森山のブログ(孫引き)


 
 簡単に言うと、全体としては  みたいな形となっている。このうち、縦線である外壁のさらに外側に、棒が立っている。この棒が引っ張り力を受け取る。その引っ張り力で、角の支点を仲介して、上側の屋根の重量を支える。

 ──

 B案が否定されたのは、この工法が画期的であり、信頼性が低い、と見なされたからだ。単に「前例がないので信頼性が低い」と見なされたことが、B案が否定されたことの決定的な理由だ。

 以上が事実である。

 ──

 ここで、私見を述べよう。

 第1に、「ここが決定的な理由だった」ということが、きちんと発表されていないのが問題だ。単に「新技術が問題視された」というような、簡単な説明が新聞報道されただけで、食い他的な詳細は、TBS の番組を見るまでわからなかった。つまり、報道側が詳細に調査しないとわからないというふうに、事実が隠蔽されていた。これは大きな問題だ。きちんと公表するべきだった。

 第2に、この新工法は、「信頼性が低い」ということはない、と言っていいはずだ。実際、ずっと前に公開されたときから、ここを問題視する専門家はいなかった。それより、「従来工法を使う A案の方が信頼性が低い」と評価されていた。(上記の建築家ブログのページにそういう評価がある。)
 どうも、この工法について「信頼性が低い」というのは、かなり素人判断っぽい。
 審査委員の話では、「同業の建築会社の専門家に聞いたら、信頼性が低いと判定された」という話もあるが、同業他社の意見なんて、あまり当てになりそうにない。
 そもそも、理詰めで言っても、ここに引っ張り棒がないよりはある方が効果は高いはずだし、たとえそれに何らかの問題が生じたとしても、対処の仕方はいくらでもある。予定通りに工期の短縮が進まなかったとしても、2カ月ぐらいの遅れだから、期限には十分に間に合う。
 それより、A案では、土木工事の予定が超楽観的すぎるので、ここで遅れが出るのはほぼ確実だ。
 結局、次の二者択一だ。
  ・ 万一、失敗したら、2カ月の遅れが出る B案
  ・ ほぼ確実に2カ月の遅れが出るはずの A案

 この両者を比較して、「前者の方は工期の遅れが出るかもしれない」という判定を下したのが、今回の決定だ。

 もう、滅茶苦茶と言うしかない。
 で、その滅茶苦茶ぶりを隠すために、「 B案を排除した真の理由」というのを、公開しないでおいたのだろう。( TBSが詳細を調べるまでは。)

 ──

 結論。

 前項では「八百長」と評価したが、八百長ではないのかもしれない。ただの「素人の無知」みたいなものかもしれない。
 建築知識のない素人が、プロの出した建築法について、「この建築法はダメだ」と勝手に評価して、ダメ出しする、というナンセンス。
 結局、今回の決定は、「最も優れた建築案を決める」という目的で公募したくせに、建築案とは関係のない建築工法についての評価で決まってしまった。しかも、その評価に当たっては、「プロの立てた建築法について、素人が勝手にダメ出し評価をすることで決定した」となった。
 こんなことなら、「建築会社と一体化して案を求める」というふうにしたことの意義がない。建築会社が自信を持って、「この方法で出来る」と言ったのに、それを素人が勝手にダメ出し評価するのだから、もう、何をかいわんや。
 八百長よりももっとひどいデタラメだ。茶番だと言える。
 呆れはてるしかない。
 


 [ 付記 ]
 この新工法が成立するかどうかは、すでに建築会社が実験してテスト済みであるはずだ。さもなくば、提案するはずがない。また、こんな工法が可能かどうかぐらいは、簡単にテストできる。1カ月もあれば十分だ。これまで、何カ月も時間があったのだから、テスト済みだろう。
 また、仮にこれまでテストしていなかったとしても、工事開始までにはたっぷりと時間があるのだから、あらかじめテストする時間はたっぷりある。この新工法が成立しようがするまいが、何ら問題とならないのだ。
 というか、いちいちテストなんかしなくたって、こんな簡単な工法が成立するのはわかる。ザハ案みたいに重たい屋根を支えるのではなくて、軽い屋根を支えるだけだからだ。
 この程度のことでダメ出しするなんて、あまりにも馬鹿げている。とんだ茶番だ。
posted by 管理人 at 13:59| Comment(1) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
森元首相がBがいいとかいってしまったので、何か理由を付けてAにしたのでしょう。
あのような発言があってBになればそれこそ八百長騒ぎになりますから。

森元首相は反感をふまえて発言したのかもしれませんね。
本来、立場上どちらがいいなどと発言すること自体、資質を疑われるのですけど。
Posted by ういぬ at 2015年12月24日 01:59
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