STAP 細胞をめぐる再騒動があったので、ちょっと解説しておく。(特に読まなくてもいい。) ──
STAP 細胞をめぐる再騒動があった。「 STAP 細胞は間違いではないらしい」という研究報告があったらしい、ということを発端とした騒動。
最初の発端はこれ。
→ 小保方晴子さんの発見は真実だった!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表されました。
ここに、nature へのリンクがある。
→ http://www.nature.com/articles/srep17355
しかしながら、上記の和文記事は、曲解・誤解による誤報であった。
→ 【デマ注意!!】「STAP現象は実在した!」というトンデモない誤報が広まる! 論文では一切そんなこと言っていない
こうして、検証により、あっさり否定された。
おしまい。
[ 付記1 ]
ともあれ、私としての立場は、下記で述べた通り。
→ 東芝と化血研
東芝と化血研では、大々的な不正(粉飾・捏造)があって、国民に大迷惑を及ぼしたのに、人々はちっともバッシングしない。そのくせ、小保方さんのときには、たかが実験ミスに対して、大々的にバッシングを浴びせた。そのせいで、ノーベル賞級の大学者の生命が失われてしまった。
こういう馬鹿げた偏頗なバッシング(社会的狂騒)こそ、問題視するべきだろう。
[ 付記2 ]
実は、生物系の分野では、STAP 程度の実験ミスは、しばしばある。下記の例もそうだ。
→ 「最強生物」クマムシ、衝撃のDNA構成が判明 | ナショナルジオグラフィック
→ 「クマムシに外来遺伝子17%」は真実か
「最強の耐性を持つクマムシという生物は、他の外来生物(細菌)から、大量の遺伝子をもらっていた」
という論文が発表された。
しかし、クマムシ博士の解説によれば、別グループも同様の研究をしていて、上記見解とは異なる結論をしている。つまり、「他の外来生物(細菌)から、大量の遺伝子をもらっていた」ということはない。
では何があったか? 冒頭の論文の研究では、クマムシの洗浄が不十分であったために、他の細菌の遺伝子が混入していたらしい。要するに、コンタミ(混入)があったわけだ。
これはもう、小保方さんのミスの再来とも言うべき状態だ。どちらも、コンタミによる実験ミスだ。
このように、コンタミによる実験ミスというのは、生物学の実験ではしばしば起こる。別に、意図的に捏造したのではなく、たまたま(というよりは無知や低技術ゆえに)コンタミによる実験ミスが生じてしまうのだ。
そして、こういうミスに対しては、「愚かだ」と批判するのはいいが、「悪意ある捏造だ」と批判するのは、あまりにも馬鹿げている。
なかでも最も馬鹿げたのは、その論理だ。
「悪意と故意とは同義である。そして、実験は故意になされたものであるから、悪意があったのだ」
こういう滅茶苦茶論理による理屈で、ただのミスをすべて「悪意ある捏造だ」と認識する。こういう屁理屈こそ、捏造であろう。
故意であるかどうかは、ミスが故意であるかに依存する。「わざとミスしよう」と思ってミスしたのであれば、それは「故意」だろう。(たとえば、自動車で、わざとハンドル操作を間違えたのなら、それは故意である。)
一方、ミスが故意であるかではなくて、行為そのものが故意であるかで判断する人もいる。「その実験は故意になされたものだ。ゆえに、この実験ミスは捏造である」というふうに。(たとえば、自動車のハンドルミスは故意ではないのに、自動車を運転したことが故意であるという理屈で、事故を悪意があると見なす。)
こういう滅茶苦茶論理で「ミスは故意の行為から起こったがゆえに、悪意がある」と認定する。もう滅茶苦茶。これが、理研の調査委がやったことだ。
→ 《 お知らせ 》(故意と悪意)
「小保方さんは捏造をした」という主張者こそが、捏造をしていることになる。
これもまた、社会的狂騒。気違いじみている。
どうせなら、東芝や化血研を批判すればいいのだが、頭が狂気的になっているので、正常な判断力が働かないありさまだ。
[ 付記 ]
STAP 細胞事件の本質は、「錯誤」である。虚偽を真実だと思ったことだ。ゴミを黄金だと思ったことだ。そして、「これは黄金です」と言って示したものが実はゴミであると知ったとき、人々は「この詐欺師!」と大々的にバッシングした。しかし、批判された方は、「これはまさしく黄金である」と信じていたがゆえに、自分たちがなぜ「嘘つき」と呼ばれるのか、理解しかねていた。本人は嘘を言ったつもりはまったくないからである。
ともあれ、勘違いしたピエロに大々的なバッシングを浴びせて、人々はとうとうピエロのうちの一人を死なせてしまった。実は、そのピエロこそ、黄金であったのだが。
何という皮肉!
【 関連項目 】
STAP 細胞事件の真相については
→ STAP事件の真相は?
→ STAP事件の真相は 2[原因]
→ STAP細胞事件の真犯人 (専門家向け)
→ STAP細胞事件の総括 1
→ STAP細胞事件の総括 2
2015年12月13日
過去ログ
→ http://openblog.meblog.biz/article/24448484.html の[ 付記2 ]
詳しくは,そのまたリンク先。