IS 攻撃に空爆が有効であるのを見るに付け、思うことがある。
「防御における戦車というのはまったくの無駄だ」
ということだ。
何しろ、敵は上空から空爆で攻めてくる。ここで戦車があっても、何の役にも立たない。高射砲や対空ミサイルをそばに置けば、それらが何かをすることはできるが、戦車そのものは何の役にも立たない。飛行機を攻撃する手段をもたないからだ。
あれこれ考えると、戦車が防御において役立つ場面というのは、まったくありえそうにない。少なくとも、島国の日本ではそうだ。
ま、日本が陸続きだったら、敵の戦車がやって来ることもあるだろう。その場合には、防御の戦車も役立つだろう。しかし、島国の日本では、敵の戦車はやって来ない。戦車が海を泳いで渡ってくることはないからだ。
仮に敵の戦車が来るとしたら、日本があらゆる戦力を失った状態だろう。第二次大戦で言えば、8月15日の段階では、米軍はまだ上陸していなかった。米軍が上陸の計画を立てていた予定日は、11月のことだった。この作戦は「ダウンフォール作戦」と呼ばれる。
ダウンフォール作戦は次の2つの作戦から構成されている。両作戦では、徹底的な海上封鎖を実施して資源の乏しい日本を兵糧攻めにするとともに、広島長崎に続く原爆投下、及び大規模な化学兵器の使用、農地への薬剤散布によって食料生産を不可能にする事(すなわち、NBC兵器の無差別投入や、マスタードガス、サリン攻撃も検討されていた)。
( → ダウンフォール作戦 - Wikipedia )
このときになってようやく戦車も投入される。それまでは戦車は投入されなかったのだ。
そして、米軍が戦車を投入するときには、同時に、次のものも投入されそうだったのだ。
・ 広島長崎に続く原爆投下
・ 大規模な化学兵器
・ マスタードガス、サリン攻撃
・ 農地への薬剤散布による大量餓死
こういう状況で、日本が戦車で抵抗する意義はあるか? ない。さっさと降伏するのが最善だ。仮に、天皇のご聖断がなかったなら(戦争が継続したら)、日本の戦車が活躍する場面も生じたかもしれないが、その場合には、上記のような米軍の強力兵器が投入されて、日本はとんでもない事態になっていたはずなのだ。
だから、結論はこうだ。
「日本の戦車が防御のために役立つ場面とは、敵の本土上陸がなされる事態、つまり、日本が決定的な敗北を喫しており、最後にとどめを刺されるだけの事態」
とどめを刺される前に最後の悪あがきをするために、戦車はある。しかし、そんなことになるくらいだったら、さっさと降伏して生きる方がマシだ。日本という国が滅びても、日本人という民族は滅びないからだ。
あくまでも戦車によって抵抗したら、どうなるか? 下手をすると、カルタゴのようになりかねない。
「ローマのカルタゴ撃滅と破壊は、史上稀に見る残酷で非人道的なものであった。カルタゴの跡地は、町はおろか、一木一草も残さずに、きれいに整地された。最後まで抵抗して生き残った5万人の男女は、1人残らず奴隷に売られた。旧農地はそこに作物ができないように塩がまかれた。」(弓削達『ローマはなぜ滅んだか』講談社現代新書p12)
( → チュニジア )
上記は大げさなように思えるかもしれないが、旧日本軍は「一億玉砕」を唱えており、カルタゴの運命をめざしていたのだ。そしてまた、米軍はそのための軍備を整えていたのだ。(上記)
戦車によって徹底抗戦するというのは、あまりにも愚かしいことだ。なのに、今の自衛隊は、それをめざしている。空軍と海軍が壊滅したあとで、敵が上陸するとき、最後にとどめを刺される寸前に「蜂の一刺し」だけをめざして、無駄なあがきをしようとしている。何とまあ、無意味なことをめざしていることか。
今の日本の軍事戦略というのは、ほとんど狂気の沙汰だ。それは日本を守るためという名分で、日本人という民族の滅亡をめざしている戦略なのだ。
[ 付記 ]
本項で述べたのはあくまで「防御のための戦車」だ。
一方、「攻撃のための戦車」は、話が別だ。一般に、
人間 < 戦車 < 航空機
という強弱関係がある。ゆえに、人間を制覇するには、戦車が有効だ。ゆえに、侵略のためには、戦車が有効だし、必要だ。
このことは、戦車に限らず、陸軍一般についても言える。
たとえば、IS は、シリアの一部を支配しているが、これは、IS の陸軍戦力による。陸軍戦力は、市民よりも強いから、市民を支配下に置くことができる。
この IS を、米国は空爆で攻撃できるが、米国は市民を支配下に置くことはできない。陸軍戦力がないからだ。現地を支配下に置くには、どうしても陸軍戦力が必要で、そのためには、戦車は非常に有効だ。
とはいえ、IS が戦車をもてば、その戦車は、米軍の空爆で破壊される。だからここではとにかく、
人間 < 戦車 < 航空機
という関係があるわけだ。
ただ、戦車が常に有効だとは限らない。戦車は市民に対しては圧倒的に優勢だが、敵の歩兵の攻撃を受けることもある。対戦車地雷などだ。実際、米軍の戦車は、イラクで結構被害を受けた。死者がいっぱい出た。だからオバマは地上軍の投入を厭がっているのだ。
戦車は、相手の歩兵を殲滅するためにはかなり有効なのだが、こちらの人的被害も大きくなる。その点では、こちらの人的被害がほとんどない空爆とは違う。
現代では戦車の出番は非常に限定されていると言えるだろう。
ちなみに、イラク政府にあった戦車の多くは、敵軍(テロリスト)に奪われて、敵の戦力になってしまった。戦車には「捕獲されて逆用される」という弱点もあるわけだ。
何か、駄目なことばかりみたい。
【 関連項目 】
→ 中国が Su35 を導入 (次項)
※ この項目の最後に、戦車の話も出てきます。
ただ、時系列および原因と結果が少しずれていると思います
相手の戦車が来る時には負けている、その通りです。だから戦車が無意味なのではなく、相手の空海軍を壊滅させないと戦車を持ってこれないので(それはほぼ無理なので),戦車は戦わずして最高の防御兵器なのです。
相手の歩兵が機能している場合、侵略側は相手の戦車に対抗するには戦車が必要です。
歩兵が機能しないと戦車が機能しないのは、第一次世界大戦での戦訓で、その点でも管理人さんの論考は正しいです。
侵略側は相手に戦車がなければ、戦車を持ってこないで歩兵で攻める、戦車で蹂躙するの2択がありますが、防御側が戦車があれば戦車一択になります。
つまり、日本には戦車があるので、米海空軍および日本陸上海上自衛隊を殲滅する国が現れない限り、本土を蹂躙されることはありません。
日本に空軍が残っている状況で、敵軍が戦車を投入したら、敵軍の戦車は、日本の空軍によって壊滅させられます。
また、日本に戦車があろうとなかろうと、米海空軍を殲滅する国は現れないでしょう。ここでも、戦車の有無は関係なし。
宗主国様から、戦車をもつように指導されてるんですから。
米国としては「国産戦車なんか開発しないで、その金でF35 を買え。売ってやるから、金を全部こっちに寄越せ」というのが本心でしょう。
じゃ、政治家と防衛官僚がアホなのか、70年前の亡霊にひょういされてるんですなあ。
日本の防衛にはまず、悪魔払いの類が必要ということなのかもしれませんね。
侵略するためには、人間を支配下に置くことが必要であり、そのためには陸軍の投入が必要で、そのためには戦車が必要です。
爆撃機は自衛のためには必要だが、侵略には役立たない。
戦車は自衛のためには役立たないが、侵略のためには必要だ。
ここを逆に考えている人が多すぎる。軍事的な勘違い。
侵略と攻撃の区別ができていないせいでしょう。
日本の戦車の実際の出番といえば、韓国や北朝鮮に戦車を派遣する場合だけでしょう。将来、北朝鮮で体制崩壊が起こったときに、国連の PKO という形で、日本の戦車部隊が派遣されることもあるかもしれません。
その前に、アフリカ(スーダン)の PKO 向けに戦車が派遣されることもあるかも。
「空海軍を持った島国を侵略するには空海軍を殲滅しなければならない」その発想が既に間違ってるんだ。
敵の防衛ラインを一枚一枚丁寧にはがしていく必要なんてあるものか。あらゆる地点からの攻撃に備えて薄く広く防御を敷く必要のある防御側に対し、攻撃する側は攻め落としたい地点に戦力を集中投入して一点突破すればいい。
そうして空海の防御網に穴を作ってなだれ込めば、その向こうには戦車が存在しない無防備な日本本土があり、空自、海自が行動するための拠点である基地や港がある。
そもそも俺が中国の偉い人なら、開戦の前の段階で事前に浸透させていた工作員にRPGを抱えて空自基地を襲わせる。空飛ぶ前の戦闘機なんてかっこいい置物でしかないんだよ。
>とどめを刺される前に最後の悪あがきをするために、戦車はある。しかし、そんなことになるくらいだったら、さっさと降伏して生きる方がマシだ。日本という国が滅びても、日本人という民族は滅びないからだ。」
とありますが、アメリカだったからこそ降伏したらすぐ攻撃をやめてくれただけで
侵略国家によっては降伏なんて聞かずに虐殺を続けてくるかもしれませんよ。であれば私は最期まで悪あがきできる軍備を整えてもらいたい。いかがですか?
と論破される未来が見えたのでこの論点は下げます笑
それでも戦車は必要です。
敵が侵略してくるとき、まずは完全に海戦に勝ち制空権を取って、とゲームのようにやってくるのではなく
探知の目をかいくぐって上陸しゲリラ戦をしかけてくる可能性の方が高いと思うからです。万景峰号ならいざ知らず、小型ボート程度で重武装した民兵を送り込んで来たら探知できないし上陸されれば相当な被害を出されます。
で、そういう歩兵を相手するとなればやはり戦車、戦車はいらんか〜?