2015年11月16日

◆ フランスのテロ事件の原因

 フランスのテロ事件の原因は何か? ──

 いろいろな説がある。たとえば、次の説だ。
 「フランス国内では、アラブ系の移民が差別されている。だから、彼らが不満を持って、IS に参加して、テロをした」

 しかし、これはおかしい。不満があるなら、適当に憂さ晴らしをしていればいいのであって、特に IS に参加する理由にはならない。憂さ晴らしの手段としては、酒でもギャンブルでも喧嘩でもいいが、軍事訓練をして民間人を殺すというのは、憂さ晴らしの範囲を超えている。

 実は、この問題については、論理的に説明が付く。なぜならば、テロの原因をテロの首謀者が告白しているからだ。
 「イスラム国」は犯行を認める声明をインターネット上に発表した。フランスが同組織に対しシリアなどで続ける空爆への報復テロとしており、
( → 共同通信 2015年11月14日

 ここで述べたように、「フランスが同組織に対しシリアなどで続ける空爆への報復テロ」というのが、IS の公式見解だ。
 ただし、例によって、公式見解というのは、建前であって、真相ではない。それでも、彼らが「報復だ」と訴えたがっている、という事実は判明した。
 ここでは、彼らの言っている内容が問題なのではなく、彼らがそう言いたがっているという心理が問題なのだ。では、その心理とは? こうだ。
 「テロが報復だとすれば、フランスは、テロを受けないためには空爆をやめればいい、と判断するだろう」
 
 ここまで見れば、ことの本質はわかる。こうだ。
 「彼らは、このテロをすることによって、フランスの空爆を停止させたがっている」

 これが本質だ。彼らがテロをやった理由は、フランスの空爆を停止させることなのだ。
 なぜ? テレビで報道していたが、最近、IS は軍事的に劣勢になっているという。特に、空爆が有効であるらしく、そのせいで支配地をどんどん失ってきている。幹部も次々と殺されている。これほどにも空爆が有効なのだ。だからこそ、何としても、空爆を阻止したい。そこで思いついたのが、「フランスへのテロ」だったのだ。

 ──

 こうして、真相はわかった。
 とすれば、対処もまたわかる。
 「テロを撲滅するには、空爆を止めるのでなく、空爆を大幅強化すればいい。彼らがテロをすればするほど空爆が増える、という教訓を与えるといい」
 これが正解だ。

 逆に、不正解もわかる。
 「テロは空爆への報復だ、という IS の言い分を信じて、空爆をやめること」
 これは、IS に「テロは有効だ」という成果を与えることになる。もし空爆をやめたなら、IS は味をしめて、「しめしめ、テロをやった効果があった」と思うだろう。そして新たに別のテロを実行するだろう。今度は「空爆停止」とは別の目的で。
 だからこそ、彼らの思惑に乗って、空爆停止をしてはいけないのだ。



 [ 付記 ]
 「フランス国内の若者が勧誘されたのはなぜか?」
 という疑問もあるだろう。これは、
 「アラブの大義」
 というような甘い言葉を出しながら、高い給与を出すことで、フランス国内にいる移民を勧誘したのだろう。ここでは、フランス国内の若者は、リクルートされただけであり、だまされたようなものだ。彼らが本心でテロを従っていたとは思えない。彼らは当初は、「アラブの大義」と「高給」を信じるぐらいで、甘い気持ちで IS に参加したのだと思える。実際、「素敵だな」と思って、甘い気持ちで IS に参加する少年少女がたくさんいるそうだ。
 こうして甘い言葉で勧誘された未熟な若者たちが、IS に来たあとで、洗脳されて、「人間爆弾」みたいなものに改造されてしまったのだろう。

 したがって、「移民の若者が不満を持ってテロ活動に走ったのだ」というような極論は、成立しない。彼らがそれほど過激な思想をもともと持っていたはずがない。「自爆しよう」なんて思う人が、もともといるはずがないのだ。
 今回のテロの実行犯は、あくまで「洗脳された若者」と見なす方がいい。
 なお、ここでは、「死」という恐怖を乗り越えるために、薬物を使っていた可能性もありそうだ。つまり、麻薬。
 自爆テロを実行しようとする者は、緊張感や狂信から振る舞いが神経質で、特異な印象を与えることが多い。また、死の緊張感から麻薬等の薬物を服用していることが多く、表情(特に目つき)や行動が異常な場合が少なくない。
( → 自爆テロ - Wikipedia

 自分の命を捨てるテロというのは、普通の人間がちょっとした思いつきでやるようなことではない。そこには軍事的な細かな事情があるのだ。そういう事情をいろいろと知っておくことも必要だ。



 【 追記 】
 新たなニュースが出た。
  → IS 新たに声明「ワシントンも同じ目に」

 空爆をする米国に対しても、同じ行動を取ろうとしている。このことからしても、本項の分析は正しかった、と判明する。
 一方、「フランス国内の若者が民族差別で不満を持ったから」なんて分析は、てんで見当はずれだ、とわかる。これらの若者は、テロの原因だったのではない。単に IS に利用されただけだ。麻薬を打たれて。 

 なお、米国がテロを予防するには、「では空爆を停止します」と屈服するのではなく、「もしテロを実行したら、空爆を徹底強化する」と予告しておくといい。特に、ナパーム弾の使用を予告しておくといい。こいつは非人道的に兵士を殺害するからだ。ただの空爆は、建物などの破壊を目的とするが、ナパーム弾は人的被害を多大にもたらす虐殺兵器だ。テロリストには恐怖の的だろう。……軍人を恐怖させるには、軍人に通じる言葉で恐怖させればいいのだ。
posted by 管理人 at 23:22| Comment(6) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「テロが抱腹だとすれば、フランスがテロを受けないためには、空爆をやめればいい、と判断するだろう」
→テロが報復だとすれば

テロに屈しない趣旨は理解しますが、暴力の連鎖拡大にしないためには、空爆強化は、徹底的にしないといけないだろうと思います。

それによって戦意喪失するのか、より熱狂するのかは、わたしには考えが及ばないところですが。
Posted by 磯崎ゆい at 2015年11月17日 08:21
私は軍事オタクではないのでよくわからないのですが、ナパーム弾というのは石の建物が多いところでも有効なのでしょうか?
私のイメージでは日本のように木造建築で埋め尽くされている町やベトナムのような森林に使うものなのですが。
また、ISの支配地域にも民間人がたくさんいるのですが、一緒に燃やすのでしょうか?
Posted by クルマ好き at 2015年11月17日 21:32
石の建物って、建物にいる市民を虐殺するためじゃないですよ。野外にいる兵士が対象です。

 だいたい、兵士が都市の市内で暮らしているはずがない。日本の戦争中だってそうだったでしょ? 兵士は前線にいる。
Posted by 管理人 at 2015年11月17日 21:45
すみません。最前線のお話でしたか。
ニュースでは訓練施設や武器が備蓄されているところなどを空爆しているようなことを言っていて、そういうのが町や町に近いところにあるのと、空爆で特定人物を殺害する場合にかなりの一般市民が巻き添えになっているなんて話もある(テレビでは言いませんね)のを合わせて早とちりしました。
Posted by クルマ好き at 2015年11月18日 05:26
中途半端に反撃の余力を残してはいけない。
国土全部を焼き尽くすぐらいの兵器で一気に叩くべき。核兵器の使用も辞さない。
まあ、もちろん人道的に大悪業ですが、元はと言えばアメリカがフセインを力で排除してパンドラの箱を開けたところからこの問題ははじまっているので、アメリカは世界をぐちゃぐちゃにした責任を取らなければいけない。

禍根を残せば暴力は連鎖する。だから、皆殺ししかない。
Posted by youkazu7777 at 2015年11月18日 10:08
> 皆殺ししかない。

次項に書いてあるように、IS の人数は2〜3万人。
難民は数百万人。

たったの2〜3万人をたたくために、数百万人(もしくは支配地域の数十万人)を殺害するというのは、あまりにも非効率。
それじゃ、ヒトラーも驚く無意味な大虐殺。

次項で示す「難民を兵士に」なら、(ISだけを狙って)効率的に片付くのに、わざわざ非効率な方法を取る意味がない。
Posted by 管理人 at 2015年11月18日 12:40
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